もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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黒悪天魔、天塵を穿つ

「天使……天使……天使ィィィィィ!!」

「……厄介そうな相手だな、協力するか?」

「誘いに乗りましょうか。その名を騙る、不届き者の実力を見るために……黒のヴィクトリー」

 

 黒のヴィクトリーとネロは並び、鎧の狂戦士の方へ向いた。

 

「私は容赦しません。あのような暴走状態、当人も不本意でしょう」

「なんでもいい……我が計画が成就するのなら……!!」

「ォオオオオオ────っ!!!!」

 

 ネロと黒のヴィクトリーは、同時に構える。

 

吾身(わがみ)に問わん、聖魔の戒。天の(くびき)にて地の(わざわい)(すなわ)万象(ばんしょう)(ことわり)()る……」

 

 ネロは詠唱と同時に気を解放し、変身した。髪が白くなってその正面に目のような紋章が出現し、光の翼が展開し、凄まじい魔力を解放したのだった。

 

(うれ)えて刻むは覇者の跫音(きょうおん)! 天に明星(みょうじょう)、地に(まが)つ星!」

 

 真の姿を晒した、ネロ。その横で黒のヴィクトリーもまた気を解放していた。

 

「はぁあぁああぁあああ……!!!」

 

 黒のヴィクトリーは、全身から赤黒く邪悪なオーラを滲ませる。それだけで精霊の森がゴゴゴと揺れ、更に気が募って充足しゆく。黒髪が湧き上がるオーラによって持ち上げられ、やがて逆立った。

 

「はあぁああぁああッッ!!!」

 

 鳥肌を誘うほどの、黒く邪悪な気が爆発する。その額に青筋が浮かび、黒髪は逆立って天を衝いていた。

 

「全力で相手をする! 行くぞ、勇者ハインリヒ!」

「ほう、あれが勇者ハインリヒか……!」

 

 狂戦士はそれに応じるように、気を解放する。

 

「殺ス……滅ボス……天使、天使天使天使天使天使天使ィ……!!!」

 

 その目に映っているのは、ネロ。天使に対する憎悪を増しながら気を高め、爆発させた。

 

「滅ッッッ!!!」

 

 そのまま剣にエネルギーを纏い、ネロに切りかかる。

 

「ふんっ!!」

 

 ネロはそれを避け、合わせざまに狂戦士の腹に膝蹴りを叩き込む。

 

「はあっ!」

 

 そこに、黒のヴィクトリーが蹴りを入れた。

 

 狂戦士は勢いよく吹っ飛び、木々を薙ぎ倒していく。

 

「!!!」

 

 口らしき所から血にも似た黒い液体を吐く、狂戦士。二人の攻撃が、効いているらしい。

 

「行くぞっ!! 羅刹の顎門(あぎと)、破軍に至りて邪を払う!」

 

 ネロは自らの得物の大鎌に気を纏い、突撃する。その眼前で姿を消失したかと思えば9度の斬撃が迸り、狂戦士を切り裂いた。

 

「その技、ルシフィナの……いや、ルカのか!」

 

 黒のヴィクトリーがそんな事を口走る前で、狂戦士の気が爆発する。

 

「天使天使天使天使ィイイ!!!」

「なにっ!?」

 

 狂戦士は耐えており、手を突き出す。そこから、闇のエネルギー波を放ってきた。ネロは光の翼を盾のように構えて防御するも、ぶっ飛んでしまう。

 

「なんという、天使殺しの執念……!」

「では、私のターンだ!」

 

 ぶっ飛んだネロに入れ替わり、黒のヴィクトリーが切り込む。そのまま、超スピードで激しく攻防する二人。ドカドカと攻撃が飛び交い、衝撃が連続した。

 

「グオォオオ……!!」

 

 黒のヴィクトリーを敵と認めた狂戦士は、渾身の切り上げを放つ。

 

「おっと!」

 

 それを半身にして避け、腹にパンチを放つ。しかし、その拳は剣で受け止められてしまった。

 

「ぬっ!?」

「滅せヨぉおォおオ!!!」

 

 黒のヴィクトリーの腹に、暗黒の魔力が押し付けられる。それが炸裂して、柱のようなエネルギーが天を衝き、大爆発したのだった。

 

「おおぉおぉおオオおぉお……!!!」

「やはり、ああなっても天使殺し……只人に抑えられる道理も……」

 

 ネロは、ここで気づく。黒のヴィクトリーの気が、全く減っていない。

 

「……やりますねぇ……」

 

 黒のヴィクトリーは、ボロボロになった服装のままそう言って笑っている。決して浅くないダメージが、その身に刻まれている筈なのが見て取れる。

 

「いい……いい痛みだ……この痛みこそ、私の進化への推進力……ふっふっふっふ……!!」

 

 そう言いながら爆破された腹を押さえ、笑う。その体の傷が消え失せたかと思えば、あの黒い気が滲み出してくる。

 

「……はぁあっ!!」

 

 咆哮と共に解放された気は、更に飛躍していた。先程よりも、更なるパワーアップをしてしまったらしい。

 

「サイヤ人は、ダメージから回復する度に戦闘力を増す……やはり、サイヤ人である事は間違いないようですね。ですが、再生能力とは……」

「オォヲヲぉおおオオォ!!!」

 

 何か知っている風に言うネロに、狂戦士が突撃する。

 

「くっ……!!」

「ォオオオオオオオオオ────ッ!!! 滅ボす……!! 殺すっ!! 殺す殺す殺ス殺す殺ス殺ス!!!!」

 

 ネロは狂戦士の連続攻撃を、大鎌で弾き続ける。瞬きの間に何十も迫ってくる剣戟を、全て弾いて凌いでいた。

 

「グォオオオッ!!」

 

