東方短篇置き場   作: 白黒魂粉

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これは、ひょんなことから魔女と知り合った青年のお話。


夢を叶えた魔法使い

俺は里で暮らす能力のない農民。

それ以上でもそれ以下でもなかった。

ただ、周りからはお節介焼きの面倒見と言われていた。

 

俺は15の歳から親の跡を継ぎ、毎日畑を耕す毎日だった。

 

そんな俺には夢があった。

それは空を飛んでみたいという子供のような空想だった。

 

そんなことは叶うはずないのに、と自分自身わかっていたのにも関わらず、俺は空を飛ぶことを夢に思いながら暮らしていた。

 

その日は酷く日差しが強い日だった。

 

いつものように畑を耕していたら、空から鳥とは違う何かが落ちてくるのを見た。

 

それが人……それも女性だということに気がつくのには数秒の時を要したが、俺はすぐにその人の元へと駆け寄った。

 

「おい、大丈夫ですか?!」

 

そんな声を張りながらその人の元へいくと、その人物はスっと立ち上がりこちらを見て

 

「あぁ、大丈夫だぜ。見苦しい所をみせたな」

 

なんて返答を受けた。

 

その声からその人物が自分から空を飛んでいたのか。という考えが頭をよぎったが、それは考えすぎだろうと頭を振り

 

「頭は打っていないか?なんなら手当をしてあげるから着いてきて。」

 

と、そう言ってその人に近づこうと足を動かすと

 

「来るな!!」

 

叫ぶ彼女の声に驚きその足を止めた。

 

「私は大丈夫だ……だからほっといてくれ…」

 

そう言ってフラフラと里の方へと歩きだす彼女。

 

「……うっ…」

 

しかし、やはりどこか打ちどころが悪かったのか、その場で気を失うように倒れてしまった。

 

その光景を見た俺はすぐに彼女を抱き抱え、自宅へと急いで戻るのだった。

 

 

「…?ここは……」

 

それから数時間後、その女性は意識が戻ったようだ。

ぐぅーと身体を伸ばしてその場を立ち上がる

 

「あ、目が覚めたのか。」

 

その事に気がついた俺は彼女に声をかけるが、彼女は俺の姿を見た途端

顔を真っ赤にして

 

「……?!なななんでお前が…?!ここは私の家じゃないのか?!」

 

焦って取り乱す彼女をなんとか宥めて俺は事情を説明する。

 

「ふむ…それで倒れた私を看病してくれた……ということか。」

 

「そういうことだよ。あっ、俺は○○。ここの近くの畑で作物をつくって暮らしてる。君は?」

 

「私は霧雨魔理沙。里から離れた森で道具を売ったりして暮らしているぜ。」

 

「そうなんだ。……あれ?霧雨ってどこかで聞いたような……」

 

「気のせいだろ。そんなことよりもそろそろ私は帰るぜ。

看病してくれてありがとうな。またお礼をしに来るよ。」

 

「別に気にしなくてもいいよ。俺が勝手にやっただけだし」

 

「私は気になるぜ。だからまた来るからな!それじゃあばよ!」

 

そう言って魔理沙は空を飛んで帰っていった。

 

空を飛べる人間がいるなんて……博麗の巫女くらいしか知らないなぁ…

なんてことを思いながら俺は小さくなっていく彼女の後ろ姿を眺めながら考えるのだった。

 

それから数日後、俺は里の方まで買い出しにやって来ていた。

 

その日は珍しく里に博麗の巫女が来ているとのことなのでその巫女さんを一目見ておこうかなと思い、俺は人集りからその様子を眺めていた。

 

すると後ろから

 

「なんだ、霊夢に気があるのか?」

 

「んーー?いや、折角だから見てみようかなって……ん?」

 

俺は誰と話しているんだ?と、俺はその声のする方へ振り向く、すると

そこには以前俺が看病した霧雨魔理沙がそこに居た。

 

「あっ、この前ぶりだね。無事に家に帰れたかい?」

 

