LBXを兵器になんてさせない   作:青蛙

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(つべでダン戦アニメ配信するらしいので)初投稿です
みんなもダン戦アニメ、見よう!



vs ジャッジ

 

 

 

 

 

 

『おおっとぉ! 早速Dブロックの覇者が決まったァァ! Dブロック決勝を制したのは、自称『オタクロスの弟子』、ユジン選手だぁぁぁっ!』

 

 仙道ダイキの操るジョーカーMk-2を終始寄せ付けることなく、圧倒的な射撃スキルによってアタックファンクションさえ使う事なく勝利したビビンバードX。

 ここまで大会は一切の問題も起こる事なく順調に進行し、仲間のLBXプレイヤー達も着々と決勝へのコマを進めていた。

 

 Cブロックではアーミーチャリオットの三人に勝利した山野バンチームが決勝でアジアチャンピオンの森上ケイタチームと激突。カズにとっては憧れのLBXプレイヤーとのバトルとなった訳だが、戦いの決着はあっさりとついた。

 まず先行したアミのクノイチが森上ケイタチームの三機の動きを掻き乱し、続いて突撃したアキレスが完璧な槍さばきでブルドとアマゾネスを次々と撃破。残った森上ケイタのウォーリアーは奮闘したが、カズのハンターによる精密射撃とアキレスとクノイチの完璧なコンビネーションに為すすべなくブレイクオーバーした。

 

 しかし一方で、Bブロック決勝では予想通りと言うべきか、マスクドJと虎杖ハクビが激突。マスクドJの操るLBXマスカレードJは虎杖ハクビのLBXビャッコを相手に善戦したが、あと一歩及ばずに敗北。ハクビがマスクドJの正体に気付いた様子は無く、それには安心したのだが、彼が決勝戦に進出するという苦しい結果になってしまった。

 

 そしてAブロックも原作通りにレックスとハンゾウの二人と、海道ジンが激突。ハカイオー絶斗はエンペラーM2を相手に互角の戦いを繰り広げたが、途中から突然目に見えて動きが悪くなり、エンペラーM2のインパクトカイザーを受けてブレイクオーバー。残ったレックスのGレックスも、最後まで本気を見せること無く倒された。

 

 これで決勝に進む五人の内、四人が決められた。残るはEブロック決勝のみ。

 

「よう、ここに居たかリュウセイ」

 

 Eブロック決勝を前にして、缶コーヒーを飲みながら心を落ち着かせていると、後ろから声をかけられた。振り返ると、いつもの裸学ランという寒そうな格好をした彼が目に映った。

 

「ああ、ハンゾウ君か。バン君達は一緒じゃないの?」

「アイツ等とは別行動中だぜ。俺は負けちまって暇だからよ、オメーの応援に来たんだ」

「そうなのか、ありがとうハンゾウ君。でも、ハンゾウ君もあんなに頑張ったのに……」

「気にすんなリュウセイ。ハカイオー絶斗が駄目になったのは単に俺のメンテナンス不足だ。昨日は完璧に準備したと思ってたんだけどな………仕方ねぇ」

 

 そう言って、悔しそうに拳を握り締めるハンゾウ。しかしLBXに対しては人一倍真剣な彼が、日々のメンテナンスを怠るとはどうしても思えなかった。恐らくは、あそこで必ず負けるためにレックスが何かしら仕組んでいたに違いない。ハンゾウは拳を握り締める力を更に強くして、悔しそうに表情を歪めた。

 

「だが、解せねぇのはレックスだ。バトルが終わった後、海道ジンは言ってた。どうして本気を出さなかった、って。レックスはどうして本気を出さなかった! 俺はあそこまでジンのエンペラーM2を追い詰めた! もう少しで勝てるはずだった! なのに!」

「ハンゾウ君!」

「っ! す、すまねぇ……少し熱くなっちまった。少し外で頭冷やしてくるよ。時間になったら応援しに行くからよ………またな」

「うん、また後で……」

 

