ONE PIECE~理想郷の方舟~   作:兜丼

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お待たせしました。5日ぶりの投稿です。

本当は『プロローグ2』の次の日に出す予定だったんですが……間違えて消してしまい、心が折れていました。それでもなんとか作り、時間がかかってしまいました。
楽しみに待っていたかた、感想を送ってくださったかた、お待たせして申し訳ございません。
最初のものを思い出しながら作ったものなので雑なところもありますが、楽しんで読んでいただいてくれれば幸いです。



《東の海》編
第一話 眠れる男


 

南の海(サウスブルー)のとある海域。

 

 この世界の海は、世界を縦断する大陸"赤い土の大陸(レッドライン)"と、それに対して垂直に世界を一周する航路"偉大なる航路(グランドライン)"によって四つに分けられている。その四つに区切られた海の一つ"南の海(サウスブルー)"は温帯の気候であり、リゾート地など観光に向いた常夏の島が特徴の海である。…そして当然、その島に行くための遊覧船・観光船なども多少ではあるが存在しており――――それを知り、略奪目的で襲う海賊も、数多く存在した。

 

そんな観光船が使う海路の一つ……より、少し外れた海上に一艘の船が浮かんでいた。

船の帆と旗には()()()()()()()()()()のマークが描かれており、その船が海賊船だと言う事がわかった。

 

「てめェら今日の仕事は終了だ――今回の仕事は大成功ッ!! よくやった……今日は存分に飲み明かせ!!!」

 

「「うおおお――――っ!!!」」

 

 

 船の甲板の上……一人の男が、酒の入った杯を掲げて音頭を取る。それに合わせて周りの人達――大体50人程の男の部下たちが杯を掲げ、大声で騒ぎ出した。傍には料理や酒などが置いてあり、男の合図に合わせ宴会が始まる。

 

この海賊船は先程まで、近くの海路を使っていた客船を襲い、物資を手に入れたばかりであった。海賊達は馴れたようすで略奪行為を行うと、成功を祝い騒ぎだす。

 

「ギャハハハハ!!! てめぇら存分に飲め 騒げ!! 騒いで次の戦いに活気つけろ!!」

 

「いやっほーーーーー!!!」

 

「さっすが船長!! 太っ腹っす!!」

 

 騒ぐ海賊達に混ざる一人の大男――名をウォルグと言い、この海賊団の船長である。

体長は約三メートルとでかく、その体格にあった《灰狼の毛皮》、脇に指す《巨大な大剣(サーベル)》が特徴であり、その体格から想像できない俊敏さで戦闘を行うスタイルをとる。海賊らしい滑稽さと残虐性を持つことから、ウォルグは政府に危険視されていた。

 

大狼(おおかみ)海賊団船長――"灰狼(はいろう)"のウォルグ………懸賞金額、4800万ベリー。この"南の海(サウスブルー)"において、上位に食い込むほどの金額である。

 

「おいお前! こっち来て俺に酒を注げェ!!」

 

「!はいっ!! ただいま!」

 

 ウォルグはそう言うと、今しがた飲み干した杯を横に突きだす。傍には女性が控えており、慌てながら杯をのなかにお酒を注ぎ入れる――――彼女はこの海賊団に襲われた船に乗っていた旅客船の客員であり、物資と一緒に拐われた者である。女性は美しい容姿をしていた。……しかし、拐われた直後なためか…その顔は怯え、暗い表情をしていた。そんな彼女をニヤニヤしながら眺めるウォルグ、どうやら女性の怯えたようすが面白いらしい。

 酒を飲んで上機嫌になるウォルグ…そんな中、海賊たちの一人が彼の元に近づく。どうやら、今後の海賊活動について聞きに来たらしい。

 

「船長っ! 今後の予定はどうしますか?」

 

「また船でも襲いますか! それとも、今度は町でも襲いますかっ!!」

 

「いや、どれも違う――そろそろ"偉大なる航路(グランドライン)"に入るつもりだ」

 

「!おおっ!!」「ついにですか!?」

 

船長のウォルグから出た言葉に、彼の部下たちはザワザワと騒ぎだす。口にした本人は気にした様子はなく、話を続ける。

 

「俺は海賊を始めてから、何時か"偉大なる航路(グランドライン)"行こうと準備をしてきたが…その準備もそろそろ終える。もう入っても言い頃だろう」

 

 頑丈な船に物資、その海でも通用する航海技術に必要な道具も用意できた。あとは強さだが……この海で自分に勝てる相手はもはや片手で数えるほどしかいない―――"偉大なる航路(グランドライン)"であっても通用するだろう。

 

「海賊稼業を始め、だいぶ暴れまわったが…そろそろこの海は飽きてきた。俺より強いやつなんてもうほとんどいないしなぁ……」

 

 ウォルグという男は戦いに対して喜びを感じる人間であり、強い相手との戦闘を望む戦闘狂といわれる人種である。

はじめの頃は弱く、強い相手は多くいた……しかし、戦い続けるにつれ自分に勝る相手は少なくなり、いつしか南の海"(サウスブルー)"においてこの男に勝てる相手は少なくなっていた。

 

 最近、唯一対抗できる相手―――ユースタス・キッドという海賊はルーキーでありながら、ウォルグに迫る異常の実力をもっていた。が、今はもうこの海で見かけることはない……噂によると、ウォルグ達よりも早く"偉大なる航路(グランドライン)"に入ったらしい。

 

「俺たち海賊団より強い相手がいない今! こんなツマラねェ海に興味はねえ……てめぇら、この宴で英気を養え、その後"偉大なる航路(グランドライン)"に行くぞぉお!!!」

