もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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ヴィクトリーVSアスタロト

 ヴィクトリーは、ラダイト村に瞬間移動してきた。

 

「……!!!」

 

 そこに広がっていた光景を目にして、目を鋭くして歯を食いしばる。

 

 報告通り、目の前にはあのリリス三姉妹。

 

 そして、周りには骨と皮だけになった死体がそこら中に転がっていた。中には立派な鎧を着た、サン・イリアの衛兵も居た。

 

「おうおう、異世界戦士か! 瞬間移動とは味な技を持ってるな!」

 

 声をかけてきたのは、あのモリガンだった。右横には赤髪の淫魔が男を犯しており……

 

「お、お兄ちゃん!!」

「あら……」

「!!!」

 

 聞こえた方を見ると、あの少年が捕らわれていた。セーターを着た淫魔に背中から抱きつかれ、頭を胸で挟まれて逃げられないようになっている。

 

「貴方一人ですか?」

 

 声をかけてきたのは、少年を捕らえている淫魔……それも、モリガンとは比較にならないほどの気を有しているのが分かる。

 

「てめぇら〜〜〜……!!!!」

 

 だが……ヴィクトリーはその場で怒りの表情を浮かべ、気を高めた。ゴゴゴと大地が揺れ、ブルブルと大気がウネり、凄まじい怒気を顕にしたのだった。

 

「その子を離せ!! どうしてこの村をこんなにした!! 答えろぉっ!!」

「命令するのか質問するのか、どっちかにして欲しいですね……どちらも拒否しますが」

「お兄ちゃんっ、逃げて! こいつら、めちゃくちゃ強い!!」

 

 少年の言う通り……リリス三姉妹は、噂に違わぬ程の気を持っている。おそらく、勝ち目は無いだろう……だが、今は勝利条件が違う。

 

「今、こいつらをぶっ飛ばして……おめぇも助けてやる!!」

 

 ヴィクトリーは、青筋を立てながら構える。それに対しても、リリス三姉妹はニヤニヤ笑うだけだった。

 

「はっ、巻き込まれただけの異世界戦士が……私達をぶっ飛ばすと来たぜ? 何も知らないくせに、傑作だな!」

「アスタロト、相手してあげなさい……」

「……分かったわ」

 

 アスタロトは妙な間を置くものの、犯していた男のエナジーを吸い上げる。それでその男は悲鳴を絞り出して、動かなくなってしまった。

 

「……貴方の事、気の毒には思うけど悪いとは思わないわ。貴方はただの異物……殺してもカオス化には何ら影響しない」

 

 彼女はそう言いながら立ち上がり、その肌についていた白濁が鈍い光に飲まれる。それを肌から吸収し、汚れ一つない身体になった。

 

「イリアスはサイヤ人の力には利用価値があると考えてるようだけど、私達はそうは思ってないわ……ここで、始末してあげる」

 

 ヴィクトリーの前に来る、アスタロト。

 

 モリガンはその辺で腕組みして、リリスは捕らえている少年の頭を撫でた。

 

「あたしはさっきまで干物タイムだったし、休憩だ。よーく見てろクソガキ!」

「ふふ、あのお兄ちゃんが蹂躙され、許しを懇願する姿を目に焼き付けてから……天国に連れて行ってあげますからね」

「お、お兄、ちゃ、ん……!!」

 

 ヴィクトリーとアスタロトは、向き合う。ビリビリとした空気が張り詰め、ゴゴゴと大地が揺れ……旋風が巻き起こった。

 

「だっ!!!」

 

 ヴィクトリーが界王拳を使って顔面へのパンチを放つも、アスタロトはそれを防いで後ろ跳びして民家の壁を背にする。

 

「!!」

「だりゃあぁあああ!!!」

 

 追い縋ってからの鉄拳が、アスタロトに迫る。彼女はそれを腕を交差して防御するも、民家の壁をいくつも突き破って砂埃を巻き起こした。

 

「だぁだだだだだだだ……!!!」

 

 砂埃が、ヴィクトリーの気を解放した際の旋風によって吹っ飛ぶ。そして、無数の連撃を放った。アスタロトもそれに応じて、激しく攻防する。しかし、彼女の速度の方が(まさ)っており、その顔面を殴ってぶっ飛ばしたのだった。

 

「ぐぁあぁあっ!?」

 

 ヴィクトリーがぶっ飛ばされた方向にアスタロトは高速移動し、風の魔力を叩き下ろす。

 

「ぐはぁっ……!!」

 

 更に彼の体が地面にたどり着く寸前に高速移動してその背を蹴り上げ、また上空へ。そして高速移動でそれを追い、足を掴んでその辺の民家にぶん投げたのだった。

 

 その民家は衝撃で崩落し、地響きが鳴り響く。

 

