もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース 作:ジョーカー:ゼノ
一方ルカ達は、『ハーピーの羽』で飛びながらラダイト村の前に着地する。
曇天の下で、村の前で着地して風を感じてみると……
「ヴィクトリーの生命力が乱れ減っている……」
「ああ……」
アリスも感じていたようで、頷く。歯噛みしながら、村の入口を睨みつけた。
「そんな……今のヴィクトリーって、界王拳を10倍ぐらいに出来るんじゃ……」
「きゅ……」
震え声で言うソニアに、プロメスティンは首を振る。
「その10倍の界王拳とやらを使って、このザマなのでしょう……よもや、リリス三姉妹の戦力がこれほどまでなんて……」
プロメスティンが言う横で、ヒルデは暗い顔で頭から「ピピピ」と鳴らしていた。
「ヴィクトリーの生命力、およそ8%……ラダイト村の住民の生命反応、無し……」
「っ、早く行きましょう!!」
「ああ!!」
それを聞いたサラが飛び出して、ルカもそれに続く。そして、村に入ろうとした時だった。
「うあぁああぁああぁあぁああああ──────ッッッ!!!!!」
聞こえたのは、ヴィクトリーの絶叫。断末魔とは違う、怒りの咆哮。気が爆発して天を衝いて曇天が吹っ飛び、遅れて衝撃波のような旋風が巻き起こり、それがルカ達にも伝わって吹っ飛びそうになった。
「うわっ……!!?」
「な、なんだと……!!?」
驚愕しながら、吹っ飛ばされまいと踏ん張るルカとアリス。
「きゃあっ!」
「なっ……!!」
「きゅっ!」
ソニアが、体勢を崩したサラを支える。それを、ヌルコが手伝った。
「……アレはっ!!!?」
「光ってる……ヴィクトリーが!!」
プロメスティンとヒルデが言い、ルカ達もヴィクトリーに注目する。
ここで、ルカが謎の頭痛と共に妙なヴィジョンが脳裏によぎった。
研究所のような場所で、海藻を纏った異形の天使を相手に……同じ男が、向かい合ってる。
「…………あれは、まさかっ……!!」
間違いない、同じだ。穏やかな心を持ちながら、激しい怒りによって目覚めた、あの伝説の超戦士だ。
「な……な……!!?」
「なんだよ……これ……!!!」
「……サイヤ人は、ただの人間では……無かった……!!?」
リリス三姉妹も、彼を凝視する。
髪が逆立ち、眉毛も金色になり、凄まじい戦闘力を宿したヴィクトリー。目から流した涙も跳ね上がる気によって持ち上げられる。
「許さねぇ……もう謝っても、絶対に許さねぇ!!」
次の瞬間、ヴィクトリーの姿が消失する。そして、アスタロトの顔面が打ち抜かれ、猛スピードで遥か後方に吹っ飛び、大地や木々を削り抉りながら吹っ飛んだ。
「!!!?」
「おいおい、嘘だろ……!! 姉貴!!」
リリスとモリガンは、アスタロトが吹っ飛んだ方向を見る。
「っ……油断したわ……!」
彼女は瓦礫をかき分けながら立ち上がり、顔や身体についた汚れを払う。そして、すぐにヴィクトリーの目の前に戻ってきた。
「驚いたわ……サイヤ人、でしたっけ? その変身は、いったい……」
「どけ────ッッ!!!」
ヴィクトリーは、アスタロトに突撃して猛攻する。そして、先程とは比べ物にならないほど激しい攻防を繰り広げた。高速移動を繰り返しながら攻撃が飛び交い、互角にやり合い始めたのだ。
「オイオイオイオイ、異世界戦士のあの変わりようはなんだ!? いったい、何が起きたってんだよ!!」
「……分からない。ただ、イリアスがその力を利用したがる理由は理解できました」
そんな事を話しあうモリガンとリリスに、ルカ達が来る。
「リリス三姉妹!!」
「っ、惨いことをするものだな……!!」
「おや、勇者ルカにアリスフィーズ……」
「オイ、あの異世界戦士の変身はなんだ!? 説明しろ!」
そう言うモリガンに、アリスがつっかかる。
「そんな事、余が知るものか!! あんなヴィクトリーは初めて……」
「
アリスの言葉を遮り、ルカが言った。アリスもリリス達も、ルカに注目する。
「穏やかな心を持ちながら、激しい怒りによって目覚めた伝説の戦士……
「な、何を言ってるのだルカ……?」
「はぁ? スーパーサイヤジン……?」
困惑する、アリスとモリガン。だがリリスは少し考えてから、納得した様子を見せた。
「なるほど、
そう言ってから、上空で激しくぶつかり合うアスタロトとヴィクトリーを見直す。
