自分の女の子みたいな顔が嫌いだ。
昔はそうじゃなかったのに、君のせいで
「戸塚ってさ、女みたいだよな」
「戸塚君、女の子みたいに可愛いね」
そんな風に言われることが多かった。別に嫌な訳じゃないけど、嬉しいわけでもなかった。男の子だから、かっこいいって言われたい気持ちの方が強かった。
なのに…
「戸塚は可愛いなぁ…」
君に言われると、胸が高鳴ったんだ。
君を見つけたのは一年生の時、一人で廊下を歩いている時だった。目が腐っていて、少し猫背な君は、不気味に見えて、怖い人だと思ったんだ。君はいつも一人だった。でも、寂しそうにも、哀しそうにも見えなくて、強い人なんだと思った。2年生になって、君は授業でテニスをとっていた。
でも、いつも一人で壁打ちばかりしていた。その時の姿勢が綺麗で、いつも君を見ているようになった。テニス部の部長になった僕は、皆を引っ張っていけるようになりたくて、友達の由比ヶ浜ちゃんに相談したんだ。
由比ヶ浜ちゃんが、君を紹介してくれたんだ。
君は同じクラスの僕を覚えていなかったし、僕のことを女の子だと間違えていた。あの時はちょっと嫌だったんだ。
でも、でもね。君は僕の悩みを聞いてくれた。僕のために、解決しようとしてくれた。成り行きで三浦さんとテニスで対決することになったのも、君が僕のために怒ってくれたからだった。君はいつも一人で、他人に興味なんてありません、なんて顔をしているけれど、本当はとっても優しい人なんだって、そのときに気付いたんだ
ずっと君のことが気になっていた
ずっと君を見ていた
けど、君は僕が思っていたより、ずっと素敵な人だったんだ
だから僕は、君に恋をしたんだ
でも、僕は男の子で、君も男の子だから。君の周りには、素敵な女の子が一杯いるから。言うつもりなんて、無かったのに
「可愛いなぁ戸塚ぁ…」
止めてよ
「俺に味噌汁を作ってくれ…」
ああ、君はなんて酷い人なんだ。
そんなことを言われたら。そんな風に言われたら。もしかしてって、期待しちゃうじゃないか
「彩加…」
名前で呼ばれただけで、頬が弛んじゃうんだ
「八幡ッ」
君の名前を呼ぶだけで、愛しくて堪らなくなるんだ。
お願いだよ、八幡
僕に夢を見せないで
もしかしたらなんて希望を、僕に与えないで
僕は君が好きなんだ
きっと君も僕が好きなんだと思うけど
違うんだ、君の好きとは違うんだ
ああ、なんでこんな女の子みたいな顔でいるんだ
僕に希望を与えるこの顔が
僕を諦めさせてくれないこの顔が
君が可愛いと言ってくれるこの顔が
大嫌いだ
はい、ボーイズラブの作品です
投稿は週一か週二ペースの予定です