もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
あのまま進み続け、ルカ達は遂に強大な気が放たれている場所……女王の間に辿り着いた。
「……なんだこりゃあっ!?」
女王の間に居たのは、たくさんの幼い少年だった。その少年達の中心に白髪の人魚がにこにこしながら、玉座に座っていた。
「ようこそ、海底神殿へ。私は南海の女王、メイアです……」
「馬鹿を言うな」
アリスが前に出てきて、メイアにレイピアを向けた。
「南海の女王はクラーケンだ。貴様はいったい、何を企んでいるのだ?」
「えっ、私が女王ではない……? いえいえ、あなた達の勘違いでしょう。私こそが南海の女王であるメイアなんですから」
「この少年は、いったい何なんだ?」
「それと、さらった漁師達をどこにやった!」
ルカとヴィクトリーの問に、メイアは鼻の下を伸ばしてにっこりと笑う。
「あなたのいう漁師達こそ、この少年。少々、若返ってもらいました……」
「超ヤバイ! このヒト病んでる!」
「病んでるんじゃなくてこじらせてんだろ……」
「とにかく、彼等や人魚達を解放するんだ!」
メイアは、引き続き微笑みながら答える。
「それはできません……だって私は、南海の女王なんですから」
「おめぇ、言ってる事めちゃくちゃだぞ……」
呆れながら言うヴィクトリーの横で、アリスが歯噛みする。
「どこかおかしい、この人魚は正気ではないぞ」
「そりゃ、この危ない逆ハーレム見れば分かるから……」
ソニアの言う通り、メイアがおかしいのは見ての通りだが……それにしたって、何やら様子が変だ。
「眼筋および頬筋に僅かながら痙攣が見られます。何らかの精神的負荷を受けてますね……」
「洗脳されてるっちゅう訳か?」
プロメスティンが言うなら、そうなのだろう。恐らく何らかの精神汚染を受けて、こんなんになってしまったと見るのが妥当だ。
「私の邪魔をするなら、容赦はしませんよ……だって私は、南海の女王なんですから」
メイアは立ち上がり、魔力を解放した。
「避難しなさい、子供達よ……そして集まりなさい、魔物達! この者を叩きのめすのです!」
メイアの指示で少年達は避難し、入れ替わりにクラゲ娘やイソギンチャク娘やアンコウ娘といったモンスターが押し寄せてきた。すかさず、ソニアとアリスとプロメスティンとヌルコがそのモンスターの群れに向かって構えた。
「私達はこいつらをやる! ルカとヴィクトリーはメイアさんを!」
「まったく、やるしかないか……」
「数では圧倒的に不利……私達もモンスターの方をやりますか」
「きゅ」
ソニア達は思い思いに言い、気を解放した。一方で、ヴィクトリーとルカはメイアに向かっていた。
「よーし……こうなったら思いっきりぶっ飛ばして、目を覚まさせてやろうぜ……」
「仕方ないか……いくぞ!」
「ふふふ、南海の女王の力を見せて差し上げましょう……!」
ヴィクトリーとルカは静かに構え、それに応じるようにメイアも構える。
「よーし、そんじゃあいきなりっ!!」
ヴィクトリーの気が爆発し、その身に赤いオーラを纏わせた。
「!!」
「なっ……!?」
「界王拳!!」
界王拳……全身の気をコントロールし、増大させる技。強力な技だが、その分しっぺ返しが大きい。今の実力で制御できるのは、せいぜい2倍……それ以上やったら、体がもたないだろう。
「だぁあっ!!」
ヴィクトリーが先陣を切って、メイアに突撃する。
メイアも静かに両手を向けてから、彼の拳を受け止める。それが激突の合図となり、二人は猛スピードで攻防し始めた。
「僕もっ!!」
ルカも剣を構え、メイアに切り込む。しかし至極冷静に避けられ、反撃の水魔法が飛んでくる。それを髪を掠らせながら避け、猛攻した。
ルカとヴィクトリーの凄まじい猛攻だが、メイアはそれに対応し続ける。
「ふふふ、中々の腕ですね……!」
「なにっ!?」
次の瞬間、メイアの姿は消え、二人の一撃がすっぽ抜ける。