 

「「う、うおおおおおおお!!!」」

 

 自分達以上の実力者のいない"南の海(サウスブルー)"に最早未練はなく、"偉大なる航路(グランドライン)" に行くことに思いを馳せ、海賊たちの前で宣言する。部下たちも船長の言葉に高揚し、堪らず雄叫びをあげる。最早行く気満々だ。……この光景を傍らで見ていた女性は、自分のその後運命に不安を覚え、泣きそうな表情をする。

 

気分も最高潮となり、先程以上に盛り上がる海賊達の宴。新たな航海のため、もう一度杯を掲げようとした……その時、

 

「船長っ!!船の後方よりこの船に接近する影ありっ!!」

 

「!………何ぃ?」 

 

 突然、マストの見張り台にいた部下からの知らせが、宴会場に響く。騒いでいた海賊達は食事の手を止め、甲板から身を乗りだし、船の後方を注視する。 すると確かに……後方に影が一つ見える。が……ここからかなり遠いのか、シルエットしかわからない。

 

「何処の船だ……おい、見張りぃ!帆を確認しろ!」

 

「はっはい!すぐ確認します!!」

 

 

「おぉ~確かに、こっちに近づいてきているなぁ」

 

「……?でも、なんかへンじゃねーか……なんか――」

 

「船か、あれ? 形おかしくねーか…?」

 

後方を見ていた海賊達は、徐々に向かってくる影に警戒しながらも観察していた……が、影が近づいてくるにつれ、困惑のと疑問の声をあげる。まだその影は遠くにあり細部はわからないが……明らかに()()()()()()()()()

 

「おい! 何が見えた、報告しろ!!」

 

「――ッえ、と……はい……、そのぉ……」

 

「……? どうした、はやく答えねぇかっ!!」

 

ウォルグは見張り台からの部下に報告させようとするが、見張り台からの返事がない。奇妙に思い上を向くと、部下にの表情を伺う……そこには双眼鏡を使い後方を向いたまま固る部下が見える。もう一度催促する船長……すると、今度は返事は帰ってくるがその声は何処か戸惑っており、困惑している様子がみて取れた。

 

「……船長、後方の()()……帆や旗が見当たりません」

 

「帆や旗がない…?なんだ、船じゃないのか?」

 

「っはい、船じゃありません……ただ、なんと説明すればいいか……」

 

「まどろっこしいな……簡単でいいから説明しろ!!」

 

「………島です。」

 

「……何?」

 

()です…。()()()()……其も、かなりサイズのデカイ―――!」

 

見張り台からの呆けたような心非ずな報告を受け、疑問の声をあげるウォルグ。その間にも影はこちらに近づいてきており、その姿が徐々にわかるくらいになる。

 

こちらに近づいてくるモノ……それは一言でいうならば、巨大な球体としか言いようがなかった。

 

球体の大きさは直径約二十m…色は茶色と緑が混ざった色彩をおり、球体は海面より離れ、()()()()()()()コチラに向かってきていた。

 

速度はあの大きさでそれなりにあるのか、今から離脱しようにも逃れられそうになかった……あと数分でこちらと接触するだろう。

 

近づいてくるにつれ、海賊達にも球体の形が見えてくると、ソレを見たもの達は目を見開き唖然とする……海賊として長らく生活してきた彼らも、宙に浮かんだ球体など眼にしたことはないらしく、思考が止まったように動きを止めてしまう……無論、彼らだけでなく船長も近づくソレをみて呆然となるが、すぐに気を持ち直し、大声で自分の部下たちに戦闘準備をさせ警戒させる。部下たちは今だ戸惑いながらも武器を持ち、警戒しながらもその近づいてくる球体を待ち受ける。

 

待つこと暫し――海賊達の不安と警戒をよそに、ついに巨大な球体は海賊船の真横までやって来た。

 

「なんだ、こりゃ……」

 

「見たことねーぞ、こんなの…」

 

「おい、これ土で出来てやがる……草生えてんぞ草」

 

「……なんでこんなの浮いてンだ?」

 

 すぐ近くまで来たそれは、その大きさだけで見ている海賊達を威圧する……よく見ると球体は土でできており、所々草や芝生などが生えていた――こうして見ていると、『小さな小島』という表現も出来る。そして、そう思えた理由が()()()()……それは、球体のてっぺんに乗っていた。

 

 球体の上に乗っかっているもの……そこにあったのは、赤い屋根の一軒家……シッカリとした造りでできたその住まいは、この場所で棲んでいる者がいることを表していた。そして、そこには、

 

「どーなってんだ、こりゃあ……」

 

「!っ……船長!! あの家の傍に誰かいます!!」

 

「何っ!?」

 

 誰もが驚愕しているなか、一人の部下が家の方を指差し、それに釣られて全員がそちらに目を向ける。

向けた先、家の前に一人の()が座っている。

 

 

「……グーーーッ、グゴオーーーッ……」

 

 

 白いビーチチェア、その上に男が横になっていた。白いシャツに黒いズボン、顔には広げられた新聞が被さっており……そこからイビキが聞こえている――誰がどう見ても眠っていた。

 

「どうやら、気持ちよく眠っているようです」

 

「そんなの、見ればわかる」

 

「えっと…、どうしましょう船長……?」

 

「――んなもん、決まっている」

 

 誰もが寝ている相手に困惑しているなか、船長であるウォルグは前に出る――横にいる部下から銃を受けと、そのまま銃口を天に向け発砲し、甲高い音が海に響き渡る。

 

