もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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スフィンクスの提案

 ピラミッドを進む、ルカ達。魔物とは遭遇するものの、先程の戦いで認められたのか襲撃はしてこなかった。

 

「なんだか顔パスみたいでいい気分……!」

「きゅー」

「力ある勇士と認められたのだろうな。これ以上の襲撃はするだけ無駄と判断したのだろう」

 

 ソニアとアリスが、歩きながら会話している。ヌルコはソニアにくっついており、一応周りを警戒している。

 

「ふーむ、ミイラ娘の包帯と、コブラ娘の尻尾と……いろんなサンプルも取れましたし、新たに何か作ってみたいですね……!」

「何に使うの……?」

 

 素材アイテムを沢山持つプロメスティンは、ウキウキ顔である。ヒルデは怪訝な顔をしていた。

 

「見ろよ、こんなもんまであるぞ」

 

 ヴィクトリーが宝箱から取り出したのは、紅色の鎧。鉄を貼り合わせたような甲冑だった。

 

「ヤマタイ村の鎧だな……こんなものまであるとは。サバサの繋がりが深いのか、スフィンクスの顔が広いのか……」

「っていうか、ヴィクトリーがミミックを引かないなんて……この砂漠に雨が降るのかな」

 

 真面目に話すアリスの横で、そんな事を言うソニア。

 

「おめぇなぁ〜……」

 

 そんなソニアを、ジト目で見るヴィクトリー。

 

「まぁまぁ……ほら、もうすぐだよ」

 

 ルカの言葉で、先へ進む一行。そして、間もなく最奥に辿り着いた。

 

「……あいつが、スフィンクスか」

 

 居たのは、下半身に大きな獣の口をこしらえた巨大な女性だった。その背中からは蛇が数匹伸びており、翼まで生えていた。そんな奴が、瞑想しながら鎮座してる。

 

「オッス!」

「……む」

 

 ヴィクトリーの呼びかけに、スフィンクスは目を開ける。

 

「人の子よ、よくぞここまで辿り着いた……妾こそ、ここの主であるスフィンクスよ」

「わぁ、大きくて強そう……さすが、1000年前から生きてる太古の妖魔よね……」

「ああ……戦闘態勢でもねぇのに、とてつもねぇ気をビリビリ感じるぜ……」

 

 ソニアとヴィクトリーが話していると、スフィンクスも咳をつく。

 

「ここまで遊びに来たわけではあるまい。さて、妾に何の用だ……?」

「実は、頼み事があってここまで来たんだけど……」

 

 スフィンクスは、そう言ったルカを睨んだ。

 

「……聞けん。人の子の頼みなど、妾が聞く謂われもない」

「と、取り付く島もねぇ……」

 

 即答に苦笑いするヴィクトリーの横に、アリスが出てきた。

 

「サバサ王家の娘に秘められた妖魔の血が覚醒し……そのせいで、国内が混乱をきたしている。それでもなお、貴様に聞く謂われがないと言えるのか?」

 

 サバサ王家と聞き、スフィンクスは目の色を変えた。

 

「なんと、サバサ王家の者が……? その話、詳しく申してみせよ……」

 

 ルカ達は、スフィンクスにサバサの現状を伝えた。女王の妖魔の血が覚醒したこと……それが何者かによる干渉を受けた事によるものだと言うこと……そのせいでサバサが堕落し、崩壊寸前だということも。

 

「なるほど……我が血、今になって発現したか。しかも、何者かが裏で糸を引いて……」

「サラ女王を人間に戻すには、どうすればいいんですか?」

「そのような手段は、ない」

 

 ルカの質問に、まさかの即答だった。キッパリと言われた事により、ルカ達に動揺が走る。だが、スフィンクスは言葉を続けた。

 

「妖魔の魔力は、いったん目覚めれば眠らす事は難しい。強引に遮断する禁術も、ないではないが……その娘の心身に、深刻な悪影響を及ぼそう。そうなれば、今以上に事態は悪くなる。都合よく人間に戻すなど、出来る話ではないのだ……」

「やはりか……」

「じゃあ、どうすりゃいいんだ? あのまんまだと、サバサの国は女王のせいで滅んじまうぞ」

「もう、どうしようもないってこと……?」

 

