れんげ「ひか姉の様子がおかしいのん....」ガヴリール「『最近の同級生の様子が少しおかしいんだが』ってスレ立てとこ」   作:開屋

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間一髪だった

「......とまぁこんな感じです。大体合ってますか?」

 

 ラフィがひかげに確認する。

 

「はいまぁ、そんな感じで......てかなんで私がタプリスさんとか黒奈さんとかに詰められてたことまで知ってんですか......?」

 

「どうしてでしょうかね?ふふ」

 

 そういやあの時二人から解放された後、真っ先にラフィが現れてた気がする。うっわマジかコイツ......めちゃくちゃ怖いじゃん。もう弁明できないだろ......問い詰めたところで当のラフィを追いつめられる自信がこちらに微塵もないのが非常に歯痒いものである。

 

「どういうことなの? 実はヴィネットってひかげって名前だったってこと?」

 

「アホの言う事は放っといて......つまり君はヴィーネじゃなくてひかげって人間だってことだな?」

 

「まぁそんな感じです......なんかほんとスミマセン......昨日の朝起きたらこの人になってて」

 

 我ながら意味の分からない説明である。そもそもまずひかげ自身が最後までこの状況になった経緯が分からんのだし、ひかげには実際問題どうしょうもない。

 

「それじゃ何か私が違和感があったっていうのも......」

 

「まぁ、タプリスさんの思ってた通りってワケです。正直あの時は肝冷やしたなぁ......」

 

 実際タプリスの鋭さにはかなり追い詰められたものである。押しが強ければラフィより先に指摘されていたかもしれない。

 

「ちょっと待て、それなら本物のヴィーネはどこにいるんだ?」

 

 不意にガヴリールが口を開く。当然周りもそれは気になっていたようで『うんうん』と相槌を打つ。

 

「んー......今私がここにいるっていうことは多分、元の私がいた場所にそのヴィーネさんとやらがいるという事になるんじゃないかと」

 

 ひかげが少し自信なさげに言う。こればっかりはホントによく分からない。

 

「まぁ細かい場所が分からなくても何とかなるでしょう。皆さんしばらく待ってもらっててもいいですか?」

 

 ラフィが笑って言う。どういう事だ? しかし他のメンツは何故かラフィの発言の真意が分かっているようである。え? この状況では分からないのがイレギュラーなの?

 

「それでは......今ヴィーネさんのいる所へ......!」

 

 いきなりラフィがそう言うとなんか聖なる光みたいなのが出てきた後、すぐに姿を消してしまった......手品?

 

「えっと......今何が起きたんすか?」

 

 ひかげは思わず残ったメンバーに訊く。

 

「あれは『神足通』って言って、行きたいと思った場所に行ける天使の使う事のできる能力です」

 

 何でもアリかよ天使。行きたい所に瞬間移動とかルー〇じゃん。MPというか何かしら消費してそうだけど。

 

「それなら他の天使の方も使えるんじゃないですか?」

 

 ガヴリールとタプリスに訊いてみる。

 

「うーん、これも本人の力次第で上手く行かない時もありますし、あんまりにも距離が遠ければ分からないですね。白羽先輩レベルの天使なら多分問題ないかとは思いますが......」

 

 タプリスがそう答える。

 

「うーん、私は多分無理だね。一回だけ学校行く時使おうかと思ったけど大失敗してエラいことになったし。いやー、あん時は私も世界滅ぼすこと考えたよ。あっはっは」

 

 笑い事じゃねえだろ駄天使......何度でも言おう。このお方、天真=ガヴリール=ホワイトは天使学校を類稀なる才能を以て首席で卒業した、将来を嘱望された超優秀な天使『だった』と。

 

「ちょっと待って、あとちょっと....ようやく分かったわ。アンタはそもそもヴィーネじゃなかったのね?」

 

 ようやっとか。サターニャはもうダメかもしれん。まぁちょくちょく怪しいと指摘もされたし、からっきしってな訳では無さそうだが。

 

「やっぱり最初から私の目に間違いはなかったわね。どう見ても最初から怪しかったもの」

 

 どうしてこうも自分にとって都合のいい解釈が出来るのだろうか。ふと夏海の『シュレディンガーの月見団子』理論を思い出す。どこか、というか色々抜けててそれでも憎めない辺りサターニャは夏海と似ているところがあるのかもしれない。

 

「ちょっとあんた何笑ってんのよ!?」

 

 いやゴメン、何かちょっと面白くなっちゃって、とも言えないので『何でもないです』と返しておいた。その様子を傍からじっと見る気配を横から感じた。身に覚えのある視線である。

 

「......でもあなた、正直本物よりも悪魔っぽい」

 

 メイがこちらを同胞を見るかのような目で見てくる。それは誉め言葉なのか? どうもこの悪魔相手だとペースを悉く崩されてしまう。

 

「確かに......なぜでしょうか......?」

 

 逆にタプリスはこっちの方に警戒心を示している。どうして普通の人間である私が悪魔に興味を示され、天使から距離を置かれにゃならんのだ......

 

 というかこの好奇に当てられている感じも何かムズムズするから早く戻ってきてくれラフィ......

 

 

 

 

 

 

 

 さてこっちはこっちでマジで大変なことになる5秒前の宮内家。もうヴィーネの理性は限界を迎えており、まさしくDead Or Dieの状態である。

 

「ひか姉どうしちゃったの!? てかホントにひか姉なの!?」

 

 ひか姉ってそもそも誰!? もう分かんない!どうにでも——

 

 

 

 

 このタイミングで家が閃光に包まれ、みんなの前に見たことのない人(?)が現れる。

 

「うわっ!? 今度は何!?」

 

 思わず小鞠が大声を出す。眩しかった光が収まると、ヴィーネを含めた全員の前に、制服を着ていて頭の上に輪っかが付いていておまけに羽まで生えている『いかにも私が天使ですよー』と言わんばかりの何かが現れた。

 

「あっ、引っ込めるの忘れてた......ちょっと今のは無かったことに......」

 

 いきなり現れた謎の存在は決まり悪そうに訳の分からないことを口走る。少しして見ると今度は制服を着た『いかにも私は女子高生ですよー』と言わんばかりの女性になっていた。

 

「ラ、ラフィ!?」

 

 思わぬ登場にヴィーネが目を見開いて言う。馴染み深い知人の姿を見て少し落ち着いたのか、ヴィーネも元の女子高生スタイルに戻っている。そして当然残りの人間組は何も状況が理解できない。

 

「えっと......あなたは一体......?」

 

 誰もが気になっていたことを蛍が代表して尋ねる。それを受けたラフィは笑って答える。

 

「私ですか? 私はひかげさんの同級生ですよ」

 

 ダメだこの天使、輪を掛けて状況を混乱させようとしている。直感的にヴィーネはそう感じ取った。今ラフィと要領を得られる会話をできるのは私しかいない。ここは自分が話を進めなければ。

 

「紛らわしいこと言うんじゃないの。というか何でラフィがここに?」

 

「んー、話すよりも見てもらった方が早いかも知れませんね。皆さんちょっと待っててもらってもいいですか? すぐ戻りますので」

 

 そう言ってラフィは姿を消してしまった。当然みんなはヴィーネの方に注意を向けている。廊下から見ていた兄貴も含めて。

 

 え? 私この状況で取り残されたの....?

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