1.
幾百 、幾千の人の死を見てきた。それは自分の手で殺めた者もいた。睨みながら、恨み言を言いう者もいた。死ぬことを拒む者もいた。そんな数多くの死を。その光景を思い出しながら口にする。
「許せ…などとは言わん。これもまた、世のためなのだから」
立っているのは今まで殺めてきた死体の山。その山に少なからず同志の死体もある。それも全ては彼が歩んできた道。だが、歩んだ道など永劫と続く道などない。道には必ず終わりが来る。時代が終わらすか、人か、それとも…
「なればこそ、最期は自らの手で幕を閉じなければなるまい」
ーーーー自分自身か。
どうやら俺はこれまでらしい。今まで信じて着いてきたお前らを俺は本当の家族の様に思ったよ。
「たく、こんな時に思い出すんじゃなかったぜ」
涙ぐんだ声で悪態を吐きながら呟く。思い返すは、在りし日の記憶。誠の旗の下に集いし同志達と共に生きた記憶。死にそうな目にあってたり、隊員同士で馬鹿やったりしたあの時を。思い返すだけで笑みが溢れる。
「今からそっちに行く。歳、沖田、待ってろよ」
この日、1人の生涯の幕が閉じた…処刑という形で。まだ35歳という若くして死した彼の歩んできた道は終わりを告げたのだった。
2.
「今年もくるんじゃろうかのう?」
「今年もくるんじゃないですかねぇ?」
そう言いながら、2人の英霊(サーヴァント)はおやつ(とあるオカンに作って貰った)をちまちま食べながら話していた。
「いやー、毎度の事ながら飽きんもんじゃのう。わしは別にええんじゃが」
そう言いながら『第六天印の食べる髑髏!是非もないよネ!』をどこからか取り出し、妙にリアルな骸骨を口に放って食べている黒髪美少女。彼女こそは戦国時代にその名を日ノ本に轟かせた第六天魔王【織田 信長】。
「そんな軽い事言ってるとまた明t「シャラーーーーーープ!!」………まあ、私は水着が出たからきてもばっちこいですけどね!!」
上機嫌に桜餅を食べながら前回の事を愚痴るピンクブロンドっぽい白髪という珍しい色合いをした髪をしているどこか儚げな美少女。彼女もまた時代は違えど日ノ本でその名を有名になった人物である。若くして命を落としてしまった天才剣士新撰組【沖田 総司】
「いつも思うんですけど、あのちびノブ達って毎度どこからくるんですかね?ノッブなら知ってるんじゃ?」
「それが分かったら苦労はせん。まあ、いつもの事ながら特に深い意味は無いと考えるのが妥当じゃろう」
「なんといっても制作してる人、そこまで考えてないよ(笑)みたいな感じですもんね」
「沖田の言う通りじゃな。是非もないよネ!」
「ノッブはただ単にそれが言いたかっただけですよね?」
「うわっはっはっは!」
「……誤魔化しきれてないですよ」
お茶を飲み、一息着いた所でふと沖田は話題をノッブに振る。
「話は変わりますけど、水着が来たのなら次狙うのはサンタですよね!いやー、人気者は辛いですねえ」
余程水着が出たのが嬉しいのか、完全に(何かとは言わないが)キメた顔になりながら話している。
「サンタになるとしても、オキタの方が適任なんじゃね?」
その一言で沖田、キレた!
「なんだあ、テメェ…」
「それにな、ヌシらがサンタになる前にわしがサンタになるかもじゃし?じゃし?」
更に燃料を投下していく第六天魔王。
「寝言は寝てから言ってくださいよ。ノッブたらお馬鹿さんですねえ」
笑いながら言ってるけど目だけが笑ってない。ハイライトがオフになっている。
「そんなに怒んなくても良くない?冗談で言ったつもりなんじゃがのう」
溜息を吐きながら、ジト目で沖田を見る信長。そんな態度に沖田は『私、不満です』といった顔をしながらまだ言い足りないのか小声で文句(呪詛)を言っている。
「暇じゃー。なーんか面白いことが起こってくれないかのう」
呪詛ばら蒔いている沖田をよそに茶々か長可呼ぼうかなーと考えているノッブである。
「…………もっと」
呪詛を吐いてる沖田が急に呪詛を吐くのをやめ、小声で呟く。
「ん?なんじゃ?」
「………………………………もっと」
「もちっとハッキリ言わんと聞こえんのじゃが?」
「もっと、私に構って下さいよ~~~!!」
沖田、魂からの叫び。
「お、おう?」
ノッブ、困惑。
「百歩譲って私はまともな枠だとしても、土方さんにオキタにあの人ら頭のネジが数本飛んでんじゃないかってぐらいおかしいんですよ!?土方さんはいつもいつも暇があったら沢庵を食べに厨房のエミヤさん(弓)に迷惑かけてることを自覚しないんですよ!謝りに行く私の身にもなってくださいよ!しかもこの前なんかトレーニングルームを宝具でぶっ壊しやがったんですよ!!それにオキタもオキタです。イベントの時は私を踏み台にしといて、カルデアに戻った時なんてずっっっっとマスター(藤丸立香)の後を雛鳥みたくヒョコヒョコついていって沖田さんだって構って欲しいのに何がかなしくて上司の尻拭いとそこにオキタとマスターが戯れ合ってる所を見なくちゃなんないんですか?……ああもうヤダあの人ら近藤さん、タスケテく…だ……さッッコフ!!」
興奮していつもより熱く自分の置かれている環境に熱く語った沖田はいつもの如く吐血し、ぶっ倒れる。
「お、沖田ァァアアアアアア!!」
3.