 アスタロトはすかさずそこからヴィクトリーの足を引っ張り出し、振り回そうと力を込める。

 

「ッッ、かぁあぁあああ!!!」

 

 ヴィクトリーの紅蓮の気が、大きくなる。倍率を上げた『界王拳』で、掴まれてない方の足でアスタロトの顔を蹴った。

 

「っ!!」

 

 その手を振り切ったヴィクトリーは何回もバク転して、距離を離す。

 

「波────ッッ!!!」

 

 そして、『かめはめ波』を撃ち放ったのだった。

 

「ふんっ!!」

 

 アスタロトは手を向け、「ズキュンッ」と『エナジードレイン』でそれを吸収しながらヴィクトリーに向かって走り出す。

 

「ちっ!!」

 

 ヴィクトリーは両手を向けて無数の気弾を引き撃ちするも、アスタロトは直撃しながら何も無いかのように接近してくる。

 

 そして、彼の足が掴まれた。

 

「さっきの青年よりは、吸い甲斐はありそうね!」

 

 そう言いながら、ヴィクトリーを勢いよくぶん投げた。

 

「だぁあぁあぁあああ!!!」

 

 彼の体は水平に吹っ飛び、勢いよく木に激突する……かと思いきや、なんと更に『界王拳』の倍率をめちゃくちゃに引き上げ、自分の身体の悲鳴も(いと)わずにアスタロトへ突撃した。

 

 全力の突撃にも関わらず、アスタロトはいとも簡単に受け止め、腰をグリンっと捻ってその尻尾でヴィクトリーをぶっ飛ばす。

 

「ぐぁぁあぁあっ!!!」

「ふんっ!!」

 

 ダメ押しに吹っ飛んでるその身体を蹴っ飛ばし、それすら追いついて強烈な風魔法を叩きおろす。

 

「おうぅぅううっ!?」

 

 勢いよく地面に激突して、バウンドするヴィクトリー。すぐさまアスタロトはそこに突撃し、猛攻を仕掛ける。

 

 だがヴィクトリーも更に『界王拳』の倍率を跳ね上げ、彼女の猛攻に対応する。

 

「あだだだだだだっ!! でやぁだだだだだだ!! どぁぁだだぁああああ!!」

 

 村を縦横無尽に駆け回りながら高速移動を繰り返し、攻防は激しく加速する。超次元の領域の攻防が、余波で更に村を破壊するが……やはり、アスタロトが優勢だった。

 

 同時に跳び上がり、空中で激突する。そのまま攻防するも、アスタロトの手がヴィクトリーの腹を掴み、『エナジードレイン』を炸裂させた。

 

「はうぅうっ!!?」

「はぁっ!」

 

 続けざまに手を向け、そのまま魔力を集積させる。すると、凝縮した魔力が竜巻の槍を作り、それが勢いよくヴィクトリーを撃ち抜いた。彼の身体はくの字に曲がって吹っ飛び、一瞬で遥か後方にあったはずの村長の家の壁に激突する。

 

「ごはぁあぁあ……!!!」

 

 目を見開き、吐血するヴィクトリー。全身がバラバラになりそうなほどの衝撃を受け、四つん這いになってダメージに悶絶する。

 

「ハァッ……ハァッ……!!!?」

「ふん」

 

 アスタロトはそんなヴィクトリーの後頭部を踏みつけ、力を込めた。じわじわと力が強まり、頭蓋骨が軋み始める。

 

「ぐぁあぁあぁああああ……!!!?」

「ふふ、痛いのは今だけよ……さぁ降参しなさい。負けを認めて私に身体を委ねれば、この村と一緒に気持ちよく消してあげる」

「だ、誰、が……!!! 降参なんか、するもん、かぁあぁああ……!!!」

「……そう」

 

 アスタロトは足を退け、ヴィクトリーの髪を掴み上げる。その腹に手をつけ、やはり『エナジードレイン』を繰り出す。

 

「がっっは……!!?」

 

 それでヴィクトリーは吐血するが……アスタロトは容赦なく手に風の魔力を集約させ──

 

「これで終わりね」

「!!!!」

 

 そして、彼の腹を撃ち抜いた。凄まじい衝撃が腹筋を突き破って内臓が掻き回され、威力が背中から突き抜けて村長の家に巨大な風穴が空く。

 

「あがっ、か……あ、ぁぁ……ガハッ……!!!」

 

 何度も吐血する、ヴィクトリー。髪を掴む手が離され、地面に崩れてしまった。

 

「お兄ちゃ────んッッ!!!!」

「ふふふ、助けに来たヒーローも呆気なくやられてしまいましたね……」

 

 少年は叫び、リリスは笑う。

 

