もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
ブリュンヒルデと名乗った彼女は、ルカ達に視線を向けた。
「お前達が、世界を滅ぼすの……? ヒルデ、世界を守る……」
「やっぱり、完全自律型……!」
「しゃ、しゃべってる……!? どうしよう……私、機械すっごく苦手なんだけど……」
「お、落ち着いて……」
ルカはソニアとプロメスティンをどかし、ブリュンヒルデの前に出た。
「えっと、君は……」
「ルカ!! そいつから、はなれろっ!!」
「えっ!?」
ヴィクトリーの声で、ルカは後ずさる。
「戦闘モード、オン……世界を滅ぼす者は、ヒルデの敵……」
ブリュンヒルデはそう言い、気を解放してくる。その気は、聖なる力と闇の力が混ざったような気で……明らかに、異様な力だった。
「馬鹿な……!? これは、闇の力に聖なる力……? こいつ、聖と闇の力を両方同時に……!」
「注意して下さい、こちらにターゲティングしました! 調査のため、破壊しないように破壊しないと……!」
アリスとプロメスティンがそう言っていると、辺りから敵が寄ってきた。どうやらブリュンヒルデの気にあてられて、寄ってきたらしい。
「む……こんな時に……!」
「ルカ、ヴィクトリーっ! そっちは頼んだ!」
「私達はヴィクトリーとルカ、そして法王猊下を守るっ!」
「きゅっ!」
プロメスティン、アリス、ソニア、ヌルコはモンスター達に向き、武器を構えた。彼女らがモンスターの群れを引き受けて、自分達は超強敵と戦うことになる。
「状況が切迫しているようだな、私も加勢しよう……!」
サン・イリア王が出てきて、そう言う。
「えっ!? でも、法王猊下は戦えないんじゃ……!?」
その言葉に驚いたソニアがサン・イリア王に向く。彼は服のボタンを外し、機械の身体を露出する。そして帽子の中からバイザーが出てきて、顔にセットされた。
「問題ない、既にメンテナンスは完了した……これより戦闘モードに移行する!」
「おおぉっ!!?」
「さ、サン・イリア王っ!!?」
「えーっ!?」
どうやら、サイボーグと化したサン・イリア王も戦ってくれるらしい。この場に名乗りを上げるということは、それなりに出来る自信があるという事。頼もしい限りだ。
「ターゲット設定完了、戦闘行動開始……」
ブリュンヒルデの気が充実し、安定する。その体の節々から、禍々しいエネルギーが漏れていた。触れるものをじんわりと焦がすような気に、ルカとヴィクトリーは後ずさる。
「サン・イリア王様! いくらあんたが戦闘員だって、簡単な相手じゃねぇぞ!」
ヴィクトリーは構え、界王拳を使う。
「ええ、僕達が切り込みます! サン・イリア王は補助へ!」
ルカも剣を抜き、勇者のパワーを解放した。
「安心したまえ、若き勇者達よ……計算によると、我々と奴はほぼ五分五分の力だ」
「えっ!?」
驚いてると、ブリュンヒルデは自らの得物である謎の棒を振り回してから構える。
「ビームデスサイズ……!!」
謎の棒から、鎌の刃が出てくる。しかもただの刃ではなく、それは電磁波で形作られている。そんなものを振り回し、三日月状の刃を無数に飛ばしてきた。
「くそっ!」
「剣を持ってこなかったら即死だぜ!」
「ふむ……」
迫る斬撃の嵐。ルカとヴィクトリーは剣で弾きながら左右へ別れ、サン・イリア王は冷静にバックステップして範囲外へ逃れながら手を向ける。
真っ直ぐに走り迫ってくるブリュンヒルデを前にする、サン・イリア王。彼の向けていた手が、握り拳を作る。
「ロケットパンチ!!」
その腕が勢いよく射出され、拳がブリュンヒルデの胸に命中する。
「!!」
余りの威力に、ぶっ飛ぶブリュンヒルデ。そんな彼女を走って追うサン・イリア王。ついでに落ちた腕も走り足で蹴り上げてキャッチし、くっつける。
ブリュンヒルデは踏ん張り、サン・イリア王にビームデスサイズを振り下ろす。しかし、それは彼の腕に阻まれて押し合った。
「くっ……!!」
「だりゃあっ!!」
ヴィクトリーがサン・イリア王の後ろから出てきて、血裂雷鳴突きをブリュンヒルデに放つ。しかし彼女は首を傾げてそれを避け、目からビームを放ってヴィクトリーを爆破した。
「うわあぁあああ!!」
「ヴィクトリーっ!」
ぶっ飛んだヴィクトリーを追う、サン・イリア王。その背に鎌を突き立てようとするブリュンヒルデだが、ルカが割って入って鍔迫り合いになった。
