もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

67 / 183
ゾンビ、ゾンビ、ゾンビ!

 ミミックに食われたヴィクトリーをどうにか救出し、探索を続ける。

 

「貴様のミミックへの無警戒さは一体何なのだ!」

「す、すまねぇ……くっそー、苦手なパターンだな……」

 

 流石に、ミミック天丼に腹を立てるアリス。しかし、ヴィクトリーはどうにもバツが悪い。

 

 それを見ていたサン・イリア王が、彼に向いた。

 

「ふと、思ったのだが……君には気の察知とやらが使えたはずだ。それでミミックを察知することはできないのか?」

「ああ、それなんだよ……あいつら、箱を開ける寸前まで完全に気を消してるんだ。普段から索敵に気の察知を多用してっけど、それが裏目に出ちまうとはな……」

 

 ミミック娘の相手に慣れることは、ヴィクトリーには逆に難しそうな様子だった。

 

 

 そうして探索し続けてると、おかしな事に気付いた。

 

「なんだか、騒がしくねぇか?」

「む……言われてみれば」

 

 おどろおどろしい声が、ある扉から響いてくる。

 

「ひ、ひぃいぃいぃい! そこはやめておけ! さっさと別の所に行くぞ!」

「落ち着けアリス、多分モンスターだ。気が、1、2、3、4……」

 

 複数体の、気。サン・イリア王はマキナのオートボウガンを、ヒルデはマシンバルカンを構えて扉に張り付く。

 

「行くぞ」

「うん」

 

 そして、扉を開け放ちながらマキナを向けると……そこで、ゾンビ娘達が愉快に踊っていた。呻きながらもその声は曲になっており、それに合わせて踊っている。

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

 呆然とする、ヴィクトリー達。

 

「きんぐ・おぶ・ぞんび……すりらぁ……ぉぅぃぇ……」

 

 ゾンビ娘達はこっちを見るものの、楽しそうに踊っているままだ。特に、危害を加えてくるつもりも無さそうだった。

 

 息の合った踊りを一通り見た後、サン・イリア王は扉をそっと閉じた。

 

「では、次に行くぞ」

「うん」

 

 探索を続けようとする、サン・イリア王にヒルデ。そんな二人を横目に、ヴィクトリーがずっこけた。

 

「いや何だ今の!? アリス、説明しろ!!」

「知るか、余に振るなぁ!!」

 

 

 大きな扉の前でも、何やら騒がしい音がする。再び複数体の気を感じているヴィクトリーは、とりあえず構えていた。

 

「行くぞ……!」

 

 サン・イリア王が扉を開けて入ると、そこではゴーストやゾンビが食事会をしていた。そして、そいつらはこちらに視線を殺到させる。

 

「み 〜 た 〜 な 〜 ! ?」

 

 ゴースト達の声が響いたと思った瞬間に、ただでさえ薄暗かった屋敷の灯りが消えて真っ暗になった。

 

「っ、くそ、敵対するタイプか!」

「どこかに身体ぶつけちゃった、いたい……」

「あ、灯りが……! ヴィクトリー、灯りはどうした!?」

「ちょ、ちょっと待ってろ!」

 

 突然の事にあわてふためく、ヴィクトリー達。

 

「おいヴィクトリー、どこへ連れていく気だ……? 腕を引っ張るな、おい……!」

 

 アリスも、何だか騒いでいる。

 

「俺は何もしてねぇぞ!?」

 

 暗闇の中、暫く皆の混乱する声が響き……部屋に灯りがついた。すると、大量のモンスターがヴィクトリー達を囲んでいた。

 

「わーっ!」

「既に囲まれていたか……!」

「メインシステム起動、戦闘モードオン……」

「くそっ! 不意打ちかよっ!!」

 

 四方八方から襲いかかってくるモンスター達を前に、ヴィクトリー達は構える。面子はというと……ゴースト、呪いの人形、そしてゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。この屋敷のモンスターのオールスターのようだ。

 

「あだだだだだだだだぁ!!」

 

 ヴィクトリーが、正面から襲いかかってきたゾンビに拳のコンビネーションを浴びせる。そうしてから、蹴っ飛ばした。

 

「火炎放射器、起動する!」

 

 サン・イリア王は、ゴーストに手を向ける。その掌の中心に穴が開き、そこから火炎放射した。

 

「ビームデスサイズ、起動……」

 

 ヒルデは、呪いの人形をビームデスサイズと呼ばれる兵器で切り払う。

 

「うわわわ、クルナー!!」

 

 アリスは、テーブルの上を蛇体でしゅるしゅる這い回りながら逃げている。

 

「って、何やってんだアイツは!?」

 

