もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「そう言えばルカ、ここは何処だ?」
「海に突き落とされた僕も、飛び込んだアリス達も人魚に助けられたよ」
ルカは、後ろを見る。二人の人魚が「どうも」と会釈をしていた。
「おー、助けてくれたんか!? ありがとなぁ!」
「そういう訳で、ここはナタリアポートだ。往復船が目指していた港町……色々と難があったが、辿り着く事は出来たな」
アリスは、その後の話をしてくれた。あんな派手なぶつかり合いが巻き起こったというのに、あの船の船長達は奇跡的に無事だったとか。これも、ここの人魚達が頑張ってくれたお陰だろう。
しかし、依然として謎は残る。
「あのモリガンって奴は、何なんだ?」
「さぁな……成り行きを確認する余裕はなかった。あの連中は、敵対関係にあるのか……?」
やはり、アリスでもその正体は分からずじまいだ。
「モリガン……別世界とか異世界を完全に認識してたよね」
「ああ……俺が異世界からやってきた事も認知してた。時空超えの能力でもあるんか?」
「そんな能力持ちが、ゴロゴロしていてたまるものか。例の扉を開ける以外に、何かの方法があるに違いない。プロメスティンとて、実験ミスでタルタロスに飛んだのだ。知識のある者が、何かの方法を確立させたのか……?」
モリガンの時空越えには、何かトリックがある……そう考えた方が妥当だろう。
「ともあれ、我々の行く手を阻む者は叩きのめすのみだ。妖魔だろうが天使だろうが魔神だろうが、関係ない」
アリスが意気込んだ、その時だった。ソニアの気に動きがあった。
「う〜ん、ここ、どこ……?」
あの酷い顔から一変して、頭を押さえながらそう言う。ようやく、目が覚めたらしい。
……というより、あのドミグラの件があったというのによく起きなかったものである。
「やれやれ、やっと目を覚ましたか。それでは、出発だ!」
「ああ!」
一悶着あったが、上手く乗り越えた。そして、この新大陸で冒険する事となる。
ヴィクトリーは、この先でもっともっと強いヤツと戦えると思うとわくわくが止まらなかった。
「これからの道のりだが……まずは、サン・イリアだな。大都市にて、ルカの父や白兎の情報を集めるとしよう」
「サン・イリア……?」
当たり前のように言われるが、ヴィクトリーには何が何だか分からないという様子だった。そんな彼を見かねたアリスは、「おっと」と言って続ける。
「こことは全く違う異世界から来たヴィクトリーには分からなかったか……この世界最大の聖堂国家だ」
「へぇ〜……そりゃ凄そうだ。アリスは魔物だけど、そんな所に行ってもいいんか?」
「正直言うとあまり行きたいところではない。だが、避けては通れまい」
世界最大の聖堂国家サン・イリア……この世界の信仰が集まる所だろう。
「作法とか、俺分からねぇんだけど……」
「大丈夫だよ、僕達が教えるから」
「イリアス相手に作法など気にする必要あるまい、銅像なんかあったらぶっ壊してしまえ」
「バチ当たりな事しようとしたら、私が棍棒で頭かち割るわよ」
そんな事を話し合っていると、おずおずと人魚が手を挙げてきた。
「あの……実は、お頼みしたい事があるのですが。現在、このナタリアポートで大きな事件が起きているのです」
「むっ……命を助けてもらった以上、無下には断れんな」
「詳しく聞きましょう」
アリスもルカも、さっそく食いついた。その隣に、ヴィクトリーもつく。
「あなた方の腕を見込んで、頼みたい事があります。少々長い話になりますが、お付き合い願えるでしょうか」
戦士達が頷くと、マーメイドも咳をついて話し始めたのだった。
「現在、この町に漁師や人魚の失踪事件が続発しているのです。それが最初に始まったのが、今から数ヶ月前の事でした」
「失踪事件……穏やかじゃ無さそうだね」
「へへへ、
ヴィクトリーが、失踪事件というものに反応している。こいつの言う『面白そう』は、たいていただ事では無い事件なのだ。
「はい……メイアという人魚が、用事で海底神殿に向かったのですが……その途中で失踪し、現在に至るまで行方は知れていません」
「海底神殿……?」
「なんだそりゃ」
ルカとヴィクトリーの二人は、アリスに向く。
「世界の南半分の海を統治する、南海の女王のいる神殿だ。その名の通り、ナタリアポート近海の海底に存在する」
「その行方を探しに、数名もの人魚が海底神殿に向かいましたが……既に、20人近くもの人魚が行方不明になってしまいました」
「にっ……!?」
「更に同じ時期、漁に出た船が帰ってこなくなる事故も多発……行方不明になった漁師の方は、50人を超えてしまいました」
「ご、50人もか!?」
「確かに、たまたま事故が続いたとは思えんな……海で何かが起きている事は確かなようだ」
アリスはそう言って、腕を組む。
「海底神殿にいる、南海の女王とも連絡不能……さらに神殿に向かった者がのきなみ失踪とは、尋常ではない」
行方不明になった人魚が20人、人間の漁師は50人。南海の女王とは音信不通。確実に何かヤバい事が起きてるのは確かであり、本当にただ事では無さそうだ。
「話が見えてきたぜ……要するに、俺達が海底神殿に向かってこの事件の調査をすりゃいいんだろ? んでもって、犯人を見つけたらぶっ飛ばす!」
「脳みそ筋肉め……」
事の依頼を要約するヴィクトリーに呆れるアリスだが、ルカはその通りと言わんばかりに頷く。
「でも実際にそうするしかないよね。分かりました、何が起きているのか様子を見てきましょう!」
「確かに、放置しておく事は出来んな……南海の女王と会い、対策を練る必要があるだろう。しかし、奴がこのような状況を黙認するとも思えん……もしや南海の女王の身に、何かあったのか?」
「よく分かんねぇけど、変な奴が居たらぶっ飛ばしてやる!」
意気込む戦士達だが、ルカはすぐに首を傾げた。
「でも、海底神殿って海の中じゃないのかな。深海まで潜れない僕達は、どうやって行けばいいのか……」
「それは大丈夫です。このアイテムで、海底神殿の入口にまで導かれますから」
マーメイドがそう言って戦士達に差し出したのは、不思議な宝玉だった。ルカはそれを受け取り、まじまじと見る。
「この宝玉を、ナタリア海岸の波打ち際で掲げて下さい」
「ああ……」
ナタリア海岸は、ここからすぐ西にあるという。そこでこの玉を使えば、何かが起きて海底神殿に行けるのだろう。
「分かりました、行ってみます!」
「よっしゃあ、わくわくすっぞ!」
「それでは、何卒お気をつけ下さい。あなた達の勇気に、心より感謝致します」
人魚は、ルカ達に頭を下げた。
「よし、行くぞ!」
「ああ!」
充分に休憩を取り、体力も全快したルカ達。彼等は、助けてくれた人魚達に礼を言ってこの家を後にしたのだった。
※
遂に、このサントラ大陸で新たな旅路が開かれた。
この先には、どんな強敵が待ち受けているのか。
セントラ大陸で噂になっている大いなる争いの全貌……そして、暗躍しているであろう謎の戦士『黒のヴィクトリー』と、謎の魔神『ドミグラ』。その正体と目的や如何に……!?
期待と不安を胸に秘めながら、ルカ達は進む。そして、新たなる戦いに身を投じるのだった。