「おい、起きやがれ!!! 何者だ、テメェはッッ!!!」

 

「!!?―――え!?ナニッ?何っ!!?何が、どうしたの!!?」

 

 突然の大声に、跳ね起きる男。顔にかかった新聞は地面に散らばり、男は驚いた表情のまま、キョロキョロと辺りを見回し始める。と、すぐ傍にいた海賊船に気がついたのかそちらに顔ごと視線を向けた。

 

 寝ていた男――黒目黒髪のこれといって特徴のない、まだ年若い顔つきの少年――が海賊達に気づくと、次第に落ち着いてきたのか…驚愕から何とも締まりのない表情に変わっていき、何処かボーッとした様子で聞いてきた。

 

「?………あっ おはようございます。(ぺこっ」

 

「おっ…おう、おはよう……って! そんなことはどうでも言い!!」

 

「はあ……え、誰?あんたら……?」

 

「ふんっ…名乗るときは自分から、ってのは親から教わらなかったのか、小僧…」

 

「――は?いや、いきなりそんな偉そうに言ってくる奴に言いたくないんだけど……」

 

『まあ、いいけどさぁ』と椅子から離れ、立ち上がると海賊船の方に正面を向ける。大体170cmと痩せた体型……全体的にダラリとした印象を受ける少年は、言葉を放つ。

 

「―――スターマン、()()()()()()()()()()()()って名乗ってる――前まで、『賞金稼ぎ(バウンティハンター)』やってたけど―――今はやってないよ」

 

「!?『賞金稼ぎ』だと……?お前みたいな小僧が?」

 

()()()()()っ!まぁ今は必要ないし、用事があるから休業中ってところ」

 

"賞金稼ぎ(バウンティハンター)"

 

世界政府が海賊や革命家などの犯罪者にかけた、彼らを捕らえ政府に引き渡した時に出される"懸賞金"があり、彼等"賞金稼ぎ(バウンティハンター)"は賞金首をとらえ、懸賞金をもらうことで生活しているもの達だ。

その言葉と聞いた海賊達は一瞬……目の前の少年――スターマンに敵意と警戒をもって睨み付ける。が、少年はヒョロっとしており、自分の尻を掻きながらボーッと立っている姿は覇気がなく、とても強そうには見えない。

 

警戒を緩める海賊達に気付いていないのか、スターマンはそのまま船長であるウォルグに訪ねる。

 

「で、あんた等は?見たところ……海賊みたいだけど、ボクになんか用事でもあんの?」

 

「………俺たちを海賊とわかっている割には、ずいぶん暢気に会話するじゃねーか。おい」

 

「え?……いやぁ~~っこんな今"大海賊時代"とか呼ばれるご時世で、至るところに海賊達がいるんだよ……?今さら、海賊と会話するからって……ねぇ?」

 

「――おい、小僧っ!俺たちをその辺の海賊と一緒にしてンじゃねえぞ!!」

 

「調子にのってんじゃねぞ、コラァ!!!」

 

「うお!ちょ、いきなりなに……ビックリしたわ」

 

二人との会話に突如割り込む海賊達。どうやらスターマンの自分達に対する態度が癇に触ったらしい。

 

「ここにいるお方は!!この大海賊時代…数ある海賊のなか、この海でもっとも力のある海賊!!!」

 

「その力は"海軍"さえも手に終えないほどの強さ!!!実質、この"南の海(サウスブルー)"を支配する偉大なるお方!!!」

 

「懸賞金額4800万ベリー!大狼(おおかみ)海賊団船長!!"灰狼(はいろう)のウォルグ"様とはこのお方だ!!!」

 

「そこいらにいる雑魚どもとは格が違うんだよ、格がぁ!!!」

 

「――――ぇえ!?」

 

 海賊達の言葉に驚愕と言った様子で目を見開くスターマン。どうやら、自分がとんでもない相手と会話していたと自覚したのだろう、……と海賊達は判断した。見開いたスターマンはその後両手を顔に持っていき、口元を隠しブルブルと身体を震えだす。その様子を見ていたものは少年に向け嗤い出す。

 

「マジでっ………!?」

 

「ははぁ!!驚いたか、自分がいかに命知らずなことをしているのか!!!」

 

「今さら気付いたところでもう遅ぇよ、ガキ!!」

 

「命が惜しけりゃ、身ぐるみを全部おいて「ここ"東の海(イーストブルー)"じゃないのかよ!!?やっっば!!()()()()()()()()()、これ!!?」

 

『『いや、ドコに驚いてんだよ!!?』』

 

全く見当違いなところに驚愕していたスターマンに、その場の全員がツッコミを入れる。が、ソレに対し意に介さず、自分の世界に入り込むスターマン。状況は深刻なのか、ブツブツと呟き始める。

 

「ブツブツ……なんで"東の海(イーストブルー)"と反対側の"南の海(サウスブルー)"なんかに……、ブツブツ……やっぱり、あのとき嵐だったから方向間違えちゃンだな……、ブツブツ……間に合うかなぁ……?」

 

「……っ!ふざけた小僧だ、今度は無視して独り言言い始めやがって……大体!()()()()()()()()()一体どこから来やがったんだ」

 

ブツブツ……、ん?ああ……ボク"偉大なる航路(グランドライン)"からこの海に入ったんだよ。……まあ、入る場所間違えちゃったんだけど…」

 

「!?……"偉大なる航路(グランドライン)"からだとっ!!?」

 