「ぐっ!?」
「こっちです」
声が聞こえたかと思えば、圧縮した水がヴィクトリーに叩き込まれた。
「うわぁあっ!」
水撃によって、ぶっ飛ぶヴィクトリー。
そんな彼を、追いかけようとするメイアだったが、その人魚の尾びれをルカが掴んだ。
「っ!?」
「だっ!」
そして、メイアを思いっきり地面に叩きつける。彼女の体はバウンドし、僅かに浮き、ダメ押しの後ろ廻し蹴りで蹴り飛ばした。
「っあは!」
蹴っ飛ばされたメイアだったが、すぐに振り返って両手を振りかぶる。そして、圧縮された水を勢いよくぶん投げてきた。
「うわっ!?」
ルカはそれに直撃して、吹っ飛んでしまう。すかさず追撃しようとメイアが迫るも、ヴィクトリーが割って入ってきた。
気合いを込めた一撃同士が、ぶつかり合う。衝撃波のような旋風が発生し、辺りの戦塵を吹っ飛ばした。
「っ、おめぇ
「強くて当たり前です。私は南海の女王なのですから……!」
メイアはそう言ってヴィクトリーの拳と腕に手を添え、グインッと引き寄せる。そのまま流れるように一回転して、投げ飛ばした。
「うわあぁあぁあ!?」
ぶっ飛ぶヴィクトリーと入れ替わるように、ルカが猛ダッシュしてくる。そして、剣を構えて突きを放った。
その突きを半身にして
しかしルカはそれを、振り向きざまの薙ぎ払いで弾く。弾かれた水撃はその辺の柱に直撃し、穿って中程からへし折れたのだった。
「っ、なんて威力……!!」
弾いた剣を持ってる手が痺れる程の、凄まじい水撃。
それに悶えていると、赤い気がメイアに向かって伸びた。界王拳を使っているヴィクトリーだ。
「だりゃあああ!!」
「!!」
ヴィクトリーの拳が、メイアの頬に打ち込まれる。そのまま腕を振り抜いて、彼女をぶっ飛ばした。
「このまま攻めるぞ!!」
「おう!!」
ルカとヴィクトリーは並び、突撃する。それに対して持ち直したメイアは、両手を向けて魔力を集中させる。
「零の奔流、蒼の世界に凍れし刻……生なき静寂! シグマフロスト!」
二人に向かって、抱える程の氷塊が放たれる。
「詠唱の割に大した事ねぇな! はーっ!!!」
ヴィクトリーは何と、それを気合いでかき消した。
「なっ!?」
「そこだっ!!」
ルカはメイアの懐へ踏み込み、低い所から渾身の突き上げを放った。しかし、その一撃を避けられてしまう。
「……そこっ!」
「!?」
すかさず向けられたメイアの手を見逃さず、思いっきり剣で切り上げる。すると、水撃が大理石の天井に発射され、それを穿って亀裂が走った。
「たぁっ!!」
呆気にとられるメイアの頬を、剣の柄で打つ。
「もらいっ!」
そして、思いっきり突きを放った。しかしメイアはその突きを身を
「ぐあぁっ!?」
「ふ……」
「とりゃあぁあ!!」
ルカに手を向ける、メイア。しかし彼女の背後からヴィクトリーが跳び上がり、剣を振りかぶりながら高所から強襲した。放ったのは、高所から強襲する兜割り……天魔頭蓋斬で、それは見事に彼女の
「きゃああっ……!!」
「はっ!」
ヴィクトリーはすかさず、天井に気弾を撃つ。先程の水撃で亀裂の走ったそこに命中し、崩落して瓦礫がメイアめがけて降り注いだ。
「きゃあぁあっ!」
瓦礫はメイアを覆いかぶせて、山と積まれる。そんな瓦礫の山の前に、ルカとヴィクトリーは並んだ。
「やったか……?」
ルカは言うが、ヴィクトリーは目を鋭くさせたままである。
「構えとけ、ルカ……」
「え……?」
「こっからが、本番だ……!」
ヴィクトリーがそう言った途端、メイアを埋めていた瓦礫の合間から黒い光が迸る。その後、派手に吹っ飛んだ。
「っ!?」
「くそっ!」
二人の体に、吹っ飛んだ衝撃で砕け散った瓦礫の破片がビシビシと当たる。その爆心地には、メイアが立っていた。
「……」
彼女は乱れた髪を手で掻き上げ、さらりと指を抜く。そして、二人にゆっくりと視線を向ける。
「……あはっ!」
その目が紅く光り、禍々しい魔力が宿った。