れんげ「ひか姉の様子がおかしいのん....」ガヴリール「『最近の同級生の様子が少しおかしいんだが』ってスレ立てとこ」   作:開屋

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 今回でまとめて最終回にしようと思いましたが、収まりが変な感じになっちゃいそうなので今回は『最終回その①』みたいな感じにしようと思います。方針ブレッブレでホントスミマセン....


普通の悪魔的日常だった

 翌日の舞天市のとあるアパートにはヴィーネがいた。普通何も特別なことではないのだが、何でもないようなことが幸せなのかもしれない。向こうにいた時に起きる時間よりも少し早くに目覚まし時計が鳴る。天井を見ると数日ぶりに見るような、それでいてとても見慣れたものになっていた。

 

 やっぱりあの時間は夢だったんじゃないだろうか。そんなことを思いつつ身支度を済ませてアパートのドアを開ける。と、そこにはあり得ないものがいた。

 

「ガヴリール!?」

 

 確かに目の前にガヴリールがいた。自分が準備を済ませる前に。やっぱりこれは夢ではなかろうか。

 

「ど、どうしたこんな早い時間に?」

 

 慌ててヴィーネが尋ねる。

 

「いやぁ、昨日の起こされ方が何か頭に残っちゃってさ。さすがに起きるたびにアレを毎回食らうってなるとこっちも来るもんがあるんだよね......今はヴィーネだしそんなこともないだろうけどまだあん時のイメージが......」

 

 一体天使にどんな手段を使ったというのだ人間よ。

 

「でも慌てて出たからまだ朝飯食えてないんだよね、行く途中でコンビニ寄ろうぜ」

 

 情けなく笑ってガヴリールが言う。

 

「別に時間もあったし、もう少しちゃんと準備してから来ればよかったのに。まぁ別にいいけど」

 

 

 

 

 舞天高校の一つの教室に久々に天使と悪魔がツーペア揃った。

 

「おはようございます、ひかげさん」

 

 今日も今日とてラフィはのっけからアクセルベタ踏みのトップギアである。

 

「まったく......もうその挨拶は今日限りにしてよね」

 

「久しぶりねヴィーネ。とは言っても昨日の放課後会ってるっちゃ会ってるけど。にしてもホント昨日はかなり待たせてくれたわね」

 

 昨日の放課後、つまり向こうではひかげとヴィーネ、ラフィとれんげが話している間、ラフィは皆を待たせていたらしい。

 

「あ、あれは私も知らなかったのよ!と言うかあれだけラフィがゆっくりしてたからそんなこと考えなかったし......」

 

「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ」

 

「ラフィのせいでしょうが!」

 

 なだめに入ったラフィを悪魔の二人は総ツッコミで返した。

 

 

 

 

 そう言えば進路希望のプリントを出すのを忘れてた。ヴィーネがいいんちょの所へ行く。

 

「すみません委員長。これ......」

 

「そう言えばそうだったわね。それにしても月乃瀬さんがこういうの遅れるなんて何かあったの?」

 

「えっ!? ......まぁちょっと疲れてたのかな。ボーっとすることとかもあって」

 

 まさか『その時の私は私ではありませんでしたー』とも言えない。

 

「まぁ確かに気持ちは分からないでもないけど......」

 

 いいんちょはガヴリールたちの集まっている方を見る。そりゃ気苦労も絶えないだろう。

 

「......あんまり期待してないんだけど天真さんの分ってどうなってる?」

 

「おそらく期待通りだと思うわ」

 

 それだけ返事をすると、いいんちょは妙に納得した様子でヴィーネを解放した。

 

 

 

 

 その日の放課後は四人で帰ることになった。

 

「にしても何でこんなことになったんだろうな」

 

 ガヴリールが呟く。

 

「それは私が一番気になるわ......ひかげさんは別に悪魔でも何でもない訳なんだし......残念だけどそこの所は迷宮入りでしょうね」

 

 落ち着き払った声でヴィーネが言う。

 

「というかラフィは最初から気づいてたんならその時に言ってなさいよ!それで昨日の帰りの時も『え?皆さんホントに気づいていなかったんですか?』とか言っちゃってさ。一人であのひかげとかいう人間を見て楽しんでたんでしょ? ホント底意地悪いわね」