苛立つウォルグの質問に対し、思考を止め質問を返すスターマン。自分がこの海に来た経緯を話したあと、また落ち込むスターマン。その、何気なく答えた言葉にウォルグ含め海賊達が騒ぎ始める……これから自分達が入ろうとする海からやってきた少年に驚愕を露にしていた。

 

 

"偉大なる航路(グランドライン)"

 

 

「海賊の墓場」と言われるほど危険な所であり、さらにでたらめな気候、異常な生物たちなど、様々な理由により一般常識が全く通用しない…さらに、そんな海に世界中の海賊が集まっているとされ、まさに『魔窟』と表現される凄まじい場所である。

 

"偉大なる航路(グランドライン)"は"凪の帯(カームベルト)"に挟まれる形で存在しているため、其処から脱出するためには"凪の帯(カームベルト)"を通る方法以外ない。

しかし、それはとてつもない危険を伴う……何故なら、

 

「"凪の帯(カームベルト)"には『大型の海王類』が巣食い、海上の船を襲うはずだ……!!小僧、そこから生きて通ってきたってのか!!?」

 

「うん、そうよ~」

 

鼻をほじりながら、こともなげに肯定するスターマンと名乗る少年……絶句する海賊達に、足先で自分が乗っている地面を指しながら、話を続ける。

 

「ボクが今乗ってる()()、"凪の帯(カームベルト)"に入る前に()()()()()()()()()()()()()()。そうすることで『大型海王類』は気配に気付かないし……むしろ、どんな海域よりも安全に進められるんだぜ」

 

「―――見たときから思っていたんだが……お前が乗っている()()、なんなんだ……『()』なのか?船には見えねぇし……」

 

「…島?」と疑問をあげながら首を捻る少年。合点が言ったのか、先ほどまで寝ていたビーチチェアの上に腰を下ろす。

 

「『島』ねぇ………うん、そう!島だよ島……『空飛ぶ浮き島』だよ!! ボクはこの島を使って世界を回っているんだよ……こいつは"意思"だけで動くことが出来て、風の力や人力なんかも必要ない!さらに……"凪の帯(カームベルト)"や海流の激しい場所、船の行き来が困難な場所さえ楽~に浮いていける、と~っても便利な『島』なのさ。すごいっしょ?」

 

「―――!!!ほーう…そりゃ、すげーな」

 

…何処か含みのあるところがありながらも、自慢げに『どや顔』をするスターマン。そんなスターマンの話しにウォルグは驚愕し、思考をする――もし、そんな便利なものが自分のものになったら……きっと、"偉大なる航路(グランドライン)"において、強力な戦力となるだろう、と。そのために、どうやってこの小僧から手に入れてやろうか、と。

 

「あのっ!!!―――助けてください!!」

 

「うん?」

 

「!!?なっ―――」

 

 薄暗い思考をするなか、いきなりウォルグの横から大きな叫びが響き渡る。突然、ウォルグの横から飛び出してきたもの―――それは、先ほど襲った旅客船より拐われた女性だった。飛び出した女性は甲板の柵まで行くと、目の前にいるスターマンに大声で助けを乞う……突然のことに疑問を声をあげるスターマン。

 

「?お姉さん、誰かな……助けてとか言ってたけど?」

 

「!私…この海賊船に襲われて拐われてしまったのっ!! お願い!助けてくださいっ!!」

 

「ちっ……おい!さっさとこいつ取り押さえねーか!!」

 

ウォルグの言葉に従い二人の部下が女性を取り押さえる。ソレでもなお、女性は暴れながら助けを乞い続けた。

 

「お願いします……家にはわたしの帰りを待つ恋人がいるんです!!本当は、今日帰れるはずだったんです……!!」

 

「……………」

 

「お金なら、無事に家に帰ったあといくらでも支払います!!ですからどうかっ―――」

 

「うん、()()

 

「―――わたしを家に、……って、ええっ!!?

 

女性の必死な言葉に即答する少年。考える素振りさえしなかった拒絶の言葉に女性は驚愕する。

 

「なっ……なんで!?」

 

「なんでって……だって、お姉さんを助けるってことは、ここにいる海賊さん達と戦わないといけないんしょ?…で、助けたら助けたで今度はお姉さんを島まで送っていかなきゃ行けない。それは、出来る出来ないとかじゃあなく………()()()()()()()()()()()()()?だから、いやだ

 

「……っ!!?」

 

『面倒くさいから』―――その、どうしようもない理由と物言いに女性どころか聞いていた海賊達も絶句する。しかし、少年……スターマンの方は本気のようで面倒くさそーに女性の方を見ていた。

 

「そんなこと言わないで、お願いです!!わたしを助けてくださいっ!!!」

 

「やだやだやだやだ、絶っ対やだ!大体、今こっちも時間ないし、無駄な時間使ってる暇ないんだよねぇ……悪いんだけど」

 

「っそんな……!」

 

「まぁ……話し聞いてるとさっき拐われたばかりでしょ?君……だったら、今ごろ『海軍』にも連絡いってんじゃない(知らんけど)?救援がくるまこの船で待つしかないね。……まぁその間、この人たちに犯されたり売られたり■■(ぴー)■■(ピー)して■■(ピー)されて……最終的に■■■(ピー)■■(ピー)な目にあっちゃうかもしれないけど―――まぁ、大丈~夫だって!…きっと(ボソッ

 

「!!?――いっ、嫌ぁああああああああああああああ!!!?」

 

「いや、やる訳けねーだろ!そんなことっ!!?」

 

「想像で変なこと言ってんじゃねー!?」

 

「俺たちをなんだと思ってやがる!!?」

 

