ONE PIECE~理想郷の方舟~   作:兜丼

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第四話 嫌われた男

《バラティエ》編 その1

 

■1■

 

麦わら海賊団の船にスターマンが乗り込んでから数日が経過したころ……スターマンは甲板で()()()()をしていた。

 

「お前何やってんだ?」

 

「ん~?掃除だけど」

 

怪訝そうにスターマンを見やるゾロ……見ると、スターマンは甲板から()()()()()()()()()()()箒と塵取りを持ち床の塵を集めていた。

 

「この船の船員って一人一人『役割』みたいなの持ってるじゃん。だから、ボクもこの船で役割を持とうと思ってね……」

 

例えばルフィなら『船長』、ゾロは『剣士』兼『戦闘員』、ナミなら『航海士』でウソップなら『狙撃手』と…それぞれが自分の持ち味を活かした役職についているのだ。そんな中、スターマンがこの船で就こうとする役職は……、

 

「ボクはこの船で一番の『清掃員』になるっ‼この海賊船のゴミはチリ一つとて、逃しはしない!!!(ドンッ

 

「……まァ、ほどほどに頑張れよ」

 

効果音を背にドヤ顔を決めるスターマン……ゾロはそんなスターマンに呆れたように言い放つと、突然、大砲の音が鳴り響く。

 

「ん!?」「うお!?」

 

突然の轟音に身体をはねる二人……見ると甲板の大砲の横にルフィとウソップがいた。

 

「お前ら、いったい何だってんだ‼」

 

「大砲の練習だよ、折角ついてるし」

 

砲口先を見ると、そこには海上に岩山がポツンとある……どうやら、あの岩山を狙っていたらしい。

 

「でも、うまく飛ばねェもんだな」

 

「よーし俺に貸してみろ!」

 

今度はルフィに代わり、ウソップが狙いをつける。今の飛距離から角度を調整し……発射。

 

「すげーー!当たった一発で!」

 

「へェ、大したもんだ」

 

「う~ん…わかってたけど、実際見るとすごい才能だな。ホント!」

 

「うげっ‼当たった一発で‼」

 

見事命中した岩山……当てた本人も含め驚きに声を上げる中、はっとなり気を持ち直したウソップがその長い鼻を高々に言い放つ。

 

「んナ!?言っただろう?俺は¨狙撃¨に関しちゃすげェのさ……恐れ入ったら、俺をキャプテンと言ってもいいんだぜッ!!!」

 

「お前はさ、¨狙撃手¨に決まりだな!」

 

 

こうして麦わら海賊団に『狙撃手』が決まったのだった。

 

 

■2■

 

その後、船内に戻った一同は今後の方針を話し合う中……突如、船内に破壊音が響く。甲板に出ると、そこには刃物を持った男が暴れまわっていた。男はルフィに襲い掛かるが、すぐに撃退する。

……その後、その男がジョニーという名の『賞金稼ぎ』と言う、なんとゾロの知り合いだということがわかった。そして襲った理由だが……、病気の相方を休ませるために()()で安静にさせていた所……どうやらこの船からの砲弾が放たれ、殺されかけたらしい。ゆえに、激怒したジョニーはこの船に侵入し暴れまわったのだと……。

 

ジョニーの涙ながらの説明を受け、罪悪感に蝕まれるルフィとウソップ……すぐに謝ったが謝って済む問題ではない。

 

相方が衰弱していき、助からないと諦めかけたその時……ナミの言葉により一変する。どうやら相方の症状は『壊血病』と呼ばれる植物性の栄養欠乏が原因であり……ライムを与えれば数日で元気になるらしい。

 

相方が助かると知り、喜び騒ぎ出すジョニー。そして、ライムを与えられてすぐに起き上がり喜びを分かち合う相方のヨサク。

 

すぐには回復しないとツッコむナミを他所に自分たちの紹介をする二人組……が、すぐに血を吐きながらぶっ倒れるヨサク。このことを教訓に『海のコック』を探すことにする麦わら海賊団一同はジョニーの案内により海上レストランに行くこととなった……どうやらここから2・3日で行けるらしい。

 

 

ヨサクとジョニーを乗せて船は少々北に向けると、『海上レストラン』に向けて進めるのだった。

 

 

■3■

 

「えええええ!!?あんたが…()()アイディール・スターマン!!!!?」

 

「そうよ~ん、よろしく!」

 

海上レストランに行くまでの間、ルフィ達もジョニーに紹介をしている中……最後のスターマンの名前を言った途端、目が飛び出し驚愕に叫び声を出すジョニー。あまりの驚きっぷりにルフィ達はビックリする。

 

