もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「なぁルカ、新しい場所で戦うんはいいけどよ……」
「ああ、うん……」
ヴィクトリーとルカは、並んでいるパーティを一望する。
現在のパーティは、ルカ、ヴィクトリー、アリス、ソニア、ヌルコ、プロメスティン……そして、サン・イリア王とヒルデ。総勢8人である。
「多くねぇか?」
「仕方ないでしょ、旅の仲間なんだから」
「その他にも道中で仲間になってくれた者や、魔物盗賊団や、何故か道中で会ったアミラを始めとする残念な魔物娘なんかも……そう言った者はポケット魔王城に控えてはいるが……」
しかし、流石に8人は多い。仲間は多いに越したことはないとはいえ、1パーティとしてバランスがいいのは4人までだという。
「じゃあそうだな……前にもやったように、僕とヴィクトリーの二手に別れようか」
「良いけど……俺は真っ先に北のお化け屋敷ってトコに向かうぜ。研究所なんて見ても、俺にはさっぱり分かんねぇしな」
「なら、僕は……そうだな、地下施設を見に行ってからもう一度ラダイト村の神殿跡に行きたいな」
とりあえず、ルカとヴィクトリーが二手に分かれる。そうしてから、話し合いが始まったのだった。
「私は北の屋敷を攻略次第、ポケット魔王城にて待機させてもらうつもりだ。タルタロスの探索結果を拝見した後、私も研究に参加したい」
サン・イリア王は、長いことパーティに居るつもりは無いようだ。寧ろ、目的はタルタロスの奥地の調査のようだ。
というか、一国の王を積極的に戦地に出すべきでは無いだろう。
「ヒルデは、マスターに従う……」
「むむ……私だって、ルカの傍に居るんだから!」
ルカにくっつく、ヒルデ。それを恨めしそうな目で見たソニアも、負けじとルカにくっついた。それで、猫の威嚇のようにヒルデを睨めつける。
「きゅっきゅーっきゅ」
ヌルコは、なんとソニアの足元に居る。彼女と一緒がいいと言いたいのだろうか。
「私は調査と研究のために、積極的に現場に出たいですね。地下の研究施設の見学はもちろん、ラダイト村の神殿跡……もとい、あの研究所にもまだまだ見たいものが沢山ありますので」
現場主義者である、プロメスティン。彼女にはマキナや時空異常が関わる場所に行かせた方が、その知恵を役立てるだろう。
「あっ、でもゴーストの生体サンプルも気になりますね、ノコギリとか持っていけば十分数回収でき」
「余はどちらでも構わんが……」
プロメスティンがおかしな事を言っている所を遮り、アリスが言う。その顔は引きつっており、何処か震えていた。
「ふん、北のお化け屋敷と言ったな……うーむ……」
「どうしたんだ、アリス? こえぇのか?」
「うっさいわ脳みそ筋肉!! 余に怖いものなどないし、幽霊など存在せんのだ!!」
アリスは何故か怒りながら言い、無い胸を張ってドーンッと構えた。
「そ、そんなに怒んなくていいだろ……」
ヴィクトリーは、アリスの迫力に小さくなってしまう。
「ならアリスはヴィクトリーのパーティだね」
「はがっ!?」
ルカが言うと、アリスは間抜けな声を出す。しかし、すぐにシャキッと構え直したのだった。
「い、いいだろう、余にかかればオバケなんてへっちゃらだ! ちゃらへっちゃらだ! 何が起きても気分は、へのへのカッパだ!」
何だか、怖いのか怖くないのか分からないが……アリスは、頼もしい戦力であることには違いない。
「これじゃあ、ヴィクトリーのパーティが三人になっちゃうな……ヒルデ、悪いけど北のお化け屋敷の攻略をお願いできる?」
「マスターの命令なら、何でも言う事聞くよ」
ヒルデは、ヴィクトリーの所に行く。
「おうヒルデ、おめぇも来てくれんのか! よろしくな!」