想像でモノを言う少年の言葉に悲鳴を上げる女性……あまりにもエグい説明に女性が絶望する中、風評被害もいいところだと海賊達は否定の声をあげる……いくら自分達が海賊だからってそこまではしない、と。

 

「…大体、こんなクッソ物騒なご時世に力もない女性が船乗って出掛けるなんて……それこそ鴨が葱背負って『頂いてくださ~い!』って言ってるようなもんでしょ。まぁ、運が悪かったね。助けが来るまで頑張ってよ………ボク?ボクは助けないよ?だってボクは『海軍』でもなければ『正義のヒーロー』でもない……まして、身知らずの人間を助ける酔狂な人間でもない―――たしかぁ『誰かを助けるということは、誰かを殺す以上の覚悟がいる。』らしいよ……なんの引用だっけかなぁ?まあ、いいや。要するにそれくらいの覚悟がいるわけよ、『助ける』っていう行為は―――そんで……ボクは会ったばかりのお姉さんのために()()()()()()()()()()()()()

それに……助ける理由も、義理なければ義務もない。人を助けるのは『海軍』の仕事だ。そのために税金なんて払ってんだから、ボクじゃなく『海軍』に期待しなさいよ……。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「断言したぞ、コイツ」

 

「清々しいほど言いきったぞ、このガキ」

 

「最低すぎる……」

 

「一体、なに喰ったらこんな人間に育つんだ?」

 

「いや正~直こんな事態になった原因のあんた等だけには言われたくないんだが?」

 

少年の自分勝手な言い分に誰もがドン引きする中……もう何も言うことはないのか、少年は自分の後ろに視線を向ける。

どうやら……この場から離れ、来た道を逆走するようだ。

 

「まぁそういう訳で、ボク急いでるんだよね……だから、もう行くね?海賊さん達も縁があればすぐ合うでしょう。じゃあ―――」

 

「――まあ、まてよ」

 

背後からなにか、突き付けられるような気配に動きを止める少年、スターマン……それは正しく、後ろでは船長のウォルグが銃を突き付けていた。

 

「……聞こえなかった?ボクさぁ、用事があって急いでるんだよねぇ……。ボクとのお喋りが名残惜しいってのはボク自身も一緒だけど――何事もタイミングってものがあるからさぁ。悪いんだけど……今回は諦めてよ」

 

「誰がお前とお喋りしたいなんて言ったよ!?……まあ、そんなことはいい……なあに、そう時間なんて取らせねえよ。簡単だ―――その島をコチラに渡せ……!」

 

銃を突き付けながらニヤニヤ嗤うウォルグ……それに同調するように、周りにいる海賊達も武器を手に取り戦意を漲らせる。

 

「……うーん、悪いんだけど――コレはボクにとって大事なものでして……コレがなくっちゃ大事な用事に間に合わないんだよ。気に入ったのは判るけど、今回は諦めてよ」

 

「俺たちは海賊だ……欲しいものは奪って手に入れる、当たり前だろう?……その『空飛ぶ島』――これから"偉大なる航路"(グランドライン)に入る俺たちにとっちゃあ、大いに役立ってくれるだろうよ……おまえの様な小僧には勿体ねぇ代物だ、俺様が有効活用してやるよ……!」

 

「…………」

 

「いくら"偉大なる航路"(グランドライン)から来た『賞金稼ぎ』だからって、()()()()()でこの人数じゃあどうしようもねぇだろが……おまえ、これから大事な様があるんだろう?()()()なんざ、モチロンなりたくないよなぁ!!」

 

「…………」

 

「命まで取る気なんざねえ……おとなしく渡してくれるならなあ。近くに人のいる島もある……大体、泳いで一日ってところだ……なあに、運が良ければ『海軍』が見つけて助けてくれるさ……さっき、()()()()()()()()()()?」

 

「プッ!」 「くくっ……!」

 

先ほど少年が言っていた言葉を返され、それを聞いた海賊達は失笑する。少年は後ろを向いたままなにも言わない。

 

「さぁ……もうわかっただろう、小僧。自分の立場が……わかったらさっさと「なあ」――?」

 

ウォルグが饒舌に話をするなか、その話を遮り言葉を投げるスターマン……その声は何処か苛立ったように聞こえる。

 

「―――ボクって()()()()()()に出てから、結構な時間が経つけど………君たちみたいな海賊を見ると、未だに疑問に思うことがあるんだよねぇ」

 

『『『………?』』』

 

先ほどよりも少し違う声質に、疑念をもつ海賊達――その間に、少年スターマンは海賊達の方に前を向ける。その表情は眉間にシワをよせており……非常に面倒そうな、辛気臭い顔をしていた。

 

「確かに……ボクは一人だし、ソッチは何十倍と人間はいるよ?――強さも『"南の海"(サウスブルー)一番』って言う位なんだし自信もあるんでろうねえ―――()()()()

 

ため息をつき説明を続けるスターマン……この、説明自体が面倒そうに。

 

「ボクは、あの"偉大なる航路"(グランドライン)から五体満足でここにいるんだよ……それも一人で?それだけでも十分な実力があることが判ると思うんだけど……さらに言えば、こんな見たこともない『意味不明の物体』に乗って、海渡ってるって言ってんだぜ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう言いながら両手を横に伸ばし、掌を上に向ける……その姿はまるで、空から降り注ぐ光を浴びる様に見えた。

 

「そんな得たいの知れない相手に、なんの疑問も感じないで戦闘仕掛けてきてさァ……()()()()()()()()()()()()()()()()()……?海で一番強いって言っても()()()()()()()()()()南の海(二番目に弱い海)での話でしょ。なのに……なんで、そんな……?」