「うぐぅううう……!!」
「世界は、ヒルデが守る……それが、使命……」
ブリュンヒルデの力が強くなり、鍔迫り合いが押されてビームの刃がルカの首元に迫ってくる。近くにあるだけなのに、首筋がチリチリと焼ける。
「っ、くそっ!!」
ルカは鎌の刃を受け流し、バックステップする。しかしブリュンヒルデは身体を廻し、ルカを蹴り飛ばした。
「ぐぁあっ!」
ダメージに倒れる、ルカ。しかし、癒しの魔力がすぐに包んでくれた。
「平気か」
「法王様……!」
「回復魔法が得意なんだってよ……ソニアと一緒でな」
体勢を立て直す、三人。ブリュンヒルデはそんな三人に対し、砲身が円状に幾つも連なった銃を取り出してきた。
「んなっ!?」
「マシンバルカン、掃射だよ……」
マシンバルカンと呼ばれたそれが、火を噴く。無数の弾丸の掃射が、ルカ達を薙ぎ払わんと迫ってきた。
「ちっ!」
「くそっ!!」
「ふんっ!」
ルカとサン・イリア王は飛び避け、ヴィクトリーだけが腕をクロスしてその場に踏ん張る。掃射の後、その場で踏ん張ってる彼にマシンバルカンが殺到した。
ブリュンヒルデはただ無表情に、銃撃の振動によって髪を靡かせながら撃ち続ける。
「やめろぉおおっ!!」
ここで、飛び上がっていたルカが渾身の兜割りをブリュンヒルデに叩きつけた。ガキンッという金属音が耳を衝くが、彼女はマシンバルカンの掃射を止めて頭を抑える。
「いたい……」
そう言いながら腕を振りかぶって、マシンバルカンの砲身でルカを殴り飛ばした。
「ぐぁああっ!!」
「世界を、救う……」
虚ろに言いながら、ビームデスサイズを起動する。そして、その刃でルカに斬りかかった。
しかしサン・イリア王が割って入り、鋼の腕でビームの刃を止める。
「はっ!!」
そして逆の腕を振って、掌をブリュンヒルデの顔に向ける。その手から、勢いよく火炎が放射され、彼女の頭を炎で包んだ。
「っ……!!」
ブリュンヒルデは後退して、炎を振り払う。
その隙に、マシンバルカンで道着がボロボロになって黒いアンダーシャツの姿を晒したヴィクトリーが、手を合わせながら走ってきた。
「か、め、は、め……!!」
「デュエルカノン、発射だよ」
気を高めながら走るヴィクトリーに、ブリュンヒルデは腕を向ける。その掌の真ん中に穴が開き、そこから砲弾が放たれ、ヴィクトリーの足元に着弾して大爆発した。
「こっちだっ!!」
ヴィクトリーはなんと跳んで砲撃を避け、急襲する。その瞬間、界王拳を使って更に気を高め──
「なっ……」
「波──ーっ!!!」
動揺したブリュンヒルデに対し、至近距離でかめはめ波を放つ。蒼い気がドーム状に膨らみ、大爆発を巻き起こした。
「うっ、ぐ……ヒルデ、かなりピンチ……力が、出ない……!!」
大ダメージに、悶えるブリュンヒルデ。これは、まさに絶好の好機だった。
「今がチャンスだ!!」
「一気にケリをつけてやる!!」
ルカとヴィクトリーは、並んで走る。それを前にしたブリュンヒルデは、光と闇の魔力を左右の手に込め、その手を合わせる。
「混沌こそ根源、そして世界は混沌に還る……ネクローシス……」
合わさった魔力が弾け、辺りに混沌の魔力の瘴気が漂う。それは、当たったものを即座に朽ちさせていった。
「っ、やべぇっ!!」
「くっ!!?」
「止まるな、そのまま跳べっ!!」
サン・イリア王の声が弾け、二人は否応なしに跳び上がる。それを確認し、また腕を外してブリュンヒルデに向けた。その腕の切れ目には、穴が空いており……それは、マキナの砲身だった。
「デュエルカノン!!!」
サン・イリア王の腕から、砲弾に見立てたエネルギーボールが放たれる。それがブリュンヒルデの足元に着弾し、爆発して混沌の瘴気を吹き飛ばしたのだった。
「そんなっ……!」
怯むブリュンヒルデに、ルカとヴィクトリーが上から迫る。二人とも剣を振りかぶり、高い所から渾身の力を込め──
「天魔頭蓋斬ッッ!!!」
ブリュンヒルデに、重い斬撃がクロスする。そして衝撃が迸り、辺りのものを吹っ飛ばしたのだった。
「ぐはぁあっ……!!」
ルカの剣と、ヴィクトリーの剣。二つの刃による天魔頭蓋斬により胸をクロスされたブリュンヒルデは、遂に膝をついた。やがてその体から溢れていた混沌の気が消散し、肩で息をする。
「身体が……動かない……」
どうやら、戦闘不能。
混沌の力を操る謎のアンドロイドに、ルカ達は勝利したのだった。