 アリスもヴィクトリーもソニアも、諦めムードを漂わせる。

 

「なら、もういっそのこと王女をぶん殴って気絶させて、隔離するしかねぇんじゃねぇか?」

「いや、私の人格漂白薬で大人しくさせましょう。脳の構造が人間と同じならば効果はあるはずです」

「ヒルデが、国を救うために女王を滅ぼす……?」

「……貴様ら、あの人の子孫に乱暴をするならばこの場で消すぞ……?」

 

 ヴィクトリーとプロメスティンとヒルデは、スフィンクスの威圧的なオーラによって黙り、遅れて三人とも「はい、すみませんでした」と声を揃えた。

 

「それに……何も手が無いとは言っていない」

 

 スフィンクスの言葉に、一同は顔を向ける。

 

「ほんとか!?」

「ああ、むしろ完全に妖魔化させてしまえばいい」

 

 意外な提案に、ルカは怪訝な表情をする。

 

「えっ……それのどこが解決なんですか?」

「その娘の状態は、不完全な覚醒によるものだ。理性の喪失や意識の混濁、過度の発情や高揚……それらは、妖魔の力が中途半端に目覚めている時の症状。むしろ、暴走状態と言ってよかろう。しかし、妖魔の力を制御できるようになれば……人間の時の理性、記憶や意志を全て取り戻せる。妖魔として生きる事になるが、現在の暴走状態よりはマシよ。人に化ける事も出来るし、女王として生きるのも容易かろう」

「それは逆転の発想……ちゃんと覚醒すれば、理性が戻ってくるんだ」

「なるほど、それは最も合理的な解決法ですね。女王が正常な判断力を取り戻せばいいだけの話ですから……」

 

 プロメスティンの言う通り、サラ女王がどうにかマトモな判断を出来るぐらいになってくれればそれでいいのだ。

 

「まぁ、普通は考えつかねぇな……それで、どうすんだ? 妖魔にする魔法でも当てりゃいいのか?」

「いや、妖魔の血を完全に目覚めさせるには……これが、最も効果的であろう」

 

 スフィンクスはそう言って短剣を取り出し、自身の腕を傷つけた。垂れた血を、小さなビンに受け止める。

 

「この血を、その娘に飲ませるがいい。そうすれば、自身を制御出来るほどの覚醒を果たすであろう」

 

 そう言ってビンを閉めて、ルカに渡した。

 

「ありがとうございます!」

「しかし、どうやってサラに飲ませるか……」

「やっぱり、無理矢理グイッと?」

「うむ……方法は、それしか無さそうだな……」

 

 ルカは『スフィンクスの血』を道具袋に入れ、皆を見た。

 

「ともかく、サラ女王の所に行こう。なんとか飲んでもらわないとね」

「ああ、衛兵もポンコツばっかだからな……女王に会うのは簡単だ」

 

 サバサの国の為にも、あの土地で暮らす人間の為にも、この作戦は失敗できない。どうにか今の正気を失ったサラ女王を元に戻して……黒幕を探し出して、叩く。

 

「そんじゃあ、『導きの糸』で戻るか?」

「いや、お前の瞬間移動で一気にサバサまで戻るよ」

「そっか、そんじゃあルカ!」

 

 ヴィクトリーが右手を差し出しながら言うと、ルカはその手を、ソニアは肩を、ヌルコは右足に触手を巻き付け、アリスは左足に蛇体を巻き付け、ヒルデは後ろから抱きしめるように、プロメスティンは左手を握ってくる。

 

「……別に、一斉に俺に掴まらなくても、俺に触れてる誰かに掴まってればそれで良いんだけど……」

「そうか、次はそうしよう」

 

 とにかく、その状態で瞬間移動する。そして、ルカ達はこのピラミッドから消え失せたのだった。

 

 スフィンクスはそれを見届け、一息つく。

 

「それにしても……あの人の子孫の中の、妾の血が何者かに……か。そのような芸当が出来るのは…………」

 

 彼女はそれだけ言い……胸の奥に、嫌な予感を感じていたのだった。

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