ぐんちゃんの誕生日ですからなんとか間に合わせたかった……
相も変わらずスローペースですがのんびりとやっていきたいです。
「勇者に、武闘家ときたら。多人数プレイには向いてないけど……RPGありかな」
一人プレイ用のゲームをみんなでワイワイ助言しながらプレイする。アクションゲームもいいけれど頭を使ったりのんびりやれるゲームの方が最初はいいかなと考えた。
そこで今回は古き良き中世風な世界を舞台にしたRPGに決定。名作ゲームって人気があるから発売当時からあまり値段が下がらないことだってあるし、プレミア価格がついていることだってある。レトロゲーマーにとっては嬉しくもあり悲しくもある。
「竜の依頼もいいけど、最後の幻想もいい。いろんな伝説の始まりを体験できるのが魅力だけど、どっちも高いからなぁ……あえて一作で終わった名作に手を出してみようか。僕も郡さんも事前知識ゼロで楽しめるだろうしね」
噂だけは聞いていたソフトを手に取り、会計へ。財布の中身が瀕死になるレベルの値段だったけど後悔は……してない。うん。誰か僕の財布に回復魔法かけてくれませんか。
「えーっと……ざおりく!」
数日後。放課後の寄宿舎、いつもの広間でソフトを披露しながら財布が瀕死になったことを話したら高嶋さんが呪文を唱えてくれた。それはいいんだけど。
「かんちがい しています。それ蘇生魔法だから」
「ちょっと、『じゅもんが ちがいます。』が正解よ。勘違いしていますはネットで生まれたネタだから。実機で入力してもそれは出てこないんだけど。知らなかったの?」
実機というかソフトが高くて持ってなかったもので。郡さんの知識に舌を巻きつつ、ファミコンのセッティング完了。ソフトを差し込んでパチン、と電源ボタンを入れる。画面が暗転すると軽快な音楽と共にタイトル画面が表示された。
「ブレイブダイアリー……聞いたことないゲームね」
「当時のRPGブームにのっかって発売されたゲームらしいよ。ただしメーカーが無名で宣伝費もなかったからそんなに売れてないみたい」
「遊んでくれる人がいなかったんだ……ちょっと悲しいね」
「だけど、ネットのレビューは数は少ないけど高評価より。遊べばわかる隠れた名作としてちょっと話題になってるからやってみたかったんだ」
「地味に私欲じゃない。まぁ、そういうソフトは興味あるしいいセレクトね」
郡さんがコントローラーを握りながら苦笑しつつ、ボタンを押して首をかしげる。昔のソフトってAボタン押してもタイトル画面から進まないことが多いんだよね。大体STARTボタン。
すぐに押し直してセーブデータ選択画面に進んだ瞬間。僕らはおどろおどろしい音楽と共に予想外の現実と直面することになった。
ぼうけんのきろくは
きえてしまいました
ゲーム開始を妨げるレトロゲームつきものの問題。僕らは難題に立ち向かう……! ついでに、少しお出かけするような。今日はそんなお話。
数日後。セーブデータ消失を目にした僕らは未だにブレイブダイアリーをプレイできなかった。正確に言うと、プレイするんだけどセーブができない状況。昼休みの時間、それを打開するためにいろいろと調べた結果を報告しあうことになった。
「こんにちは、郡さん。お昼の時間に会うのってこれが初めてだね」
「確かにそうね。お互いに学年が違うから放課後以外ではなかなか会うことがないし。こういう時は一つ上の年齢であることが恨めしくなるわね」
「郡さんが同級生だったら、か。高嶋さんと休み時間はよく談笑してる姿が目に浮かぶよ。見てるだけで微笑ましいんだろうね」
「ちょっと、何見てるのかしら。気持ち悪いわよ」
「もしもの話で怒られた!? でもさ、恋愛ゲームって大体そういうシーンない?」
