もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
凶悪化したフレデリカが、気を高めながら高速移動する。そしてヴィクトリーに迫り、顔面を掴んで一瞬で遥か後方にあった壁にまで叩きつけた。
「っうぎゃあぁあぁああああ……!!!?」
「ヴィクトリー!!」
「馬鹿な、全く見えなかったぞ……!!?」
アリスとサン・イリア王が、声を上げる。
「ふんっ!!!」
フレデリカはヴィクトリーの顔面を掴んだまま持ち上げ、放り投げる。そうして宙を舞ってる彼のこめかみに回し蹴りを叩き込んで、蹴っ飛ばした。
「うわぁあぁああああ!!!」
「まず一人……」
フレデリカは次に、ヒルデに目をつける。
「くっ……!」
ヒルデはビームデスサイズを起動し、気を解放する。そして、フレデリカと攻防した。
「サン・イリア王、ヴィクトリーを頼む! 余はヒルデに加勢する!」
「分かった!」
アリスとサン・イリア王も、動き出す。
「くぅっ……!!」
「こっちだ!!」
アリスはレイピアを抜き、フレデリカに攻め込む。そのままヒルデと二人で超スピードで攻撃を連打するも、フレデリカはそれら全てを避けたり気を纏った拳で弾いたりして凌いでいく。
「ど、どういう事なのじゃ……フレデリカ、止まれ! その力は普通じゃない!」
「はぁあっ、ベイクドスフィア!!!」
フレデリカはクロムの命令を無視して、暗黒の魔力を充実させる。それを爆発させ、ヒルデとアリスを吹っ飛ばした。
「うぐっ……」
「っちぃっ! その技、凶悪化した奴が共通で使えるのか!」
アリスはそう言いながらレイピアを納める。そして、両手に火の魔力を溜め、フレデリカに向けて火の黒魔法を連射した。
「ゾンビには火だろう! はぁああああ……!」
何とフレデリカはアリスの放つ火の玉を次々に腕で弾きながら走り、目の前まで迫ってきた。
「なにっ!?」
「かぁあっ!!」
フレデリカの丸太のような足が、アリスの腹を打ち抜く。蹴り出しの効いた痛恨の前蹴りで蹴り飛ばし、壁にまで叩きつけた。
「おぐぅうぅうう……!!」
「アリスっ……! ヒルデ、負けられない……!」
構えるヒルデに、フレデリカが向く。そのまま、高速移動しながら攻撃が飛び交う高速戦闘が始まった。
「メガヒール!」
「っ……!」
サン・イリア王が、ヴィクトリーに駆け寄って回復魔法を使う。すると、彼はすぐに起き上がった。
「ヴィクトリー、フレデリカのあの様子は……」
「凶悪化っちゅう奴……俺達が追ってる現象の一つだ! ああなっちまったら、戦闘力も高まって手の付けようが無くなる……!」
「……それは、本当か?」
そう言ってきたのは、クロムだった。
「どうしたら元に戻るのじゃ……!? フレデリカは、儂が心血を注いだパートナーなのじゃ、放ってはおけん!」
「っ……何とかぶっ倒して、正気に戻すしかねぇ……!!」
ヴィクトリーは、界王拳を使う。しかし、その瞬間に身体がビキビキと軋み、全身に激痛が走る。それで、界王拳が解けてしまった。
「お、おいっ! 平気か!?」
「あ、あぅうぅう……!!」
「ヴィクトリー、無茶するなっ!」
界王拳を使える体力が、残ってない。傷が癒えたとはいえ、超パワーの反動だけは残り続けている。
「……1分……」
「ん?」
「1分だけ、時間を稼いでくれ……! 切り札があるんだけど、溜めがやたら長いんだ! だけど、フレデリカを助けるにはこれしかねぇ!!」
ヴィクトリーは、真っ直ぐな眼で言う。その眼に嘘は無く、確信と自信に満ちていた。
「……1分だな、承知した」
サン・イリア王がそう言い、マキナを構えてフレデリカに走って行った。
「儂も協力する! 頼むぞ!」
なんと、クロムもそう言ってサン・イリア王に続いてくれた。
「はぁっ、はぁっ……クソ、馬鹿力な上にすばしっこい……!!」
「ヒルデ、そろそろ活動限界……! けど、倒れないよ……!」
肩で息をする、アリスとヒルデ。彼女達は、凶悪化したフレデリカを前に圧倒されており……旗色は最悪のものだった。
「オールヒール!」
「フレデリカ、大人しくせい!!」
サン・イリア王がアリスとヒルデに回復魔法を施し、クロムがオートボウガンをフレデリカの足元に連射する。
「貴様はクロム! どういう風の吹き回しだ!」
「フレデリカを助ける! 儂もそうじゃが、ヴィクトリーとやらもそう言ってくれた!」
「助力、感謝する!」
「4対1なら、抑え込める……!」
凶悪化によって気を高めているフレデリカの前に、アリス、クロム、サン・イリア王、ヒルデが並ぶ。その奥に居るヴィクトリーは、両手を上げていた。
「海よ、空よ、大地よ……この世界に芽吹く全ての生命よ……俺に元気を分けてくれ!」
ヴィクトリーが繰り出そうとしている技……それは、元気玉だった。孫悟空が界王から教わった技で知られており、最後の切り札でもある。周りの生命からエネルギーを分けてもらい、それを集約してぶつける必殺技だ。
「うぉおおおお!!」
