もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ルビアナにて

「うぐぐ……負けちゃうなんて……」

 

 身体のホコリやら何やらを払いながらも、どうにか立ち上がるエヴァ。敗北も認めており、これ以上抵抗する気も無いように見える。

 

「ひゃ〜……おめぇ、けっこうつえぇんだな……まっとうに生きてれば、こんな思いしなくても済むのによ」

「相性の問題があるとは言え、今のヴィクトリーさんと拮抗する程の実力は大したものだと思いますよ」

「戦闘力は、強かった……」

 

 元気を無くすエヴァにヴィクトリー達は声をかけるが……彼女は、ギリッと歯軋りをして睨んだ。

 

「今更、何よ……こんな状態で、どうしろっていうのよ!? 私だって食べなきゃ生きられないんだから! 各地を流れに流れ、追われに追われ……やっと良さげな町を見つけたと思ったら、また追われるの……?」

「……そっか、辛かったんだな……」

 

 ヴィクトリーは、申し訳なさそうに言う。

 

「あ、あんたなんかに何が分かるのよ……同情なんて要らないわ! こうなったら、責任は取ってもらうわよ!」

 

 そう言うとエヴァはヴィクトリーに飛びかかってきた。

 

「な……!!?」

「ふんっ!」

 

 ……と思ったら、背中に抱きついてきた。

 

「……え?」

「早く歩きなさいよ、私は疲れてるのよ! ふかふかのベッドも用意してもらうし、ご飯もたらふく食べさせて貰うからね!」

「えぇ……」

 

 強引に、素早く、断る暇もなく、仲間になったようだ。

 

「そ、そうは言ってもよ……ルカ達が、なんて言うか……」

「じゃあ、あんたにこうやってくっついて生活してやるわ!」

「そんな、ケッコンするみてぇな言い方はやめてくれよ!」

「結こ……バカッ!! 百年早いわよ!!」

 

 エヴァは、ヴィクトリーの頭をガツンと殴る。

 

「いっでぇ!」

 

 どうやら、まだまだ元気な様子だ。

 

「……でも、おめぇの実力は確かなようだ……この辛い生活を生き延びる為に、相当な力を蓄えていたんだな……」

「ええ。これからは沢山食べて、そのぶんはちゃぁんと働くからね」

「ああ、頼んだぜ……」

 

 ヴィクトリーは、疲れたと喚くエヴァをおんぶしながら歩き出す。それに続き、プロメスティンもヒルデも歩き出した。

 

「……まぁ、顛末はどうあれ大人しくしてくれるみたいですね」

「これにて、一件落着……?」

 

 こうしてヴィクトリーは、エヴァを退治……というより、保護したのだった。

 

 

「ちゅーわけで、エヴァが仲間になっちまった」

 

 ヴィクトリーは、新たな仲間を合流したルカ達に紹介した。

 

「いや、どんだけ図々しいのよあんた!?」

 

 ソニアが、開口一番にツッコむ。

 

「うっさいわね、私は自由に生きればそれでいいのよそれで!」

「まぁまぁ、事情があったみたいだし仕方ないよ。僕達はどんな魔物でも歓迎するよ!」

「うーむ、だがこの辺の土地を探索するには役に立つかもしれんな」

「そうね、ここで生き残ってただけ土地勘は私達より上だもんね……」

「きゅっきゅー」

 

 ルカ達も、エヴァを歓迎する運びとなった。

 

「ジャスティスカイザーさんにも挨拶し終わったしよ、次の目的地に行かねぇか?」

「ああ、エルカ商会の情報屋で目星はついてるよ。次は……ルビアナって所だね」

「ああ、そこなら案内出来るわよ」

 

 早速、エヴァが言う。やはり、土地勘はあるようだ。

 

「それじゃあ、行ってみようか」

 

 ルカ達はモンテカルロでやれる事を終えて、エヴァの案内で次の目的地を目指したのだった。

 

 

 モンテカルロから南西に下った所……ルビアナという、集団失踪事件が起きたという村があった。

 

「ここがルビアナね、相変わらず辛気臭い村……」

「サバサから派遣されてきた人以外、誰もいないんだ……」

 

 エヴァとソニアが、並んでそう言う。

 

 見回すと、特に戦闘や破壊の痕も無く、住人だけが綺麗に消えているだけのように見えた。

 

「噂に聞いた通り、争った形跡はないな……すると、自分の意志で村を出たのか?」

「ハーピーの集落の時はそうだったよね。でも、この場合は……」

「空を飛べるハーピーと違い、人間だ。住民も遥かに多いし、老人や子供もいる……」

 

 アリスとルカは、見回しながらそう話す。

 

「誰にも目撃されずに、一夜にして失踪なんて不可能よね。本当に、煙みたいに消えたとしか思えない……」

 

 ゴーストタウンと化した村を見回しながら、ソニアはそう言った。

 

「ヴィクトリー、アンタは何か感じないの?」

「……天使の気を感じる」

 

 エヴァに聞かれ、そう答えるヴィクトリー。

 

