もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
ルカとアリスが、図書館の最奥に佇む魔物と対峙する。ルカ達は剣を抜き、魔物は人間部分の手や触手の先に魔導書を持って構えた。
「私のページ数は65537ページ……個体識別名はコーネリアです。お察しの通り、相当の実力ですのでお覚悟を」
「大した自信だな……!」
「油断するなよアリス!」
二人は構え、気を解放する。
「はぁあっ!!」
アリスが切り込んで、コーネリアに突きで猛攻する。しゅるしゅると蛇腹でもって高速移動しながら、レイピアでの連続突き。ラミア型も相まって、金属の蛇が獰猛に襲いかかるかの如くだ。
しかしコーネリアは、その猛攻を躱しながらも反撃を交えてくる。攻撃が入り乱れる激しい攻防が続くが、アリスのレイピアを白刃取りされて止まったのだった。
「はぁあっ……!」
コーネリアの目が光り、ビームが飛んでくる。しかしアリスは至近距離のそれにも関わらず首を傾げただけで避け、お返しと言わんばかりにもう片方の手に炎の魔力を滾らせ……
「怒れる炎、力を示せ!!」
凝縮された詠唱と共に炎の魔力をコーネリアの顔面に押し付け、そのまま爆破したのだった。
「ぐぁあっ!?」
「一気に切り込む……!!」
そこでルカが剣を寝かせながら跳び、急襲突きをしてコーネリアを突き飛ばした。
ダメ押しの突きで吹っ飛んだにも関わらず、冷静な顔に戻るコーネリア。彼女は持ち直し、両手を向ける。
「はぁっ!!」
その手から放たれるは、黒の衝撃。黒いエネルギーが空を切りながらルカ達に飛んでくる。
「しゃあっ!!」
「はぁっ!!」
アリスもルカもそれを剣で弾き飛ばし、突撃する。そして、猛スピードの連携攻撃でコーネリアの触手の連撃と攻防したのだった。
「なかなかやるようですね……ならば、こういうのはどうでしょう?」
人間部分の手で、魔導書の1ページを破く。それが光を放ち、魔力が昂り──
「雷の16ページ!」
そう唱えると、猛攻してる最中のルカとアリスに電撃が炸裂したのだった。
「ぎゃあっ!?」
「ぐあっ……!!」
吹っ飛ぶ二人に、コーネリアは強襲する。しかしアリスが先に持ち直し、炎の魔力を彼女に向かってぶん投げた。
「いっ!?」
何とかそれを避けるコーネリアだったが、懐にルカが踏み込む。そして、足のバネを伸ばして切っ先を喉元に向け、突き上げ──
「魔剣・首刈り!!」
切っ先はコーネリアの顎を捉え、頭をカチ上げる。
「がはっ……!!?」
「はぁあぁあっ!!」
アリスの咆哮と共に、鞭を振り回すような空を切る音が鳴り響く。見れば、彼女は下半身の蛇体を鞭に見立てて回りながら、遠心力を込めた尻尾の一撃をコーネリアの胸に叩きつけた。
「きゃあぁあっ……!!」
ぶっ飛んだコーネリアは、本棚に叩きつけられる……その寸前に踏ん張り、構え直した。
「っ、やりますね……!!」
「ふん、相変わらず弱点の火には抗えんようだな」
アリスは、コーネリアの弱点を知っていた。先程まで執拗に火の魔法を放っていたのは、そういう事であった。
「そうか、火が弱点なんだな……」
「うむ、本の魔物の宿命よ」
「逆を言うなれば……それさえ気を付けて立ち回ればいいだけの話……」
コーネリアはまた魔導書の1ページを破いて宙に投げる。その紙が発光し、今度は氷の魔力が迸って地面を舐め上げるように迫ってきた。
「ちっ!」
「うわっ!?」
アリスは右に、ルカは左に跳ぶ。
コーネリアは左にステップして、触手を伸ばす。そして、しゅるしゅるとルカの身体を巻き上げてしまった。
「しまっ!?」
「だあぁあーっ!」
そのまま、勢いよくアリスの方へぶん投げる。
「うおっ!?」
アリスはぶっ飛んできたルカを受け止めるも、その勢いまでは殺せずに吹っ飛んで、後方にあった壁に叩きつけられる。
息をつかせる暇もなく、コーネリアの触手の乱撃が迫ってくる。
「ぐ……!!」
「っ、任せろアリス!」
ルカは剣を構えてアリスの前に持ち直し、迫り来る触手を次々に刃で弾き凌ぐ。そうしながらも走り出し、一気に接近して距離を詰める。
「なっ!?」
その勢いで跳び上がり、切り上げを放つ……が、それは避けられてしまう。
しかしルカの陰からアリスが飛び出し、火の玉をぶん投げた。
「きゃあぁあ!?」
それは直撃して爆発し、火がコーネリアを巻いて炎上する。これは、まさに会心の一撃だった。
「よっしゃあ、いいぞアリス!」
「ルカも頑張れーっ!」
観客のヴィクトリーとソニアが、盛り上がる。
どうやら、この戦いにアリスをアサインしたのは正解だったようだ。
コーネリアの弱点である、アリスの黒魔法のファイア技……それを当てさせるために剣技で猛攻し、足さばきで撹乱できるルカ。二人は息ピッタリに連携し、確実にコーネリアを追い詰めている。
「ちっ!」
コーネリアは、黒い衝撃波を自分の直下に放つ。すると、爆風が巻き起こって彼女を巻いていた火が消え、煙が立ち込めてきた。
「あっ!?」
「目くらましか……くだらんっ!」
