もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
「天使……天使ィ……」
「な、なんだこいつ……!!」
「なんだ、この化け物は……!!」
ルカやアリスも知らない化け物……当然、ヴィクトリーが知る道理も無かった。
しかし、心当たりならある。
「おめぇが、この森を脅かしてる正体不明のバケモンらしいな……」
しかし、襲ってはこないとの噂ではあるが……
「天使……天使……天使ィィイイイ!!!」
鎧の狂戦士の咆哮が響き、周囲に突風を巻き起こした。膨大な気が爆発のような旋風を巻き起こし、辺りのものを吹き飛ばさんとする。
「っ!!」
「な……な……!!?」
「なんて気だ……!!」
「天使天使天使天使天使天使天使天使天使天使天使!! 天使天使天使天使天使天使天使天使ィィイイイ────!!」
鎧の狂戦士はルカに目をつけ、気を解放した。凄まじい気が波動して、辺りの草が今度こそ吹き飛んだ。
「ちょっと……話が違うよ! 思いっきり襲ってくるじゃないか!」
「動揺している場合か、応戦するぞ!」
「はぁあっ!!」
ヴィクトリーとルカを先頭に構え、バトルが始まった。
「天使、滅せよ……」
鎧の狂戦士の目には、ルカの姿が映っていた。憎しみにも似たオーラを爆発させながら、剣を構える。
「天使天使天使ィイ……!! 滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅……!!」
「くるぞっ!!」
「分かってる!」
「はぁあっ!!」
ルカ達は力を解放し、鎧の狂戦士に向かった。
「だりゃああーっ!!」
ヴィクトリーが殴りかかる。しかし鎧の狂戦士はひょいと避けて、剣を構えた。構えた先には、ルカが居る。
「おォォォおぉオ……!! 天使ヲをぉォ……!!」
虚ろに呻きながら言う狂戦士。その剣にドス黒い気が込められる。それが振り下ろされ、闇のエネルギー波が放たれた。
「なんだとっ!?」
「僕にっ!?」
ルカは寸前で跳び避けて、狂戦士を見る。しかし、既に視界からは消えていた。
「天使ィイイイ!!」
既に狂戦士はルカの背後で、剣を振りかぶっていた。
「くそっ!?」
「させないっ!!」
狂戦士の兜割りを、ソニアが受け止める。棍でどうにか剣を受け止めているもののその力は圧倒的で、彼女はそのまま吹っ飛ばされてしまった。
「うぐぅううっ!!?」
「ォォオオオ……!! 天使天使天使……!!!」
「きゅーっ!!」
「破壊するよ……」
「私もっ!」
ヌルコとヒルデはデュエルカノンを起動し、プロメスティンは手の中で燃焼反応を起こす。そして、三人同時に鎧の狂戦士の背中を爆撃した。
確かに直撃したはずだが……その気は、衰えるどころか膨れ上がっている。
「よけろ三人とも!! よけろーっ!!」
ヴィクトリーが、すかさずそう言った。次の瞬間だった。
「天使天使天使天使ィイイイ──ッ!!! 天使ィイイイイイイ──ッッッ!!!」
「うっ……!?」
「きゅ……!?」
「二人とも、退避っ……間に合わ」
鎧の狂戦士は、大規模な爆発波を放った。聖なる破壊のエネルギーがドーム状に広がり、大爆発する。それはヌルコ達どころか、少し離れた場所にいるソニアにも直撃してしまった。
「まずいっ!」
「くそっ!!」
「ソニアッ!! ヒルデ、ヌルコ、プロメスティンーっ!!」
爆発が晴れると、四人とも倒れていた。とてつもない爆発波で、簡単に倒されてしまったのだった。
「うぐぐ……な、なんて強さなの……!!」
「きゅ……」
「ダメージ、100%……ヒルデ、もう動けない……」
「あ、あうぅ……」
「ォオオオオオ──っ!!!!」
鎧の狂戦士は大きく咆哮して、ルカに目をつけた。
「くっそぉおっ!!」
ヴィクトリーが界王拳を三倍にして鎧の狂戦士の懐に入る。そして、思いっきり顔面をぶん殴った。だが、手応えは固い。
「……」
鎧の狂戦士は、ピクリとも反応せずにルカの方に歩みを続ける。
