もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
ミミックに食われたヴィクトリーをどうにか救出し、探索を続ける。
「貴様のミミックへの無警戒さは一体何なのだ!」
「す、すまねぇ……くっそー、苦手なパターンだな……」
流石に、ミミック天丼に腹を立てるアリス。しかし、ヴィクトリーはどうにもバツが悪い。
それを見ていたサン・イリア王が、彼に向いた。
「ふと、思ったのだが……君には気の察知とやらが使えたはずだ。それでミミックを察知することはできないのか?」
「ああ、それなんだよ……あいつら、箱を開ける寸前まで完全に気を消してるんだ。普段から索敵に気の察知を多用してっけど、それが裏目に出ちまうとはな……」
ミミック娘の相手に慣れることは、ヴィクトリーには逆に難しそうな様子だった。
※
そうして探索し続けてると、おかしな事に気付いた。
「なんだか、騒がしくねぇか?」
「む……言われてみれば」
おどろおどろしい声が、ある扉から響いてくる。
「ひ、ひぃいぃいぃい! そこはやめておけ! さっさと別の所に行くぞ!」
「落ち着けアリス、多分モンスターだ。気が、1、2、3、4……」
複数体の、気。サン・イリア王はマキナのオートボウガンを、ヒルデはマシンバルカンを構えて扉に張り付く。
「行くぞ」
「うん」
そして、扉を開け放ちながらマキナを向けると……そこで、ゾンビ娘達が愉快に踊っていた。呻きながらもその声は曲になっており、それに合わせて踊っている。
「……」
「……」
「……」
「……」
呆然とする、ヴィクトリー達。
「きんぐ・おぶ・ぞんび……すりらぁ……ぉぅぃぇ……」
ゾンビ娘達はこっちを見るものの、楽しそうに踊っているままだ。特に、危害を加えてくるつもりも無さそうだった。
息の合った踊りを一通り見た後、サン・イリア王は扉をそっと閉じた。
「では、次に行くぞ」
「うん」
探索を続けようとする、サン・イリア王にヒルデ。そんな二人を横目に、ヴィクトリーがずっこけた。
「いや何だ今の!? アリス、説明しろ!!」
「知るか、余に振るなぁ!!」
※
大きな扉の前でも、何やら騒がしい音がする。再び複数体の気を感じているヴィクトリーは、とりあえず構えていた。
「行くぞ……!」
サン・イリア王が扉を開けて入ると、そこではゴーストやゾンビが食事会をしていた。そして、そいつらはこちらに視線を殺到させる。
「み 〜 た 〜 な 〜 ! ?」
ゴースト達の声が響いたと思った瞬間に、ただでさえ薄暗かった屋敷の灯りが消えて真っ暗になった。
「っ、くそ、敵対するタイプか!」
「どこかに身体ぶつけちゃった、いたい……」
「あ、灯りが……! ヴィクトリー、灯りはどうした!?」
「ちょ、ちょっと待ってろ!」
突然の事にあわてふためく、ヴィクトリー達。
「おいヴィクトリー、どこへ連れていく気だ……? 腕を引っ張るな、おい……!」
アリスも、何だか騒いでいる。
「俺は何もしてねぇぞ!?」
暗闇の中、暫く皆の混乱する声が響き……部屋に灯りがついた。すると、大量のモンスターがヴィクトリー達を囲んでいた。
「わーっ!」
「既に囲まれていたか……!」
「メインシステム起動、戦闘モードオン……」
「くそっ! 不意打ちかよっ!!」
四方八方から襲いかかってくるモンスター達を前に、ヴィクトリー達は構える。面子はというと……ゴースト、呪いの人形、そしてゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。この屋敷のモンスターのオールスターのようだ。
「あだだだだだだだだぁ!!」
ヴィクトリーが、正面から襲いかかってきたゾンビに拳のコンビネーションを浴びせる。そうしてから、蹴っ飛ばした。
「火炎放射器、起動する!」
サン・イリア王は、ゴーストに手を向ける。その掌の中心に穴が開き、そこから火炎放射した。
「ビームデスサイズ、起動……」
ヒルデは、呪いの人形をビームデスサイズと呼ばれる兵器で切り払う。
「うわわわ、クルナー!!」
アリスは、テーブルの上を蛇体でしゅるしゅる這い回りながら逃げている。