動揺するルカだったが、アリスは剣を振り回す。刺突剣でもって高速で渦巻きを描き、煙を巻き上げるような動きをしてから、横一文字に一閃する。
すると、視界を遮っていた煙が切り払われ、吹っ飛んだ。
しかし、魔導書の1ページがアリスの目の前に舞ってくる。それが、光を放ち──
「にっ!!?」
次の瞬間、魔力が炸裂してアリスの体が氷漬けになった。氷像と化した彼女は、唖然とした顔のまま固まってしまう。
「アリスっ!!?」
「決まりました……!!」
すかさず、アリスの横に居るルカに突撃するコーネリア。
「っきかーん!!」
アリスの声が弾けると同時に衝撃波のような気の旋風が巻き起こり、彼女を覆っていた氷が吹っ飛ぶ。
「なっ!?」
動揺するコーネリアに向かって、アリスは刺突剣を構える。そして、勢いつけて跳んで、蛇のように急襲する。
「踊れ、サーブル……はぁあっ!!」
気合一閃。刺突剣を突き出しながらコーネリアの背後を疾走するアリス。次の瞬間、コーネリアに無数の斬撃と刺突撃が炸裂したのだった。
「ぐっ……! 流石の速度!」
「っ、そちらもな!」
直撃はしていない。全て触手で受け切り、急所への攻撃は
「ならこれはどうだっ!!?」
今度は、ルカの声が響く。彼はその辺の本棚を駆け上がってから、上空からの兜割り──天魔頭蓋斬を放っていた。
「ちぃっ!!」
コーネリアはそれを横に避けてから、触手を振って反撃する。鞭のようにスナップを効かせ、高速で顔面に迫ってくる。
ルカの額に、その触手撃は命中する。しかし、彼は命中の瞬間に合わせて顔を背けて触手を受け流し、それに伴うように体を一回転しながら剣の切っ先を前に向けて構える。
「血裂雷鳴突き……!!」
その場を蹴り、猛スピードで急接近して稲妻を伴った突きを放つ。それはコーネリアの胸の真ん中に命中し、電撃が弾けた。
「ぐあっ……!!?」
怯むコーネリア。ルカはその隙を見逃さず、彼女の下半身の肉器を足蹴に跳び上がる。そのまま空中で剣を振りかぶってから、脳天目掛けて剣を振り下ろした。
何かを唐竹割りにする感触……しかし、違和感。
見てみると、そこには己が斬った氷の壁。その中には、魔導書の1ページ。切れ目からは、コーネリアが不敵な笑みを浮かべていた。
「……やるっ!」
ルカがそう言った次の瞬間、体に痺れが走る。
「っ!?」
「ふふふ……指一本も動かせないでしょう!」
痺れて動けないままのルカ……そんな彼に、すかさず両手を向けるコーネリア。
それより速く、二人の間にアリスが躍り出た。
「!?」
「くらえぇっ!!」
アリスは両手に火の魔力を滾らせ、それをぶん投げる。二つの火の豪速球は、コーネリアに直撃して爆発を二連続で巻き起こした。
「きゃあぁああああっ!?」
炎に巻かれ、爆発で吹っ飛ぶコーネリア。その体は本棚にまで叩きつけられ、その本棚も倒壊して彼女を埋めたのだった。
「二人で決めてしまいましたね……」
「あたしのルカとアリスが手を組んだんだから、最強に決まってるでしょ!!」
「きゅーっきゅーっ!」
プロメスティンは冷静に言い、ソニアとヌルコは盛り上がる。
「……」
しかし、ヴィクトリーは険しい顔をして今にも飛び出さんと構えていた。
「ふん、麻痺の魔眼か……小賢しい真似をしてくれる」
アリスは道具袋から満月草を取り出し、ルカに使う。それで麻痺も治り、どうにかなったようだ。
「アリス……」
「よし、これで奴は倒れた。後は精霊信仰の本を……」
アリスは、本棚の方に向き直す。倒壊させてしまったので、本が床に散らばったり火魔法のせいで燃えてたり、めちゃくちゃな状態になっている。これは、探すのも一苦労だろう。
「アリス……」
「……ええい、みなまで言うな! 魔物は倒せただ……」
アリスは、自分の名を呟き続けるルカの方を見る。
彼は、目を鋭くしたまま倒壊した本棚を睨みつけていた。
「……なにっ!?」
「油断すんなアリス! 向こうの気は減っちゃいねぇどころか──」
ヴィクトリーが大声で言っている最中だった。
コーネリアを埋めていた本棚の残骸が、突如として吹っ飛んだ。
「なに……!? あれだけの黒魔法を食らって、まだ……いや、これはっ!!」
「……」
構え直すアリス。依然として構えたままのルカ。
そんな二人の前で静かに立ち上がるコーネリアは、伏せていた顔をゆっくりと上げ……その目を紅く光らせ、体に禍々しい暗黒の気を纏った。
「凶悪化……!!」
「ここからが、本番って訳だ……!!」
ルカとアリスは、本腰を入れて気を解放する。相手は凶悪化している敵……気を抜けば、一瞬で全滅する。
負けられない戦いだったが……ルカは、覚悟を決めた眼をしていた。
「っ、俺も……!!」
「待って!!」
手助けしようと飛び出そうとするヴィクトリーだったが……そんな彼を、ソニアは棍で止める。
「っ、なんだこんな時に!!」
ヴィクトリーは、ソニアに向く。止めている彼女の顔は、真剣なものだった。
「ソニア……?」
「凄くヤバい状況なのは分かってる……けど、お願い! もしルカを仲間として信じてるのなら……ルカに、任せてあげて!!」