「このっ……こっちを向きやがれ──っ!!!」
ヴィクトリーは、鎧の狂戦士の全身に攻撃を連打した。
三倍界王拳による拳技のコンビネーションは、あのフレデリカにもダウンを取れた程の攻撃。しかし、手応えは全くと言って良いほど無く、それが焦りを加速させる。
「オォオオッ!!」
そんな事知らんと言わんばかりに、狂戦士の手がヴィクトリーの顔面を掴む。
「なっ!!?」
「天使ィイイイ──っ!!!」
動揺する暇もなく、ヴィクトリーはぶん投げられた。その先にはルカが居て、衝突して二人とも木に叩きつけられた。
「ぐはぁあっ……!!」
「がはぁあ……!!」
「天使をヲぉ……滅ぼすゥうぅウ……!!!」
狂戦士はそう言いながら、つかつかと歩み寄ってくる。しかし、ぶっ飛ばされたヴィクトリーと入れ替わるように影が飛び出てくる。
「踊れ、サーブル……はぁあっ!!」
アリスだ。狂戦士に走り、強烈な三連突きを叩き込んだ。
「オォオオオオオ……!!」
しかし狂戦士はやはり気にも留めず、ルカに向かう。
「くそっ!! 止まれっ!! 少しは余を見んか!!」
アリスはレイピアで切りつけたり、魔法を顔面に叩きつけたりするが、狂戦士は止まらずに居た。
「こんのっ……!!」
「滅!!!」
次の瞬間、アリスは狂戦士の気合いにぶっ飛ばされた。
「ッッッ!!!?」
「ぐはぁあっ!!」
アリスはヴィクトリーと激突して、倒れてしまう。
「ォオオオオオッ!! 天使ィイイイッッッ!!!!」
「ま、まずい……!!」
鎧の狂戦士は剣にエネルギーを纏い、それを思いっきり振り下ろした。凄まじいエネルギーが三人に叩きつけられ、大爆発が巻き起こった。
「ぎゃぁああああっ!!!」
「ぐぁあああああっ!!?」
「うわぁああああっ!!!」
三人は倒れて、戦闘不能になってしまった……
「うぅっ……なんて強さだ……」
「ち、ちくしょう……元気玉を、集める余裕もねぇ……!!」
「天使をヲヲ……滅すゥゥ……」
倒れ伏すルカめがけて、鎧の狂戦士は剣を振り下ろす。
「っ!!」
ルカは、もうダメだと目を瞑り、覚悟を決めた……次の瞬間だった。
唐突に狂戦士はぶっ飛んで、木に叩きつけられた。
「ッッグォオ……ッッ!!?」
「……っ!!?」
「なんっ……!!?」
ルカやヴィクトリーは、そこに注目する。
目の前に立っていたのは、ヴィクトリー……ではなく、彼の顔をした、黒い道着を着た者だった。その左耳には、かわいい白うさぎのピアスが着いている。
「……危ない危ない……こんな所で殺されていたら、私の計画はパァだ……」
「ヴィク……トリー……!!?」
「いや、違う……俺なんかじゃねぇ……!! あいつは……」
あの特徴……聞き覚えがある。ヴィクトリーと瓜二つの顔に、黒い道着に、かわいいうさぎのピアス……そして、この辺で何かを捜索していたという話。
間違いない。目の前に、黒のヴィクトリーが現れたのだった。
「なんだ、この化け物は……私は、キメラドリアードを探していたのだが……」
黒のヴィクトリーはそう言ってから、視線を横に向ける。
「……出てこい。ネロ、アリスフィーズ17世。こいつらに死なれたら困るのは、そちらもだろう?」
黒のヴィクトリーがそう言うと、ネロとネリスが現れた。
「……バレてたのね……いや、そんな事より、ルカ! 大丈夫!?」
「彼らのダメージは大きい……ネリス、彼らを安全な場所へ」
ネリスは、直ぐにルカ達に向かった。
ネロと黒のヴィクトリーと鎧の狂戦士が、向かい合う。
「おおお……おおヲヲヲヲ! 天使天使天使天使ィィィ……!!」
「くっくっく……焦るな、亡霊」
「兄貴、そっちは任せて大丈夫?」
「問題ない……」
ネロがそう言うと、ネリスは尻尾や両腕や背中を駆使して意識を失ったルカ達を軽々と背負う。
「じゃあ、ルカとおまけ達はまかせて!」
そう言ってから額に指を当て、消えた。
そうしてこの場は、ネロと鎧の狂戦士と黒のヴィクトリーの三人だけになったのだった。