ゲーム少年はぐんちゃんと遊びたい。   作:あおい安室

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おまたせしましたー。


ゲーム少年と「運動会ゲーム」

「そういえば今年運動会やってないなぁ」

 

 普段通りに授業を終えて明日の時間割を書き写している時、最近の体育で運動会の練習を全くしてなかった事に気づき呟く。なんとなく呟いたその言葉に高嶋さんが反応した。

 

「運動会やってなかったの?」

 

「うん。普段だったら一か月くらい前の時期にやってるんだけど、今年は事故やらなんやらで町中がごたごたしてたから開催できる状況にないと先生たちが判断したから中止になっちゃった」

 

「そうだったんだ……私も運動会は久しぶりにやってみたいなぁ。前の中学校は生徒数が少なかったから運動会は開けなかったし」

 

「あらら。あ、でも今年は勇者部だけでちょっとした運動会をやってた気がする。体操服姿で運動場を駆け回ってたような」

 

「言われてみれば前にそのことを少しだけ聞いたことがあるような……後で結城ちゃんに詳しく聞いてみよっと」

 

「ただ、僕は運動会そんなに好きじゃないんだよね」

 

「え、なんで? 体動かすのってすっごく楽しいよ?」

 

「高嶋さんは確かにそうだろうなぁ」

 

 きょとんと首をひねる高嶋さんを見ながら苦笑する。高嶋さんの運動神経の良さはそこそこクラスでも噂になっているし、空手部の助っ人をしているところを見たこともある。高嶋さんは恋愛ゲームに一人はいる凄く活発な女子そのものだと思う。

 

「僕も体動かすゲームは好きだけど、根っこがやっぱりゲーマーだから。あんまり運動はしない方だし体力もあんまりないから運動会はそんなにはね」

 

「そっかぁ……うーん、高橋君も運動会のゲームがあったら運動会のことが好きになるかな?」

 

「あはは、どうだろうねぇ」

 

 それにしつも、運動会か。何かを閃きそうな……いや、思い出した! 

 

「あれ、どうかした? 私何かおかしなこと言っちゃった?」

 

「大丈夫、ファミコンに運動会のゲームがあることを思い出しただけだよ。すごく面白いやつ」

 

「へえー。どんなゲームなの?」

 

「うーん……説明するよりやらせてみたほうが早そうだなぁ。郡さんも対戦ゲームが欲しいって言ってたしちょうどいいか。ソフト買ってきたら高嶋さんも一緒にやる?」

 

「やるやるー。運動会のゲームってちょっと気になるしね」

 

 よし、購入決定。 足も完治してるし、しばらく放課後はレトロゲーム屋巡りといこう。

 

 


 

 

 ある日の放課後、いつもの寄宿舎の広間。

 郡さんにここ最近町中を駆け回って入手した黒いカセットを差し出す。

 

「確かにこれは対戦ゲームだし、運動会のゲームね。私も聞いたことはあるからやってみたかったけれど……」

 

 香川中駆け回って入手した黒いカセットを見た郡さんも微妙な顔になる。やはりゲーマーの中では有名だからか噂を聞いたことはあるようだ。

 

「熱血行進曲……本気でやってもいいのかしら?」

 

「本気の郡さん相手とかれいほうチームを使わざるを得ない」

 

「それ反則チームって聞いたんだけど。さてはあなたこのゲームやりこんでるわね」

 

 1Pプレイしかやってなかったけどゴリゴリにやりこんでおります。

 

 熱血行進曲。正式名称は『ダウンタウン熱血行進曲それゆけ大運動会』と非常に長い。運動会をテーマにした対戦ゲームで、プレイヤーは4つのチームから1チームを選んで全4競技を戦い抜く。対戦時は結構盛り上がるし、今なお根強い人気を誇るファミコンの名作対戦ゲームなんだけど……

 

「一応記憶の限りで各チームのキャラステータスのメモ作ってきた」

 

「見せてちょうだい……うわ、れいほうチームは噂通りの強さね」

 

 4チーム間のバランスがあまり良くないという対戦ゲームとしては割と重大な問題がある。

 

 よく言われるのが『れいほうチーム』。このれいほうチームはほかのチームよりも強い選手が多く、対戦プレイでは使用禁止のローカルルールが設定されることも多いと聞いた。故に、面白いけど評判が良くないゲームなのだ。友情破壊ゲームと呼ばれることもあるとか。

 

 だけど、チーム間の力の差をひっくり返すという面白さもあるし、上級者と対戦するときの初心者用のチームにもいいから致命的な問題とまでは言い切れないのが実状である。

 

