もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
どうにか、ブリュンヒルデを倒したルカとヴィクトリー……そして、アンドロイドと化したサン・イリア王。全力を出し切った三人は、一息つくのだった。
「ふぅ、そっちも終わったみたいね」
「そうとう手こずったらしいな……」
「きゅ」
ソニアとアリスとヌルコが、ルカ達の所に来る。彼女らも、どうにかなったらしい。
ちなみに、プロメスティンは機械や倒したモンスターに夢中のようだ。
「……それにしても」
ヴィクトリーの視線の先……ダメージを負って動けなくなったブリュンヒルデが、悲しそうな顔で項垂れていた。
「ヒルデ、負けちゃった……ごめんなさいマスター、世界が滅んじゃう……」
「ちょっと待ってくれよ……僕達は、世界を滅ぼしたりなんてしないよ」
「ああ……むしろ俺達は、世界を守るために戦ってんだ」
ブリュンヒルデは、ルカとヴィクトリーの顔を交互に見る。
「そうなの? なら、ヒルデとおんなじ……ヒルデ、世界を救うために作られた……」
「作られた……?」
「誰にだ?」
「マスターだよ」
ヒルデは即答し、ルカ達も困惑する。見ていたソニアが、入ってくる。
「えっと、マスターって誰?」
「マスターはマスターだよ」
しかし、ブリュンヒルデの答えは的を得ない。
「……こいつ、ドアホかもしれんな。聞いても無駄のような気がしてきたぞ」
アリスは、相変わらず辛辣だ。
「起動したばかりだからか……そもそも、この程度の学習情報しかなかったのか……」
状況を見たプロメスティンが、ようやく戻ってきた……が、どうする事も出来なそうだ。
「マスターいない、どうしよう……マスターの命令がないと、どうしていいか分からない……応答して、マスター……ヒルデ、どうしたらいいの? マスター? マスター? マスター?」
ブリュンヒルデは悲しそうな顔で、繰り返す。しかし、当然といえば当然だが、返事は無さそうだ。
「なんだか、可哀想じゃない?」
「ああ……マスターとやらも居なくなって、こんな所でひとりぼっちか……」
「これから行く当てがないなら……とりあえず、僕達と一緒に来ないかい?」
ルカはそう言い、ブリュンヒルデに手を差し出す。
「一緒に……? マスターの許可がないと……でもマスターがいない……ヒルデの自由意志に委任……」
ブリュンヒルデはそう言いながら、考え込む。そしてしばらくしてから、ルカの手をとった。
「了解、一緒に行く……お前達が世界を救うなら、ヒルデの目的も同じだから……」
「おお、心強いぞ! よろしくな!」
ヴィクトリーも、握手を求めてみる。しかし、ヒルデは視界に入ってないかのように素通りして、ルカの横につく。
「名称、ルカ……臨時マスターに仮登録……これからよろしく、マスター……」
そう言って、ルカに頭を下げた。
「うん、よろしく……」
「む、ムシされちまった……」
半笑いのヴィクトリー……その後ろから、ウッキウキ顔のプロメスティンがひょっこりと顔を出した。その手にドライバーを持って。
「それでは、早速メインメモリーを取り出して……」
「さっそく何するつもりなの! ドライバー没収!」
ソニアはプロメスティンからドライバーを奪い、懐にしまう。
「ああ、私の愛用品が……」
プロメスティンは、残念そうに言うのだった。
「まったく、驚いたな。まさか機械が自律意志で動くとは……」
ここで、サン・イリア王が声を上げた……なんと、アンドロイド姿のままで。
「その……法王猊下のお身体にも驚かされたのですが……」
ソニアの言う通り……そして見ての通り、サン・イリア王がサイボーグ化していた事も判明していた。
「そうか……身体の半分以上が吹っ飛んだから、機械で代用してんのか。まるっきり、人造人間になっちまったみてぇだな」
「その通り……教会の最新技術、ひいてはこの施設に残されたテクノロジー。それが、私の命を繋いだのだよ」
「なるほど……機密になるわけですね……」
そう言うルカの前で、サン・イリア王はボタンを締めて機械の体を隠す。
顔にかかってるバイザーも、帽子に隠れた。
「とにかく、ここでの身体のメンテナンスは無事に済んだ。それでは地上に戻るとしようか」
