LBXを兵器になんてさせない   作:青蛙

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(オタクロスを倒したので)初投稿です



アルテミス直前

 

 

 

 

「行くぜ、ハカイオー絶斗ォ!」

「……アマゾネス」

「頑張れ、俺のブルド!」

 

 12機のLBXがひしめく草原のフィールドに、ハンゾウ達の三機のLBXが降り立った。ハンゾウが『ハカイオー絶斗』、ミカが紫にカラーリングした『アマゾネス』、そしてリュウがオレンジにカラーリングした『ブルド改』だ。

 ハンゾウ達の目の前に立つLBXは、右側から『ウォーリアー』『アマゾネス』『ブルド』『オルテガ』『ムシャ』『ジョーカー』『ブルド改』『サラマンダー』『グラディエーター』『クノイチ』『ズール』『カブト』。

 12機はハンゾウ達のLBXが投入されるやいなや走り出し、それぞれの武器をふるって三機に襲いかかった。

 

「ハッ、本番同様にってか!」

「ああ。全力で倒しに来て」

「んなもんわかってるよ!」

 

 同時に襲いかかってくるブルド改とオルテガを、ハカイオー絶斗は凄まじい勢いの回転斬りで弾き飛ばし、更にブーストをかけてオルテガに接近、自重をかけた縦斬りでオルテガを仕留める。反撃とばかりに再び躍りかかってきたブルド改のハンマーを振り向きざまにいなし、返す刃で胴を横凪に斬りつけた。ブルド改もこれにはたまらず転倒し、青い光を弾けさせる。ブレイクオーバーだ。

 

「おっしゃあ! 二機撃破ァ!」

「良い。良い調子だ。だけど……」

 

 一方、ムシャとジョーカーに狙われたリュウのブルド改は苦戦していた。

 バランスの取れた性能で、ブルド改のハンマーをガードしながら隙を見て攻撃してくるムシャ。ストライダーフレームらしい素早い動きで翻弄し、背後からハンマーの重い一撃を加えてくるジョーカー。

 同級生達の中ではLBXバトルの強い方であると自負していたリュウだったが、それはあくまでミソラ第二中という狭い枠の中での話。二体同時に相手をするのは滅多に無い事で、普段ならばすぐに仲間が助けに来てくれる所、あまりの敵の多さにそれも望めない。

 

「ぶ、ブルドっ!」

 

 次第に防戦一方に追い込まれるブルド改に追い討ちをかけるように、更に一機のLBXが岩の影から襲い掛かった。

 水月棍を装備したそのウォーリアーは、明らかに他のLBXとは一線を隔する動きでブルド改との距離を一瞬で詰め、ブルド改の攻撃可能範囲よりも内側に潜り込んで何度も胴を殴りつける。パンツァーフレームで耐久力には自信のあったブルド改だったが、ウォーリアーの猛攻に遂に耐えきれず、ブレイクオーバーしてしまった。

 

「お、俺のブルドが……」

「リュウ!」

「大口寺、くん……!?」

 

 早々に落ちてしまった味方に二人は驚き、一瞬操作の手が止まった。しかしその瞬間にも、他の8体のLBX達は休むこと無くハカイオー絶斗とアマゾネスに襲いかかる。

 

「例え相手がAI操作の有象無象だとしても、エース機は必ず存在してる。神谷は数あるLBXメーカーの中でも特に自律操作に長けた企業。雑魚のLBXに苦戦している暇は無いよ」

「チッ、成る程。強いのと弱いのを見極めて、邪魔な弱いやつからさっさと片付けろって事か!」

「うん。弱くても集まられると厄介だから。強いのとの戦いで邪魔になる前に、処理しておいた方が良い」

 

 ミカのアマゾネスの周囲をグラディエーター、ズール、カブトの三機が囲む。三方向から同時に攻撃を仕掛けてくる三機に、アマゾネスは大きく飛び上がって宙返り。

 軽やかに着地したアマゾネスは、三機が一ヶ所に集まった瞬間を見逃さなかった。

 

「………決める!」

 

 アタックファンクション!トライデント!