 あれだけ訓練を重ねてきて、かの『秒殺の皇帝』海道ジンに迫る強さを手に入れた郷田ハンゾウ。最後の最後でLBXの故障が無ければ勝てていたかもしれない。その上、バトルの後に伝えられたのは仲間だったはずのレックスが手を抜いていたという事実。見ていた此方も悔しかったが、一番悔しいのは彼自身だ。

 

「……勝たないとな」

 

 灰原ユウヤにも、虎杖ハクビにも。

 無二の相棒であるセイリュウを見下ろして、覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さあさあ遂にやってまいりましたEブロック決勝! 戦うのは未だ公式戦では無敗を誇る西日本の王者『青柳リュウセイ』と、並み居る優勝候補を薙ぎ倒してきたダークホース『灰原ユウヤ』! 使用LBXは互いに一点ものの『セイリュウ』と『ジャッジ』! 決勝の舞台を前にして、二人はどんなバトルを見せてくれるのかーっ!』

 

 ステージに上がった僕は、フィールドを挟んで向かいに立つ灰原ユウヤチームの三人を睨み付けた。先頭に立つ不気味な目をした全身タイツの少年が、灰原ユウヤだ。まさかこの不気味な少年が、続くWにて大勢の大きなお友達を釣り上げる屈指の萌えキャラになろうとは思ってもいなかった。

 ただ無言でこちらをじっと見詰めてくる彼を観察していると、彼の後ろにいた一人の少年が突然口を開いた。

 

「青柳リュウセイ。神谷の裏切り者」

「………何だ」

「お前を倒し、セイリュウを回収せよと命令が出ている。悪く思うな」

 

 何かと思えば、わかりきっていた事だ。

 負ければ恐らくセイリュウは奪われ、自分もイノベーターによって消される事になるだろう。そんな事は覚悟の上で、このアルテミスへの出場を決めたのだ。今更その程度の脅しに怖じ気づくような僕じゃない。

 

「ジャッジは破壊する。灰原ユウヤは回収する。お前達は警察に突き出される。逃げ場が無いのはどっちだと思う?」

「………何だと?」

 

 フィールド『渓谷』にセイリュウとジャッジが投下された。高低差の激しいこのフィールドでは接近戦が主になる武器は非常に不利になるが、お互いに使用武器は剣であり、武器での相性は今回は無い。

 

『決勝へと進む最後の挑戦者が決まるこの一戦! 今、スタートです!』

 

 

   バトルスタート!

 

 

「往こう……セイリュウ!」

「ジャッジ、起動」

 

 開始と共にブーストをかけて飛び出したセイリュウ。一方でジャッジはカウンターを狙っているのか、開始位置から動かずに静かに剣を構えたまま動かない。

 

「そっちがそのつもりなら」

 

 高台に登ったセイリュウは、ジャッジめがけて飛び降りた。あからさまな攻撃の動きに、ジャッジはセイリュウの着地点から少しずれて、強烈なカウンターを決めようと剣を振りかぶる。

 しかし、セイリュウは着地寸前で空中回転斬りを繰り出し、逆にジャッジの身体を大きく吹き飛ばした。

 

「……!」

「チィッ! やはりコイツ程度の実力では駄目か。ここで使うつもりは無かったが……灰原ユウヤ、『サイコスキャニングモード』!」

 

 その瞬間、開始早々素の状態では部が悪いと判断した後ろの少年が、何かの機械を操作する。すると途端に灰原ユウヤとその使用LBXジャッジの身体が緑色の光に包まれ、目に見えて彼の様子がおかしくなり始めた。

 

「ウッ、ヒヒヒ………ヒヒヒヒ、ハハハハッ!」

「っ!? もう使ってくるのか!」

 

 突如として狂気的な笑みを浮かべて笑い始める灰原ユウヤ。

 吹っ飛ばされた先で華麗に宙返りを決めて着地したジャッジは、先程とはうって変わって攻撃的になり、凄まじい剣撃を浴びせてくる。セイリュウは二刀の四聖獣セイリュウでその全てを受け流していく。雷の属性を持つ四聖獣セイリュウの刃がジャッジの剣と重なる度に凄まじい火花を散らし、フィールド中を駆け巡りながら二機は激しい戦闘を繰り広げた。

 世界大会アルテミスとはいえ、1ブロックの決勝戦とは思えないほどにレベルの高い試合に会場は沸き立つ。

 

「クソッ! さっさと決めろ灰原ユウヤ!」

「イヒヒヒヒッ! アッハッハッハッハ!」

 

 アタックファンクション! パワースラッシュ!

