もんむす・くえすと!ぱらどっくす×ゼノバース   作:ジョーカー:ゼノ

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グランドールへ行こう

 サラ女王は、核心を曇らせつつもおおよその事実を国民に伝えた。謎の妖魔に理性を奪われ、あのような振る舞いをしてしまったこと──

 

 そして、女王位からの退位を宣言。議会民主制度の導入を提唱したのだった──

 

「本当に良かったんですか?」

「女王を退位なんて、思い切った事すんだなぁ」

 

 ヴィクトリーは、仙豆を食べて全回復していた。そして、周りに仲間もいるからか、明るい顔を作ってる。

 

「ええ……あそこまでの乱行を重ねた以上、元首として居座り続ける事は出来ないわ」

「今回の発表でも、同情的な声の方が大きかったでしょう。だったら、無理に辞めないでも……」

 

 そう言うソニアに、サラは首を振った。

 

為政者(いせいしゃ)は常に推定有罪よ。サキュバスに操られていたなんて、言い訳にならないわ。それに元々、サバサには議会が存在しているの。これを機に、議会の権限を強化しても大きな混乱は無いわ」

「しっかりしてんだなぁ」

「確かに……女王の乱行時代、国民の政治意識は逆に高まった。民主制に移行するには、意外に好機かもしれんな」

 

 一人の女王の暴走で、国が滅びかけたのだ。今後このような事がないように、権力を市民に委ねる……サバサは、そうした方が良いのだろう。

 

「それに、私にはやるべき事が出来たの。このまま形ばかりの女王を続けるよりも、大切な事が……」

「それは、もしかして……」

 

 ソニアが察する前で、サラは一瞬で服を着替えた。剣を携え鎧を身に纏った、戦士の格好だ。

 

「もちろん、世界を救う旅よ! あなた達に同行させてもらうわ!」

「それは無茶ですよ! いくらなんでも、高貴な方をそんな……!」

「今の私、もう女王でも何でもないから。それに歳もほとんど同じだし、タメ口でいいわよ。そういう訳で、私もついて行くからね。よろしく、みんな!」

 

 こうして、サラが仲間に加わってしまった。しかし、実力は確かなので心強いっちゃ心強い。

 

「反対って訳じゃないし、心強いけど……でも、本当にいいのかなぁ……王族が、こんなパーティに入るなんて……」

「既にサン・イリア王様も居るからいいんじゃねぇか? あの人、ポケット魔王城でマキナの研究楽しそうにやってるし……」

「余も魔王だということを忘れてないか……?」

 

 心配するソニアに、ヴィクトリーが言う。思えば、王様はアリスを含めればこれで三人目だ。

 

「それもそうね……まぁ、いいか! よろしく、サラさん!」

「サラでいいわよ。よろしく、ソニア」

 

 ソニアとサラは、がっちりと握手した。歳も近く、二人は仲良くなれそうだ。

 

 そうしていると……ヴィクトリーとルカは、何か物々しい雰囲気で接近するものを感じ取った。

 

「ヴィクトリー」

「ああ……誰か来るぜ」

 

 ヴィクトリーがそう言いながら、振り返る。その視線の先から、近衛兵が走ってきた。

 

「女王陛下、至急ご報告です!」

「私は、もう女王じゃないんだけど……」

「サバサの元首である事には違いません。それより、マギステア村より急報です!」

 

 サラはそれを聞いて、顔色を変えた。

 

「マギステア……魔女狩りの村ね!?」

「マギステア村にて、大規模なテロ発生! 領主軍と反乱軍に分かれ、内戦状態になっているとの事!」

「内戦状態……? いったい、なんでそんな……」

「おいサラ、どういう事だ。話が掴めねぇぞ」

 

 マギステア村の名前には、聞き覚えがある。確か、何だかヤバい事になっているという噂は聞いたが……

 

「マギステア村は、魔導を修めた領主が支配している村。その旧弊的な体質は、前々から問題になっていたんだけど……その村に、自由と解放を求める反乱軍が結成されたの。それ以来、体制派との小競り合いが激化してたんだけど……ついに、蜂起に至ったようね。魔導が絡む争いだけに、かなり凄惨なものになるはずよ……」