アリスが、炎の黒魔法を連射する。しかしフレデリカはそれに直撃しながら走ってきて、アリスの顔に正拳突きしてぶっ飛ばした。
「ぐはっ……!」
「ビームデスサイズ……!」
アリスと入れ替わるようにヒルデがビームデスサイズを起動しながら接近し、連続攻撃を繰り出す。フレデリカはそれを次々に避けてから、腹に蹴りを一閃させた。
「うぎっ……」
「これならどうだ……!!」
サン・イリア王が中距離から両手を向ける。その手から火炎放射が放たれ、炎でフレデリカを覆う。流石にこの火力ならば身動きは出来ないだろうと思っていた、その時だった。
「ブラッディソース!」
しかし、炎の中から暗黒のビームが五本も伸びてきて、それがサン・イリア王に当たって大爆発した。
「ぐぁあっ……!!」
フレデリカが次に目をつけたのは、クロム。
「うぁあぁあああああ!!」
クロムはオートボウガンを連射するも、フレデリカは直撃も厭わず走って来る。そして、腕を振りかぶってクロムを殴りつける……その寸前で、止まった。
「っ……!? フレデリカ、儂じゃ!」
「っ、う、うぅっ、く、クロム……!! う、あぁあぁ……!!」
フレデリカはクロムの声を聞き、止まる。そして、頭を掻きむしりながら悶え苦しんだ。しかし、暗黒の気が彼女の意識を上書きし、その眼を邪悪な紅に塗り潰す。
そしてクロムの方に向いたが、横からアリスがレイピアで突く。
「っ!!」
「うおぉおおおおぉお!!」
放つは、目にも留まらぬ連続突き。しかしフレデリカも腕で防御したり避けたりして、凌ぎ続ける。そして、猛攻が緩んだその隙を狙ってアリスを蹴り飛ばした。
ここで、サン・イリア王とヒルデがフレデリカにマキナを向ける。オートボウガンとマシンバルカンが起動し、フレデリカに集中砲火した。
「おぉおおおお……!!!」
「抑えてみせる……!!!」
苛烈な、マキナによる集中砲火。フレデリカはガードを固めたまま動かなくなる……かと思いきや、その体から暗黒の気が滲み出て、充足していく。そして、その気を解放した。
「マーブリングドロップ!!!」
銃弾や矢を消し飛ばしながら、フレデリカの身体からエネルギー弾が拡散する。それが彼女の周りを次々に爆破し、サン・イリア王もヒルデもそれに直撃してしまった。
「そ、そんな……!!」
「ヒルデ、もう限界っ……!!」
「くそ、二人ともっ……もはや、これまでか……!!?」
爆煙が、晴れる。そこには、やはり暗黒の気を高めるフレデリカが立っている。
だが、その後方から蒼い光が差してきた。とてつもないエネルギーを秘めた、暗黒を照らす光が輝いていたのだ。
「……!!?」
フレデリカも、アリス達も、そこを凝視する。
「ありがとう、みんな……ありがとう!!」
ヴィクトリーは、右腕を蒼く光らせている。それがただのエネルギーでは無い事が、一目で分かるほどの力と熱量を感じる。アレが、集約した元気。この世界の生きとし生けるものの生命の力。
そんなものが更に凝縮し、エネルギーボールとなって浮かんだ。
「うぅうぅう……!! あぁあぁああぁああ!!!」
フレデリカは、それを見て走り出す。どう見てもヤバいそれを阻止するため、全力で走る。しかし、突如として彼女の周りに異次元が開かれ、そこからゾンビの腕が伸びて抑えてきた。
「ッッ!!!?」
「うおおぉおおっ、意地でも、離さんぞっ……!!!」
クロムが、腕を向けている。ゾンビの腕を無数に部分召喚をして、フレデリカを拘束したのだった。
「今じゃ、やれ──っ!!!!」
「元気玉ぁああぁあ!!!」
ヴィクトリーが、大きく振りかぶってから元気玉をぶん投げる。それは、一直線に拘束されているフレデリカに向かい、直撃した。
「っきゃあぁああぁあああああああ!!!」
そして、元気玉が炸裂してドーム状にエネルギーが広がり、フレデリカを飲み込む。そして大爆発が巻き起こり、この地下室の全域が、光で満ち溢れる。彼女を支配していた暗黒の気は、光に融けるように消え失せたのだった。
爆発と光が収まり、その中心にフレデリカが倒れる。
「フレデリカーっ!!」
直ぐにクロムが駆け寄り、フレデリカを揺さぶる。彼女は、ゆっくりと目を覚ましたのだった。
「クロム……」
「フレデリカ、無事か!? 凄まじい爆発だったぞ!?」
「私は、大丈夫よ……ゾンビは、死なないもの」
フレデリカはそう言ってクロムの頬に手を添え、笑って見せた。
確かに……あんなに凄まじい爆発だったにも関わらず、フレデリカの身体には目立った外傷がない。
「……ヴィクトリー、どういう事だ?」
アリスが、倒れてるヴィクトリーに聞く。
「へへ……元気玉ってのは、邪悪な奴ほど効きがいいんだ……フレデリカのタフさに、賭けてやった」
「ふん、そういう事か……あくまで、狙いはあの邪悪な気。フレデリカを倒す程の元気玉では無かったのだな」
「異世界の技も、大したものだな」
「げんきだま……すごかった……」
どうにか、元気玉によってピンチを乗り越えたヴィクトリー達。そんな彼らの前で、クロムとフレデリカは抱きしめ合っていたのだった。