れんげ「ひか姉の様子がおかしいのん....」ガヴリール「『最近の同級生の様子が少しおかしいんだが』ってスレ立てとこ」   作:開屋

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不自然にもほどがあった

 悪魔のピンチなど知る由もなく、舞天高校では文字通り異種格闘の如く人間がピンチを迎えている。

 

「ようやくヴィーネも悪魔的行為(テビルズアクション)に目覚めてくれたのね。私としても鼻が高いわ」

 

「なんでサターニャさんが誇らしそうなんですか?」

 

「う、うっさいわねラフィエル!その辺の行為の悪魔っぽさに関しては私の方が上なんだから!」

 

 気が付くと自分を尻目にして二人が言い争っている。ケンカするほど何とやらとも言うし、この二人のいさかいはその範疇のもののように見える。

 

「(なるほど......二人の名前は『サターニャ』と『ラフィエル』か....とりあえずそこを覚えられただけでも収穫だ。そう言えばもう一人誰か名前出てきてたっけか。何て言ってたっけなぁ....なんかガブガブみたいなそんな感じの......)」

 

「それにしてもガヴリールがいないなんて今日はつまんないわねー。小テストの点数で勝負しようと思ってたのに......」

 

「それだぁぁぁ!!」

 

「!?」

 

 いきなり大声を出したひかげに二人にとどまらずクラス中の視線が集まる。

 

「あ......や、ごめん。気にしないで気にしないで」

 

 思い出そうとした最中に『ガヴリール』の名前が出てきて、つい過剰に反応してしまった。嫌な目立ち方だ。流石のラフィも好奇心よりも心配が勝って来たのか

 

「今日ホントにヴィーネさん様子がおかしいですよ? 何かあったんですか?」

 

 と、尋ねる。

 

「い、いやぁ何でもないってば、私はいつも通りだよ」

 

「ホントにいつも通りなら自分でいつも通りなんて言わないわよ」

 

 正論である。それもよりによってサターニャからの。

 

「そ、それもそうだったな。はは......」

 

「にしても今日は一人で来たの?」

 

 そう言えば最初に来た時に『一人は珍しい』と言われたことをひかげは思い出した。

 

「ま、まぁそうだな。今日はちょっと色々あってさ......そう、少し寝坊しちゃって」

 

「ヴィーネが寝坊するなんてことあんのね。ガヴリールなら納得だけど」

 

「まぁガヴちゃんなら不思議でもないですけど......」

 

「そ、そうかな。まぁたまにはそんなこともあるさ」

 

 とりあえずひかげは笑ってごまかす。今のこの色々苦しい状況を乗り切るためには無駄口を叩かないことが一番大事なのである。

 

「(にしてもこの世界のガヴリールって奴はどれだけ堕落しているんだ....それに比べて元のヴィーネさんとやらは大分しっかりしてるんだな。そんなら入れ替わるとしてハードルの低いガヴリールとかの方が良かったな......)」

 

 なんて不純なことを考えることは元のヴィーネとかいう人の人格にはないんだろうなぁ......と最後に思いながら、作り笑いを浮かべ続ける。

 

「でもこんな小テストのある日とかだったら、ヴィーネ自身が少し遅刻してでもガヴリール叩き起こして学校に来そうだけどなぁ」

 

「私は通い妻か!」

 

 マズい、また勢いに任せて突っ込んでしまった。教室中に聞こえる声で。ホントごめんヴィーネさん。

 

「でも確かに二人ってそういう関係のようにも見えますよね」

 

「え゛っ、マジで?」

 

 もうここまでくると元のヴィーネがどんな人物かなのかが、自分の立場をさて置いてまで気になってくるレベルである。

 

「確かに、そういう所がアンタ悪魔らしくないのよ」

 

 ここまできたらサターニャの悪魔云々もどこまで本気なのか分からない。いや別に悪魔の存在は否定しないよ?らしくないところもあったとはいえ、いるっちゃいる訳なんだし。こっちの悪魔は悪魔でバリエーションがあると言うのか。

 

「まぁそこまで言わんでもいいじゃん、三人悪魔として三者三様、三魔三様って感じで」

 

 そうひかげが言うと再び空間が凍り付いた。ひかげ自身もその冷え切った空気を察知した。

 

「ヴィネット、あんたホントに今日おかしいわよ....熱でもあんじゃないの?」

 

 そう言ってサターニャはひかげの額に額を合わせる。

 

「う゛ぇっ!?」

 

 思わぬサターニャの行動にひかげも素っ頓狂な声を出す。

 

「(あら^~)」

 

 何故かラフィは満足そうな顔をしている。あくまで現時点の勘ではあるが、一番コイツが悪魔らしい気がするんだが、さっきの会話からするとこのラフィとやらだけは人間だというのだろうか。立ち位置は違うが妙な既視感がある。そんなこんなはあったがどうにか朝休みは乗り切る(?)ことができた。色々あったため時間の経過が遅く感じたが、ようやく今朝休みを終えた段階なのである。前途多難にも程があるレベルである。

 

 ホームルームを終え、そこから一限目の一発目小テストという多忙を極めたような一連の流れは何とか乗り切れたが、それにしてもあの担任なんだよ......どう考えてもカタギじゃないし地上げ屋かなんかが天下り(?)してきて今のところに収まっているというのか?

 

 

 

 

 その日の昼休み、ふと携帯が鳴る。だが元の持ち主のロック解除の番号を知らないのでどうにもならない。その様子を遠巻きに見ていたラフィが

 

「こっちこっち」

 

 と、手招きする。何だろうと思いそちらに向かうと急に距離を詰めてきていきなり耳打ちをしてきた。マジで何だコイツ怖ぇよ....

 

「今のは?」

 

 よく分からない数字と文字の羅列を伝えられ、ラフィに訊く。

 

「あら?やっぱり通じてなかったんですか。今のはヴィーネさんの携帯のロック番号ですよ」

 

「ん゛ん!?」

 

 試しに言われた通りの番号を入力すると本当に解除できてしまった。ヤバい、何がとは言わんがとにかくこのラフィとかいうのはヤバい。何かイタズラをするにしてもコイツだけは避けなくては....そうなればあのサターニャとやらに何か仕掛けるのが手っ取り早そうである。

 

「あの、ヴィーネさん?」  

 

 ふいにラフィがひかげに声をかける。

 

「えっ? あぁ、どうしたの?」

 

「やっぱり今日のヴィーネさん何かおかしいです!」

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