もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ラダイト村にて

 アモス山でミスリルを手に入れた戦士達は、サン・イリアへと戻った。

 

 そして鍛冶屋でミスリルの装備を手にして、サン・イリア王のもとへ向かったのだった。

 

 

「どうやら、心は決まったようだな。私の頼み……とある護衛任務を受けてくれるかな?」

「はい、頑張ります!」

 

 ルカが意気揚々と答えると、応じるようにサン・イリア王も微笑んだ。

 

「おお、ありがたい! それでは、細かい話を始めよう……」

 

 サン・イリア王はそう言って、咳をついた。

 

「近いうちに、とある儀式を行う必要がある。古代神殿跡の再奥にて、イリアス様に祈りを捧げる儀式だ。もちろん、祈りを捧げるのは私なのだが……その古代神殿跡は、魔物が出没し非常に危険なのだ」

「なるほど……それで、護衛任務ですか」

「知っての通り、現在の戦争で我が軍は遠征軍を出している。それゆえ、精鋭の騎士も全て出払っているのだ。この儀式は秘するべきものゆえ、護衛は選ばねばならん。祝福なき勇者達ならば、信頼に足るだろう」

「期待されてんだな……へへへ、簡単じゃねぇか。法王様に傷一つ付けることなく神殿のモンスターを叩きのめしゃいいんだろ。簡単じゃねぇか」

 

 ヴィクトリーは早速気合を入れてるようで、拳をパンッと叩く。

 

「古代神殿の内部では、強い魔物が出現する。往復の道のり、よろしく頼むぞ……」

「分かりました、お任せ下さい! それで、儀式はいつになるんですか?」

「今すぐ、古代神殿のあるラダイト村に行ってもらいたい。私も準備を終え、すぐに向かうとしよう……ラダイト村に着いたら、現地の神父に話し掛けてくれ。合流の手筈は、こちらで整えておこうぞ」

「もしかして、内部でも極秘なんですか……?」

 

 ソニアがそう言うと、サン・イリア王はそこに目を向けた。

 

「いえいえ、詮索したつもりではないですけれど……」

「色々と、デリケートな儀式なのだよ。場所がラダイト村というのもあり、万全を期したいのだ」

「……」

 

 ヴィクトリーは、腕を組んだ。

 

 デリケートな儀式……そうなのは分かるけど、何やらきな臭すぎる。強いヤツと戦えればそれでいいが、裏がある気がしてならないのだ。

 

「それでは、先に行きたまえ。くれぐれも、任務に関して他言は慎むようにな……」

「分かりました……では、お先に」

 

 ルカはそう言って、サン・イリア王に頭を下げた。

 

 なんだか、どう考えても奇妙な任務だ……とはいえ、疑念を挟むような立場でもない。

 

 目的地は、ここから北東にあるラダイト村。そこの神父に会い、現地で再び法王と合流しなければ。

 

 そういう訳で、まずはラダイト村へと向かったのだった。

 

 

 ラダイト村……嫌な感じがする、質素な村だ。

 

 ここはイリアスの教えを、ただ純粋に信じている者の村である。そして、機械類……もといマキナを否定する、反マキナ派というものが発達している。何より寂しいのは、ここの村は完全に自給自足で暮らしているため、凄く質素な事だ。

 

「……自給自足、ねぇ」

「自給自足でやっていた時代、人間の寿命は今の半分ほど。医療技術の差よりも、栄養状態の偏りが大きいんです」

 

 ヴィクトリーの言葉に、プロメスティンがそう返す。

 

「遠方と取り引きが行われ、様々な食事を口に出来るようになると、各集落で見られた栄養の偏りは根本的に改善されました。それを逆行させれば、平均寿命がまた縮んでしまうでしょう。文明の退行とは、そういうものですよ」

「新しいものを受け入れなきゃ、強くなれねぇ……むしろ、退化していく一方なのによ」

 

 そんな会話をしていたら、村中の男からすごい顔で睨まれた。

 

「……何も言わねぇんか? プロメスティン。いつもなら嫌な事言って、相手を黙らせてんのに」

「論破というのは、される側にもある程度の知識が必要です。ここの方達は、その水準に達していません」

「そ、そっか……あはは……」

「ヴィクトリー、ここだ」

 

 ルカはそう言って、ヴィクトリーを民家へ連れていく。

 

 その民家で、神父が待っていた。

 

「猊下の護衛とは、あなた達の事ですね。お話は既に聞いております……法王猊下もじきにいらっしゃいます。我等も合流地点に向かいましょう」

「よっしゃあ、行こうぜ」

 

 ヴィクトリーは、先に行こうとする。

 

「いえ……私達がここを出ては、村人に怪しまれます。あなた方は、先に西外れに行ってもらえますでしょうか」

「あの……そこまでして秘密にしておきたい儀式なんですか? 古代遺跡で祈りを捧げるって、別に大した事じゃ……」

「これは、教会の最高機密」

 

 ソニアの言葉を遮り、神父はそう言って準備を進めていた。

 

「じきにあなた達も、目にする事になるでしょう……」

「宗教には秘蹟(ひせき)がつきものですが……少し異なる感じがしますね」

 

 プロメスティンは、そう呟いた。

 

