東方短篇置き場   作: 白黒魂粉

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久しぶりの更新。

前後編で分けてます


博麗のモノ 前編

「よし…今日も1日お疲れ様。俺!」

 

そんな独り言を呟きながらも、俺こと〇〇は数年前から暮らしている自身の住居である外来住居まで戻ってきた。

集落から少し離れたところに位置したそこには、俺と似た境遇の奴らがわんさか暮らしている。

 

そこ中の俺は日雇いの仕事を転々としており、毎日を生きていく為、元の世界に帰る為の資金を稼ぐ為に身を粉にして働いていた。

今日は建設の仕事で、朝から働き詰めだったこともあり疲れがとても溜まっていたのだ。

 

「風呂に入ったらさっさと寝るか〜」

なんてぶつくさ言いながら歩いていると、俺の部屋から灯りがついていることに気がついた。

電気の通らないこの幻想郷において、つけっぱなしというのはありえない話であり、一体何事なんだ…と急ぎ足で家に戻る。

 

ドタドタと音を立てて家の鍵を開けようとすると、何故か扉が開いた。

鍵を閉めてなかったのか…?!

と一瞬背中にぶわーっと嫌な汗が吹き出てくるような感覚に襲われる。

 

「誰か居るのか…?!出てくるな!帰れ!!」

中に入る勇気がないのでそんなことをドアの前で叫ぶ。

やはり人は居るのか、中からパタ……パタ…と足音が聞こえてくる。

 

サァーーッと頭の中から血の気が引いていくのが分かった。

 

やばい。中に居る。

何かが。そこにいる。

 

「驚かさないでくれ!何もしないから……そっちも何もせずに窓から出てってれよ…!!それで今日のことは水に流すからさぁ!なぁ?!」

 

弱々しい叫び声でそう訴える。

するとピタリと足音が止まった。

それからまたパタパタと数歩歩いたかと思えば、今度は窓を開く音が聞こえてきた。

 

「ーーー!?」

まさか本当に出てってくれたのか?!

そうして警戒しながらも家の中に入る。

自分の家なのにどうしてこんなに怖いのだろうか…なんてことを考えてしまう。

こんな時、あの人が居てくれたらなぁ……

 

「あれ?なんでそこに立ってるのよ」

 

後ろから声がした。身体が跳ね上がる…本気でビックリしたのだ。

パッと後ろの方を確認すると、そこには紅白の巫女さんが居た。

 

「……?!ってなーんだ霊夢か。」

 

「なんだって何よ。……それより、ドアの前で何してたのよ」

 

「それは……まぁ色々ね」

 

家に誰か居た……と言っても家の中にめぼしいものがあるわけでも無いため、特に被害はないと思い霊夢に伝えるのは辞めることにする。

何よりそんな不幸な話はしない方がいいだろう。

 

「中入る?」

せっかくだし何か作るよ。と言うと、霊夢も頷いて家の中に入った。

 

「じゃあそこでゆっくりしといて。適当に作るからさ」

 

「いいの?じゃあそうするわ」

 

先程までの恐怖とは打って変わって、なんとも美味しい展開になっていた。

霊夢は最近よく俺と仲良くしてくれている巫女さんで、妖怪退治の専門家らしい。

その退治している姿というのはあまり見かけないけれど、その実力は本物だと、彼女を知る有力者達は言っている。

 

「はい、お待たせ」

 

「ありがと。じゃあいただきます」

 

と、こんな感じで月に何回かは一緒に食事をしているというわけだ。

俺の飯が上手いのか、ニコニコしながら食す彼女を見ていると作ったかいがあるなと思うくらいだ。

 

「そうだ」

 

そういえば霊夢に報告したいことがあったんだ。

 

「どうしたの?」

 

「それがな、前に霊夢が言ってた帰還用の費用が貯まったんだよ。」

 

「へ……へぇ…それは良かったわね。」

 

「なんだよ、端切れが悪いぞ?そこは一緒に喜んでくれよ」

 

「そ、そうよね。おめでとう〇〇。」

 

「ありがとな。これもお前のおかげだよ、そのお陰でここまで頑張れたんだから。」

 

「う…うん。それじゃあ、今日はもう帰るわね。」

 

「え…?分かったよ。それじゃあまた神社に行くから!」

 

「えぇ、待ってるわ。それじゃあね」

 

そう言って霊夢は家を後にした。

なんだがその話をした途端にテンションが変わったように見えたんだけど……考えすぎ…だよな?

 

「とにかく、やっっと向こうに帰ることができるぞ!父さんや母さん達にもあえる!」

仕事がまだ何日分か残っているので今すぐという訳には行かないけれど……それが終われば本当にここから帰ることができるんだ。

 

改めて実感が湧いてきた。

霊夢も喜んでくれると思ったんだが……なんか思ってた反応とは違ったな…?

 

「考えても仕方ねぇや!とりあえずさっきのやつが漁ってないかだけ確認しないとな!」

 

そう言って気持ちを切り替えて、俺は物の確認をするのだった…。

 

 

 

 

〜〜〜博麗神社。

 

 

「……そんな………どうして…」

まさか彼がまだ帰還を考えてるなんて思ってなかった……。

私は彼のことが好きだ。

それも彼の家に入り込んで色々と拝借する程には彼が好き。

 

優しい上に料理もできる……それでいて一緒にいて落ち着くのだ。

彼のことは幻想郷の誰よりも好きだったのに…

 

「どうすれば……次にここに来た時には〇〇が帰っちゃう……」

 

できることなら帰したくないし、ずっと一緒に居ていてほしいのに。

それでも私は…私は……

 

「あ、そうだ。帰れなくすればいいんじゃない。」

 

なんて頭がいいのだろう。〇〇は人間だから帰れない、なら……

 

 

コノ数日間デ、ヒトをヤメテモらオウ。

 

 

「ふふふふふ……待っててね…〇〇!!」

 

そうとなれば早く協力者を募らなければ…それも……口の固い安心出来る人物の……ね。

 

 

その日、博麗の巫女は幻想郷の各地を飛び回ったと言われている。

その目的を知るものは当人達以外では存在しないという……




久々にヤンデレ書きました。
ヤンデレに堕ちる瞬間が一番好き……わかる人おる??

とりあえず次回はこれの後半です!

お楽しみにな!
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