それから数ヶ月の時間が経っていった。
俺はあの報告以降都には戻っておらず、その数ヶ月間はずっと新人の訓練に時間を費やしていた。
「隊長、少しいいですか?」
そう一人の新兵が話しかけてくる。ここでは最低限の敬語を使えば好きに意見をしていいように許可しているのでよく新兵達にこうやって話しかけられている。
「どうかしたか?」
「ここしばらくは敵の侵攻が全くないのは何故なのでしょうか?」
「それを俺に聞かれてもな…………これから大勢で侵略する準備でもしてるんじゃないのか?」
そんなことされたら俺としても嫌なのだが。
「ま…まさかそんなこと…ないですよね?」
「敵のことなんて考えられるか。それよりも死なないためにその体を鍛えておけ。」
「は、はい!」
……しかし、どうなのだろうか?
あの妖精たちは気が向くままにこちらに侵攻してくるやつらだ。
その度に俺たちには負傷者や死者が出る。
俺のいた数年前とは違って向こうから攻撃を仕掛けられた回数は今の所一度もない。
まさか…妖精たちを束ねる存在がいると言うのか?
クラウンピースよりも上位の存在が現れたというのなら、俺たち玉兎ごときでは一瞬で無駄死するだろう。
「やめよう、考えるだけ頭が痛い。」
対策はそのうち本部から連絡が来るはずだろうし…特には考える必要はないだろう
何やら嫌な予感がする。
こんな話をしたからなのだろうか……?俺は考えることをやめて訓練に専念することにした。
それから数ヶ月後、本部から伝達があった。
『諸君、いつもご苦労。先日、地獄の妖精と地獄の女神がそちらに侵攻している動きがあった。諸君らは襲撃に備え、直ちにそれらを迎え撃て。こちらからも討伐隊を組み、直ぐに出撃させる所存である。月の命運は諸君らに託されている。検討を祈る。』
やけに長い文章をまとめてみればこんな内容だった。
「とのことだ。直ぐにでも出撃の準備をしてくれ」
「はい!」
そうして部下たちは出撃準備を行いに各々の装備を回収に向かっていった。
なるべくこちらからの被害を最小限に抑えながら敵を制圧しなければ…
そのために必要なことを見極めよう……
「よし、今はやれることからしていこう。」
とにかく部下たちにも迎撃案を伝えておかなければ…
「みんな聞いてくれ。今回の作戦は俺たち前線部隊にかかっている。
一度の失敗も許されないだろうから心して聞いてくれ。まず俺たちは二手に分かれてそれぞれに空中地雷を設置していく。そこから奴らがそれに被弾したのを合図に戦闘開始だ。いいか?一つでも多くの地雷をばらまいてこい。本部からの援軍まで耐え抜くんだ…死にたくないのなら死ぬ気でその身を守り抜け。」
そうだ、この戦いは油断したやつから死んでいく…俺たち玉兎の作戦は月人到着までの時間稼ぎ。
過去最大の月面戦争が今始まる……!
テスト期間も終わったので再開します