 

「まずいっ!」

 

 剣のアタックファンクションの中でも特に基本的な部類に入る技『パワースラッシュ』。本来は特別強力な技では無いはずなのだが、今ジャッジの剣に集中していくエネルギーは通常の何倍にも膨れ上がっていた。

 

「セイリュウっ!」

「ヒャハァッ! アハッ!」

 

 セイリュウは急いでジャッジから距離をとり、放たれたその一撃を飛び上がって回避する。飛ぶ斬撃であるパワースラッシュは、フィールド上の岩などのオブジェクトを破壊しながら尚も突き進み、フィールドの壁に直撃して大きな傷を残した。

 その凄まじい威力に思わず目を剥く。LBXのリミッターを解除した『アンリミテッドレギュレーション』だって、今のようにフィールドの壁に傷を作ったりなんてしない。LBXが強化ダンボールを破壊できるはずが無いのだ。

 

「アハはっ……はっ? が、あぐぅ!?」

「灰原!」

 

 しかし今の一撃で灰原ユウヤも限界を迎えてしまった。突然苦しそうに呻き出し、頭を両手で押さえて暴れだす。

 

「まずい! 灰原ユウヤの精神が暴走を始めた! おい、青柳リュウセイ、聞こえているか! 速くソイツを倒せ!」

 

 客席の方からそんな聞き慣れた声が聞こえ、僕は再び戦いに集中した。操縦者があんなことになっているにも関わらず、ジャッジは尚も攻撃の手を緩めず、それどころか攻撃は先程よりもどんどん激しくなっていく。

 

 サイコスキャニングモードはLBXと操縦者の精神を同調させる事で、LBXを自らの手足のように自然に扱えるようにするというものだ。しかしその分操縦者の精神には大きな負担を強いるものであり、その負荷に操縦者が耐えられなくなった瞬間、LBXは操縦者の苦しみのままに暴走を始めてしまう。操縦者が苦しめば苦しむほどLBXは更に強くなり、いずれその余波は観客にまで響くことになるだろう。そして最終的に、操縦者は死亡する。

 

「聞こえてるよ、海道ジン」

 

 ジャッジの剣を受け止めずに回避に徹し、カウンターをジャッジの駆動部めがけて何度も打ち込んでいく。LBX自体は強くなっているが、動きは先程までと比べて単調になっている分、次の動作を予測するのは容易で、段々と形勢はセイリュウへと傾いていく。

 更にその数秒後にはジャッジは最早セイリュウに斬られ続けるだけのサンドバッグと化し、まともな動作さえ出来なくなった間接はガクガクと振動するのみで動けない。

 

「トドメだ!」

 

 必殺ファンクション! 神速剣

 

 完全に動けなくなったジャッジに、空中へと飛び上がったセイリュウから目にも止まらぬ速さの斬撃が殺到した。ジャッジのボディは頭、右腕、胸、腰、足と次々に切り刻まれ、ただの鉄屑になったそれらはフィールドに散らばった。

 

『Eブロック決勝、決着ゥゥゥ! 激戦だったもののセイリュウは最後までジャッジの攻撃を受ける事なくラストは必殺ファンクションで華麗に決めたァァッ!』

 

「あ……う、ぐぅ」

「灰原ユウヤ!」

 

 ジャッジが破壊されたと同時に、灰原ユウヤは糸の切れた人形のように力無く倒れる。すぐさま僕は彼に駆け寄り、その身体を抱き上げた。

 

「大丈夫だ、脈はある……警備員さん! そいつらを逃がすな!」

 

 突如として倒れた灰原ユウヤに混乱する会場に乗じて逃げようとしていたイノベーターの二人を警備員が押さえ付けた。

 灰原ユウヤは洗脳されて操られていただけに過ぎないが、彼等は違う。彼等もまだ子供とはいえ、イノベーターが何をしているのか知った上で、私欲の為にイノベーターに所属している悪人だ。そんな彼等をみすみす逃がすような真似は有り得ない。

