あーあ…………暇だなぁ…
そんなことを呟きながら今日も土をいじるのは人里から離れた小さな集落に暮らす青年だ。
彼は両親の後を継ぎ集落で農作業に勤しんでいた。
そんな彼を一言で表すのならそれはお人好し。だろう
自己犠牲の強い性格だったのだ。
自分のことはいつも後回しで他人のことを助けようと必死にもがいていた。
そんな彼にある時転機が訪れる……
いつもと違う道を歩いて人里に行こうとした際の事だった。
どこかで道を間違えたのか、魔法の森の方まで行ってしまっていたのだ。
気が付いた頃には既に遅く、彼はどうすることも出来ずに森の瘴気に充てられ、気を失ってしまった……
◇
人里へ人形劇を披露しに行った帰り道、いつものように空を飛びながら移動していると、地面に見慣れない物が見えた。
「あら、何かしら?」
いつもなら気にしないのだが、その日はそれが気になってしまったので
私は地面に着地する。
「……人間?なんでこんな所に……」
一応まだ息があるかの確認をする。
………………よし、どうやら意識を失っているだけのようだ。
このまま放っておいても良いのだけど…
「ま、今日は気分もいいし……家で見てあげようかしらね」
それに…なんでか分からないけど……この人間のことがとても気になってしまう気がする……
この人のことを…この人間の全てを知ってみたい…………
そしてその魔法使いは青年をいとも簡単に抱えあげ再び空を飛んで行った。
それから数時間…
ベッドの方で寝かせておいた青年の方から声が聞こえた。
どうやら目が覚めたのだろうか…そう思い青年の元へと魔法使いは向かって行った。
「目が覚めた?」
部屋に入り、魔法使いがそう尋ねてみると
「え……?ここって…えっ?」
状況が良く飲み込めていない様子の青年の姿があった。
ゾクリ……そんな感情が突然魔法使いの心を襲った。
「ここは私の家よ。貴方、森で倒れていたから連れ帰って看病してあげたの」
「あっ……そうだったんだ。助かったよ……俺は〇〇、君は?」
「私はアリス、アリス・マーガトロイドよ。よろしくね〇〇」
アリスがそう言うと〇〇も
「うん、よろしく……」
と返事を返した。
「貴方、どうして森に入ってたの?捜し物?」
そうアリスが〇〇に尋ねると〇〇は照れた様子で
「いや〜……いつもと違う道から人里に行こうとしたら……迷ってて…」
と頭を掻きながらそんなことを呟いた。
「ぷっ……何それ……」
そんな理由でこの森に迷い込む人間は初めてみた…
思わずアリスも吹き出してしまっていた。
「うーん…まぁ、ここから帰りたいわよね?」
「へ?あ、まぁ……畑のこともあるし」
そういう〇〇にアリスは残念そうな顔を浮かべながら
「そうよね……でも、残念なことにここの瘴気が強力すぎて並の人間だとここの森から抜けることはできないのよ」
と○○に伝えた。
〇〇は「えっ?!……じゃあ俺はどうすれば……」と嘆いている…
アリスは続けて
「でも大丈夫よ、ここから抜ける為には魔法が使えないと行けないんだけど…それは私も使えるから。……貴方に魔法をおしえてあげるわ
そうすればいつかはこの森から抜け出すことができるはずよ。」
と優しく彼に教えた。
「本当…?!是非おしえてほしいよ!」
〇〇もその事に喜び、直ぐにアリスに弟子入りすることになった。
それから何年が過ぎただろうか…
今日も青年は窓から空を見上げる。
と言っても、森の瘴気のせいであまりよく見えないのだが……
「どうかしたの?」
「アリス…いや、俺はいつになれば魔法の瘴気に耐えられるのかと考えていたんだ。」
「そんなこと?もうすぐの辛抱よ」
そうなのかなぁ…そう言って彼は今日もアリスと時間を共にする。
少しずつ、外への期待を膨らませ…自身がかつての生活へ帰還する為。
最も、人形使いがそれをどう思うのかは…別の話であるが。
はい、短めです。
読んでくれてせんきゅう!