 

「テメェ……!!!俺達をバカにしてんのかぁッッ!!?」

 

スターマンの疑問に荒げた声で叫ぶウォルグ――周りも同様に顔を真っ赤にし、敵意と殺意を含ませふざけたことを言う少年を睨む――が、それを知ってか知らずか………遂に、決定的な一言を言ってしまう。

 

「君たち、この"南の海"(サウスブルー)での地位に不満がないのなら――この海から出ない方がいいよ……仮に君らが"偉大なる航路"(グランドライン)に入ったところで―――脇役(モブ)』にもなれない、『ヤられ役(生贄)』が良いとこだよ」

 

「――!!!撃ち殺せっ!!小僧を殺して、島を奪いとるっ!!!」

 

 

船長の怒号に全員が拳銃を構え、銃口を少年に向ける。50以上の銃を向けられた少年……しかし、それと同時に掌から二つの黒い球体が飛び出る。

 

"■■"(シード)

 

「――撃てぇ!!!」

 

 合図と共に火を吹く拳銃。50以上の弾丸は、そのままスターマンに殺到し―――そのまま()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「!なんだ今の!!?」

 

「弾丸が曲がったぞ!?」

 

「…なんだ、あの黒い球体!?」

 

「アイツ、掌から出てきたぞ!?」

 

「小僧……おまえ、『悪魔の実の能力者』だったのか!!?」

 

「そのとーり、何の能力かは………教えな~~~い↑↑」

 

攻撃が外れ、相手が『能力者』だったと伝わりどよめきを見せる。……その隙にスターマンは右手の球体を掴み―――目の前の()()()()()()()()()()()

 

そのまま海に落ちると沈んでいく黒い球体……が、そちらには目を向けずに、海賊達に喋りかける。

 

「さてと――ねぇ……船長さん。こっちも挑発した手前、こんなこと言うのもなんなんだけど……お互い、なかったことにして解散しない?」

 

「……あぁ!!?」

 

…突然の申し出に、さらに顔を赤くするウォルグ。険悪な空気のなか、それでもスターマンは申し訳なさそうな顔でウォルグに語りかける。

 

「…さっきから散々言ってるけど、ボクは大事な用事があるんだよねぇ――数年前からずーっと待ってて、この機会を逃すと………非常~~~っに面倒くさい。だから、こんなところで道草くっている時間が惜しい。君たちはこれから"偉大なる航路"(グランドライン)を目指すんでしょ?―――この浮き島は欲しいんだろうけど……こんな得たいの知れない奴と闘って、どーでも良い怪我なんてしたくないでしょ?再起不能になったらソレこそ莫迦らしい……でしょ?」

 

「…………」

 

「どっちが勝とうが負けようが……お互い被害は甚大だ。それならいっその事……もう見なかったことにしてさ、このまま別れちゃおうよ………ソレが一番―――()()()()()()()()()()………どう?」

 

海賊達はスターマンの提案にどよめく中、船長ウォルグだけは下を向き、黙って話を聞く。そんなウォルグにさらに説得の言葉を投げ掛ける。

 

「どう……どうかな?もし、この提案を受けてくれるなら……さすがにこの島はあげられないが、"偉大なる航路"(グランドライン)のお土産くらいはあげるよ。そうだなぁ………例えば、これは"貝"(ダイヤル)と言って、音を「()()」…ん?」

 

スターマンはポケットから小さな貝を取り出し、説明する中……黙っていた船長が顔を上げ、コチラを睨み付けている。

 

その表情は『怒り』……そして、その表情から放たれる視線は、スターマンを射抜く。

 

「小僧……いったい、どれ程オレ様をバカにすれば気がするんだぁ!!?」

 

「…………」

 

「『けがをしたくない』?『ソレこそ莫迦らしい』?……『お互い得をする選択』だぁ?――莫迦が……俺たちは海賊だ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「『欲しいものは奪って手にいれる!』分かち合う必要はない!!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!おい、野郎共!!」

 

『『『っ!』』』

 

「小僧を島から引きずり出し……浮き島を手に入れろ!!! あれはもう俺達のものだ!!!

 

『『『……ウォオオオオオオオ!!!』』』

 

 

船長の宣言に雄叫びをあげる海賊達……そんな予想通りの展開に、スターマンはため息を一つ。

 

「はぁ……全く、本編にも出ない『名無し(モブキャラ以下)』が、一丁前に熱くなってんじゃあないよ」

 

「野郎共!!島に乗り込めえ!!!」

 

海賊達は甲板から助走をつけてコチラに来ようとする……が、()()()()()()()()……()()()()()()()

 

海賊達が船からはなれようとした瞬間――突然、海賊船が大きく揺れ動く。

 

「……!!!なんだ、この揺れは!!?」

 

「船長!海面から何かが()()()()()()()()()()!!?」

 

「何ぃ!!?」

 

突然の揺れに混乱する……一人の海賊が海が盛り上がっている場所を指差す。この海賊船をスッポリと入る大きさの盛り上がり……そこは、スターマンが()()()()()()()()()()()()と、同じ場所に位置していた。

 

 

「あーーそうそう、先ほどの会話で一ヶ所、()()するところがありまして…」

 

 

―――海賊達が混乱している中、海賊船に向かって呑気に話しかけるスターマン。その間にも海の中から何かが盛り上がり……どんどん上に上ってくる。

 

 

「『おまえが乗っているソレは「島」か?』という質問に、ボクは面倒くさがって『浮遊する島』だよって答えましたが……()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