「ひとまず慣れるまではれいほう使っていいけど、本気でやるときはマジでやめてくださいお願いします。郡さんレベルのゲーマーが相手だと勝ち目がないです」

 

「ふふっ、わかったわ。私もあなたとはフェアにやりたいし。早速やりましょうか」

 

「よっしゃこい! ……と言いたいんだけど一つ聞いてもいい?」

 

「何かしら?」

 

「……高嶋さんどこ?」

 

 広間を見渡すが赤毛の少女こと高嶋さんはどこにもいない。おかしいな、今日は高嶋さんも一緒にゲームする予定だったのに。

 

「勇者部の依頼を調整して讃州中学から遠ざけたわ」

 

「何やってんの!?」

 

「それはこっちの台詞よ。対戦ゲームどころか、状況によっては喧嘩に発展しかねないゲームを高嶋さんにやらせようとするとか……あなた何考えてるのかしら?」

 

 ひえっ、郡さんの視線の温度が氷点下に! おまけに怒気もこもってるから怖いのなんの。

 

 郡さんと高嶋さんは親友だとは思ってたけど、郡さんの高嶋さんへの思いはただ物じゃない気がする。マリオブラザーズやってる時は全く対戦しようとしないし、協力プレイする時も高嶋さんの邪魔にならないように慎重にプレイしてたのが印象深い。邪魔をしたときは必死に謝ってたな。

 

 ……郡さん東郷さんみたいにならないよね? 不安になってきたけど今はゲームだゲーム。

 

「一応これ協力するゲームもあるからさ。高嶋さんと対戦する時も邪魔しないようにフォローすればいいんじゃないかな?」

 

「確かにそうだけど……それだと対戦ゲームの意味がないじゃない」

 

「じゃあ高嶋さん相手でも容赦なく戦おうよ」

 

「それで高嶋さんに嫌われたらあなたの命で責任を取ってもらうわよ」

 

 郡さんの発言が冗談に聞こえなくて怖い。

 

「大体これって格闘ゲーム要素があるんでしょう?」

 

「あるね。ダウンタウンシリーズではおなじみ要素」

 

「これ高嶋さんにやらせたら私やあなたでも勝ち目がないかもしれないわよ」

 

「は?」

 

「高嶋さんが格闘ゲームに興味を持ったことがあったから一度だけ対戦したことがあるんだけど、操作のコツをつかんだら私があっさりとコンボ決められて負けたわ」

 

「……手加減は?」

 

「最初はしてたけど中盤からは本気で戦ったけど、立て直しきれなかったわ」

 

 冗談……じゃないよなぁ。郡さんは高嶋さんのことで嘘はつかないし。

 

「私も信じられないけど、恐らく高嶋さんは格闘技がすごく好きで現実でもかなりの実力があるからその応用で格闘ゲームは強いんだと思うわ」

 

「高嶋さんそんなに強いの?」

 

「多分『まっはぱんち』が現実でできるわよ」

 

 そんな馬鹿な。高速パンチとか現実でやろうとしたら意外と反動があって難しいんだけど。

 

 

 

 翌日、早朝の教室にはいつも通り高嶋さんがいた。

 

「おはよう、高橋君。昨日はごめんね、急な依頼が入っちゃって。え、謝らなくていいから片手で高速パンチしてみて? いいよー。右手で構えて……はああっ!!」

 

 パンチすごく早い。マジで『まっはぱんち』だこれ……高嶋さん恐るべし。

 

「ところでさっきから気になったんだけど、高橋君の左のほっぺた腫れてない?」

 

 虫に刺されてしまいました。

 

 

 本気でやりすぎてキレた郡さんにビンタされたとか言えないよなぁ……




運動会やってない
ゆゆゆい世界では初年度の運動会はやってないと思われます。
最初の運動会イベントが勇者部単独開催みたいなので全校ではやってないと判断しました。
ちなみにそのイベントはまだのわゆ組どころかわすゆ組すらいない貴重なイベント。

格闘ゲームが強い高嶋さん
オリジナル設定ですので公式ではない……と言いたいんですが私も関連媒体を全て押さえれていないんで、詳細は不明。
ゆゆゆいのSRとか地味に使える設定出ることあるけどフルコンプは無理です……

まっはぱんち

熱血硬派くにおくん、およびダウンタウンシリーズに登場する必殺技。
片手で高速パンチを繰り出すが、見た目程威力は無い『はったりぱんち』。
千回連続パンチする高嶋さんならできるはず。
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