あったかもしれない出来事   作:とある地域の勇者

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 私は幼き頃からちょっと変わってる子だった。

周りの他の子達に比べて静かで、言われたこと以外は何もしない子だったと聞いた。

 

 じゃあ、何もしてない時はどうしてたかって?

ぼぉっと、遠い場所をずっと見ていた。

そして、一度見始めると現実を忘れたかのように見続ける。

周りから声を掛けられて、漸く見るのを止めたそうだ。

止めた様子はまるで、呼ばれて漸く現実を思い出したかのようだったとか。

あと、遠いところを見てるって。

だけど、ちょっと違うらしいそれは。

此処より遠いんだけど此処でない所。

此処であり何処か此処でない所を見ている感じがした。

って、困りながら当時の様子を母は口にした。

そんな私が周りの子と問題なく過ごしていけるか、両親はよく心配してたとか。

どこかおろおろする両親と、そんな事に知らないかのようにどこか遠くを見る私。

そんな光景を見るたび、祖母がこんなこと言ってたと。

 

 「孫は……空を恐れてるかもしれんのぉ……」

 

 「今の世になっても、人のどこかに深く刻まれてるじゃな……」

 

 目を細め、何かを思い出すかのように。

そして、どこか遠い記憶の中に話しかけるように。

細めた目には……雫があった気がした。

 

 

 

 「試練(じゅけん)が終わったから、もうのんびりできるって思ってたのに」

 

 「祖母ちゃんの昔話、気になってたのに」

 

 ききたかったな

 

 祖母が亡くなったのは、昨年末。

新たな年まで僅か手前という、止むことのない雪の日だった。

最後の最後まで、病気に縁が無い元気の祖母の姿。

まさか、その日が来るとは家族誰も想像してなかった。

いつもなら、誰より早く起きてる筈の祖母。

その日の朝だけは一番最後だった。

まぁ、気になって呼びに行った母の大声で私たちは知った。

そうそう。

祖母が浮べてた表情は、見た皆揃えてこう言った。

安らかな笑みだったと。

 

 そうそう、そんな祖母が亡くなる直前にどこかに出掛けたんだ。

どこに行ったのか、誰かに会ったのかとか分んない。

だって、私含めて家族には一切何も言わなかったから。

 

 何処に行ったんだろう?

もしかして、誰かに最後会いたい人でも居たのかな?

そんな事を思うことがあった。

まぁ、これに関してはその後手がかりがあったけど。

今は、いいや。

降り続く雪を見て、そう思う。

今まで生きてきた祖母に対して、悲しむように降り続く雪は。

 

 

 

 

 夏休みにはいって、すでに数日が経った今日。

象頭町に住む、なんてもないただの一般中学生の私。

そんな私は前日まで休む暇なく出されてた、にっくき?宿題を攻略していた。

ある意味その日々は地獄だった。

その御蔭で、無事に攻略完了と相成ったけど!

じゃあ、地獄から解放された今日は何してるかって?

それはね、友達と待ち合わせのために外に出てるんだ。

何故、そうなったかって?

それは、昨日にかかってきた一本の電話によってね。

 

 遡ること昨日、宿題の攻略完了の達成感と疲労感で溶けかかっていた私。

そんな私の携帯が着信が。

携帯を見ると発信元は、同じ学校の友達だった。

何だろうって電話に出ると、スピーカーから溢れそうな元気いっぱいの声が聞こえてくる。

その子とは、ちょっと前までは学校とかで会ってた。

でも、今は夏休み。

積もることがあっても、可笑しくはない。

二人の今までの事から会話は始まり、気づけば遊ぼうぜっとなっていた。

お互い次の日なら空いてるとのことで、それじゃあって予定が決まった。

それで、今私はお外にいる。

ちなみに、外にと出る前に母親に一言かけて出てるから、お昼ご飯はきっとない。

まぁ、途中何か食べてし問題ないよ……多分。

 

 今現在の私と言えば、家近くのバス停で並んでいる。

なぜって?

それは、友達との待ち合わせ場所は少し離れてるからバスに乗るため。

バスの時間までもう少しあり、何かないかなっと周りを見る。

 

 「あーそう言えば、そろそろなんだ」

 

 あるポスターを見て。

今度ある夏祭りの告知ポスターがそこのお店は張っていた。

 

 「夏祭りが近い……いつの間に今年、半分も過ぎてたの!」

 

 そう、並んでいるなか叫んでみる。

半袖の服袖が基本の今、夏ってことはそりょそうか。

ん?

叫んでも迷惑にならないかって?

それは問題なしよ。

何でかって言えば、この場に居るのは私のみ。

そこのお店含めて、冷房のおかげで開いてる処はない。

ね?

問題ないでしょう。

 

 「まぁ。半分過ぎたからって、特に変わった出来事は無いし」

 

 そう、例年通りの約半年を過ごす私。

基本的に、学校生活と家生活の繰り返しの日々。

ちょいちょい今日会う友達との遊びや、家族とのお出掛け等があるくらい。

他は……イベント事に現地参加くらいかな?

そんな感じで過ごす私であった(完)。

 

 

 

 到着したバスに乗り込む。

結局、バス停には私だけ。

そしてバスの中も、珍しく空っぽだった。

席は、選び放題好き放題。

それならと、一番右後ろの席を選んだ。

席に座ると、アナウンスと共にバスが動き出す。

動き出すとともに過ぎ去る風景を、なんとなく窓から眺める。

 

 「来年も特に変わらない。そう、きっとね」

 

 待ってる間の夏の暑さのせいかとそう呟く。

来年は中学の大イベントの卒業が待っている。

その後は、多分進学。

この夏が過ぎた頃には、受験と言う試練が控える。

きっと、いえ、絶対に、試練乗り越えて来年を迎えてるはず。

そして、入学へ。

そうね、前言訂正。

今年と違う年になるね、来年は。

不安と期待と楽しみに染まる日々を、今から想像するのよ私。

 

 「どんな一年になるのかな?」

 

 そんな、捕らぬ何とかの暢気な私。

バスはそんな私を乗せ、目的バス停まで進んでいく。

 

 「あれ?今の人って……?」

 

 流れ去る風景に、ふと誰かが居た気がした。

小麦色のような肌をした、桜っぽい髪の子が。

何で気になったんだろう?

 

 「んーさっぱり」

 

 まぁ、気まぐれだろうし……いいや。

もし、何か縁でもあればまた気になるはず!

そうして、謎の子Aについては記憶の片隅に埋もれた。

 

 

 

 

 やっぱり、捕らぬ狸の皮算用はあまりよくない。

今となっては、何でそんなことを考えたのか問い掛けたい気分。

何よ試練よ、卒業って、入学って。

確かに、試練は乗り越えた。

その点はいいとしよう、全くダメだけど。

不安と期待と楽しみで染まってないなら、どうだったかって?

それは……ここではやめとく。

気になるって?

……仕方がないね、大雑把でいいでしょう?

沢山の悲しみと痛みと暗闇に染まっただけ。

それだけよ。

あの時の四国では、想像つかないでしょうけど。

まぁ、何が言いたいかというと。

そんな事は、今の私には分かる筈が無かったってことよ。

 




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