「なくはないけど大抵主人公とヒロインが談笑してるシーンじゃない。私と高嶋さんは同性。異性同士の恋愛を描くことが多いゲームの世界では成立しないわよ」
「いやいや、意外と最近はそういう恋愛ゲームもあるって聞いたよ」
「……私、あなたとの付き合い方少し考えようかしら」
僕の恋愛趣味はノーマルだよ? 女の子同士の恋愛も悪くはないけど、やっぱり僕は郡さんみたいな笑顔が素敵な女の子と恋愛してみたいから。からかわれながら弁当をつまみつつ話し合う。
「そういえば高嶋さんはどうしたの?」
「クラスの友達に誘われて一緒に食事中」
「……そう。高嶋さんには高嶋さんの付き合いがあるものね」
目に見えて表情が暗くなった。話題を変えよう。
「状況を整理しようか。今あのカセットに起きてる問題はセーブデータを記録できないってことだ。多分内部のバッテリーが死んでるんだと推測してる」
「バッテリーバックアップね。今ではセーブデータは外付けのメモリーカードや本体に記録するようになったけど、昔はカセットに保存するしかなかったって聞いたことがある」
「正解。カセット内部に仕込んだバッテリーで内部にデータを保持してるんだよ。そのバッテリー残量が空か、あるいは壊れているのが原因だと思う」
「厄介な問題ね。私ゲームはよく遊ぶけど修理は専門外よ」
「同じく。こうなったら勇者部を頼ってみようかな……」
「残念だけど、勇者部の方には私が当たってみたけど流石に無理みたいよ」
唯一可能性がありそうだったのは結城友奈ちゃん大好き東郷さん。実は彼女は勇者部のホームページを更新したり、パソコンやスマホをいじったりと勇者部No.1の技術力を誇るそうだ。
そんな彼女に郡さんは救援を求めてみたが、
「さすがに無理ね、ごめんなさい。家族機械は西暦時代の製造物だから修理方法が見つからないわ。説明書も材料もなしに修理はできないわね……」
とのこと。てか家族機械って何。多分直訳でファミコンのことだろうけど、なぜそうなった。
「だけど希望が完全にない訳じゃない。勇者部は私が入る前から色々活動してたみたいで、そういうことの修理ができそうな店と知り合いだったのよ。よかったら放課後一緒に行ってみない?」
「オッケー、予定空いてるし高嶋さんと三人で行こうか」
「ええ。それじゃあ、また放課後に」
ちょうど弁当を食べ切ったので、ここで一旦お別れ。放課後までのんびり授業だ。
それにしても放課後は僕、郡さん、高嶋さんで行動することが増えたなぁ。これも三人パーティか。勇者郡さん、武闘家高嶋さん。となると僕の職業は……なんだろう? RPG定番の職業でいうと戦士、僧侶、魔法使いが空いてるけど柄でない。どちらかと言えば裏方向きだと自覚してる。
その辺りのことも考えてみると面白いかもしれない。
楽しみで胸を膨らませながら向かうは教室へ。
――そんなボクらの姿を。
「ふぅん、あれが千景さんの友達かぁ。一個学年下ってことは私と同い年か」
物陰からこっそり見つめている一人の女の子がいた。
「千景さんは気難しそうだし、あっちから崩すのもありかにゃ?」
メガネの縁にそっと触れて女の子は思考する。
「こういうのは趣味じゃない。けれど私は部外者の勇者だし」
「多少は関係性良くした方が身のためってね。ちょっと利用させてもらおっかな?」
・竜の依頼もいいけど、最後の幻想~
DQやFFとかのアレ。しばらくRPGをネタにするつもりですが、大体はこの辺からネタ持ってくる予定。
・ブレイブダイアリー
架空のゲームです。残念ながら実在しませんが、色々とネタは既存のゲームから持ってくるつもりです。
・メガネ
最近花結い世界にメガネ増えましたね。あっちのメガネを出せるかどうかは未定……