 

 手首の回転機構によって槍を回転させながら、アマゾネスは槍にエネルギーを集中させる。そして槍が完全に青に染まった瞬間、アマゾネスは一気にそれを前へと突き出す。槍の先から放たれるエネルギーの奔流は三方向に分かれ、それぞれ螺旋を描きながら延びていく。

 攻撃動作の直後で三機は回避が間に合わず、アマゾネスのアタックファンクションの餌食となり、同時に撃破された。

 

「なかなかやるじゃねぇかミカ。この調子ならお前も入れて本当に四天王にしても良いかもな」

「イヤ………私は、郷田さんの特別になりたい」

「え? あぁ?」

 

 皆が見ている前だと言うのに、いきなり桃色の空気をかもし出し始めるミカ。しかし、ド直球の好意をぶつけられているにも関わらず、鈍感主人公体質のハンゾウは、わかったようなわからないような微妙な返事をする。

 

「ミカさん。そういうのはまた後で。残り7機だけど、まだエース機は落ちてないよ」

「………わかってる」

 

 不満そうにムスッと頬を膨らませる御影ミカ。しかしそうしている間も彼女の指は凄まじい速度で動き、ハカイオー絶斗と共に雑魚に設定していた4体のLBX『ムシャ』『ジョーカー』『サラマンダー』『クノイチ』を次々と撃破した。

 残るは『ウォーリアー』『アマゾネス』『ブルド』の三機だけだ。

 

「あれは……!」

 

 戦いの様子を見ていたカズが、最後に残った三機のLBX達を見て身を乗り出す。ウォーリアー使いだったカズだからこそ、エース機に指定された三機が何を意味していたのかすぐに気付いたのだろう。

 

「カズ、どうしたの?」

「驚いたぜ。特殊な調整とかはしてないから強さは数段落ちるだろうが、ありゃアジアチャンピオンの『森上ケイタ』のチームだ。リュウセイはアジア選手権には出場してないから、直接戦った事は無いはずだけど………武器も完璧に再現してる」

「森上ケイタ。最強のウォーリアー使いって呼ばれてる。カズの憧れの人ね」

 

 互いの背を守りながら立つハカイオー絶斗とアマゾネスの周囲を、棍を装備したウォーリアー、薙刀を装備したアマゾネス、両手銃を装備したブルドが囲んだ。

 ウォーリアーとアマゾネスの二機はハカイオー達の出方を窺いながらじわじわとその距離をつめていき、ブルドはいつでも二機の補助に回れるように静かに両手銃を構える。

 

「チッ……キッツイなぁ。滾らせてくれるじゃねぇか」

「ウォーリアーの相手は……私が」

「あぁ、早いとこ倒して合流しようぜ。ブルドの狙撃には気を付けろよ」

「……うん!」

 

 身動きを取れなくされてジリ貧になる前にと、ハカイオー絶斗はアマゾネスに、ミカのアマゾネスはウォーリアーへと突撃した。

 すかさずブルドからハカイオー絶斗に向けて銃弾が飛ぶが、ハカイオー絶斗は絶・破岩刃で難なくそれを弾き返し、アマゾネスに斬りかかる。アマゾネスは軽快なステップでそれを回避し、逆に薙刀でハカイオー絶斗の駆動部を狙って突きを放った。しかしハカイオー絶斗はそれを回避する事無く、両足で地をしっかりと踏みしめて、あろうことか肘と脚で薙刀の穂先を捕まえてしまった。武器を強く握っていたアマゾネスは、それによって一瞬動きを止めてしまう。

 

「一気に決めるぜ、ハカイオー絶斗ォォォ!」

 

 アタックファンクション!パワースラッシュ!

 

 至近距離から放たれた高火力技にアマゾネスは後方へと派手に吹っ飛び、ジオラマの壁に激突して青い光を弾けさせた。

 

「良し。ミカ、そっちはどうだ!」

「………ごめん、なさい」

 

 しかし時既に遅く、ブルドからの狙撃とウォーリアーの苛烈な攻撃をいなしきれず、ミカのアマゾネスはブレイクオーバーしてしまっていた。

 最後の一機になったハカイオー絶斗の前に、ウォーリアーとブルドが立ちはだかる。

 

「ッ! いや、謝んじゃねぇ。まだ終わってねぇぞ。それにな……」

 

 ハンゾウは一瞬こちらを見て、そしてジオラマの中のハカイオー絶斗を見下ろした。

 

「本気にもなってねぇコイツに、負けるわけねぇだろ!」

 