 目が慣れてないからか、まだモンスターを幽霊だと勘違いしてパニックを起こしてるのだろう。そう思ったヴィクトリーは、アリスを助けに飛ぶ。

 

 サン・イリア王とヒルデが背中を合わせてカバーし合う事になった。

 

「く……やはり、サン・イリアの兵達はこのモンスター達に……!?」

「けど、屋敷に戦闘の痕跡は無かったよ……」

 

 そう話し合いながら、マキナでモンスター達を掃射する二人。

 

「だぁあっ! どりゃあっ! でやぁあああ!!」

 

 ヴィクトリーは、アリスを囲むゾンビ達を次々に拳で叩きのめしたり、気功波で爆破したりして倒していく。

 

「覚悟……」

「っ、手練かっ!!」

 

 ゾンビの剣士が出てきて、切りかかってくる。ヴィクトリーはそれに対して、剣を抜いて刃同士で鍔迫り合いを挑んだ。

 

「界王拳!!」

「!?」

 

 ヴィクトリーの体から紅蓮の気が迸ったかと思えば、ゾンビ剣士の剣がかち上げられる。そして、ガラ空きになった身体に気を込めた剣の抜き胴が一閃した。

 

「うぐっ、そんな……!」

 

 それでゾンビ剣士は倒れ、動かなくなった。

 

 それを確認したヴィクトリーは、アリスの方へ向く。

 

「ひゃあぁあああ!」

 

 依然として逃げ惑う、アリス。そんな彼女の前に、またゾンビが立ちはだかる。

 

「アリスっ!!」

「おぉおぉぉ……」

「ひぁあぁあぁあ……って、ゾンビ娘ではないか!!」

 

 さっきまで怯えて逃げていたアリス豹変し、炎の黒魔法でそのゾンビの頭を爆破した。

 

「えぇ……」

「幽霊でないなら怖くも何ともないわ! 余を脅かしおって……」

「伏せて、二人とも!」

 

 困惑するヴィクトリーに、急に強気になるアリス。そんな二人に、ヒルデの声が弾ける。見ると、マシンバルカンを向けて起動していた。

 

「うおぉおおおっ!!?」

「のわぁあああ!!!」

 

 ヴィクトリーとアリスは、急いで倒れるように伏せる。その次の瞬間、二人を囲んでいたモンスター達がマシンバルカンの掃射によって次々に撃ち抜かれていった。

 

「また、死んでしまうの……?」

「おぉぁぁぁ……」

「そ、そんな……」

 

 次々に倒れる、モンスター達。どうやら、これで最後だったらしい。

 

 それを確認したヴィクトリーとアリスは、起き上がる。

 

「_人人 人人 人人 人人 人人 人人 人人_

 >   ぜんぜんこわくなかった! <

  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ 」

「アリス、文字数使うからやめてくんねぇか」

 

 ヴィクトリーは、お化け屋敷の敵の猛攻に混乱し、意味不明な事を口にした。そうしてから、ヒルデの方を向く。

 

「さっきのマシンバルカンはヒルデか、ありがとな!」

「褒められた……えへへ」

「……皆の者、怪我は無さそうだな」

「くぬぬ……」

 

 色々あったが、とにかく敵の奇襲を押し返す事が出来た。しかし、依然としてサン・イリア兵は見当たらない。

 

「しかし、サン・イリア兵達がこうまで見つからないとはな……ヴィクトリー、気は感じるのか?」

「ああ、下の方にいくつか生きてる奴が居るのは感じる……けど、行き方が分からねぇな」

「1階は一通り探索したはずだが、地下への道らしきものは見当たらなかったな……残るは三階だが……」

「ああ、何だか妙な気を感じるぜ」

 

 ヴィクトリーは、天井を見つめる。すぐ上の階に、一際大きい気を感じているのだ。

 

「このゾンビの量、(よこしま)な魔導師の噂……もしかしたら、ネクロマンサーが居るのかもな」

 

 アリスが、サン・イリア王に言う。

 

「ネクロマンサー……我が兵は、それにやられたと?」

「あぁ、死霊を操る術師のことだが……これは、厄介な事になりそうだな。色々と不穏な噂のあるこの屋敷となると、尚更だ」

 

 そう言えば、この屋敷は処刑場の跡地に立てられたという話もあった。だとしたら、その死体を使ってゾンビを作る事も、ネクロマンサーなら可能なのだろう。

 

「成程、ゾンビの量も納得出来る……」

「わらわら、たくさん……それだけ、たくさん死んだの……?」

「早く行かねぇと、ゾンビがサン・イリアにも押し掛けてくるかもな……」

「うむ、急ぐぞ……余はこんな所、早く出たいのだ!」

 

 さまざまな考察をしながらも、探索はまだ続くのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。