「天使、だって?」

「ああ……残気って言えば良いか、形跡があるって言えばいいか……適当な表現が見当たらねぇけど、そんな気がするんだ」

「興味深いですね、我々も調査してみましょう」

 

 プロメスティンの提案により、この村を調査する事になったのだった。

 

 

 何故か落ちている天使の羽に、民家で見つけた「私達は、神の世界へと旅立ちます」というメモ書き……きな臭い事は沢山あれど、真相は分からずじまいだ。

 

「まぁ、この通り何もかもが謎な場所よここは。美味しいものも無さそうだし、人はサバサ兵ばかりだしで私も好き勝手出来そうに無かったのよ」

「なるほどな……食いもんとかはもう処分されちまってんのか。それだけの準備をしてから……『神の世界』っちゅう所に行っちまった訳だな」

 

 エヴァの話を聞き、ヴィクトリーもそう言う。

 

「いったい、何があったんだろう……調査の人も、何も分かってないみたいね」

「きゅー?」

 

 ソニアもヌルコも、ハテナマークを頭に浮かべるばかりだった。

 

「非常に不可解だな……だが、あてもなくここで時間を潰してるわけにもいくまい。この村の事は覚えておくべきだが……今は、サバサへの旅を続けるとしよう」

 

 アリスの言う通り……謎は、深まるばかり。現時点で分かることは、何も無いだろう。

 

「それじゃあ、長い道のりだったし休憩にしましょう。宿屋は派遣兵も使ってるらしいわよ」

「もー、あたしもくたくた……」

「ああ。一回そこで休もうか」

「俺も、最近横になってねぇからな」

 

 エヴァの案内で、宿屋に行く。少し狭い宿だったので、二部屋借りることにした。

 

「情報共有したいから、僕とヴィクトリーは一緒の部屋がいいな」

「ああ」

「あ、私も聞いておきたいです」

「余も補足する」

 

 一部屋目はルカ、ヴィクトリー、プロメスティン、アリスが泊まることに。

 

「私はエヴァとヌルコとヒルデと相部屋ね……」

「きゅきゅー」

「よろしく……」

「何よ、私だって男と一緒の部屋が良かったわ。あわよくば寝込みを襲って……」

 

 二部屋目はソニア、ヌルコ、ヒルデ、エヴァが泊まることになった。

 

「ヴィクトリーはイイけど、ルカはダメ!」

「えぇ……」

「なに怒ってんだソニアは……?」

 

 ソニアの言葉に、困惑するルカとヴィクトリー。

 

 とりあえず部屋決めが済んで、それぞれの部屋に荷物を下ろす。そして、ベッドや床に腰掛けて話し始めるのだった。

 

「こうして話してっと、修学旅行にでも来た気分だな」

「貴様はいつでも修学旅行のような気分だろう……」

 

 にひひと笑うヴィクトリーに、アリスが呆れ気味に言った。そして、彼女が本題を切り出す。

 

「サバサはここから西に行ったところにあるが……ここより東に行ったところに求道者の洞窟なるものがあり、そこを越えると人形遣いの塔があるようだぞ」

「求道者の洞窟に、人形遣いの塔か……」

 

 ヴィクトリーは、それを聞いて目を鋭くする。ある事を、思い出したのだ。

 

「……クロムの求めてた魔導懸糸っちゅうのがあるかもしれねぇな。約束した手前だから取りに行きてぇ」

「なら、まずはそこに行こうか。パワーアップの成果も見せたいしな」

「求道者の洞窟ですか、聞くだけでもワクワクしますね……私もいち研究員として、是非とも踏破したいものです」

「案内はエヴァがしてくれるだろう。あやつ、飯さえ食わせておけばやる事はやってくれるからな……」

 

 とりあえず、クロムとの約束を果たすためにも求道者の洞窟に向かう事に。その後、サバサに向かい……土の精霊の事や、タルタロスの事について聞いて回る。当面は、それが目標だ。

 

「土の精霊かぁ、どんな奴なんだろうな」

「ノームちゃんはねー、無口だけどとってもいい子なんだよー!」

 

 突如、ルカの中からシルフの声が聞こえた。そう言えば、そういう契約で仲間になってくれてたんだったか。

 

「おや、この現象は興味深いですね」

「わわ、僕の中から勝手に……」

「ふむ、精霊との契約が為せることだな」

 

 驚くプロメスティン達をよそに、ヴィクトリーとシルフは会話する。

 

「そんで、ノームってのは強ぇのか?」

「うん、土の精霊だからね! とっても力持ちなんだ!」

「そうかぁ……もしかしたら、土の精霊と契約したらルカのパワーも大幅にアップするかもな」

「今から会うのが楽しみだよー!」

 

 土の精霊との契約も、大幅なパワーアップになりそうだ。マルケルスからのメッセージも為せるし、旅の助けにもなるだろう。

 

「よし、明日は求道者の洞窟だ! その後にサバサに向かおう!」

 

 ルカの声で、皆は頷く。そして、明日に備えるのだった。

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