「って、何やってんだアイツは!?」
目が慣れてないからか、まだモンスターを幽霊だと勘違いしてパニックを起こしてるのだろう。そう思ったヴィクトリーは、アリスを助けに飛ぶ。
サン・イリア王とヒルデが背中を合わせてカバーし合う事になった。
「く……やはり、サン・イリアの兵達はこのモンスター達に……!?」
「けど、屋敷に戦闘の痕跡は無かったよ……」
そう話し合いながら、マキナでモンスター達を掃射する二人。
「だぁあっ! どりゃあっ! でやぁあああ!!」
ヴィクトリーは、アリスを囲むゾンビ達を次々に拳で叩きのめしたり、気功波で爆破したりして倒していく。
「覚悟……」
「っ、手練かっ!!」
ゾンビの剣士が出てきて、切りかかってくる。ヴィクトリーはそれに対して、剣を抜いて刃同士で鍔迫り合いを挑んだ。
「界王拳!!」
「!?」
ヴィクトリーの体から紅蓮の気が迸ったかと思えば、ゾンビ剣士の剣がかち上げられる。そして、ガラ空きになった身体に気を込めた剣の抜き胴が一閃した。
「うぐっ、そんな……!」
それでゾンビ剣士は倒れ、動かなくなった。
それを確認したヴィクトリーは、アリスの方へ向く。
「ひゃあぁあああ!」
依然として逃げ惑う、アリス。そんな彼女の前に、またゾンビが立ちはだかる。
「アリスっ!!」
「おぉおぉぉ……」
「ひぁあぁあぁあ……って、ゾンビ娘ではないか!!」
さっきまで怯えて逃げていたアリス豹変し、炎の黒魔法でそのゾンビの頭を爆破した。
「えぇ……」
「幽霊でないなら怖くも何ともないわ! 余を脅かしおって……」
「伏せて、二人とも!」
困惑するヴィクトリーに、急に強気になるアリス。そんな二人に、ヒルデの声が弾ける。見ると、マシンバルカンを向けて起動していた。
「うおぉおおおっ!!?」
「のわぁあああ!!!」
ヴィクトリーとアリスは、急いで倒れるように伏せる。その次の瞬間、二人を囲んでいたモンスター達がマシンバルカンの掃射によって次々に撃ち抜かれていった。
「また、死んでしまうの……?」
「おぉぁぁぁ……」
「そ、そんな……」
次々に倒れる、モンスター達。どうやら、これで最後だったらしい。
それを確認したヴィクトリーとアリスは、起き上がる。
「_人人 人人 人人 人人 人人 人人 人人_
> ぜんぜんこわくなかった! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ 」
「アリス、文字数使うからやめてくんねぇか」
ヴィクトリーは、お化け屋敷の敵の猛攻に混乱し、意味不明な事を口にした。そうしてから、ヒルデの方を向く。
「さっきのマシンバルカンはヒルデか、ありがとな!」
「褒められた……えへへ」
「……皆の者、怪我は無さそうだな」
「くぬぬ……」
色々あったが、とにかく敵の奇襲を押し返す事が出来た。しかし、依然としてサン・イリア兵は見当たらない。
「しかし、サン・イリア兵達がこうまで見つからないとはな……ヴィクトリー、気は感じるのか?」
「ああ、下の方にいくつか生きてる奴が居るのは感じる……けど、行き方が分からねぇな」
「1階は一通り探索したはずだが、地下への道らしきものは見当たらなかったな……残るは三階だが……」
「ああ、何だか妙な気を感じるぜ」
ヴィクトリーは、天井を見つめる。すぐ上の階に、一際大きい気を感じているのだ。
「このゾンビの量、
アリスが、サン・イリア王に言う。
「ネクロマンサー……我が兵は、それにやられたと?」
「あぁ、死霊を操る術師のことだが……これは、厄介な事になりそうだな。色々と不穏な噂のあるこの屋敷となると、尚更だ」
そう言えば、この屋敷は処刑場の跡地に立てられたという話もあった。だとしたら、その死体を使ってゾンビを作る事も、ネクロマンサーなら可能なのだろう。
「成程、ゾンビの量も納得出来る……」
「わらわら、たくさん……それだけ、たくさん死んだの……?」
「早く行かねぇと、ゾンビがサン・イリアにも押し掛けてくるかもな……」
「うむ、急ぐぞ……余はこんな所、早く出たいのだ!」
さまざまな考察をしながらも、探索はまだ続くのだった。