ゲーム少年はぐんちゃんと遊びたい。   作:あおい安室

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最新話お待たせしました。
前の二話と比べるとだいぶ短いのですが、過去の経験からこういう短いシーンを積み重ねる方が得意な気がしまして、しばらくこっちの方でやってみたいと思います。
長い話を期待している方には申し訳ありません。


ゲーム少年と「配管工ゲーム」+

 郡さんとの関係が顔見知りからゲーム友達にレベルアップしたけど、そんなに日常が変化したわけではない。

 

「高橋君、ぐんちゃんが今日の放課後空いてたら広間に来て、だって」

 

「わかったー」

 

「えーっと……カメを倒した数で勝負。残機がお互い時点で0になった時点でカウント終了、だって。何のことかわかる?」

 

「わかる。今日も一勝負やりますかね」

 

 こんな感じに高嶋さん経由でたまに遊びに誘ってくるくらいしか変化なし。ちなみに僕はまだ郡さんの連絡先どころかクラスすら知りません。も、もうちょっと関係性進展させたい……! 

 

 今日のお話はそんな関係性の僕と郡さん、そして高嶋さんのお話。

 

 


 

 

「よーし、僕の勝ち!」

 

「くっ……! やっぱり何度やってもこれのジャンプには慣れないわね。ジャンプ中に軌道修正ができないゲームなんてこれが初めてよ」

 

「昔のゲームは大体そんなんだよ」

 

「……飛べる限界距離とかしっかり覚え直さないとキツいわね」

 

 放課後、寄宿舎の広間。いつものように郡さんとマリオブラザーズで対戦中。郡さんの腕前は日に日に上がっており、僕が負けることもたまにある。郡さんが勝つと得意げに笑みを浮かべることがあって、それを見ていると胸の奥が温かくなる。やっぱり笑っている郡さんは素敵だ。

 もちろんゲーマーとして負けたくないのでいつも本気で挑んでいる。でも笑ってる郡さんも見たいし……うむむ、ぜいたくな悩みとはこういうことを言うんだろうか。

 

「ぐんちゃんと高橋君楽しそうだね。そんなにそのゲームって面白いの?」

 

 声をかけてきたのは高嶋さん。今日は勇者部の活動はお休みということで、僕と郡さんのプレイを見学中だった。

 

「面白いよー。シンプルだからやりこみやすいし、二人同時プレイだと別の顔を見せる。これが昔のゲームの恐ろしいところなんだよね」

 

「あなたは昔のゲームの何を知ってるのよ……?」

 

「二人プレイやりたくても友達いないからできないむなしさ」

 

「ぐはっ」

 

「ぐ、ぐんちゃん!?」

 

「……発言した自分にも言葉の痛みが返ってきた。二人で遊んだらすごく面白いゲームなのに遊んでくれる友達がいなくて一人で黙々とプレイするのってなんかむなしいんだよなぁ」

 

「その気持ちわかるわ……ネット上での高評価ゲームを買ったらマルチプレイは凄く面白いけどソロプレイ要素がダメダメなゲーム……」

 

「開発のミスで自キャラが火力不足だから一人プレイじゃ倒しにくいにもほどがあるボス……」

 

「二人協力プレイ限定で入手可能なアイテム……しかも無駄に高性能……」

 

「……郡さん。声をかけてくれたらいつでも協力するよ。レトロゲーム以外にも最新のゲーム機もそこそこ持ってるから」

 

「その時は頼むわね……」

 

 やはり同じ悲しみを背負っていたか。本当にごめん、郡さん。

 

「い、今は遊べる友達がいるんだから大丈夫だよ……! それに私も一緒にゲームできるしね」

 

「え、そうなの?」

 

「ぐんちゃんに誘われて一緒によくゲームしてるんだ。このゲームがどういうやつなのかは二人のプレイを見てたらわかったし、私も一緒にやってもいいかな?」

 

「オッケー。じゃあ僕が交代しようかな。その間に飲み物でも取ってくるよ。希望は?」

 

「台所の冷蔵庫に入ってる麦茶! ぐんちゃんは?」

 

「私も同じで」

 

 了解。一緒に遊ぶ過程で郡さんから寄宿舎についていろいろと教えてもらったので、麦茶の場所はもちろん、意外なやつだとサラダ油やピーラーの場所まで知ってる。我ながら結構な頻度で寄宿舎に入り浸ってるなぁ。自宅並みに慣れてる場所だ。

 

 郡さんと高嶋さんのマグカップに麦茶を注ぎ、広間に戻る。

 

 

「わーっ! わーっ!! こ、このカニすごく早いよ!?」

 

「落ち着いて高嶋さん! いったんジャンプして上の段に逃げて! カニは私が対処するから高嶋さんはハエをお願い!」

 

 キャーキャー騒ぐ高嶋さんに、慌てながらも冷静に対処する郡さん。二人で楽しそうに遊んでいたのを見て……少し、胸の奥が切なくなった。

 

 

 郡さんとの関係はなかなか進展しない、というよりさせていない。

 

 なぜなら、高嶋さんと郡さんが凄く仲がいいから。高嶋さんも郡さんと一緒にいると普段よりも楽しそうに見えるし、郡さんはよく高嶋さんのことを嬉しそうに語ることがよくある。二人が親友関係であることは出会って間もない僕にもわかった。

 

 だから──その間に僕が入ってもいいのかな、なんて思ってしまう。

 

 郡さんの笑顔が見たい、っていう理由だけで一緒に遊ぼうとしている僕は二人にとって邪魔なんじゃないかな、なんて。ついつい考えてしまって関係性を進める勇気が出ないのだ。

 

 

 だけど……

 

「高橋君、暇なら高嶋さんのプレイを見てあげて。こっちは自分のことで手一杯なのよ」

 

「お願い高橋君! 高橋君のアドバイスがあったらきっと大丈夫だから」

 

 少なくとも、二人が一緒に遊ぶことを許してくれる今だけは。悩みも投げ捨てて、目の前のゲームに一生懸命取り組むとしよう。

 

「わかった、任せて!」

 

 

 

 なお、高嶋さんは割と上手かった。コツ覚えたらサクサク敵を倒したり、紙一重で火の玉をすり抜けたりと見ているこっちが驚くプレイを見せた。

 郡さんといい高嶋さんといい勇者部の人ってゲーム上手い人多くないですか。




最新話書きつつ、煮詰まった時の息抜きで挿絵を自作してました。
投稿遅れた原因それだろ、と言われたら返す言葉もないです(土下座)

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