 そう叫んだ直後、ハカイオー絶斗はブルドの狙撃を掻い潜り、ブーストをかけてブロウラーフレームとは思えない程のスピードでウォーリアーへと接近する。振り下ろされる絶・破岩刃をウォーリアーは盾で防ぐが、回転する刃がウォーリアーのガードを崩した。僚機のピンチにブルドも場所を変えながら狙撃を試みるが、ハカイオーは上手く斜線の間にウォーリアーを置いてそれを許さない。

 ウォーリアーと激しい攻防を繰り広げたハカイオー絶斗は、徐々にその位置をブルドの方へと近付けていく。そしてウォーリアーとブルドの二機が一直線上に並んだ瞬間に、勝負は決した。

 

「行くぜ………生まれ変わったお前の必殺技!」

 

 必殺ファンクション!超我王砲

 

 ハカイオー絶斗の胸の二基の砲門に、エネルギーがみるみるうちに溜められていく。そして回避の間に合わなかった二機を、二本の極太のビームが飲み込んだ。

 ビームが放出されきった後には、倒れて動かなくなったウォーリアーとブルドが残され、ジオラマにはハカイオー絶斗のみが立つ。

 

「ハンゾウ君達の勝ちだ」

「っ、しゃぁぁぁっ!」

 

 勝利の喜びから、天に向かって吠えるハンゾウ。

 早々にリュウのブルド改が落ち、終盤にミカのアマゾネスが落ちてしまうという苦しい展開ではあったが、郷田ハンゾウ達三人のチームは辛くも勝利を納めた。

 

「ハンゾウ君とミカさんは思った以上にいい動きだったよ。あとは相手の動きを読んで、こっちの動きで相手の動作をコントロール出来るようになると良い」

「相手の動きをコントロールか。難しいが………成る程な」

「今回はダメだった。次は狙撃手に仕事させない」

 

 こうして戦いから学び、より強くなる。何度も戦い、自身の弱点を見極め、克服し、出来ることを増やしていくのだ。自分を含めた神谷のテストプレイヤー達は、皆そうして強くなっていった。

 

「俺は………」

「リュウ君は、今回は残念だった。でも僕は、君が特別二人より劣っているとは思わない」

「………どうして?」

「僕が思うに、リュウ君が撃破されてしまったのはテクニックの問題じゃなく、心の問題だと思う。君は、二機に挟まれた瞬間から、目に見えて動きが悪くなった」

「心の、問題……」

 

 落ち込んでいるリュウにそう言うと、彼は何か考え込むように口元を押さえた。

 予想に反して、一戦目から良い動きを見せてくれた三人。流石はメインキャラクター達だ。きっと僕なんてすぐに追い抜かれてしまうだろうが、彼等を鍛えていく事が楽しみでならない。

 

「よし! 次は俺たちだ!」

「今ぐらいの相手なら、郷田君達の半分の時間でおわらせてやるわ!」

「俺達のコンビネーションを見せてやるぜ!」

 

 ハカイオー絶斗達が回収されると、すぐにバン達のLBX『アキレス』『クノイチ』『ハンター』の三機がジオラマの中に投入された。

 自動メンテナンスを終えたこちらのLBX達も次々に起き上がり、その目に光をともす。訓練はまだまだ始まったばかりだ。

 

「操作機体変更………じゃあ、始めようか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、神谷重工本社、社長室にて。

 

「やっほ~。久し振りだなァお前ら」

 

「ハクビか………相変わらずのいい加減そうな様子で何よりだ」

「へー、随分イケメンになったじゃん。まぁアタシの好みからは外れてるけどさ」

 

 扉を開き中へと入った虎杖ハクビを出迎えたのは、真面目そうな顔の緑色の髪をした少年と、燃えるような赤い髪の強気な少女。ハクビはいつもの軽い笑顔を二人に向けて、ヒラヒラと手を振りながら二人に歩み寄る。

 

「そう言うヒスイも相変わらずの堅物メガネで安心したぜ。グレンちゃんキッツイなぁ。もうちょっと俺に優しくしてくんない? ほら、俺かっこよくなったんでしょ? 好きになっちゃわない?」

「悪いけどアタシ、もうちょい筋肉のついたワイルドな感じの方が好みなんだよね。遊んでるようなヤツは願い下げだけど」

「だとさ。手酷く振られたな、ハクビ」

「ちぇっ。まあ冗談だからノーダメノーダメ」

 