歴然だった戦力差が、一気に縮まっている。流石のアスタロトも少しずつ本気を出しているが、ヴィクトリーも応えるように戦闘力が増しつつある。
「さっきより、格段にっ……!?」
「どりゃあぁあっ!!」
ヴィクトリーは突撃して、連続で蹴りを浴びせる。アスタロトはそれを全て防いでから腕を薙ぎ払う。
「ちぃっ!!」
ヴィクトリーはそれを伏せ避け、低空からのアッパーカットを繰り出した。
「きゃっ……!!」
どうにか防ぐものの、大きく後退するアスタロト。しかし、高速移動でヴィクトリーは背後につく。それを察知した彼女は振り向きざまの尻尾で攻撃しようとするが、それは彼の顔を掠め──
「だあぁああああっ!!!」
渾身の蹴りが、アスタロトの脇腹に突き刺さった。彼女は目を見開きながら吹っ飛び、蹴られた所を押さえる。
「ぐ……!!!」
アスタロトはもう片方の手を向け、風の刃を飛ばす。しかしヴィクトリーはそれを次々に避けながら接近し、彼女の顔面に頭突きした。
「うぐぁっ……!! このっ!!」
しかし、アスタロトはその場で踏ん張って、『エナジードレイン』をしようと手を伸ばす。だがヴィクトリーはその手の先を見切って
「っがはぁっ……!!?」
ここでアスタロトは、異変に気付いた。この男、この妙な変身をしてからどんどん技のキレが増している。戦いながら、どんどん強くなっているのだ。
「遊んでる場合でも無さそう……!!」
「うあぁあああああああ────っ!!!」
激しくなる攻防。疾風のように飛び交う攻撃。二人の攻防の余波で戦塵が舞い上がり、尚も加速し続けている。サイヤ人の闘争本能が、彼の戦闘力を倍々にしているのだ。
「はっ!!」
アスタロトは、勢いよく手を突き出す。するとヴィクトリーは突風によって、鼻血を出しながら吹っ飛ばされた。
「うぐっ……!!」
「ふふっ!」
怯んでいる所を追撃しようと追い縋り、顔面を掴もうと腕を伸ばす。だがヴィクトリーはすぐに向き直し、その腕を蹴り弾く。
「うっ!?」
「『龍牙鋭震脚』!!!」
ヴィクトリーは両脚に気を纏い、先ずは右の足でアスタロトの体に蹴りを連打する。次に回転しながら左右の足で交互に廻し蹴りを叩き込み、更に鳩尾を蹴り抜いた。
「うっ……!!?」
「だぁあああっ!!!」
そして、強烈な左のハイキックをこめかみに叩きつけ、ダメ押しの右の後ろ廻し蹴りで蹴っ飛ばした。
「ッ、人間にしてはっ……!!」
アスタロトは吹っ飛んでる最中に、羽を翻して空中で留まる。
蹴られた所が、ビリビリする。一発の度に攻撃は研ぎ澄まされ、更に威力が上がっている。
「……ハァッ、ハァッ……!!」
「……」
息を切らす、ヴィクトリー。無言で蹴られたこめかみを撫でる、アスタロト。
アスタロトの方は一瞬だけ何か考えた後、キッと目を鋭くして真剣な表情を見せる。
「……来なさい」
「だぁありゃああぁあああ!!!」
応じるように吼えたヴィクトリーの鉄拳を、腕を交差して防御するアスタロト。しかしその威力は凄まじく、彼女の体は猛スピードで地面に向かって吹っ飛ばされる。
「っ!!」
アスタロトは羽を翻して四つん這いになって着地し、その状態でズサササッと後退する。ようやく止まってから立ち上がり、ヴィクトリーの方に向き直した。
「これで終わりだ……!!」
ヴィクトリーは手を合わせ、そこに全身のエネルギーを凝縮する。
「くたばれ──────っ!!!!」
放たれたのは、『超かめはめ波』。一回り威力の跳ね上がったかめはめ波だ。
「!!!」
アスタロトはそれに対して両手を向け、『エナジードレイン』で吸収し始める。
「うっ、くっ、くくくっぐぐぐ……!!!?」
しかし、あまりのエネルギー量に押され、踏ん張る足も地面に埋まってしまう。
「うっ、ぐぐぐ、ぐぐぐぐぅ……!!!」
「波────ッッ!!!」
ここでヴィクトリーの気が一際大きく跳ね上がり、重圧なエネルギーがアスタロトに押し付けられた。
「!!!!」
気が炸裂して、大爆発を巻き起こす。衝撃波を伴った凄まじい爆風が吹き荒び、辺りに戦塵が立ち込めた。
「ハァッ、ハァッ……!!」
「……なるほど、確かに強い……けど、それが限界ね」
「……!!?」
土埃が晴れ、アスタロトが姿を現す。その手は少しだけ火傷しており、吹き荒んだ爆風によって髪が乱れていた。
だが……決定的なダメージは、一切無かったのだ。