れんげ「ひか姉の様子がおかしいのん....」ガヴリール「『最近の同級生の様子が少しおかしいんだが』ってスレ立てとこ」 作:開屋
今回の一件の原因を知るはずもない宮内家にいる人間と天使と悪魔はラフィの回復を待っている。
「どう? もう大丈夫?」
座っているラフィにヴィーネが尋ねる。
「うーん、もう少しですかね。大方大丈夫そうですけど一応念のためもうちょっとと言った感じで」
「またいい加減なこと言ってるんじゃないでしょうね?」
「そんなことはないですよ~。確かにゆっくりしていたいとは思ってますけど」
「まったくもう......」
ヴィーネとラフィの他愛のないやり取りを遠くから興味深そうに見る者がいる。見られている気配にあのラフィが気付かない訳も無く
「どうしたんですか? 別にそんな遠くから見るんじゃなくて大丈夫ですよ?」
「おぉっ、見つかってたのん」
そう言ってれんげがラフィの方に近づいて来る。子供心に天使という存在に対してれんげは興味津々と言った様子で、近くに来てもまじまじと見ている。
「ラフィ姉って本当に天使なのん?」
「ら、ラフィ姉?」
「ラフィって名前だからラフィ姉なのん!」
「一応ちゃんとした名前はラフィエルなんですけど......まぁ大丈夫ですが」
「ラフィエル......ラフィ姉」
「呼びやすい方で大丈夫ですよー」
どんなやり取りだ。マイペースなれんげにラフィは少しだけペースを崩される。
「それじゃあもっかい聞くのん。ラフィ姉って天使なのん?」
「ええ、そうですよ」
「それなら色々出来るのん?」
「もちろんです。それこそさっき私が皆さんの前に現れたのも天使の使うことができる能力ですよ」
「すごいのん!じゃああれも出来るのん?」
れんげは目をキラキラさせる。
「あれって?」
「あれ!宅配便!一瞬で行けるんなら無敵なのん!」
「随分と俗っぽい使い方ですね......まぁアリかもですけど」
「あとあれ!朝起きたら足元に枕が転がってるのん。」
「それはもうどこ情報なんですか......?」
「そういやそっちでのひか姉どんな感じだったのん?気になるのん」
マシンガン弾の如くトークが消化されては弾けていく。こっちの世界はこっちの世界で中々の曲者がいるようである。
「え?ああ、ひかげさんのことですね。どんな感じかと言えば......いかにもここで育ったんだなぁって感じはしましたよ」
れんげを見てラフィがそう言って笑う。
「つまりは田舎っぽかったってことなのん?」
「いえ、そういう感じじゃなくて......」
まさにあなたのような方を妹に持っているような感じ、と言うのも何か気が引けるような気がするし、どう答えようか。少し考えてからラフィはれんげに言う。
「面倒見の良さそうな方だとは思いましたよ。それに何だかんだで順応してましたし面白......いや、素敵な方だと思いました」
「ひか姉が素敵......?」
帰省中のひか姉のことを思い出しれんげは少し不思議そうな表情を浮かべた。今度はラフィが質問する番だ。
「少し話は聞いてますけど、こちらでのヴィーネさんってどんな感じでしたか?」
「ヴィー姉のことなん?」
ヴィー姉。これまでのラフィ姉に引っ張られたのか、どこかの姉のことが大好きな元気娘のような呼び方に思わずラフィは吹き出す。
「どうしたのん? 何か面白いことがあったのんか?」
「いや、っフフ......何でもないですよ。それでどんな感じでしたか?」
「お料理も出来るし、勉強も教えてくれるし、ひか姉よりもねえねえよりもねえねえだったのん」
「何か面白いことでもあったりしました?」
「面白いこと......そういえばドッキリを仕掛けてきたのん」
「ドッキリ?」
ラフィが今までのれんげよりも興味津々と言った様子で話を聞く。
「そうなのん。なっつんとかこまちゃんとかを——」
「......れんげちゃんちょっといいかしら?」
不意に後ろからヴィーネの声がした。
「ちょっとだけ私と向こうでお話ししない? すぐに終わるから大丈夫よ」
そう言ってれんげを向こう側に連れ出そうとする。
「ヴィーネさんちょっと待ってください!私は今から究明しなければならないことが——」
「ラフィは呼んでないわ。大丈夫、ホントすぐ終わるからね」
そう言ったヴィーネの表情を見てラフィですらそれを止めることはできなかった。興味深いとはいえ、何せ命あっての物種である。
「ただいまなのん」
ホントに少しだけしてかられんげが戻ってきた。ヴィーネはいないようである。
「おかえりなさい。それでさっきの話の続きってどんなのなんですか?」
「いや、ドッキリなんてことはなかったのん。ウチの思い違いだったのん」
どんな手段を使ったんだ悪魔。
「とりあえずそちらでのヴィーネさんもこちらにいた時とあまり変わりはなかったようですね」
ちょっぴりつまらないと言った風にラフィが独り言つ。そしてふとあることを聞きたく思った。
「れんげさん、一ついいですか?」
「何がなのん?」
「れんげさんからしたら今のヴィーネさんがお姉さんになるか、それともこれまで通りひかげさんがお姉さんでいるかだったらどっちを選びますか?」
「ひか姉なのん」
返答はすぐに返って来た。もう少しだけ考えるものだと思ったが。
「....なぜですか?」
「確かにひか姉はお料理をしてる所もほとんど見たことないし、面倒見がいい感じじゃないのん。でもひか姉はひか姉なのん......それにウチがいないとねえねえもひか姉もダメダメなのん」
れんげはそう言い切った後に時間差で恥ずかしそうにしている。
「......そうですか」
ラフィはそれだけ返事をして向こうの方を向いた。そして
「ヴィーネさん。そろそろ私は大丈夫だと思います。ヴィーネさんがいいならいつでも戻れますよー」
「それにしても色々あったわね......」
「まったくだよ......まぁ何もかんも悪いことづくめって感じではなかったけどね」
ヴィーネとひかげがそう言ってお互い笑う。
「それじゃあ、気をつけて帰るんだよー。まぁどう気をつけるかは私には分からんけど」
一穂が笑って言う。最後はみんなで見送りすることになった。
「あれ?にーちゃんは?」
夏海が辺りを見て言う。確かにいない。ついさっきまで居た気がするが......
「おーい!にーちゃん!」
夏海がそう呼ぶと、何かを持って卓が出てきた。
「......カメラ?」
小鞠がそう言うと卓は何も言わず首を縦に振る。それを見て大体理解したこのみが
「最後に写真を撮るってことかな?」
と、言うと卓はさっきと同じように首を振る。
「それなら私が撮りますよ」
そう言ってラフィが卓からカメラを受け取った。
「はいはーい、皆さんもっと近づいてくださーい。結構人数いるんですからもっともっと。ほらほら、ヴィーネさんとひかげさんが真ん中ですよ!二人が主役なんですから!」
誕生日パーティのノリである。カメラを持たせたラフィはイキイキとしている。普段から盗撮とかもやってそうだが、こう大っぴらな所でカメラを持たせたら持たせたで中々に鬱陶しい。
「はーい、それじゃあ撮りますよー!」
ラフィがそう言うと皆が笑顔を浮かべた。
「って言ったら撮りますからねー!」
「ラ、ラフィ!まったくもう——」
「それじゃあ撮りますよー!はい!」
「ちょ、ちょっと待って!まだ——」
パシャッ!
次話かあと2話くらいで完結だと思います。ここまで見て下さって本当にありがとうございました!あと少しですがどうか最後までお付き合いよろしくお願い致します!