「よっしゃあ、任務完了だな!」
「じゃあ、帰りの護衛もしないとね」
「いや、一応戦えるのだが……」
ルカ達は引き続き、サン・イリア王を囲って、帰路につく。
「私は、ここでもう少し調査を……」
「ほら、帰るわよ……」
「きゅ!」
ソニアはプロメスティンを引きずり、ルカ達に続く。
衝撃の事実を知り、謎に満ちた新たな仲間を迎え……こうしてルカ達は、研究所から出たのだった。
※
戻って、サン・イリア城……ルカ達は、タルタロスの事と自分達の事情を説明したのだった。
「……ふむ、お主達の事情は分かった。平行世界か、この世はそこまで不可思議なものだったとは……」
知っている事の全てを法王に伝えた。疑うことなく、深刻に受け止めてくれたようだ。
「この世界のため、我々も傍観するわけにはいくまい。サン・イリア、総力をあげてお主達の力となろう。そういうわけで……」
サン・イリア王は腰を上げて、立ち上がる。
「私もお主達に同行するとしよう」
「えっ……!? まさか、法王猊下が直々に……!?」
ソニアがそう言うと、サン・イリア王は戦闘モードを起動した。
「不服かね? まだまだ、生身の者には負けんよ」
「ああ、事実めちゃくちゃ強かったしな……」
「それでは、よろしくお願いしよう……」
なんと、サン・イリア王までもが仲間に加わった。直近に加わったヒルデとも相まって、パーティが一気にメカメカしくなった。
「……いいんですか? 法王様が、サン・イリア城を空けてしまっても……」
ルカの言う通り、法王が居なくなったらサン・イリアでの仕事が回らなくなってしまう。旅人や民に助言をする人が居なくなってしまえば、サン・イリアの士気に関わるのではないか、心配である。
「ああ、問題ない。こんな事もあろうかと……騎士団長、例のものを」
サン・イリア王がそう言い、指を鳴らす。
「はっ! ご指示通り、用意してあります」
騎士団長はそう言って、サン・イリア王を設置した。
「あれ……!? な、なんだありゃ……!?」
「私の影武者ロボットだ……よく出来ているだろう?」
「起動シマシタ……影武者モード、オン……」
影武者ロボットは起動して、その目に光を宿す。本物と遜色の無いそれが、サン・イリア王として振る舞い始めたのだった。
「旅人よ、よくぞ参られた。さぁ、道を示すとしよう……」
なんと、声まで違和感が無い。大抵のことが無ければ、まずバレる事は無いだろう。
「既に実働試験も済んでいます。1メートル以内に近づかない限り、見破られる事もありません」
「…………」
「す、すげぇ……」
絶句する、ソニアとヴィクトリー。
それを横目に、サン・イリア王はルカに向いた。
「また、この城内に最先端技術の研究設備がある。渡したい物もあるので、顔を出してもらいたい」
「はい、ぜひとも!」
ルカは頷き、サン・イリア王と握手をする。
「世界を救う旅……この機械の体も滾るというもの。さあ、天命を果たしに行くとしよう」
「よっしゃあ、行こうぜ!」
ルカ達はサン・イリア王を迎え、出陣しようとする。
「猊下、ご出陣の前に一つ報告が」
騎士団長がそう呼び止め、ルカ達は止まった。
「例の屋敷ですが、討伐隊第2陣からの報告も途絶えました……」
「なんと、精鋭を派遣したというのに……やはりあそこには、尋常ではないものが潜んでいるか」
「あの、何かあったんですか……?」
ただ事では無さそうな雰囲気を感じて、ソニアが聞いてみる。
「この城の北に、無人の屋敷があるのだが……そこで、ゾンビやゴーストの目撃談が寄せられた。そこで二度に渡って討伐隊を送ったが、失敗……どうやら、かなり危険な魔物が潜んでいるらしい」
この話は、城下町で立ち聞きした事がある。それが、北のお化け屋敷……どうやら、サン・イリアでも相当な問題になっているようだ。
「おいルカ、
「面白そうかどうかは知らないけど、見過ごせないな……行くしかない……僕達が行ってみましょう!」
ゾンビやゴーストがここに渡って、一般市民を襲っても困る。しかも、その中には尋常ではない強敵が潜んでいると来た。勇者として、見過ごす事は出来ない。
「それはありがたい、ぜひお願いしよう。仲間である以上、もちろん私も力を貸すが」
北の屋敷に潜む、謎の魔物……精霊の森に行く前に、倒しておきたいところだ。