 

「だって私も皆さんが気付いた上で接してるんだと思いましたもん。考えても見て下さいよ。あっちのヴィーネさん元のヴィーネさんより多分10㎝くらい縮んでましたよ」

 

「『あっちのヴィーネさん』って言い方もこれで最後にしてほしいわ......まぁ私もギリギリまで気づかれてなかったし案外気づかないものなんじゃないの? 久々に会う人の変化ならともかく今までほぼ毎日顔合わせてる面子なわけだし」

 

「よく考えたらあの人間私と身長そう変わらなかったもんな。今考えてみればおかしな話だ。もしかしたら私たちが気づきにくくするような感じのデバフか何かかかってたのかもしれないな」

 

「デバフ?」

 

 ゲームに造詣の深くない三人が聞き返す。

 

「......まぁそこは気にするほどでもないけど、何でこんなことが起きたんだろうってことだよな。とは言ってもどーせしょうもないイタズラだろ」

 

「しょうもないイタズラで私相当精神擦り切られたんだけど」

 

 ジト目でヴィーネが不満気に言う。

 

「もしヴィーネさんは今回の元凶が分かったらどうしますか?」

 

 ラフィが楽しそうな表情で訊く。

 

「....正直向こうでの日々は楽しかったわ。今までとは違う田舎の新鮮な空気とか人との繋がりとかもあったし......でもそれ抜きにしても許さないけどね。面白半分だったりもしくはいい加減な理由だったら尚更ね」

 

 ヴィーネが仄かに怒りを見せる。ヴィーネの知る由もない元凶ちゃん逃げて超逃げて。

 

「ま、まぁまぁ。ってかそんなことを訊くってことはもしかしてラフィは元凶が誰かも知ってるの?」

 

「んー、どうでしょうか? さすがにそこまでは私も......」

 

 どこか後ろの方をぼかす感じでラフィは返事を寄越す。

 

「アンタならホントに全部を知ってた上でさっきの質問してそうなのよね」

 

「さぁ~? どうでしょうかね?」

 

 正直この時のラフィが何を考えているかは私にも分からない。

 

 

 

 

 家に帰り着いたヴィーネはもう一度あまりにも慌ただしかった二,三日間を振り返る。なんかもっと長い時間が経っているような気もした。色々面倒だったり大変なこともあったけどひかげ達をはじめとする子たちともっと色々話したいとも思った。まぁ今はもう悪魔って面も割れてて少しアレかも知れないけど。

 

 そういえば自分の家は普通に日記とか机に置いてるし、ひかげにプライバシーが筒抜けだったのではないだろうか。もしそうだったとしたら相当恥ずかしい。悪魔の赤裸々な感情を人間に見られるとかそうそうない出来事だろう。

 

 パラパラっと日記帳を見ると、自分のいない期間にも短くだが書かれていた。これ絶対に見られてるやつだ。そう考えると急にものすごく恥ずかしくなってきた。見ず知らずの人間に日記見られちゃいましたよ......

 

 日記をパラパラっと見ている時、不意に『仕送り』の文字が目に入った。そういえばひかげがここにいる間に今月分の魔界からの仕送りが届いてるんだった。確認しておこう。

 

 

 

 

 ......増えてる?

 

 

 

 

 ......まぁいいや、あまり気にし過ぎないことにしよう。うん。まぁたまたまそういう事もあるある。今回の騒動に対する苦労手当か何かかも知れない......もしそうだとしたら向こうが認知してると言う訳だし、原因が魔界サイドにあるってわけだけど。

 

 とまぁホントに夢のようなことが色々あったわけだけど、何だかんだ楽しかった。あんな機会は二度と無いと思うけどまたみんなに会いたいというのが今の本音である。当然そんなことはできないけど、今はそれでいい。

 

 ヴィーネが携帯を開く。そこで一番最初に出てくる写真が、あの時の出来事が幻なんかじゃなくて本当のことだったと教えてくれるから。




 一応次回がホントの最終回予定です。....多分最終回にします。
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