沖田が毎度の事ながら吐血して数時間後、沖田の自室でノッブが呼んだ助っ人の1人がやってきた。
「沖田はまだ寝てんのか?」
『新撰組』鬼の副長、【土方 歳三】である。土方は部屋に入ってくるなりずかずかと沖田の寝室に進んで行き、ドカッと座り込んで懐から沢庵を取り出し、食べ始める。
「さっさとそんな病(もん)治しちまえ。治ったら沢庵食いに行くぞ」
「ええ…沢庵はもう十分です。というか、もう少し食べる量を減らしてくれませんかね?」
「そりゃ無理な話だ。厨房にある沢庵はその一つ一つ味が違うからこれまた食が進む」
「いや、沢庵の話しは聞いてないんじゃが」
「よく飽きないですよねえ。味なんてどれも同じだと思うんですけど」
「それはまだお前がガキだってことだ。大人になれば自ずと違いが分かるようになる」
「え、そうなんですか?」
「そんなわけないじゃろ。沖田」
土方の沢庵愛に沖田が感染しかけた所をノッブが引き止める。
「え、何この状況。茶々的には絶対あの輪の中に入りたくないんだけど」
「まあ、いいじゃねえか、茶々様。面白い事が始まる気がするし早く入ろうぜ!」
そんな漫才の様なやり取りを遠くかいていた【茶々】と【森長可】。この2人もノッブに呼ばれてきた助っ人(という名の暇潰し要員)である。
「えー?あの中に入ったら茶々の存在感消えるよ?すぐ消えるよ?」
「茶々様が何言ってんのか知らねえけど絶対面白いぜ。なんたって大将が居るんだからな!」
殺る気満々長可とは違い、茶々は顔を顰め如何にも『行きたくない』という意思がありありな顔で拒否する。
「うっし!そうと決まれば、こんな所に突っ立てないで突撃だァァァ!ヒャッハー!!」
「いや、まだ茶々は何も言ってないんだけど!何勝手に突っ込もうとしてるの!?てか、引っ張る力凄いね!ちょ……ヤ、ヤメロー、死にたくない!死にたくない!!(精神的にも肉体的にも)」
時すでに遅し。長可が茶々の腕を引っ張りながら沖田の部屋へと侵入していく。茶々の叫び声と長可の雄叫びが更に部屋に木霊する。
「もう寝かせて、寝かせてください」
更に賑やかになった自室を見て切実にそう願う沖田だった。
4.
「すまないね。だが、聞いて欲しい物があって急遽呼ばせて貰った」
説明口調に話す彼女はかの有名な万能の天才と謳われた
【レオナルド・ダ・ヴィンチ】何故か性別が反転しているが気にしたら負けである。
「それで、ダ・ヴィンチちゃん。聞いて欲しいものとはなんでしょうか?」
片方の目が前髪に隠れている『メカクレ属メカクレ目メカクレ科』に属している茄子ちゃんこと後輩系デミ・サーヴァント【マシュ・キリエライト】が質問した。ダ・ヴィンチは待ってましたと言わんばかりに頷き、説明を続ける。
「と言っても、見つかったのはつい最近でね、場所は『江戸時代末期の京都』さ」
「何故そんな時代に特異点が?」
「それが分からないんだ。ただ、何らかの歴史改変が行われたとしか分かっていない。後の情報は全くと言っていい程明らかになっていない」
そこでだ…。と言いながらダ・ヴィンチは人類最後のマスター【藤丸 立香】を指差して言った。
「悪いんだけど、調査に向かってくれないかい?」
「調査?」
「その通り。危険な行為なのは百も承知だ。だから別にこれは命令でもなんでもない。断ってくれても構わない」
ダ・ヴィンチは好奇心はあるが、同時に藤丸の身も案じたのだろう。だが、藤丸の答えは初めから決まっている。
「分かりました。調査に向かいます」
「……すまない。君には負担ばかりかけてしまって」
「ダ・ヴィンチちゃん。そう言う時は『ありがとう』と言った方が良いと先輩から教わりました」
「ふふ、そうだね。ありがとう」
重い空気だったが、マシュとのやり取りで場の空気が軽くなった。
「それじゃあ、準備が出来たら声をかけてくれ。いつでもレイシフト出来るよう調整しとくからさ」
支度をするため、解散し自室に戻る藤丸。新しい