―――上へ上へと盛り上がっていく()()か……そして遂に、その全貌を現す。

 

 

 

「これは『島』なんかじゃあない―――()()()()()』。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

―――ソレは姿を表し()()()()()()()、そのまま空中に止まり始める―――直径約百メートル……『超大型の水球』だった。

 

「『星』……だと……!!?」

 

「そうだよ」

 

頭上に現れた水球に海賊達が唖然とし……スターマンは黒い球体を手の中で弄びながら説明する。

 

「ボクは"ホシホシの実"を食べた惑星人間。身体から"星"を創るための核―――『星種(シード)』を産み出し――『()()()()()()()()()()()()()』。それがボクの得た能力……だよ~ん。驚いた?」

 

「星を――創りだす、だとぉ……!!?」

 

 

 スターマンの説明を聞いたウォルグは、本日一番の驚愕の声をあげる。嘗て、自分が闘った『能力者』……ユースタス・キッド。確か強力な磁力を発生させ、周囲に存在する磁力の影響を受ける金属類を引き寄せ闘う男がいた。その特殊能力は強力であり、まさに……『悪魔の力』と言うのが相応しい力があった。だが―――

 

「(たしかに『悪魔の実』は様々な特殊な能力が存在するとは聞いたが――『星』を創りだす、だと……!?『能力者』ってのは一体どんだけ出鱈目なんだ……!!)」

 

「あーー驚いてるところ悪いけど……さっさと次に移らせてもらうね」

 

「……!!?」

 

「―――見えるよねえ、あの『水球』。自分で創ってなんだけど……迫力あるよねぇアレ」

 

気だる気に上を指差すスターマン……見ると、巨大な水球はいつの間にか海賊船の真上まで移動していた。

 

「!?――っな」

 

「あんなものが落ちてきたらさぁ―――その下にあるものなんて、()()()()()()()()()()()……!」

 

そう口にしたスターマン。表情――見ると、口元はニヤついており……これから起こること暗示していた。

 

「!!!……テメェら、逃げ――!?」

 

"落花星" (ラッカセイ)

 

頭上にあった100m級の巨大な水球……浮かんでいた水球は突然その浮力を失い、もとの重力に従い下方に落下し始める。落ちる毎に速度は増し、もはや誰にも止められな。

 

「水球がが落ちてくる!!!逃げろぉ!!」

 

「何処にだよ!?」

 

「嫌だ…死にたくねぇ!」

 

「チクショーー!!」

 

「イヤァアアアアアア!!」

 

「―――あ、忘れてた」

 

落下し始めて約三十秒……遂に海面に着弾した。

 

―――数百トン単位の自然落下した物体は、その下にあった海賊船など容易く踏み潰し……衝撃と轟音が鳴り響いたあと……巨大な水柱となって出現した。

 

 

 

 

「……イヤ~~、我ながらいつ見ても恐っそろしいわ…コレ」

 

水柱が立ってから約数分後……やっと収まりを見せる海域には、海賊船だったものが少量だが辺り一面に浮かんでいるだけだった。そこには人の姿はなく……恐らく、海のそこに沈んだのだろう。

 

そんな状況を作った張本人―――スターマンはダラリと力を抜いており、隣でしゃがんでいる女性に声をかけた。

 

「大丈夫、お姉さん?怪我はない?」

 

「え?あ、はい……大丈夫、です」

 

「そ。良かった」

 

そこにいた女性……先ほど、スターマンに助けを求めた女性が呆然とした様子でそこにいた。先程……巨大な水球が落下する中、水面に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あの、なんでワタシ……?だって、さっき……?」

 

「『助けないって言った癖に、何故自分を助けたのか』って?」

 

黙ってうなずく女性。それに対してスターマンは何気無く言う。

 

「ボクは別に君を助けたわけじゃあない……ただ―――ボクは『海賊以外は極力殺さない』って決めてるの。あの時、そのまま船に残っていたら君は確実に死んじゃってたからさ。それだけ」

 

少年は目を反らしながら頬を掻く。その様子を見た女性は何故かクスッと笑みを浮かべる。

 

「……あなたって、素直じゃないんですね」

 

「え、なに突然。は?意味わからないんですけど?やめてもらいますそう言うの?」

 

「フフフ…!はいはい」

 

キョドりながら早口でしゃべる少年に笑いながら答える女性、少年に抱いていた最初の印象が少し変わった気がした。

 

「あの、ちゃんとお礼を言わせてください……助けていただいてありがとうございます!ワタシ、本当にどうなるかと……!」

 

「だから、別に助けたわけじゃないんだって……それより、本当に怪我とかない?」

 

「はい!先程は少し腰を抜かしちゃいましたが……今はもう大丈夫です」

 

「そうかそうか。それは()()()良かった!ところで帰る場所は?ここから近いの?」

 

「ええ、そうですね。ここからだと……船で大体一日位かければワタシが住んでいる家にたどり着けます!」

 

「ふーん、さっき海賊達が話していたのと大体一緒か…」

 

「あらためて、お礼を言わせてください。本当に、ありがとうございます!これで……家で待つ彼に合うことが出来ます……!」

 

ようやく自分が助かったことに涙を流しながら喜ぶ女性。早く自分の恋人に合いたいのか…申し訳なさそうにもスターマンに乞う。

 

「あの……、助けていただいた上にこんなことを頼むのは気が引けますが…ワタシを島まで連れて帰っ「うん!じゃあ、お姉さん―――()()()()()!()

 

「―――え?」

 