 部屋の主人である神谷籐吾郎もまだ来ておらず、下らない雑談を続ける三人だったが、しばらくして社長室の奥の扉が開き、神谷籐吾郎が姿を表した。

 彼の登場に三人は一斉に彼の方を向き、姿勢を正した。

 

「さて、全員集まっているようで何より。早速話を始めよう」

 

 そう言って話し始めようとする神谷籐吾郎に、亀島ヒスイは静かに手を挙げる。

 

「籐吾郎様、まだ青龍の青柳リュウセイが来ておりません」

「ああ、その事ならば今から話そう」

 

 神谷籐吾郎は酷く不機嫌な様子で社長椅子に腰を下ろして両手を組む。普段は無表情で何を考えているのかわからない狸爺である彼の、3人の誰もが見たこともないほどに動揺した様子にハクビ達は息を飲む。

 

「まず、四神が一人、『青龍』の青柳リュウセイは我が神谷重工を裏切り、イノベーターへの攻撃を開始した」

 

「「「!?」」」

 

「ヤツは世界大会アルテミスへの出場権を持っている。アルテミスの優勝賞品『メタナスGX』を狙って、ヤツは必ずアルテミスに現れるだろう。我々も海道先生のご協力の元、メタナスGXを手に入れるべく強力なLBXプレイヤーを二人用意したが、安心は出来ない」

 

 幼少の頃より共に育ち、LBXとして高めあってきた仲間の裏切りに、三人は衝撃を受けて声を出すことさえ出来ない。そんな三人の様子を知ってか知らずか、神谷籐吾郎は強い口調で続けた。

 

「お前達三人を呼んだのは他でもない。三人の中から一人を選び、アルテミスの予選に出場。そしてアルテミスにて、青柳リュウセイを叩き潰すのだ!」

 

「ま、待ってくれよ籐吾郎様!」

 

 動揺のあまり、ハクビは姿勢を正すことさえ忘れて大きな声を出してしまう。しかし籐吾郎もそんな彼を咎めるような事は無かった。ただ静かに、ハクビを見つめる。

 

「リュウセイが裏切るなんて信じられねぇ! ついこないだだって、俺はリュウセイとLBXバトルを……」

「だが事実だ。既に何人ものイノベーターのLBXプレイヤーがヤツによって倒されている。『セイリュウ』や『トロイ』までもを手にしているヤツは、最早並みのプレイヤーでは時間稼ぎにすらならない始末。故に我々も、お前達『四神』という最高戦力でもってヤツを始末するのだ」

「ッ、………そんな」

 

 ヒスイとグレンがショックで立ち直れなくなっている中、ハクビはそう言ってぐったりと項垂れ、しかし再び顔を上げると神谷籐吾郎の目の前まで歩いていった。

 そして机を挟んで籐吾郎と向かい合い、机に両手を力強く叩き付け、目の前の彼を睨む。

 

「ハクビ………その様子だと、決まったようだな」

「………ああ、他の二人にゃ悪いが俺にやらせろ」

「いいだろう。予選にはこちらでエントリーをさせておく。必ずヤツを仕留めるのだ」

 

 ポケットからLBX『ビャッコ』を取り出し、腕に乗せてハクビはヒスイとグレンへと振り返った。

 

「は、ハクビ」

「どうしよう………リュウセイが」

 

「二人とも、俺に任せろ。ヤツは強くなったが、まだ俺に勝てる程じゃねぇ。ぶちのめしてでも連れ帰ってやる」

 

 世界大会アルテミスまで、あと僅か。

 

 

 




【ウォーリアー】
タイニーオービット製のナイトフレームのLBX。扱いやすい初心者向きの機体で、多くのプレイヤーから愛されている。ストーリー序盤のカズや、アジアエリアチャンピオンの森上ケイタが使用している。森上ケイタのウォーリアーは独自の調整が施されており、通常のウォーリアーとは一線を画す性能。
初出はゲーム『ダンボール戦機』。


【アマゾネス】
タイニーオービット製のストライダーフレームの機体。ゲーム内説明では『華麗に戦場を駆ける女戦士をモチーフにした機体』らしい。比較的扱いやすく、女性からの人気が高い。ストーリーでは御影ミカと、森上ケイタのチームメイトの中井レイナが使用。
初出はゲーム『ダンボール戦機』。

アミの最終機体、どれがいい?

  • シャルナック
  • ダークパンドラ
  • ホーネット
  • パンドラのままが良い!
  • 正直どれでも良い……
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