もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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南■海の■■

「うふふ、ふふふっ……!!」

 

 メイアはいきなり手を向け、暗黒のエネルギー波を放った。先程までとは比べ物にならない威力のそれが、一直線に向かってくる。

 

「なっ!?」

「くそっ!!」

 

 ヴィクトリーのかめはめ波で、暗黒のエネルギー波は相殺される。

 

「あはっ!」

 

 メイアは既に二人の背後に回り込んでおり、エネルギー波を連射してきた。

 

「くそっ! 完全に理性を失ってるか!?」

「やるっきゃねぇ!」

 

 エネルギー波を弾き飛ばしながら、メイアに接近する二人。目の前まで来たと思った瞬間に、彼女の姿が消え失せる。

 

「なにっ!?」

「しゃあっ!!」

 

 メイアはルカの懐に入り込み、尾びれでぶっ飛ばした。

 

「ぐぁっ!?」

 

 すかさずヴィクトリーにも、尾びれでの足払いを繰り出す。

 

「うわっ!?」

「はぁあっ!!」

 

 そのまま身体を回転させ、ヴィクトリーの腹に肘打ちを叩き込んだ。

 

「おぅううっ……!?」

「だぁっ!!」

 

 更に水の魔力を手に込め、ヴィクトリーの胸に押し付ける。そのままゼロ距離で、水撃を炸裂させた。

 

「うわぁあぁああ!!」

「死になさい……!!」

 

 吹っ飛ぶヴィクトリーに、追撃を撃とうと手を向けるメイア。しかし、その背後から猛スピードで向かってくる剣閃が一条。

 

「雷鳴突きィッ!!」

「!!」

 

 メイアは直前に刃を掴んで、突きを肩に命中させる。そうしたものの威力は強く、吹っ飛んで壁に叩きつけられた。

 

「な、なんて奴だ……急所を外した!」

 

 ルカがそう言ってる間に、水撃がルカに向かって連射される。それを前に構え、剣を縦横に何度も往復させて弾き続けるルカ。

 

「はぁああああ!!!」

 

 メイアの背後で、ヴィクトリーが()える。気を全解放して界王拳を二倍に引き上げ、猛スピードで突撃した。

 

「!!」

 

 メイアはルカへの水撃を中断して振り向き、迫ってくるヴィクトリーに向く。そのまま攻撃が飛び交う超高速の攻防が展開される。

 

「ばっ!!」

「まずいっ!!」

 

 唐突に、メイアの暗黒の気が膨れ上がる。みるみるうちに充実するエネルギーを前にヴィクトリーは攻めるのを止めて防戦して、気を迸らせたかと思えば舞空術で離れた。

 

 遅れて、暗黒のエネルギーが籠った大爆発がメイアを中心に巻き起こった。

 

「うわっ……!!」

「ちっ!!」

 

 爆風に吹き飛ばされそうになるものの、ルカは踏ん張る。

 

 ヴィクトリーは、かめはめ波の構えを取っていた。

 

「ウォーターパッツァ!!」

 

 メイアの声が弾けた、次の瞬間だった。凄まじいエネルギーが込められた水撃が、爆煙を突き破ってヴィクトリーに向かって伸びてきた。

 

「かめはめ波ぁあああ!!」

 

 ヴィクトリーは、それにかめはめ波を撃つ。エネルギーとエネルギーがぶつかり合い、爆発を伴って相殺したのだった。

 

 その際、水撃が弾けて水飛沫となってヴィクトリー達に降り注ぐ。

 

「へっ! そんなの……」

「攻めさせてもらう!!」

 

 ヴィクトリーは腕をクロスし、ルカは構わずに突撃しようとする。しかし、二人にその飛沫が当たった時だった。

 

「あっちゃああああっ!!?」

「あっつ!!?」

 

 なんと、メイアの放った水撃は超高温の熱湯だった。それが飛沫になっても温度が維持されており、当たった皮膚が赤く爛れるほどだ。

 

 たまらず二人は左右に跳び、ヴィクトリーは赤くなってる腕にフーフーと息をかけ、ルカは瞑想で火傷を治す。

 

 そうしているとメイアは唐突に宙を泳ぎ、目を瞑って胸に手を当ててから広げる。そして、歌い出した。

 

「うっ……!!?」

「なんっ……!!」

 

 人魚の得意分野は、歌で心を惑わせる事にある。『誘惑の歌』などは、人魚の中でも基礎中の基礎の技だろう。

 

 其れは確かに誘惑の歌の類だったが、明らかに異様な歌で……ルカとヴィクトリーの体が鉛のように重くなり、その場から動けなくなってしまった。

 

「うあぁああっ……!! ヴィクトリーっ!!」

「だ、ダメだ……どうなってんだ……!!?」

 

 歌い終わったメイアは、次に二人に手を向けて氷の魔力を充実させ始める。

 