 狂戦士の剣に気が纏われ、それで鋭い突きを繰り出してくる。しかしネロの姿が残影と共に消え、狂戦士の背後に現れる。

 

「その足運び、『堕天舞踏』か!」

「詳しいですね!」

 

 ネロが手を突き出し、魔力を凝縮させる。

 

「総べての生、母なる天に回帰せよ……!!」

 

 そう詠唱してから、凝縮した魔力がエネルギーボールとなって飛ぶ。しかし狂戦士は飛んでそれを避け、その先には黒のヴィクトリーが居た。

 

「おぉおっ!!」

 

 黒のヴィクトリーは躊躇うことなく、凝縮しゆく魔力をおもむろに掴む。そのまま腰を捻って勢い付け、狂戦士の方にぶん投げた。

 

「!!!!」

 

 狂戦士にそれが直撃し、更に魔力が凝縮する。そして、凄まじい大爆発が巻き起こった。

 

 それを確認した二人は、気を解放する。ネロは光の翼で、黒のヴィクトリーは舞空術で空を飛んで爆発地点まで追いかける。

 

「オぉおォおォヲヲヲぉおッッ!! 滅せヨ、天使ぃいぃイィィィイイ!!!」

 

 狂戦士は爆煙の中で、黒い気を発破させる。ボボボというエネルギーの破裂音が鳴ったかと思えば、凄まじい大爆発を放って周囲を吹っ飛ばした。

 

「ぬぅうっ!!」

 

 黒のヴィクトリーは腕をクロスして防御するも、吹っ飛ばされる。しかしネロは勢い衰える事なく、狂戦士の前に迫った。

 

「天使ッ……!!!」

「無極にして太極……吾身(わがみ)に刻むは覇者の業! 伏して(はべ)れ、魔王の暴虐!」

 

 完全詠唱により、最大出力。闇の魔力をこの身に宿し、滾らせる。そのまま、大爆発を巻き起こしたのだった。

 

「グオぉおオぉおっ!!」

 

 爆発波により吹っ飛んだ狂戦士だが、一回転して木を蹴って跳び、ネロに向かって突撃しながら突きを放つ。それをどうにか大鎌で受け止めるも、靴を擦らせながら大きく後退してしまう。

 

「っ、流石勇者ハインリヒ……!!」

「どけぇっ!!」

 

 そんなネロの背後から、黒のヴィクトリーが走ってくる。先程よりも更に気を高め、拳に力を込めて狂戦士の顔面を打ち抜いた。

 

「ォォオオオッ!!!!」

 

 狂戦士は木々をなぎ倒しながらぶっ飛んで、壁に激突した。魔王の暴虐に、更に高まった黒のヴィクトリーの一撃……刻まれたダメージによってその鎧の全身に亀裂が入っており、亀裂からドス黒いエネルギーが漏れていた。

 

「オォおオォおオォおおオおぉオオ……!!! おおぉおオオおぉォォおおォオオオおオォおおお!!!」

 

 それでも尚、苦痛に呻きながらも身体を起こして気を高める狂戦士。一際大きく咆哮したかと思えば、絶大な魔力がその剣に集約し、更に充実していく。

 

 とんでもない力が波動し、衝撃波のような旋風が巻き起こる。精霊の森の全域が震え、尚も高まるエネルギーだったが……二人は、動じずに構えていた。

 

「潮時だな……決めさせてもらうぞ」

「奇遇ですね、私も同じ事を思いました」

 

 黒のヴィクトリーもネロも、気を解放する。狂戦士が放つ気にも負けない程の強大なオーラが二人から噴き上がり、精霊の森の揺れは激化する。二人も、大技を放って迎え撃つつもりらしい。

 

「か、め、は、め……!!!」

 

 黒のヴィクトリーは手を合わせ、そこに気を込める。それも、ドス黒く濃密で邪悪な気をこれでもかと言う程に凝縮し、闇のように黒く充実させる。

 

「我が祖は明けの明星、(あけぼの)の子……地に投げ堕ちた星、絶望を(ほふ)る者……!!!」

 

 ネロは合掌してから手を前に突き出し、そこに聖なる魔力を溜める。明星を思わせる程の光のエネルギーが、その手に収束していく。

 

「滅セよ、天使ィイイいいぃいイいいイイィイイ!!!」

 

 狂戦士はその剣を振り下ろし、とてつもなく巨大なエネルギー波を放った。触れるもの全てを無に帰すその波動が、二人に迫る。

 

「波────ッッ!!!」

「明けの明星ッッ!!!」

 

 黒のヴィクトリーは黒いかめはめ波を、ネロは明けの明星と呼ばれる眩いエネルギー波を放つ。光と闇のエネルギーが合わさり、更に強力で巨大な波動と化して狂戦士の技を受け止め……そして、一瞬で飲み込んでしまった。

 

「────ッッッ!!!?」

 

 狂戦士の放ったバカでかいエネルギー波が、二人の更にバカでかいエネルギー波に飲まれる。そして、それが狂戦士に直撃した。

 

「ォ……ぉ……!」

 

 狂戦士は、粒子と共に跡形も無く消え去る。エネルギー波は重力を振り切って天を突き破り、この星から抜けたのだった。

 

「中々楽しめたぞ。私はまだまだ強くなる……!!」

 

 黒のヴィクトリーはそう言って、構えを解く。

 

 隣に居るネロは、まずは鎧の狂戦士が居たところに目を向けた。

 

「滅びてはいまい……魂が隔絶されている限り、聖骸の暴走は何度でも……」

 

 そう言ってから、今度は黒のヴィクトリーに目を向けた。

 

「……さて、私はどうするべきでしょうか?」

「さぁな……」

 

 鎧の狂戦士を倒した二人は、今度こそ向き合う。そして、静かに睨み合うのだった。

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