もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
ヴィクトリーが走り出し、フレデリカに向かう。それと同時に彼女も地面を蹴って突撃して、腕を振りかぶる。その二人の一撃がぶつかり合って、衝撃波が巻き起こった。
「ふん……」
「っ、強ぇ……!」
ヴィクトリーとフレデリカは同時に離れ、バク転してから着地する。
「援護するよ」
「おう!!」
ヒルデが、マシンバルカンを撃つ。薙ぎ払うように撃ったそれだが、フレデリカは走ってそれを避け、ヒルデに迫り来る。そして跳んで、長い足でのこめかみへの蹴りで蹴っ飛ばした。
「うぎゃっ……」
「ヒルデ!!」
「余所見は厳禁よ」
フレデリカが、ヴィクトリーに掴みかかる。彼もそれに応じて、彼女の手を掴んで踏ん張る。恋人繋ぎのような体勢となり、二人は押し合った。
「うぐぐぐぐぐくくくく……!! 界王拳!!」
「……!?」
ヴィクトリーの体から、紅蓮のオーラが立ち上がる。そして、フレデリカを徐々に押して行った。
「お返しだよ」
押されてるフレデリカの横から、ヒルデの声。次の瞬間、デュエルカノンによる砲撃が、フレデリカに直撃した。
「どりゃああっ!!」
ヴィクトリーは掴み合ってるその手にエネルギーを迸らせ、大爆発を巻き起こす。それで、フレデリカをぶっ飛ばした。
しかし、彼女は踏ん張りながら倒れはせず、ゆっくりとこっちに向き直す。そして、何事も無かったかのように身体のホコリを払った。
「効いちゃいねぇようだな……!」
「今度は、こっちから……」
フレデリカは、その場でクラウチングスタートの体勢を取る。そして、走り出したと思ったらその姿を消した。
「なっ!?」
「はやっ……!!?」
一閃のように、二人にダブルラリアットが決まる。そのまま腕を振り抜いて、壁にまでぶん投げた。
「ぐはぁあっ……!!」
「いたいっ……!!」
二人揃って、壁に磔になる。そんな所に、フレデリカが走ってきた。
「はぁっ!!」
そして、回し蹴りを繰り出して二人を蹴っ飛ばしたのだった。
「うぐぁあっ!!」
「がはっ……!!」
ヒルデはぶっ飛んで倒れてしまうものの、ヴィクトリーは踏ん張る。そんな彼に、間髪入れずにフレデリカが攻め込んでくる。
そのまま、超高速で格闘戦が展開された。無数の拳や蹴りがぶつかり合い、凄まじい攻防を繰り広げる。
「でゃあだだだだだだっ!! だらぁあぁあっ!!」
「遅い」
フレデリカがそう言うと、ヴィクトリーの両方の拳を掴んで止める。凄まじい力で、彼の猛攻は無理矢理止められたのだった。
「なっ!?」
驚くヴィクトリーに、フレデリカが蹴りを叩き込む。それで彼は、勢いよく吹っ飛ばされてしまった。
「ぐぁあぁあっ……!!」
何とか踏ん張るものの、がくりと膝を着くヴィクトリー。追撃をしようと、走るフレデリカ。しかしヒルデが割って入り、彼女を止めた。
「させない……!」
「邪魔よ……!」
そのまま、攻防する二人。ヒルデは起動前のビームデスサイズを棍のように振り回し、フレデリカと攻防していた。
ヴィクトリーは、それを前に何とか立ち上がる。
「や、やべぇ……2倍の界王拳が、まったく通用しねぇなんてよ……!!」
今使っている界王拳の倍率は、2倍。今の自分が耐えられる、限界だ。だが……それを超える超強敵が、早くも登場してしまった。今のまま攻めても、フレデリカのタフさが勝ってジリ貧になるだけだろう。
メイアと戦った時に一瞬だけならと使った3倍の界王拳ですら、体がガタガタになって動けなくなる始末だったが……どうやら、そう言ってる暇も無さそうだ。
「カラダぶっ壊れても、負けるよかマシか!!」
ヴィクトリーはそう言い、拳を握り込む。そして、気を高めた。
「かぁあぁあぁあああああ……!!!!」
ヴィクトリーの紅蓮の気が、体の節々で「ボボボッ」と音を立てて発破する。限界を超えた奥義が、今再び炸裂した。
「3倍界王拳だぁあぁあああああ!!!」
ヴィクトリーの気が、跳ね上がる。界王拳の紅蓮の気が、燃え滾る炎のように揺らめく。遂に3倍界王拳を解禁し、限界突破の力をその身に宿したのだ。
「ヴィクトリー!」
「今行くぜ!!」
ヒルデが跳び、ヴィクトリーと交代する。
「どぁだぁあぁあああ!!!」
「っ!!?」
ヴィクトリーは、先程よりも更に速く鋭いラッシュを繰り出してくる。フレデリカもそれに応戦するも、押され気味だ。
