「あの」
その日の夜、彼が私の部屋にやって来た。
「どうかしたの?こんな夜遅くに」
まぁ、私に用なんてあのことに決まっているんですけどね…
彼に分からない様に私はニヤリと笑った。
「いやーそのですね…さっきの話…と言いますかねーー地上にでるっていう話の……」
「そういえばそんな話がありましたね…仕事に集中してて忘れてました……。」
ワザとらしくそう言う。
彼も私の抱える業務の量がどれほどなのかはよく知っている為、強くは言えないのだ。
だからこそその事を盾に私は忘れていたというていで話を進めた。
「それで……」
彼は早急に話を付けたいのか直ぐに本題に話を持ってこようとした。
そうはさせないのですがね…。
彼と話す機会は多くあるように見えてそうないのだ。
その理由としては彼自身の性格にあった。
そう。彼は極力効率的に立ち回る。
友好関係や料理に関してはそういうことは無いのだが、それ以外…彼自身のことに関してはあまり関心はないようだった。
だが…かれの友人……恐らくは橋姫や勇儀さんからの話を聞いて、好奇心が彼に現れたのだろう。
最近(ここ2ヶ月)は地上のことをよく考えるようになっていた。
「そうですね…しかし貴方は幻想郷に来て直ぐに地底に落ちてきた。
地上に行くのはまだ早いのではないでしょうか?」
なんて嘘をつく。彼自身の能力ならきっと地上でもやって行けるだろう。
それを気付いたら彼は地上で働くことを選ぶのかもしれない。
その事も私は心配だった。
「え…そうですか……?地底の人等は行けるって言われたんですが…」
彼に迷いが生まれた。
地底の友人と主の私との意見が食い違ったからだ。
彼の意見したことに私は殆ど反対したことはなかった…。
だから私に反対されたことに彼は内心で動揺していた。
「えぇ。それにここ最近の地上は何かと物騒ですから」
ニコリと笑いながら適当なことを伝える。
地上のことを知らない彼からすると私の情報が全てだ。
彼は作り笑いを浮かべながらこう言った
「そ…そうなんですね……それじゃあ…またにします……」
(地底の人等に聞いてみるのもありかな…?なんならあいつらに頼んで連れて行って貰うのも1つの手だな)
「させませんよ、そんなことは…」
「え……?……ッッ?!!」
私は咄嗟に彼に弾幕を打ち込んだ。
彼は思考の中に見逃せないことを考えていた。
「な…何を…?、、、さとり様……」
「美春さん。貴方今……何を考えましたか?」
「は……?」
「聞こえませんでしたか?貴方は今何を考えたのかと聞いたんですよ。」
「何故攻撃されているのかわからない……ですか。簡単ですよ。貴方が地底から抜け出そうなんて考えるからです。」
「……どういう…こと……だ」
「分かりませんか?貴方は!ここでずっっっっと私たちと暮らして行くんです。」
(やばい……意識が…)
「そろそろお眠の時間ですよ。今日のことは忘れて、明日からもよろしくお願いしますね。美春さん。」
私は満面の笑みで彼にそう告げた。
………最も、彼はここに来た記憶など無くなってしまっているのですがね……。
次回から美春視点になります。