「なんだジョニー、コイツのこと知ってるのか?」

 

「知ってるも何も、何でアニキは知らないんですか!?元賞金稼ぎでしょう!!?」

 

「だから、オレは賞金稼ぎと名乗ったことはねェって…」

 

ルフィ達と会う以前、ゾロは名のある賞金首を相手に闘いを繰り広げていたことから、世間から¨海賊狩り¨と言われてはいるが……それは旅をしていく途中、路銀が尽きたために賞金首を狙っていただけであり、自分から『賞金稼ぎ』とは名乗ったことはなかった。そのため、ほかの賞金稼ぎのことを聞かれても知らないのだった。

顰めるゾロを他所に、ジョニーはスターマンを視界に収め、改まって説明をする。

 

「アイディール・スターマン……二つ名はいろいろ言われちゃあいますが、世間じゃあ¨最強最悪の賞金稼ぎ(バウンティハンター)¨ってのが有名です……!」

 

『¨最強最悪の賞金稼ぎ(バウンティハンター)¨!!?』

 

とんでもなく物騒な称号に驚愕し声を出すルフィ達……そして、それをニコニコ笑いながら眺めるスターマン。

 

「おいいいいい!!!?なんだァその超物騒なあだ名はァ!!!?」

 

「いったい、何やったらそんな物騒な二つ名が付くわけ!!?」

 

「……『()()最悪』ねェ…!」

 

「すっげーーー!!なんだーそのカッチョいい名前ー!!?」

 

四人それぞれ違うリアクションを見せるも、ジョニーは話を進める。

 

「スターマンが世間に現れたのは今から約13年前……一人の少年が100人以上の海賊を()()()()にして海軍に引き渡したのを皮切りに、世界中の海でスターマンは確認されるようになりました」

 

ある時は雪の降る島がある¨北の海¨(ノースブルー)、ある時は常夏の島が連なる¨南の海¨(サウスブルー)……またある時はあらゆる気候、海上の天候が目まぐるしく変化する¨偉大なる航路¨(グランドライン)など……時期時間関係なく出没し、そこでは強者弱者など()()()()賞金首を捕獲してきたらしい。

 

「名のある賞金首や海賊などを標的とし、狙った獲物は()()()()()使()()()()捕らえることから一部じゃ¨孤高の猟犬(ハウンドドック)¨とも言われてるそうです!」

 

「へー!なんだスターマン!おまえそんなにスッゲー奴なのか!」

 

「へ~!何……ボクってそんなカッコいい名前なんてあったの!!」

 

「いや、知らなかったのかよ!?」

 

自分がそんな名前で呼ばれていたことに驚くスターマン、そんなスターマンにウソップはツッコミを入れる。

 

「いやだって、ボクの二つ名って他人から聞くとほとんど()()なんだもん」

 

「悪口…?」

 

「……話を戻しますよ」

 

スターマンの言葉に首をかしげながら不思議がると、ジョニーは先程の続きを話し始める。

 

「場所や時間を問わず、どんなに凶悪な相手であろうが生きたまま捕まえ……時には『海軍』でも手に負えない賞金首であろうとたった一人で捕まえることが出来るスターマンという存在は『政府』にとっても得難い人材なんですが……世間での評判は最悪と言っていいほどよくないです

 

「え、なんで?」

 

ジョニーの言葉に疑問を覚えるナミ。普通、悪党が捕まったら周りの人間はそれを捕まえた相手に感謝するだろう。それは普通のことであるし、少なくとも悪い印象はないはずだ。なのに最悪と言われるほど悪いものとはつまり……

 

「……これは俺も実際に体験したことじゃなく、俺ら賞金稼ぎ仲間から聞いた情報なんですが……そちらのスターマンのアニキは文字通り()()()()()使()()()()賞金首を捕獲するらしいんですよ……それこそ、結果として周囲にどれ程の被害を生んだとしても

 

『!?』

 

「俺が聞いた話だと……普通の戦闘はもちろん不意打ちだまし討ちは当たり前…中には相手の家族を人質にして捕獲したっていう話があります。ほかにも、賞金首の海賊団が沖に出て夜に人が寝静まったのを見計らい、海賊船を()()。慌てて海に身を投げた船員たちを降伏するまで攻撃を仕掛けたり……、長年仲のいい二組の海賊団が拠点としている場所に出鱈目の情報を流し、仲違いさせて()()()()をさせ、お互い疲労したところを背後から打ち取ったり……、最悪なのがとある街中の一角を拠点としていた賞金首を捕まえるため、一般人を巻き込んだ()()()を使用した攻撃で無力化し、捕まえたというのを聞いたことがあります」

 

「いや何やってんのおまえ!!!?」

 