ヴィクトリーはヒルデの顔を見上げ、握手をしようと手を出したが……ヒルデは、きょとんとした顔でその手を見つめていた。
「……?」
「ヒルデ、握手だよ。右手を出してヴィクトリーの手を掴んで」
ルカに言われるがまま、ヒルデはヴィクトリーの手を取る。そして、固い握手を交わしたのだった。
「マスター、これはなんの意味が……?」
「仲間とか、信頼の証だよ。そっちでもヴィクトリーの言う事聞きながら、頑張って!」
「仲間……信頼……」
こうして、パーティは二つに分かれた。
ルカを始めとする、ソニア、ヌルコ、プロメスティン。研究チーム。
ヴィクトリーを始めとする、アリス、サン・イリア王、ヒルデ。北のお化け屋敷攻略チーム。
「そんじゃ、行かせてもらうぜ!」
「頑張れよ!」
二人はメンバーを連れ、左右に分かれたのだった。
※
そういうわけでヴィクトリー達は早速、北のお化け屋敷に向かう事にした。
「それにしても、お化け屋敷か……サン・イリア王様は、何処まで情報掴んでんだ?」
「あそこは、かつては処刑場だったとも、富豪の屋敷だったとも、邪な魔導師の研究所だとも言われている……討伐隊が一人でも引き返してくれれば何か掴めたのだろうが、帰ってきた兵士はおらん……やはり、只者ではない何かがあそこに潜んでいるのだろう」
的を得ない情報だが、やはりただ事ではない様子がひしひしと伝わる。それだけに、ヴィクトリーの心をくすぐった。
「にひひ、すんげぇつえぇ奴が居るかも知れねぇんだな……わくわくしてくるぜ!」
「ま、全く、サイヤ人とやらは……さっさと済ませて、とっととルカと合流して精霊と契約しに行くぞ」
ヴィクトリーの後ろ……やはりアリスが、震えていた。顔は涼しげだが、幽霊が怖いという感じは隠せてはいない。
「あ、アリス……強がんなくても、今からでも引き返してルカの方に……」
ヴィクトリーが言うと、アリスは青筋を立てた。
「強がってなどおらんわ、このドアホめ!! 余は魔王だぞ!!」
「そ、そんな言わなくても……」
何だか知らないが、ヴィクトリーは怒られてしまった。「たはは」なんて笑って誤魔化して、逃げるようにヒルデの方に向いた。
「ヒルデ、おめぇはパーティで活躍すんのは初めてだな! 戦った時はすんげぇ強かったし、期待してるぜ!」
「うん……ヒルデ、マスターの仲間の為なら頑張るよ」
ヒルデは、敵対していた時は超強敵と言うに相応しい相手だった。その力が味方になるというのだから、頼もしい限りだ。
「しかし、サン・イリア王と同じマキナ使いか……役割が被らぬか不安な所だな」
「ヒルデ、火力なら負けないよ」
「私は白魔法による支援もできる」
「パーティのバランスは良い方じゃねぇか?」
魔法剣士であるアリス、マキナによる火力が高いヒルデ、機械の体だけでなく卓越した白魔法を使えるサン・イリア王……そして、武道家のヴィクトリー。
少数精鋭でお化け屋敷とやらを攻略するなれば、十分すぎるパーティだろう。
そう考えながら、進む最中の事だった。
「……」
ここで、ヴィクトリーが立ち止まる。何かが、気の察知に引っかかったようだった。
「わ、わりぃなアリス……ちょっと、城の方で野暮用があっから先に行っててくれねぇか?」
「ふん、怖気付いたのは貴様の方ではないか? さっさと済ませてくることだな」
「悪かったって、すぐ戻るからよ!」
ヴィクトリーは、舞空術で飛び去って行った。
「ほう、人が飛ぶとはな」
「舞空術というものらしい」
「舞空術……ヒルデの知らない技……」
サン・イリア王は、ヴィクトリーが飛んで行った方に顔を向ける。すると、すぐに察しが付いたようだった。
「……あの方角、ラダイト村の方だぞ」
「なにっ!?」