「ふんっ!!」
「っ……!!」
ここで、ヴィクトリーの拳がフレデリカの腹を打ち抜いた。あまりの威力に肘の辺りまで腕がめり込み、背中を盛り上げる。
「っ、あはっ!」
「っ!?」
フレデリカは苦しそうな表情を一変させ、腕を薙ぎ払ってヴィクトリーをぶっ飛ばした。
「っ、ぐぅ……!! どうなってやがる……!?」
ヴィクトリーは鼻血を垂らしながら、フレデリカを凝視する。
「私は、クロムによって改造されたゾンビ……痛みなんて、感じない」
「そんな……痛みを感じない、なんて……」
ゾンビは、痛みなんて感じない……それゆえに、とてつもなく強靭だ。だが、屋敷のゾンビと同じで不死身という訳では無いだろう。
「じゃあ、参ったって言うまで攻め続けるしかねぇみてぇだな……!!」
「やってみなさい」
ヴィクトリーが地面を蹴り、フレデリカに突撃する。そのまま、猛スピードで攻撃と攻撃が飛び交う格闘戦を繰り広げた。
「すごい、あんなの割って入れない……!」
ヒルデは、マキナを向けながらも機を伺う体勢を取る。
ヴィクトリーとフレデリカの戦いは、熾烈を極めた殴り合い。足の踏み場も高速で入れ替わるので、下手に撃ったらヴィクトリーに当たってしまう。
「ふんっ!!」
「ごぶぐっ……!!」
フレデリカの正拳突きが、ヴィクトリーの胸に直撃する。
「負けるかぁっ!!」
「っ!!」
しかしヴィクトリーは踏ん張って、蹴りを胸に叩き込んだ。
「だぁっ!」
「ぐぅうっ!!」
反撃に、フレデリカのカギ打ちのパンチがヴィクトリーの頬を打ち抜く。
「おりゃあぁっ!!」
「っ!!?」
だが、ヴィクトリーは持ちこたえて反撃の左拳でフレデリカの顎を打ち抜いた。
痛みを感じない筈の彼女だったが、その一撃によって揺らぐ。顎を打たれた事による脳震盪により足がふらついており、痛みを感じていないので尚更に困惑していた。
「ここだぁあっ!!」
ヴィクトリーは、ここぞとばかりに吼えた。顔を肘で打ち抜き、胸に蹴りを何発も叩き込み、腹にパンチを連打する。そして、ぎりりっと腰を捻ってから空を切りながら回転し、とんでもない威力の回し蹴りでフレデリカを蹴っ飛ばした。
「っ? っ、っ!? ッ、っ!!?」
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……!!! お、起き上がってくんじゃねぇ……!! 頼むから……!!」
フレデリカが、倒れる。ヴィクトリーは3倍の界王拳の負担で悲鳴を上げる身体で何とか踏ん張っていた。
やはり、今の状態で3倍界王拳は身体に無理を強いる。全身が軋んで、動くだけでも激痛が走ってくる。
「ぬおおっ!? フレデリカがっ!? 儂のフレデリカが!!」
アリス達と戦っていた筈のクロムが、それを見て止まってしまう。
「ふん……あの脳みそ筋肉め、身体に無理を強いながらもどうにか倒したようだな……!」
「降参しろ、クロムとやら……! 今の私達に勝てる訳が無いはずだ!」
「ぐ、ぐぬぬぬ……わ、儂の最高傑作が……」
アリスとサン・イリア王に迫られ、歯噛みするクロム。
「し、仕方あるまい……こ、降参じゃ!! フレデリカも、これ以上壊されては儂が困るのじゃ!!」
どうやら、クロムは降参してくれたらしい。だとすると、その従者であるフレデリカも戦うのを止めてくれそう……そう思っていた時だった。
フレデリカが、ゆっくりと起き上がる。表情には影を落としており、何やら不穏な気を漂わせている。
「敵が起き上がるよ……!」
「っ、クロムは降参したぞっ……これ以上は……」
ヒルデとヴィクトリーが言う前で、フレデリカはゆっくりと顔を上げる。その眼が紅く光り、邪悪な気が身体中から溢れ出したのだった。
「はぁあぁああああ!!」
フレデリカは引き出される力のまま、気を解放する。その波動が旋風となって、辺りのものを吹き飛ばした。
「敵の戦闘力、上昇……! さっきとは比べものにならないよ……!」
「お、オイ……嘘だろ……!!」
ヒルデとヴィクトリーは、構え直す。
「なっ……!!? なんだ、アレは!? クロム、何かまだ改造を……」
「し、知らん……!! 儂はあんなの知らんぞ!!」
見たことも無い現象に、狼狽えるサン・イリア王とクロム。
「凶悪化……!! こんな時にか!!」
アリスの言う通り……フレデリカは、凶悪化してしまったのだった。