「おう、あの時は助かったぜ。おかげでバッチリ元気になれた。」

 

その答えをきいて、俺は少し安心した。

 

「それは良かったよ。それで今日はどうして?」

 

「いやー里に来たらお前がいたもんでな、この前の礼もかねて話しかけた訳だぜ。」

 

そうなんだ。と返すと彼女は少し頬を膨らませながら

 

「なんだよーこんな美少女に話しかけて貰えるのにそんな態度なのかよ

と不満をこぼした。

 

俺は慌てて

「いやいや、急だったもので対応できなかったんだよ!決して嫌だった訳じゃーー」

 

そこまで言うと魔理沙は俺の口に手を当てて

「分かってるぜ。それにいきなり私に話しかけられてテンパらない方がおかしいって話だもんな!」

 

と上機嫌に言っていた。

 

「あっ…それと○○。今日これから私に付き合えよ。」

 

「えっ…?別にいいけど……何するの?」

 

「何って、この前のお礼だろ?いい団子屋知ってるんだ。一緒にいこうぜ。」

 

そう言って俺は魔理沙に引っ張られて里を回るのだった。

 

 

それから色んな場所を回ったころには太陽も既に落ちかかっていた。

 

「いやー、楽しかったな」

 

「そうだね。今日はありがとうね、魔理沙。」

 

「気にすんなよなーそれよりも私がお礼するって言ったのになんで

全部○○が支払うんだよ。別に大丈夫なのに」

 

「まさか、女の子に支払いをさせるなんてことはしないさ。

女の子は色々と出費もあるだろうしね。こういうのは男が払えばいいんだよ。」

 

そう言うと魔理沙は驚いた顔で俺の顔を見ながら

 

「お前…めっちゃ良い奴だな……よし分かったぜ。ならこれからも私がいい店を紹介してやる!暇な時にまた○○の家まで迎えに行ってやるから待ってろよ!」

 

と言い残し、彼女はすぐにそこから飛び立って行った。

 

「捨てセリフのように飛んで行った……」

 

呆気に取られながら、俺も急いで家に帰るのだった。

 

 

それから数ヶ月がたった冬のある日。

 

魔理沙はしょっちゅう俺の家にやって来ては俺と話し込んでいた。

 

俺も別に悪い気なんてのはしないのでいいかと過ごしていたが、ある日彼女に何故こんなに頻繁に来るのかを尋ねた。

すると彼女は

 

「いや、冬だとやることもないからついつい来ちゃうんだ。

それに……ここだと暖かさを感じられるからな。」

 

「へぇ…それならいつでも来るといいよ。俺は魔理沙を拒んだりはしないし。」

 

「ほんとにか?それは嬉しいぜ。それじゃ誓ってくれよ?私の事を…大切にしてくれるって」

 

「あぁ、分かったよ。君のことを蔑ろにしたりしない。」

 

その言葉を聞いた彼女はどこか満足そうな、やり切ったような顔をしていた

 

 

数日がたった日の事だ。

 

いつもとは違う雰囲気がしてすぐに目を覚まして外の様子を見ると、

そこにはいつもの空はなかったのだ。

 

「異変……か。珍しいな……」

 

そんなことを呟いて、すぐに近くの家にいる住民にその事を伝え、異変が酷くなる前に里に避難することを呼びかけ、俺もその足でみんなと里へと向かった。

 

里へ移動している最中、空を見るとそこには博麗の巫女の姿と箒で空を飛ぶ魔理沙の姿を見たのだった。

 

「魔理沙……?なんで巫女さんと…?」

 

そう呟くと、それに一人の青年が反応した。

 

「魔理沙?それって霧雨魔理沙のことか?」

 

やけに食いついてくる彼に俺はそれがどうしたんだ?と尋ねる。

すると彼からは

 

「なんだってお前…里ではあいつの噂をしない奴はいないだろ?それに

色んな裏があるって聞くぜ」

そう言われた。

 