「そういう訳で、村の西外れにお願いします。くれぐれも、村人には悟られぬよう……」

「はい、分かりました……」

 

 なんとも不可解だが……言われた通りにするしかない。

 

 戦士達は民家を出て、西外れへと向かった。そこには言われた通り、さっきの神父が待っていた。

 

「おめぇ、どうやって先回りしたんだ……?」

「軽い転移魔法です」

 

 ヴィクトリーの質問に答えてから、神父は周囲を見る。

 

「尾行もいないようですね。それでは……この森の奥に、古代神殿跡のある洞窟があります。さぁ、行きましょう」

 

 そう言い、先頭に立った。

 

「きゅー!」

 

 先を歩きながら、神父はヌルコに目を付けた。

 

「おや、この生き物は……」

「ヌルコってんだ。やけに元気だな……」

「きゅ、きゅー!」

「不思議な生き物ですね……」

 

 そして、案内される事数分……それらしき洞窟の、入口が見えてきた。その横に、サン・イリアの衛兵が立っている。

 

「法王猊下が中でお待ちです。どうか、護衛をよろしくお願い致します。この洞窟の奥に、古代神殿跡があります。洞窟内ではまだ魔物が出ませんので、ご安心を……」

 

 そう言って、ルカ達を洞窟へと通した。

 

 引き続き神父を先頭に、洞窟を進んでいく。

 

「少々、ここのお話でもしておきましょう。これより立ち入る、古代神殿跡についてです」

 

 神父は、唐突に話し始めた。興味深い話なので、皆黙って聞くことにする。

 

「教会派と反マキナ派が分裂する前……まだラダイト村が出来る以前まで話は遡ります。この洞窟に踏み込んだ地元の者が、偶然に古代遺跡を発見。報を聞いて駆けつけた我等は、その信じがたい姿に驚愕しました。それ以来、我々はこの一件に箝口令(かんこうれい)を敷きました。表向きは『古代神殿跡』として、信仰の場と喧伝したのです」

「つまり……本当は、神殿ではなかったのですか?」

「……さて、先に進みましょう」

 

 言葉を濁す、神父。濁しているというか、言葉を選んでいるような……何やら、相当に事情は複雑らしい。

 

「……話を続けましょう。発見された遺跡は、外部には古代神殿として伝えられました。後にサン・イリアは分裂し、反マキナ派はこの地に村を作ります。古代神殿のある地として、信仰回帰の意味合いがあったのですが……彼らは、この遺跡が本当は何なのか知らなかったのでしょう。そうでなければ、絶対にこの地に村など築きません」

「その遺跡って、いったい……」

「……後は、実際に目にして下さい。いかなる言葉よりも、実物が全てを語ります」

 

 神父はそう言って、再び言葉を濁した。

 

 神殿に近づくごとに確信に迫りそうな事は言うが、それでもまだ決定的な事は言わない……やはり、何か裏があるに違いない。

 

「……百聞は一見に()かずって奴か」

「そして百見は一触に()かず……いやはや、果たして神殿とはどのような場所なのでしょうか」

 

 ヴィクトリーとプロメスティンが、進みながら話す。

 

 そして、サン・イリア王の姿が見えてきた。

 

「猊下、一行をお連れしました」

「うむ、大義だった。お主は教会に戻るがいい」

「はっ……猊下、くれぐれもお気をつけを」

 

 神父はサン・イリア王に頭を下げ、ルカ達に向いた。

 

「皆さんも、猊下の御身をよろしくお願い致します」

 

 神父はそう言い、村に戻っていった。

 

「それでは、ここから先は私が同行しよう。よろしく頼むぞ……」

 

 サン・イリア王はそう言うと、神父と入れ替わりでパーティに入った。

 

「分かっているだろうが、私は全く戦えん。そういう訳で、遺跡最奥までの護衛は頼んだぞ」

「はい、私にお任せ下さい!」

 

 ソニアが元気よく出てきて、サン・イリア王の前でアピールする。

 

「猊下を害する者は、この棍棒でボコボコですよ!」

「あはは、見ろルカ! いつに増してソニアが頼もしいや!」

「あはは……」

 

 ソニアのお陰で、リラックスするルカ達だが……サン・イリア王当人は、渋い顔をしていた。

 

「その言葉が本当なら……育ての親のラザロを、真っ先に叩きのめす羽目になるな」

「えっ!?」

 

 驚くソニア。それを見たサン・イリア王は表情を崩し、いつもの物腰穏やかな顔に戻った。

 

「これは失礼、ちょっとした冗談だよ……」

「猊下のブラックジョークなんて、心臓に悪いですよ!」

「ラザロには、爆弾で派手に吹き飛ばされたからな……私も聖人ではないから、そう簡単に恨みは忘れられんよ」

「聖人じゃないって……法王猊下、世界でいちばん聖人デスヨネー!?」

「君の反応はいちいち面白いな」

「ああ、法王猊下にノリツッコミなんて……私、地獄行きになっちゃうかな……」

「いやいや、少しからかっただけだよ……」

 

 ここでサン・イリア王はソニアに微笑んでから、遺跡の入口へと向いた。

 

「さあ、それでは行くとしようか」

「はい……!」

「へへへ、面白そうじゃねぇか……!」

 

 ルカ達は気合を入れて、遺跡へと踏み込むのだった。

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