予想以上に非道な手段に大声で突っ込むウソップ。しかし、周りも同じなのか信じられないといった目付きでスターマンを睨んでいるが、そんなスターマンはやんわりと自分を弁解する言葉を放つ。

 

「いや~確かにそんな言い方されちゃうとボクが血も涙もない極悪非道の犯罪者みたいに聞こえるみたいだけど、実際は違うから」

 

「実際もクソもそうとしか聞こえねぇだろが!」

 

「いや本当に違うから!その証拠に……今の話に出てきた登場人物は()()()()()()()()()()()()()!!」

 

「!…え、ホントに?」

 

「!確かに……噂は悪いものが多いですが、死人が出たっていうのは()()()()ないっすね!!」

 

スターマンの言葉に驚いたように声を上げるナミ。その言葉を証明するようにジョニーも肯定する。

 

「だとしても、いくら何でもやりすぎだろ。下手したらおまえ自身が『賞金首』になっちまうぞ」

 

「ああ、()()()()()()()()

 

ゾロが苦言を言うと、スターマンは何気なしにその言葉を返す。すぐに出たその言葉に疑問を持つ一同……そして、スターマンは言う。

 

 

「確かにたまーにやり過ぎちゃって周りにも被害出ちゃう場合もあるけど……大丈夫! そういう時は¨政府機関の人¨や¨その町の偉い人¨に多めに『寄付』すると、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!」

 

 

「……?」「あァ?」「え?」「それって……」「なんだ?」

 

 

スターマンの自信満々の答えに一瞬空白が生まれる。そして今言った言葉の意味をかみ砕き……

 

『…賄賂(わいろ)じゃねえか!!!?』

 

一斉にスターマンに指を差し吠えた。……若干、一名は意味が分かっていないようだが。

 

「なんだおまえ!?自分に不利なことが起こったら偉いやつに金渡すのかよ!!?」

 

「?違うよ、お金じゃないよ。ただ、その時仕留めた賞金首の『賞金額』を¨一個人¨に寄付という形で譲渡してるだけだから」

 

「それ実質賄賂みたいなもんでしょうが‼政治家かあんた!?」

 

「大体、そりゃあ根本的な解決になってないじゃないっすか!被害受けた周りはどうなるんすか!?」

 

「……?なにいってんの?」

 

ジョニーの言葉に理解できない顔で疑問にする。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「は?」

 

絶句する一同に対し、スターマンはめんどくさそうに説明する。

 

「なんか勘違いしてるみたいだけど……別にボクは『ヒーロー』でもなければ『正義の味方』でもないんだよ。ただ、お金がぶら下がっている悪人を捕まえるだけの卑しい卑しい『賞金稼ぎ』だ……別に僕はその被害お受けた町に住んでいるわけでもお世話になったこともないんだから、気を使う必要性がない。町を守るのは『海軍』や『国の兵』であってボクの領分じゃない……お門違いもいいとこだよ」

 

「そもそもボクはわざと周りに被害を出しているわけじゃない……()()()()そうなっただけさ。でもそんなことで『賞金首』にはなりたくないし……なにより目をつけられたく()()()()。だから、その被害を最小限に抑えるためにボクは権力者に寄付してやり過ごすのさ」

 

「でも、それじゃあ周りの被害にあった人たちは……」

 

()()()()()()()()()

 

何か言おうとするナミの言葉に被せる様に切り止める。

 

()()()()は『弱肉強食』が絶対……だから、ボクより強い『世界政府』に今は下手に出るが、それ以外はどうなったっていいと思っている。でも……まあ、ボクの目的のために必要なら……存分に使い潰れればいいんじゃない?

 

「……わたし、あんたみたいなの大っ嫌いだわ……!」

 

「そう?ボクはボクみたいな性格、大好きだよ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

まるで親の仇のようにスターマンを睨むナミ。いつの間にかどす黒く濁った眼をするスターマンはハッと気が付くと、周りの雰囲気が少し悪くなっているのを感じた。

 

「ごめん、えっと……最初、何の話だっけ?」

 

「はい!?あ、えっと……なんでしったけ?」

 

「なんでこいつが最悪な奴ッて言われてるのかって話……もう、大体わかったけど」

 

 

「…なあウソップ、ナミのやつなんか機嫌悪くねーか?」

 

「おまえ今まで話し聞いてなかったのかよ!?…後で話してやるからちょっと待ってろ!」

 

「あ!そんな流れでしたね……えっと、まあそんなわけでスターマンはあらゆる海で周囲の被害を度外視としたやり方を続けるうちに、一般からは評価が悪くなっていったんですよ」

 

「まァ当然だな」

 