「裏?なんの事だよ」

 

「何でも人を生贄にして魔法を作ったりしているらしい。森に行った行方不明の奴が絶えないのもそのせいだって言われているぜ」

 

と言われた。

 

俺は少し彼女が怖くなった。

 

それから数時間後に異変は解決された。いつもなら数日はかかる筈だった異変は異例の速さでその幕を下ろした。

そして俺たちは家へと帰ることになったのだった。

 

ーー

 

「おかえり。無事だったんだな」

 

家に着くとそこには何故か魔理沙がいた。

俺は驚きを隠しながら

 

「あぁ、何とかね。」

 

と答えた。

 

「いやーお前になんかあったらと思うとちょっと心配になったんだぜ?

これだから異変は嫌いなんだよなー」

 

などと言う彼女に俺は質問することにした。

 

「なあ魔理沙」

 

「なんだぜ?」

 

「今日、魔理沙が巫女さんと一緒に空を飛んで行ったのを見たんだ。」

 

「へぇ…気の所為じゃないのか?」

 

他人の空似だろと言わんばかりの声でそう言われた。

 

「……それでさ、慧音先生に聞いたんだ。魔理沙が異変解決者だってこと…それと同時に魔法使いだってことも」

 

「…………。」

 

「なんで黙っていたのさ?」

 

「別に…それは○○が気にすることじゃないと思ってな。それに……」

 

「それに…?」

 

「もう知ってるもんだと思っていたしな」

 

「え……?」

 

魔理沙はやれやれと言った感じで言葉を繋げる

 

「私は人里でも悪名高くてな。色んなあることないこと囁かれていたんだよ。覚えているか?初めてお前とあった日のこと。」

 

「あ、あぁ…覚えているよ」

 

「なんでお前の手当を断ったのか…その理由がわかるか?」

 

「それは……」

 

「人間なんて殆どのやつが敵だって思っていたからだよ。

お前もそうなんだと初めは決めつけて警戒した結果だった。でもお前は違った……お前は良い奴だったんだ。」

 

「良い奴で…一緒に居て楽しいと思えた。霊夢ら以外で話して楽しいと思ったのはお前だけだ。」

 

「だから……いっその事私のモノにしようと考えたんだよ。結果的に今日をもって人間の○○は私の所有物になった。」

 

「はっ……?どういうことだよ」

 

聞き返そうと喋ろうとした次の瞬間だった……

俺の体から一気に力が無くなり、身体を支えられずにバランスを崩した。

 

「前に約束したじゃないか、私を大切にするって」

 

「魔理、沙……?」

 

痺れ、朦朧とする意識で俺は彼女を見上げる。

 

「これからお前は私と一緒に来てもらうんだぜ。」

 

「……は…な、んで……どう…して……」

 

「なんでって……大切にしてくれるんだろ?お前が言ったことだ。

私はお前のことが大切だし、お前も私のことを大切にすると言った。

それ即ち、私達は両思いな訳だ。それなら……結婚でもしてしまう方がいいだろ?」

 

話が飛躍し過ぎていて俺の頭では理解できなかった。

 

「それにさ……○○言ってたじゃん?いつか空を飛んでみたいって」

 

「…、……!」

 

「私がその夢…叶えてやるよ。そんでついでに」

 

「私という最高の嫁をくれてやるぜ。」

 

そうして俺は空を飛んだ。

小さい頃からの夢は1人の魔女によって叶えられた。

そして…その以降、俺は二度と外での自由な生活を営むことは

叶わなかった。

 

end1 叶えられた夢




見てくれた方ありがとうございますー!

短編ということでかなり分かりにくかったーという方も居ると思います。

それとend1とあるようにこれは複数のエンディングがあります!

が、やはり人気だったら続けたいとおもっている節があります故この青年のハッピーエンドが見たい!!
という方が多かったらこのお話の分岐と魔理沙視点でのお話も書こうかなと思っています。

それでは改めてお読みいただきありがとうございました!
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