れんげ「ひか姉の様子がおかしいのん....」ガヴリール「『最近の同級生の様子が少しおかしいんだが』ってスレ立てとこ」   作:開屋

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ごういんな手段を使った

 昨日の晩、好奇心に負けてヴィーネの書いていた日記に書かれていた内容を読んでしまったひかげは中々寝付くことが出来なかった。

 

「あいつが天使なのがホントだとしたらその界隈もう終わってんだろ......」

 

 全く以ってその通りである。なおもあれが首席で卒業したと聞けばもう天使も何も信じられなくなるだろう。だが残酷なことにそれが真実なのである。天界屈指のホープがアレなのである。ついでに言うとひかげが怖いと形容した彼女が次席で卒業しているのである。改めて考えてみるとヤバいな、天界。

 

 

 

 寝不足なひかげにお構いなく、目覚まし時計は昨日と同じ時間に鳴り、同じ時間を空けてスヌーズが掛かる。思わず二度寝してしまいそうに放ったがどうにか持ち堪えることはできた。昨日の話によればヴィーネはガヴを起こすのが日課になっているようだし早め早めに行動しなければならないようだ。こうも自分を律するというのは性に合わない。適当な朝食と身支度を済ませ、ガヴリールの部屋に行く。今更だが何が悲しくてあんなヤツのモーニングコールを任されにゃならんのだ。

 

 インターホンを鳴らして少し待ってみるが反応はない。面倒臭くなってすぐ出発しようと思ったが、そういえば今回は合鍵を持ってきているんだった。また昨日みたいな面倒な絡みをされるのもこちらの気に障る。繰り返し言うけどなんで向こうは自分が施しを受けている側だという負い目を感じていないというのか。正直その厚かましさだけは羨ましい。人間性に関しては尊敬しないけど。というかあの日記がマジなら人から尊敬されない天使って何なのさ......

 

 仕方ないので合鍵を使って部屋に入る。うっわ汚っ。三日周期くらいでゴキブリ出てそう。ロクでもない第一印象から部屋の奥を見ると何かが横たわっている。ああ......これを起こすんだな。

 

「おーい、起きろー」

 

 そう言って肩を揺する。

 

「ん......ん」

 

 おお、正直思ったよりかは早く反応してくれた。これなら一穂を起こすよりかは楽そうである。

 

「早く起きないと遅刻するぞー」

 

 さっきより少し強めに揺する。

 

「んあぁ......?なんだよ......まだ大丈夫でしょ」

 

 そう言って再び夢の世界に入ろうとする。前言撤回だ、コイツも大概タチが悪い。もしかしてコイツが今下界にいるのって罰が当たった所為とかそんなんじゃないんだろうか。そうでも理由をつけないとこの体たらくは説明できない気がする。というか時間的にこちらもうかうかしていられない。あまり手荒な手段は使いたくなかったが......

 

「おうらぁ!とっとと起きんかい!」

 

 そう叫んで力任せに布団を引っぺがす。それでもガヴリールが起きる様子はない。というか起きようとしない。だがここまでも想定内である。ひかげは部屋の台所まで行って適当なものを物色する。ガヴリールの部屋はヴィーネのとは対照的に三角コーナーに捨てられたカップ麺の残りなど、いかにも一人暮らしをしている学生の家のキッチンだった。

 

 ふと思い返してみればヴィーネは悪魔として生きており、ガヴリールは天使として生きている、らしい。それを踏まえた上でヴィーネとガヴリールの部屋のキッチンの様子を改めて比較する。......うん、もう何も言うまい。

 

「それにしてもここ見事に調理器具が奥の方にたくさん詰め込まれてんな......適当にこの辺りのを引っ張り出して......っと」

 

 文字通り手荒な手段である。それなりのサイズのフライパンとフライ返しを持ってひかげはガヴリールのそばまで近寄る。

 

「(にしてもコイツ普通にしてたら大分綺麗なのにどうしてこうなっちまったんだ?正直もったいないよなぁ)」

 

 改めてガヴリールの顔を見たひかげは一瞬余計なことを考えるが、すぐにそれを振り払ってフライパンとフライ返しをガヴリールの耳元に構える態勢に入る。そして

 

 

「起きろぉ!こんの駄目天使がぁ!!」

 

 

 

 

         バァァァァァァン....!

 

 

 

 

 渾身の一打はガヴリールの耳をつんざいた。ひかげはすぐさま二発目の準備に入ろうとする。

 

「あぁぁ、もう分かった起きる!起きるからそれはもう勘弁してって!」

 

 年貢の納め時を悟ったガヴリールが起き上がる。その様子を見たひかげは器具を元の場所に戻しに行く。

 

「大体そんなもんどっから持ってきたんだよ......」

 

「アンタの部屋だよ。使わなさ過ぎてそれさえも忘れたってか......」

 

 やれやれといった様子でひかげはため息を吐く。

 

「これ戻せないんだけど、どんな収納してたんだよ......」

 

 面倒臭くなったひかげはとりあえず流し台の所に器具を置いた。

 

 

 

 

「にしても今日は一段と強引な手段遣ってきたな......」

 

 眠そうに眼を擦ってガヴリールが言う。

 

「そりゃあ昨日あんな言われ方されたら意地でも起こそうと思うって」

 

「つかあのやり方大丈夫なの? 絶対いつか他の住民から苦情来るよ」

 

「うっ......というかそもそも起きないアンタが悪いだろ。こっち次第で昨日みたいに勝手に行くことだってあるかもしれん訳だし」

 

「......」

 

 予想していたような減らず口を返してこなかったガヴリールに少しひかげは焦って

 

「ま、まぁ別にそんなつもりはないから心配すんな。」

 

 と、フォローを入れた。

 

「そ、そうか......」

 

 ガヴリールの返事も少しぎこちないものだった。




 ちなみに私のリアルにも布団を引っぺがすだけじゃ起きない同級生がいます。
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