 アスタロトは倒れるヴィクトリーを見詰めてから、踵を返してリリス達の所へ歩いてく。

 

「おいおいおい、姉貴! 気持ちよく天国に連れてくのがサキュバスじゃなかったのか?」

「想像より食い下がるものだったからつい、ね……」

 

 そう言って、ラダイト村の最後の住人の方へ向こうとした時だった。

 

 背後から、「ずり」と音がした。

 

「……」

「どこ行く気だ……?」

 

 ヴィクトリーは、未だに界王拳を解くことなく立ち上がる。その背中の剣を抜き、刃に紅蓮の気を伝わせた。

 

「まだ、終わりじゃねぇぞぉおお────っ!!!」

 

 そう言ってアスタロトに突撃し、切りかかる。しかしその刃は掴み止められ、力を込めてへし折られた。

 

「はっ!?」

「しつこい!」

 

 アスタロトは動揺するヴィクトリーの顔面に足を振り、蹴っ飛ばす。それで彼も吹っ飛び、どしゃりと地面に伏せた。『界王拳』の紅蓮の気も、霧散して消えてしまった。

 

「あ、あぅぅ……やめ……ろ……その子だけはっ……殺すんじゃねぇ……ッッ!!!」

 

 ヴィクトリーが、這う這うの体でリリス達を睨み返す。立ち上がろうと地面に腕を突き立てるも、ダメージが大きすぎて無理な様子だ。

 

「お兄ちゃんっ……!!」

「おい異世界戦士、お前あれだけやられてまだやるつもりなのかよ……」

「中々にタフね、夜のベッドの上でなら楽しめそうなのに……」

「俺の命なんか、くれてやる……!! だか、ら……!!」

「何を勘違いしてるのですか?」

 

 ヴィクトリーの懇願に対して、リリスは冷たい声で返す。

 

「ラダイト村の壊滅は決定事項……その程度の戦士である貴方にも、利用価値が無いと判明しました。もう、私達の行動は決まっているんですよ……『この村を壊滅させて、貴方も始末する』……」

「残念だったな、お前の命にそこまでの価値は無いってよ!」

「本当に、気の毒……懇願するなら、最後ぐらい気持ちよくしてあげるのに」

 

 リリスが、少年の股間に手をかける。最期のエナジードレインが始まってしまった。

 

「お、おい、待てよっ……やめろ、その子は、この村で唯一のマトモな──」

「お兄ちゃん」

 

 言いかけたヴィクトリーに、少年が震える声で言う。

 

「僕……お兄ちゃんに出会えて、良かった。初めて生きてて希望が持てたんだ」

「お、おい……お前、何言って……」

「勇気と心意気さえあれば、誰もがヒーロー……僕は、その言葉で救われた。お兄ちゃんは、僕のヒーローだ」

「やめ、やめろ……」

 

 子供一人も救えない奴に、ヒーローなんて言うんじゃねぇ。

 

「ねぇ……外の世界は、サン・イリアだけじゃないんでしょ? だったら、あの時出会った時以上にワクワクするような事が、沢山あるんだよね?」

「っ、っ……あぁ、あぁっ……!!」

「だから、お願い……!! 生き残って! こいつらから生き残って……ワクワクが詰まったこの世界を、守って!!」

 

 少年の言葉に、表情に影を落とすリリス三姉妹。しかし、リリスは直ぐに表情を戻し……

 

「……それじゃあ、天国へ連れて行ってあげましょう」

 

 エナジードレインで、少年の精気を吸い上げた。

 

「あぁあぁあぁ────っ……!!」

 

 彼の体は見る見るうちに萎み……そして、周りの男同様に骨と皮だけになって地面に崩れた。

 

「……はい、おしまい。次は貴方の番ですよ」

「────」

 

 リリスの言葉など耳に入らない様子で、先程まで少年だったものを凝視するヴィクトリー。しかし、目の前にアスタロトが立ってくる。

 

「ふふ、感動的……無意味だったけど……」

「ゆ……ゆる、さねぇ……許さねぇぞ……よく、も……よくも、よくもぉお……!!!!」

 

 ヴィクトリーの気が、膨れ上がる。大地が震え、曇天が雷を鳴らし始め、周りの小石や瓦礫が膨れ上がる気によって持ち上げられる。

 

「……!?」

「……おい、何だ!?」

「まだエナジーを隠してたの……?」

「うぅううぅううぅうううあぁあああぁああああ……!!!!」

 

 ヴィクトリーの黒髪が、逆立つ。怒りのパワーが、更に全身に滾る。気が溢れ、高まる。そして──

 

「うあぁああぁああぁあぁああああ──────ッッッ!!!!!」

 

 逆立った髪が金色に染まり、それと同時に爆発する気が天にまで届き、曇天を吹き飛ばしたのだった。

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