少年は声を弾ませながらそう言うと、傍にいた女性を持ち上げる。突然のことにビックリする女性。そんな女性の心境など意にも介さないスターマン……そのまま持ち上げた女性を振りかぶり―――海に向かって投げ落とした。

 

「キャアアアアア!?」

 

絶叫しながら海に落ちる女性。すぐに海面から顔を出すと、困惑した声でスターマンに叫ぶ。

 

「!!いきなり何するんですか!?」

 

「それじゃあお姉さん、ここでお別れです……無事に帰れることを祈っています!」

 

「ええ!!?」

 

海に落としたスターマンは悪びれもせず、それどころかそのまま別れようとしていることに驚愕する女性。あまりにも突然の展開に星にいるスターマンに叫びながら問う。

 

「別れるって……!!わたし、これからどうしたら!!?」

 

「?泳いで島に帰れば?もう自由なんだし」

 

「泳いでなんて無理です!?たどり着く前に死んじゃいます!?」

 

「大丈~夫だよ!さっきも言ったけど『海軍』に連絡入ってお姉さんのこと探してると思うから……おそらく!」

 

「それなんの根拠もないじゃないですか!?」

 

「じゃあ、()()()!!それに―――この世界の人たちって丈夫だから!一日ぐらいどーってことないって!!」

 

「そんなわけないでしょ……!!?お願いします!!島まで連れていってください!!さっき助けてくれたじゃないですかっ!!?」

 

「……なに言ってるの?さっき言ったじゃん、()()()()()()()()』って

 

女性が叫び続けるなか、少年は女性に背を向けると乗っている星を自分がやって来た道に進め始める……どうやら、来た道を引き返していくようだ。そして、最後に女性方に振り向いて一言。

 

「それじゃお姉さん!ボクは用事がございますので、此にて失礼いたします……今回は災難でしたね!!まあ今回の出来事を糧に強く生きてください!!お疲れさまでした……じゃ!そう言うことで!!」

 

「……え?嘘?ほんと……ほんとに行っちゃうの!?え、待って!!助けて!!?ねえ!!?助けっ……おい!待てよっ!?待てって……!!!……ふざけんなぁ!!?この()()()()……!!!

 

「……!ヒハハハハハハッ!!!それはボクの『()()()』だよ~~ん!!!」

 

 

恨み言を言う女性の叫びを背に少年は、星に跨がり来た道を逆走する。目指すはそう、『平和の象徴』と言われる海域―――最弱の海、"東の海"(イーストブルー)へ……。

 

 

 

 

 

 

 

―――その後、拐われた女性を救出するために編成された『海軍』の艦隊。

女性が拐われてから約半日後、海に散らばる船の残骸と共に漂っていた女性を救出。その女性が海賊に拐われた女性と判明した。救出後……女性から詳しく話を聞くために、事情聴衆をしたところ。一人の少年が海賊団を壊滅させたと知る。

 

その海賊はこの"南の海"(サウスブルー)では厄介な強さを持つ存在であり、『海軍』であっても手を焼く存在であったのだ。そんな海賊団を壊滅させた少年は、政府に対して危険かもしれない……すぐに調査を開始する。そのため先ずは救出された女性から話を聞き出すが……女性の証言によりその少年が何者か()()()()()()()()

 

遡ること13年前……その少年は"偉大なる航路"(グランドライン)のとある『海軍駐屯地』より確認された。

 

当時その身なりはボロボロであり、最初は浮浪者と見間違いされるほどに汚れていたそうだ。……そんな少年の傍にあったのは、『大人の背丈を越える()()()』だった。突然現れた異常な物体―――その正体はなんと、互いにくっつき拘束された人間、約()()()()()()の人の集合体だった。その時の駐屯所は突然の事態に大慌て……すぐに警戒態勢となり、少年を即拘束……事情を聴くと少年は、捕らえた海賊を海軍に引き渡しに来たらしい。

後でわかったが、あの人の集合体は全員海賊であり、約5000万ベリーの懸賞金が懸けられており……少年はその懸賞金を貰いに来たのだと言う。

 

そしてこの事件を皮切りに、少年……アイディール・スターマンと言う『賞金稼ぎ』の名前が広まり始める。

 

"アイディール・スターマン"―――通称『最強最悪の"賞金稼ぎ"(バウンティハンター)……"世界一嫌われている賞金稼ぎ"とも言われている男だ。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒハハハハ待ってろよー()()()()()()!今ボクが行くからね~~!!」

 

 

 




名:アイディール・スターマン
性:男  年齢:外見20台前半
通称:『最強最悪の賞金稼ぎ』『世界一嫌われている賞金稼ぎ』

能力:"ホシホシの実"惑星人間
解説:身体から"星"を創るための核『星種』と呼んでいる球体を生み出し、
   それを基に色々な"星"を創りだす。

いかがでしょうか?主人公は『賞金稼ぎ』『属性:混沌・悪』『嫌われもの』『ギャグキャラ』を意識して作ったキャラクターです。

名前のアイディールは英語で『理想』、スターマンは『星・男』と言う意味であり、オリ主が船の墓場から脱出した後に自分で着けた名前で、あんまり凝っていると恥ずかしくなるので単語からとった。と言う設定です。

オリ主は"ワンピース"で賞金稼ぎってあんまいないな……と疑問に思ったのが始まりです。
他にもオリ主は『星屑王子(ほしくずおうじ)』『吊られた男(ハングドマン)』『疫病神』などなど、『蔑称』みたいな二つ名が沢山ある設定です。

投稿は週に一回出来ればいいかなあーと思っています。
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