れんげ「ひか姉の様子がおかしいのん....」ガヴリール「『最近の同級生の様子が少しおかしいんだが』ってスレ立てとこ」   作:開屋

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 のんのん時空です


ものすごい謎が残った

 ちょいと時間を戻して宮内家のお泊り会の夜に焦点を当てる。晩ご飯を終えここからは神聖な女子トーク(?)の時間である。全員が布団の上に寝そべり意の向くままに話し倒す。なんとも雅な時間ではないか。

 

 だが今はまた少し毛色が違う。そろそろトークという名目の詮索が始まる。口火を切ったのは今回も夏海だ。

 

「そういやひか姉って今日かず姉の料理手伝ってたよね?」

 

「うん、そうだけど......」

 

「今日の晩ご飯めっちゃ美味しかったよ!」

 

「そ、そう?よかったぁ......」

 

「今まであんまりひか姉が料理してるの見たことなかったからさ、正直どんな感じなんだろうって思ってたんだけどビックリしたよ。れんちょんもそうだったんじゃない?」

 

「ウチもびっくりしたのん。なんで今まで教えてくれなかったん?」

 

「へっ?それは......」 

 

 トーク早々に言葉に詰まった。どう答えればいいんだろう。料理をする姿を見せなかった理由の説明......模範解答になるような言い訳が何も思いつかない。そもそもあの時に手伝いに入ったのは何かしらの形であの時の惨状から目を逸らしたかっただけだし......

 

 

 そこから少し考えて

 

 

「な、何だかんだ言って料理って面倒臭いじゃない?色々やらないといけないこととかもあるし......」

 

 あんまり本音と違うことを言うのはヴィーネにとって少々辛かったが、思いついた出来合いの理由は作ることは出来た。

 

「そうなのん?でもウチもっとひか姉の料理食べてみたいのん!」

 

 れんげからの猛プッシュが来る。

 

「こらこられんげ、あんまりひかげに無理言っちゃだめだよ。まぁ確かに気持ちはわかるけどね。」

 

 小鞠さんそれフォローになって無いです。本音漏れてます......

 

「まぁ別に料理作るくらいなら構わないけど。」

 

 料理は好きだから作るのはやぶさかでもないしそれくらいで皆が喜んでくれるのならいいけど......

 

「ほんとなのん?」

 

 思ったよりれんげがここに突っ込んでくる。

 

「そんなことで嘘つかないって」

 

 そうヴィーネが笑うと、あんまり表情を前面には出してはいないがれんげが嬉しそうなのが分かる。

 

「よかったね。れんちゃん」

 

「うん、嬉しいのん。あのね、なっつんが言ってたのん。もしかしたらひか姉——」

 

「だぁぁ!ストップ!はいいっぺんその話は終わり!」

 

「どうしたの?なにかあったの?」

 

「い、いやぁ何でもないんだよひか姉、何て言うかそのひか姉、向こうからの帰りたてのせいかまだ都会の方の雰囲気が残ってるような気がしたってだけだよ、ねぇねーちゃん?」

 

「えっ? ああ、うんそうそう。いつもだったら東京の方でこんなことがあったーって話してるし、でも今日はそんな話全然してないからいつもと違うって思っただけで—」

 

 そこまで言って小鞠は口をつぐんだ。やっぱりいつもと違うって思われてたんだ......まぁさすがに面識のない人に完全に化けるなんて芸当はできないし仕方ないけど......

 

「そ、そうかな?いつもと違ったりするかな?」

 

 とりあえず蛍に訊いてみる。

 

「そ、そんなことは別にないですって。いつものひかげさんだと思いますよ!ですよね夏海さん?」

 

「へっ? えっと......うん!そうそう、向こうでの話をしてないこと以外はいつもと変わらないと思うけど......いや、別にそんなことはないかも知れないけど......あれウチ何言ってんだ?」

 

 ああこの子達目が泳いでる!絶対こっちに気を遣ってる!もう夏海ちゃんに関しては隠し切れてもないし!えっとなんだっけ、東京での話?私が住んでるの東京じゃないし正直よく分かんないけど、ひかげさんは帰ってくるとそこでのお話をしてるってことなんだよね......ここで何かそういう話が出来たら向こうの疑念も無かったことになりそうだからとりあえず何か話さなきゃ......

 

 東京、えっと都会で、ビルがたくさんあって、ってさすがにこれじゃ抽象的すぎるよね。あとは人が多い、電車が多い、これも具体性無いし......ああもうどうにでもなれ!

 

 

 

「向こうでの話? ああ、えっと......すごくビルがあって人も多いしやっぱり都会って感じかな。あと電車がものすごく多くて分刻みで来るんだもん」

 

 

 

 あれ?何言ったんだろ私......ヤバい、勢いに任せたせいで色々おかしくなってしまった。絶対に変に思われたよねコレ......聞いてる四人もポカンとしてるし。ごめんなさい本物のひかげさん、多分間違いなく変な人だと思われてしまいました......

 

「なんだ、いつものひか姉じゃん」

 

 え?

 

「だねー。なんか安心した」

 

「いつものひか姉なのん。これじゃ彼氏なんてのもきっと勘違いだったのんな」

 

「おいおい!れんちょんそれ今言っちゃダメだって!」

 

 いったい今目の前で何が起こっているのだろうか。勢いのせいでさっきの発言の記憶は曖昧だけど、歯抜けの記憶の欠片を拾い集めて思い出したところで間違いなく変なことを言っていたはずである。

 

 ......からの『いつも通り』。もしこれがホントだとしたら本物のひかげさん東京で何見てるんですか......あと気になるのは彼氏がどうとかいう発言である。いやでもこれに関しては真偽はさすがに分かりかねるし、そこまでプライベートなことだと間違ってたら大変だし訊かれた所であまり明言はできない。出来ればそこについてはあまり尋ねられたくないものだ。

 

「今覚えば色々考えすぎてたな、じゃあもう隠さなくていいか!ねぇもしかしてひか姉って向こうで彼氏とか出来たの?」

 

「ちょっと夏海!? それはさすがにダイレクトに聞きすぎでしょ!?」

 

「いーじゃんいーじゃん。みんな気になってたことなんだし?」

 

 フラグ回収が早すぎる!まだその質問が来たとしての答えのマニュアルを考えてたとこなのに......こればっかりは分からないしどっちともはっきり言いようがない。とりあえず何か言わないとダメなのに......

 

「えっと、それは......えっと......」

 

 このヴィーネの返事に再び空気が変わる。

 

「えっ?」

 

 最初は冗談っぽくしていた夏海の顔が強張る。これは間違いなくアレだ。うん。絶対とは言い切れないけど九分九厘アレだよ。

 

 

 最大の謎を残したまま宮内家での夜は更けていった。

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