もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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瞬間移動

 カルロスの丘……

 

「ここが、カルロスの丘か……」

 

 まぁ、なんてことの無いただの丘である。

 

「探すのは面倒そう……」

「うーむ、やはり琴線に引っかかるものはありませんね。早いところエヴァという淫魔を見つけ出して、あわよくばメスでバラバラに解剖して」

「も、モンスターの気に混じって、ちょっとでけぇ気があるな、行ってみるかぁ!」

 

 怖い事言ってるプロメスティンを遮ってヴィクトリーがそう言い、丘を進む。

 

「……それにしても、いつの間にかヴィクトリーさんが妙な能力を習得していたとは」

「ああ、瞬間移動の事か?」

 

 ジャスティスカイザーの家で見せた、突然の消失……瞬間移動。ヤードラット星人の技で知られるこの技は孫悟空も使っており、それに倣ってヴィクトリーも使えるようにしていた技だった。

 

「瞬間移動……ヒルデの動体センサーでも、見えなかった」

「超スピードで誤魔化していた訳では無さそうですね」

「ああ、あいつイリアスヴィルに居たもん」

 

 サラッと言うヴィクトリーに、プロメスティンは驚愕する。

 

「イリアスヴィルって、イリアス大陸の南部じゃないですか……!」

「……マスター、なんでそんな所にいるの?」

「それがよ……」

 

 

「オッス、ルカ!」

「うわっ!?」

「なんだ貴様、いきなり現れるな!」

 

 突如現れたヴィクトリーに、ビビるルカとアリス。そんな二人を横目に、周囲を見回してみると……そこは、ボロくさい家だった。覚えがある、ラザロさんの家だ。

 

「……あれ、ここイリアスヴィルじゃねぇか!? なんでこんな所に居るんだ!?」

「ああ。うん……モンテカルロの情報屋がエルカ商会の本部に居るらしいんだけど……」

「本部に入るのに、こやつらの育ての親のラザロという男を頼る羽目になったのだ。どうやら、ラザロに恩があるらしくてな……紹介状でも書いてもらおうと思ったのだが……」

 

 二人は、別の部屋に目を向ける。すると、そこにはキーキー言いながら部屋を掃除しているソニアと怠そうに流しているラザロの姿があった。

 

「もー、お酒は飲みすぎないって言ってるでしょ! 飲みっぱなしのビンも放置しない! ああもう、こんなよく分かんない紙が床に散らばって……」

「きゅきゅー……」

「ハイハイ、悪い悪い……後で片付けるつもりだったんだよ……」

 

 項垂れるラザロに、世話を焼くソニア……そして、片付けを手伝ってるヌルコ。部屋の掃除はまだ始まったばかりらしい。

 

「まぁ、あんな感じなんだよね……」

「それで、貴様はいきなり現れてどうしたのだ?」

「ああ、実は……」

 

 

「ちゅうわけで、しばらくかかるって」

「……ルカさんもソニアさんも、苦労してるんですね」

「いい情報、あるといいね」

 

 とは言え、紹介状を書いてもらったらハーピーの羽でモンテカルロに飛んで聞き込みをするだけだろう。手短に終わらせて、合流するのが吉だ。

 

 そう思っていたが……どうやら、ここにもモンスター達が居るようだ。

 

「ほう、こんな所に旅人……それも、男が居るとはな」

 

 声がした方を、見上げる。そこには、腕が異常に発達したゴーレム型の魔物が立っていた。

 

「なんだアイツは!?」

「データ参照……バンダースナッチ娘。ゴーレムタイプの魔物だよ」

 

 ヒルデが言ってる間に、バンダースナッチ娘は着地してくる。発達した腕には力が込められており、既に戦闘モードの模様だった。

 

 ヴィクトリーもニッと笑い、構える。

 

「私の動力源は、精……つまり、貴様は格好の餌という訳だ」

「どうかな……俺なんか食って、腹壊しても知らねぇぞ!」

 

 二人は蹴り出し、腕をぶつけ合わせる。すると、力のぶつかり合いの余波がカルロスの丘に波動し、草木が揺らめいた。

 

「何よ何よ、面白そうね!」

「ふふ、男の子は糸で縛ってゆっくり味わっちゃいましょうか!」

 