「現地の駐屯兵は、領主軍と反乱軍の両方に歯が立たない模様。いずれも強力な魔導師であり、多くの魔物も加担しており……」

 

 どうやら、想像以上に状況は切迫している模様。早く行かないと、戦火で地図から消える村がまた一つ増えてしまうだろう。

 

「報告、ご苦労。下がっていいわよ」

「次の目的地が決まったな、ルカ」

「うん、こんな事見逃す訳にはいかない……僕達も向かって、何とかやめさせないと」

 

 拳をパンッと叩いて笑うヴィクトリーと、真剣な顔で言うルカ。そんな二人に、サラが向いた。

 

「いきなり軍が行くと、余計に混乱が大きくなる恐れがある……ここは、まず私が出向く必要があるわね」

「僕達も手助けするよ!」

「ああ……そんな馬鹿な事、一刻も早くやめさせねぇとな」

「ヒルデも行く……敵をやっつける……」

 

 ヴィクトリーとヒルデが、やけにやる気マンマンな模様。戦いの事となると明るくなるのは、いつもの事だったか。

 

「やむを得んな。魔物も加担している以上、余も黙認はできん。ノームとタルタロスはまた後回しになるが……難所に挑む前に、修行を積むのも悪くは無い」

 

 アリスも提案し、ルカ達も頷く。

 

「協力ありがとう、感謝するわ」

 

 という訳で、次の目的地はマギステア村である。犠牲が出ないうちに内乱を収めてしまおうという訳だ。

 

「マギステア村への道のりだけど、かなり遠くなるわよ」

 

 サラはそう言うと、地図を取り出す。そして、指差しで説明を始めた。

 

「位置的にはサバサ城の真西なんだけど……西部の山脈を、大きく迂回する必要があるわ。まずは北へまっすぐ向かい、川にかけられた大橋を渡るの。すると、その北西にサバサ最大の繁華街グランドールが見えるわ。川で隔てられているから、かなり回り込む必要があるけど……いったん、グランドールで腰を落ち着けましょう」

 

 グランドールと言えば、これまた噂になっている街だ。この辺で最大の繁華街という評判で、また大規模なカジノや大劇場まであるという。そう言えば、アリスフィーズ17世がルカとのデートに誘ったのもここだったか。

 

「そこからの道のりは、グランドールで聞いたほうがいいわ。いっぺんに言っても、覚えられないでしょ?」

「うん、そうだね。いったんグランドールまで行こう!」

 

 とりあえず、旅路は前述したようになるだろう。目的地は、『グランドール』だ。

 

「また長い旅路になりそうだけど、気を引き締めて行こう!」

「よっしゃあ! いっちょやってみっかぁ!」

 

 ルカの言葉に、ヴィクトリーは明るく応える。

 

「そうね、ガンガンいくわよー!」

「きゅきゅーっきゅ!」

「繁華街ですか……研究の対象になるものがあれば良いのですが……」

「ヒルデも、大劇場見てみたい……」

「ふふ、皆頼もしいわね!」

 

 意気込むメンバー達だったが……アリスは、黙ってヴィクトリーを見つめていた。

 

「……」

「アリス?」

 

 ルカが声をかけ、アリスは考えるものの……すぐに、表情を弛めた。

 

「いや、少し考え事をしていた。それよりも、グランドールだな! 世界中の食べ物があるらしいな……!」

「おっほーっ! ホントかよそれ! さっさと行ってマギステア村っちゅう所の問題も解決してから、飯もたらふく食おうぜ!」

 

 アリスの言葉に、ヴィクトリーも目を輝かせる。

 

「腹ペココンビね……」

「優先事項は覚えてるから文句も言えないわね……」

「きゅーきゅ」

 

 ソニアとサラは、苦笑いする。そんな二人の足元で、ヌルコはきゅーきゅー鳴くのだった。

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