あったかもしれない出来事   作:とある地域の勇者

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②

 私は幼き頃からちょっと変わってる子だった。

周りの他の子達に比べて静かで、言われたこと以外は何もしない子だったと聞いた。

 

 じゃあ、何もしてない時はどうしてたかって?

ぼぉっと、遠い場所をずっと見ていた。

そして、一度見始めると現実を忘れたかのように見続ける。

周りから声を掛けられて、漸く見るのを止めたそうだ。

止めた様子はまるで、呼ばれて漸く現実を思い出したかのようだったとか。

あと、遠いところを見てるって。

だけど、ちょっと違うらしいそれは。

此処より遠いんだけど此処でない所。

此処であり何処か此処でない所を見ている感じがした。

って、困りながら当時の様子を母は口にした。

そんな私が周りの子と問題なく過ごしていけるか、両親はよく心配してたとか。

どこかおろおろする両親と、そんな事に知らないかのようにどこか遠くを見る私。

そんな光景を見るたび、祖母がこんなこと言ってたと。

 

 「孫は……空を恐れてるかもしれんのぉ……」

 

 「今の世になっても、人のどこかに深く刻まれてるじゃな……」

 

 目を細め、何かを思い出すかのように。

そして、どこか遠い記憶の中に話しかけるように。

細めた目には……雫があった気がした。

 

 

 

 「試練(じゅけん)が終わったから、もうのんびりできるって思ってたのに」

 

 「祖母ちゃんの昔話、気になってたのに」

 

 ききたかったな

 

 祖母が亡くなったのは、昨年末。

新たな年まで僅か手前という、止むことのない雪の日だった。

最後の最後まで、病気に縁が無い元気の祖母の姿。

まさか、その日が来るとは家族誰も想像してなかった。

いつもなら、誰より早く起きてる筈の祖母。

その日の朝だけは一番最後だった。

まぁ、気になって呼びに行った母の大声で私たちは知った。

そうそう。

祖母が浮べてた表情は、見た皆揃えてこう言った。

安らかな笑みだったと。

 

 そうそう、そんな祖母が亡くなる直前にどこかに出掛けたんだ。

どこに行ったのか、誰かに会ったのかとか分んない。

だって、私含めて家族には一切何も言わなかったから。

 

 何処に行ったんだろう?

もしかして、誰かに最後会いたい人でも居たのかな?

そんな事を思うことがあった。

まぁ、これに関してはその後手がかりがあったけど。

今は、いいや。

降り続く雪を見て、そう思う。

今まで生きてきた祖母に対して、悲しむように降り続く雪は。

 

 

 

―

 

 夏休みにはいって、すでに数日が経った今日。

象頭町に住む、なんてもないただの一般中学生の私。

そんな私は前日まで休む暇なく出されてた、にっくき?宿題を攻略していた。

ある意味その日々は地獄だった。

その御蔭で、無事に攻略完了と相成ったけど!

じゃあ、地獄から解放された今日は何してるかって?

それはね、友達と待ち合わせのために外に出てるんだ。

何故、そうなったかって?

それは、昨日にかかってきた一本の電話によってね。

 

 遡ること昨日、宿題の攻略完了の達成感と疲労感で溶けかかっていた私。

そんな私の携帯が着信が。

携帯を見ると発信元は、同じ学校の友達だった。

何だろうって電話に出ると、スピーカーから溢れそうな元気いっぱいの声が聞こえてくる。

その子とは、ちょっと前までは学校とかで会ってた。

でも、今は夏休み。

積もることがあっても、可笑しくはない。

二人の今までの事から会話は始まり、気づけば遊ぼうぜっとなっていた。

お互い次の日なら空いてるとのことで、それじゃあって予定が決まった。

それで、今私はお外にいる。

ちなみに、外にと出る前に母親に一言かけて出てるから、お昼ご飯はきっとない。

まぁ、途中何か食べてし問題ないよ……多分。

 

 今現在の私と言えば、家近くのバス停で並んでいる。

なぜって?

それは、友達との待ち合わせ場所は少し離れてるからバスに乗るため。

バスの時間までもう少しあり、何かないかなっと周りを見る。

 

 「あーそう言えば、そろそろなんだ」

 

 あるポスターを見て。

今度ある夏祭りの告知ポスターがそこのお店は張っていた。

 

 「夏祭りが近い……いつの間に今年、半分も過ぎてたの!」

 

 そう、並んでいるなか叫んでみる。

半袖の服袖が基本の今、夏ってことはそりょそうか。

ん?

叫んでも迷惑にならないかって?

それは問題なしよ。

何でかって言えば、この場に居るのは私のみ。

そこのお店含めて、冷房のおかげで開いてる処はない。

ね?

問題ないでしょう。

 

 「まぁ。半分過ぎたからって、特に変わった出来事は無いし」

 

 そう、例年通りの約半年を過ごす私。

基本的に、学校生活と家生活の繰り返しの日々。

ちょいちょい今日会う友達との遊びや、家族とのお出掛け等があるくらい。

他は……イベント事に現地参加くらいかな?

そんな感じで過ごす私であった(完)。

 

 

 

 到着したバスに乗り込む。

結局、バス停には私だけ。

そしてバスの中も、珍しく空っぽだった。

席は、選び放題好き放題。

それならと、一番右後ろの席を選んだ。

席に座ると、アナウンスと共にバスが動き出す。

動き出すとともに過ぎ去る風景を、なんとなく窓から眺める。

 

 「来年も特に変わらない。そう、きっとね」

 

 待ってる間の夏の暑さのせいかとそう呟く。

来年は中学の大イベントの卒業が待っている。

その後は、多分進学。

この夏が過ぎた頃には、受験と言う試練が控える。

きっと、いえ、絶対に、試練乗り越えて来年を迎えてるはず。

そして、入学へ。

そうね、前言訂正。

今年と違う年になるね、来年は。

不安と期待と楽しみに染まる日々を、今から想像するのよ私。

 

 「どんな一年になるのかな?」

 

 そんな、捕らぬ何とかの暢気な私。

バスはそんな私を乗せ、目的バス停まで進んでいく。

 

 「あれ?今の人って……?」

 

 流れ去る風景に、ふと誰かが居た気がした。

小麦色のような肌をした、桜っぽい髪の子が。

何で気になったんだろう?

 

 「んーさっぱり」

 

 まぁ、気まぐれだろうし……いいや。

もし、何か縁でもあればまた気になるはず!

そうして、謎の子Aについては記憶の片隅に埋もれた。

 

 

 

―

 

 やっぱり、捕らぬ狸の皮算用はあまりよくない。

今となっては、何でそんなことを考えたのか問い掛けたい気分。

何よ試練よ、卒業って、入学って。

確かに、試練は乗り越えた。

その点はいいとしよう、全くダメだけど。

不安と期待と楽しみで染まってないなら、どうだったかって?

それは……ここではやめとく。

気になるって?

……仕方がないね、大雑把でいいでしょう?

沢山の悲しみと痛みと暗闇に染まっただけ。

それだけよ。

あの時の四国では、想像つかないでしょうけど。

まぁ、何が言いたいかというと。

そんな事は、今の私には分かる筈が無かったってことよ。

 




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