 ヴィクトリーとバンダースナッチ娘の戦いの気配につられた魔物が、やってくる。四足に複数枚の舌を持ってそこに女の上半身が生えた魔物と、巨大な蜘蛛に女の上半身が生えてる魔物だ。

 

「サボレス……」

「タランチュラ娘ですか……」

 

 対するは、ヒルデとプロメスティン。彼女らも気を解放し、臨戦態勢を取る。

 

 カルロスの丘は激戦の舞台と化し、あちこちで戦闘が巻き起こるのだった。

 

「その派手な格好……貴様が、近くの町に出没するという『ヒーロー』か?」

 

 戦いの中で、バンダースナッチ娘がそんなことを聞いてくる。

 

「確かにヒーローだけど……残念、そいつはただの同業者だ!」

 

 ヴィクトリーは離れ、構え直す。

 

「そうか、通りで『変身』しない訳だな」

「なに」

「知らんのか、ヒーローという職は変身する事で更なる力を振るうことが出来る……それが出来ないと言うのなら、貴様の自称するヒーローというのはただの肩書きに過ぎ」

 

 説明するバンダースナッチ娘の前で、ヴィクトリーは界王拳を使う。紅蓮の気が膨れ上がり、上昇する気が髪の毛を持ち上げて逆立ってる。

 

「……なにっ!?」

「耳の痛ぇ話……だけど、変身じゃねぇにしろこういう力は使えるさ!」

 

 ヴィクトリーはそう言ってから飛び出し、バンダースナッチ娘の腹に飛び蹴りを食らわせる。

 

「ぐっ!?」

 

 怯むバンダースナッチ娘。そんな彼女に追い打ちをかけるように、腰を捻って一回転し、顔面に裏拳を食らわせる。

 

「だぁあ──っ!!!」

 

 そして、蹴り上げを放った。しかしバンダースナッチ娘はその腕を盾にしてどうにか踏ん張る。

 

「くっ……!! 貴様、その力は……!!」

「ヒーローはヒーローでも、俺は『ドラゴンボールヒーロー』だ! ひと味もふた味も違うぜ!!」

 

 そのままヴィクトリーは攻め続け、格闘戦でバンダースナッチ娘を追い詰めていく。

 

「調子に乗るな、食らえ!」

 

 バンダースナッチ娘は、大きな腕を振り薙ぎながら腰を落とす。振り薙ぎをバックステップで避けたヴィクトリーに迫り、正拳突きを放った。

 

 しかし、拳が当たる寸前にヴィクトリーは消えてしまった。

 

「!!?」

 

 勢いだけが空振り、よろめくバンダースナッチ娘。ヴィクトリーは額に指を当てたまま彼女の背後に現れ、そのうなじにトンッと手刀した。

 

「っ、か……!!?」

「変身できるようになったら、見せに来てやる」

 

 バンダースナッチ娘はヴィクトリーの言葉を聞き、そのまま倒れた。瞬間移動で正拳突きを回避してから、一撃……それで、戦闘不能にしたのだ。

 

「マシンバルカン!」

 

 ヒルデは、マシンバルカンでサボレスを掃射する。その威力にビビった彼女は、「キャー!」なんて声を上げて逃げて行った。相変わらず彼女のマキナの威力は頼りになる。

 

「熱力学第二法則……エントロピー増大、超熱輻射!」

 

 プロメスティンは、なんと更に強化された魔導科学技で熱エネルギーを巻き起こし、タランチュラ娘を薙ぎ払っていた。

 

「くっ……!!」

「火傷しない内に退くことをオススメしますよ」

 

 プロメスティンが言うと、タランチュラ娘は背を向けて逃げ出した。

 

 こうして、ヴィクトリーは魔物の群れを押し返すことが出来たのだった。

 

「おっほー、二人ともやるじゃねぇか!」

「成長してるのは、ヴィクトリーさんだけではありませんよ」

「えへへ……ヒルデ、もっと頑張る」

 

 この旅で強くなっているのはルカと自分だけではないと、確信するヴィクトリー。アリスやソニアやヌルコも、強くなっているだろう。これは、うかうかしてると追い抜かれてしまうだろう。

 

 そう思いながら進んでいると……進んでる方向から、足音が聞こえた。

 

「うーん……何よ、ふて寝してる時に騒がしいのは……って、ゲッ!?」

「……!」

 

 なんと、町を騒がせているサキュバスのエヴァが、わざわざやってきたのだった。

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