 

「すみませんスタッフさん。救急車を呼んで頂けますか」

「は、はい!」

 

 しばらくして、灰原ユウヤは集まってきたアルテミススタッフによって担架で運ばれていった。灰原ユウヤについていた二人のプレイヤーも駆け付けた警官達によって連行されていき、ひとまずの所はこれで安心だろう。どうにか一つ目の山場を乗り越えることが出来た。

 

 

 

 

 

『ただ今、選手救護の為、大会を一時中止しております。再開までしばしお待ちください』

 

 決勝戦まで時間が出来てしまった僕は、会場中を歩き回って各ポイントのチェックをしていた。

 

 僕のアルテミスでの残りの目標はあと3つだ。1つ目は『僕かバンかユジンのいずれかが優勝する事』。奪うのではなく、正しい方法でメタナスGXを手に入れる為だ。

 そして2つ目が『山野バンのアキレスを破壊させないorプラチナカプセルの防衛に成功する』。これはレックスとの直接対決を早める為に必要な事だ。原作のゲームでは、イノベーターに奪われたプラチナカプセルをレックスが取り返すという形で、大会中に沸いたレックスへの不信感を打ち消してくる訳だが、今回はそれは行わせない。レックスはイフリートが手元に無い内に、素早く倒してバンにカウンセリングをして貰わなければならないからだ。

 そして3つ目が『メタナスGXをイノベーターから守り。原作で殺されるはずの警備員を守る事』。LBXを兵器にしないという最終目標の為にもLBXに殺しはさせたくないという事と、メタナスGX自体が最強のLBXを産み出し得る危険物であるという事が理由だ。各ポイントのチェックというのがこれの為に必要な事であり、決勝戦直後に襲撃してくるイノベーターのLBX達を迎撃するために、既にキタジマ模型店で購入したLBX達と元々持っていたLBX達をスタンバイさせている。

 

「一応全部大丈夫そうかな……」

 

 全機が無事に各地点についたのを確認して、会場エントランスホールまで戻った。適当に時間でも潰そうと、LBXメーカーのブースを覗いていると、遠くから一人の少年がこちらに歩いてくるのに気が付いた。

 

「海道ジン、か」

「青柳リュウセイだな、話は聞いている。こうして会うのは始めてだが……」

「なら知っていると思うけど、今の僕と君は敵同士のはず。わざわざ何の用かな」

「いや、ただ礼を言いたくてな。灰原ユウヤ………彼とはトキオブリッジの事故の時、同じ病院で入院していたからお互い顔見知りなんだ。まさかあんなことになっていたとは知らなかったが、彼を助けてくれてありがとう」

 

 そう言って、海道ジンは静かに頭を下げた。

 ただの顔見知りなら、そう頭を下げて礼を言う必要なんて無いだろうに。

 

「別に、礼を言われるような事じゃない。僕は最初から誰が相手だろうと勝つつもりだったし、目の前で死のうとしてる人間を止めるのは当たり前だ」

「………ああ、そうだな。それが当たり前だ」

「? どうかしたのか、海道ジン」

「いいや。元『四神』の君からそんな言葉が聞けるとは思わなくてね。僕は少しぼんやりとし過ぎていたのかもしれない」

 

 彼は何処か遠くを見るように窓の外を眺め、そして去っていった。

 時計を見ると、灰原ユウヤの救護が始まってからもう一時間が経とうとしている。決勝戦開始まで、あと少し。

 

 

 

 

 





【ジャッジ】
灰原ユウヤ専用に作られたイノベーターのLBX。フレームはナイトフレーム。操縦者の精神を同調させる事で性能を飛躍的に向上させる『サイコスキャニングモード』が使用可能。(ゲームでは敵のみ)
初出はゲーム『ダンボール戦機』。

アミの最終機体、どれがいい?

  • シャルナック
  • ダークパンドラ
  • ホーネット
  • パンドラのままが良い!
  • 正直どれでも良い……
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