れんげ「ひか姉の様子がおかしいのん....」ガヴリール「『最近の同級生の様子が少しおかしいんだが』ってスレ立てとこ」   作:開屋

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意外といい人だった

 翌日、ヴィーネが起きた時にはまだ誰も起きていなかった。普段よりかは長く眠れた分すっきりと目が覚めた。周りを起こさないようにそっと布団から出る。さて、これからどうしようか。

 

 少し考えて結局もう一度外に出ることに決めた。どの時間帯でもそうだが、特に朝早い時間帯だと大変空気が澄んでいて非常に心地よい。周辺を歩くとこの時間帯にも関わらずもう起きて農作業に勤しんでいる人もいる。何というか、非常にゆったりとしていて、のんびりとした雰囲気である。スーパーはおろかコンビニすらなく、まるで時計の針が止まってしまっているようにも思えるほどであった。改めて考えてみると、自分の住んでいるところと比べてみると全く違う場所である。

 

 最初は割と早く帰るつもりであったが、もう少し足を延ばしたいと思った。そこから少し歩くとトンネルがあった。こういう所でのトンネルは向こう側に何か面白いものがあるような気がして、無性に冒険心をくすぐられてしまうものである。ヴィーネもその好奇心に引き寄せられトンネルへと入って行った。

 

 そもそもトンネルの中を歩くという経験がなかったしちょっとドキドキもした、が、それ以上に思った以上にトンネル内が暗かったことにヴィーネはドキドキしていた。

 

 田舎道のちょっとしたトンネルを抜けると小さな店があった。どこか懐かしいような、それでいて幼少期の頃によく覚えのある店構え。近づいてみると駄菓子屋であった

 

 ......駄菓子屋?不意に昨日の記憶が蘇ってくる。よく見ると店の中で誰かが準備をしているのも見える。残念ながらその人こそ見覚えのある、というか昨日見た『駄菓子屋』その人である。

 

 思わず足を止めてしまった。どうしよう、会うにしてもどんな顔をして会いに行けばいいかが分からない。今駄菓子屋の顔を見れば間違いなく顔は覚えてるけど名前を覚えてない人に声を掛けられた時みたいな、もんのすっごい引きつった顔にでもなりそうである。アレの気まずさったらホントありゃしない。

 

 どうしようもなく手をこまねいていると向こうがこちらに気づいてしまった。ヤバイ!こっちに来てる!でも逃げるのも失礼だし......

 

「......どうしたんだひかげ?」

 

「ひゃいっ!?」

  

 いきなり声を掛けられてつい冷水を掛けられたような反応をしてしまった。

 

「こんな早い時間に起きてるとか珍しいもんだな。なんか買い物でも頼まれたのか?」

 

「いや、何となくぶらついてただけというか......特になにも無いけど......」

 

「ふーん......」

 

 そう言って楓はこちらをジロジロ見る。

 

「お前なんか隠してないか?」

 

 図星である。隠し事なんてそんな些末な問題じゃない。全てを隠して今生きてるわけで。

 

「えっ......と」

 

 どうしようこれ今告白するべきなのかな?でも今の状況映画とかアニメの世界だから信じてもらえるような話じゃないし。でも『無い』って言うのも何か間違ってる気がする。それでもせめて何か答えないと......

 

 

 

「その、もしかしたら好きな人がいるかも......っていう」

 

 あーもうだめだ、また変なこと言っちゃった。当然それを聞いた楓は驚いた顔をして

 

「......マジで?お前に?」

 

 と、訊いてくる。

 

「いやいや、私じゃなくて......」

 

 どう言えばいいんだろう。そもそも昨日の会話で『彼氏』って言ってたの思い出したから、あの三人のうちの誰かに彼氏がいるのかもしれない、って思って言っただけだけど、その理由も一番言いたかった自分の正体についての隠れ蓑で......ダメだ自分でも意味分かんなくなってきた。言い訳のミルフィーユの層がどんどん増えていく。

 

「落ち着け落ち着け、一旦冷静になれ。話は聞くから、な?」

 

 どうにも落ち着かないのを楓は諭す。雰囲気に反してこの人良い人なのかな?昨日もわざわざ来てくれたみたいだし......その後のことについては事故とはいえノーコメントだけど。

 

 

 

 

 

「なるほど、夏海か小鞠か蛍の誰かがねぇ......」

 

 何とか言おうとしていたことを伝えられた。本心では無いけど。

 

「まぁそんな感じかな」

 

「にしてもそんなに考えこんでこんな時間にここまで来るってのも何かお前らしくないな」

 

「そ、そうかな?」

 

「まぁ別にそこに突っ込もうとは思わないけど、あの中の誰かに彼氏?正直想像もつかないけどな。」

 

 楓がそう言って笑う。

 

「そう?」

 

「だってそもそも同じくらいの歳の男がほとんどいねーし。いるとしてもメガネくらいだろ?」

 

「あぁ......」

 

 『メガネ』のことを思い出してヴィーネは『多分ないな』と苦笑いする。

 

「万一それがあるとすればそりゃ蛍ちゃんってことになるだろうが、さすがに考えすぎなんじゃないか?」

 

 確かに、そう言われてみればそんな気がしなくもない。何となくこの駄菓子屋さんは話しづらいイメージがあったが、こうやって話してみると意外とそうでもなかった。その後少ししてヴィーネは家の方に戻ることにした。

 

 

 

 彼氏、かぁ。確かにこう歩いて行っても年の近い男の人の姿とかは見当たらない。どうやら考えすぎていたようだ。

 

 とは言ってもやっぱり気になってしまうものである。家に戻ったらとりあえずちょっとだけそう言う話をしてみようと思った。一番怪しいのは....うん、あの子にちょっと聞いてみよう。どうせ考えすぎてるだけなんだろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......(クシュン!)」

 

「にーちゃんどうした? 風邪でも引いた?」

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