「さっきは熱かったでしょう? 安心しなさい、私は南海の女王……すぐに冷やして差し上げますから!」

「なっ……!?」

「やべぇぞ……!!」

 

 凶悪化する前、「詠唱の割には大した事ない」と言い捨てた氷魔法……それとは比べ物にならない程の魔力がメイアの手に込められており、それが『相応』のものだと察せられる。

 

 それを感じている今も、みるみるうちに魔力が膨れ上がっている。自分達は謎の歌の効果でその場から動けない。

 

「……かめはめ波一発放つぐらいなら……賭けるしかねぇ!!」

「ヴィクトリー、打開策があるのか!?」

 

 ルカが、ヴィクトリーに向く。注目を浴びている彼は、界王拳を使っている。

 

「俺が全力の界王拳とかめはめ波で何とかあの技を凌ぐ!! ダメだったら後は頼む!!」

「なっ!!?」

 

 ヴィクトリーの気が、どんどん充実していく。今のメイアと遜色ない程の紅蓮の気が膨れ上がり、爆発するかのように跳ね上がった。

 

「3倍界王拳だぁあああ!!!」

 

 限界を超えた奥義、3倍界王拳。湧き上がるエナジーと身体からとめどなく溢れるパワーは、凄まじい戦闘力の増強をもたらしているのが分かる。しかし、身体中がビキビキと鳴っており、相応の無理をしているのも傍目から分かる。

 

「っ、賭けるぞヴィクトリー!! エリクサーは惜しまない!!」

 

 ルカの目の前では、蒼氷の魔力を高めているメイアと、紅蓮の気を滾らせているヴィクトリーが相見えている。

 

「零の奔流、蒼の世界に凍れし刻……!!」

「か……め……は……め……!!!」

 

 高まる、二つの巨大な気。台風のような気のぶつかり合いは、辺りに電光となってバチバチと火花を散らす。やがて両者の気の昂りは、最高潮に達し──

 

「生なき静寂! シグマフロストォッッ!!」

「波──────ッッッ!!!」

 

 放たれる、上級氷魔法と限界突破の切り札。両者はぶつかり合い、押し合って拮抗した。

 

「ふんっ、ぎぎ、ぎぎぎ……!!!?」

「あはははっ!!」

 

 メイアは何と全力のヴィクトリーを嘲笑い、両手に更なる魔力を込める。そして、3倍界王拳のかめはめ波をみるみる内に押していき、彼を飲み込まんと迫り来る。

 

「うぐぐぐ、うぎぎぎ、ぎぎぎぎ……!!!」

 

 踏ん張る足が、床に埋まる。ただでさえ鉛のように重い身体に、更なる重圧がかかる。もう既に、このままの押し合いは確実な敗北を意味する事が嫌でも理解出来る。

 

 ならば──これは、ホントのホントに最後の奥の手──

 

「4倍だぁああああ──────ッッッッ!!!!」

 

 ヴィクトリーは、界王拳を4倍に引き上げる。

 

 すると、先程まで押し負けていたシグマフロストを逆に押し返してみせた。

 

「なっ、馬鹿なっ!? 南海の女王の私の奥義が!!?」

 

 メイアは両手に魔力を込めるものの、みるみる内にシグマフロストは押し返され……やがて氷の魔力は霧散して、巨大なかめはめ波に彼女の姿が飲み込まれた。

 

「はぁああああ────────ッッッッ!!!!」

「うぉおおおぉお……!!?」

 

 かめはめ波を出し切り、とんでもない大爆発が巻き起こる。それと同時にヴィクトリーとルカの体は歌の効果から解放され、その場から動けるようになった。

 

「や、やった……やったな、ヴィクト……」

「ハァッ、ハァッ、ハァッ……!!」

 

 ヴィクトリーはひざまずいたかと思えば、その場に倒れ込む。かなりの無茶をしていたらしく、身体中に苦痛が駆け巡ってどうしようも無い状態のようだった。

 

「ヴィクトリー!!」

「は、ははは……わ、悪ぃな……おめぇの出番……奪っちまったみてぇだ……」

 

 息も絶え絶えのヴィクトリーは、そう言いながら首を曲げる。視線の先には、倒れ込んでいるメイアが居た。

 

「う、うーん……」

 

 それは、確かにメイアの声だったが……もう、あの禍々しい暗黒の気も感じない。それに命に別状も無さそうで……どうやら、ヴィクトリーは上手いこと手加減をしていたらしい。

 

 どうやら、これでメイアも戦闘不能になったようだ。

 

「よし、後は……」

「終わってるわよ」

 

 ソニアを先頭に、他のメンバーが出てきた。相当数の魔物と戦っていたみたいで、みんなボロボロだ。

 

 ここでメイアも目を覚まし、ボロボロの身体を起こしながらルカ達を一望した。

 

「うぅっ……私はいったい……ここで、何を……?」

 

 とりあえず、これでメイアとの戦いは幕を閉じたのだった。

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