「当然の結果よ」

 

「弁解の余地もないな」

 

当たり前の周囲の反応に納得する三人、反論の余地もない。

 

「へーじゃあ、スターマンは町のやつに嫌われてるんだな!」

 

「……それだけなら良かったんですがね」

 

『え?』

 

ルフィが締めの言葉を言おうとしたとき、ジョニーから不吉な言葉を聞く……どうやらまだ話は続くらしい。

 

「おいジョニー?まだ何かあるのか」

 

「はい、ゾロのアニキ……むしろ、ここからが本番です」

 

「はァ?」

 

「5、6年前になりますが……ある日を境にスターマンの()()()()()が広がったことがあるんです」

 

「あ~はいはい!()()()

 

心当たりがあるのか、雑な返事で声を出すスターマン。そちらに視線を向ける一同にスターマンは語り出す。

 

「たしかそれぐらいの時期だっけかな~、理由があってお金が大量に必要になっちゃったんだよね~だから、仕事の()()()を増やしたんだよ」

 

「お金が必要?」

 

「うん、実はボク()()()()()洒落になら無い事態になって、危うく『世界政府』から正式に『賞金首』なっちゃうところだったんだよ……だから『世界政府』と『世界貴族』に贈る『寄付金』が大量に必要になっちゃったんだよ~」

 

「……なんかとんでもなく洒落になら無いこといってない!!?」

 

「『世界貴族』?」

 

「…まぁとにかく偉い人ってこと」

 

なんだか会話の内容が不穏になってきているように感じる一同。それでもスターマンに質問する事にした。

 

「…で、結局何したのアンタ?」

 

「うん、当時はとにかくお金がほしくてさ~……だから、『マフィア』や『裏社会の人間』から密売品や禁制品、なかには重要な情報を取ってとある団体に売ったり、同業の『賞金稼ぎ』が捕まえた賞金首を奪って換金したり……あとは、まあ『荷物運び』とかかな~」

 

『』

 

スターマンの言葉に口を開け絶句する一同……しかし、それに気付いていないのか笑いながら話を続ける。

 

「しかし、薄暗いところで生きている人間ってのはほんと嫌だね~、ちょっと商品を掠め取られたぐらいでメンツがなんだかんだ言って、ず~っとボクの事追いかけ回してくるんだぜ?賞金稼ぎもさ~競争社会の世界なんだから横合いから奪われることも想定済みでしょ。それなのに……徒党を組んでボクに襲いかかってくるし……はぁ全く、付き合わされる身にもなって欲しいもんだよ」

 

「そっかーたいへんだな」

 

「そうなんだよ……ま、!もし襲われてもボクは逆に襲って身ぐるみ剥いでるんだけどね!」

 

「なんだ、じゃあ安心だな!」

 

「「アッハッハッハッハ」」

 

『アハハじゃねえよッ!!!』

 

呑気に笑い合うルフィとスターマンに全力で突っ込む四人組。その後、疲れたようにジョニーがあとを引き継ぐ。

 

「そんなわけで、スターマンは自覚無いままヤラかしたせいもあり、裏に生きる人間には途轍もなく嫌われています……これは噂ですが、()()()裏社会の大物を怒らせたらしく、裏じゃアニキには生死を問わず()()()()()()()の懸賞金が懸けられてるんすよ」

 

「…とんでもないな」

 

「よく今まで生きてられたわね…」

 

「俺、こんなに人から嫌われたやつ始めてみたわ」

 

予想以上に世間から嫌われていてドン引きする三人であった。

 

「あ、ちなみに"世界一嫌われている賞金稼ぎ"と言う名前もあって、コッチの方が世間じゃ有名ですね」

 

「遂に世界一きちゃったよ!!!」

 

「……そんなに周りから嫌われてんじゃ、オチオチ生活も出来やしないだろ」

 

「いえ……それがそうでもないんですよ」

 

ゾロが呆れながら言うと、ジョニーが深刻そうにそれを否定する。

 

「実は、度重なるスターマンの行動に激怒したとある裏組織が居たんですが……遂に、スターマンに落とし前をつけるために、とある島におびき寄せる計画を立てたんですよ。スターマンに恨みを持つものを片っ端からかき集めて袋叩きにしようとしたらしいんすが……その時きた連中ってのがマフィアや海賊はもちろん、賞金稼ぎや()()()()の人間もいたって話で、それも個人だけでなく()()()()()()参加したところもいくつか合ったらしいです。報酬はスターマンに懸けられた懸賞金から出される予定だったんすが……予想以上に人が集まり過ぎて、全員に行き渡らない事態になったんですが……それでも参加させろと言うやつが多かったらしいです」

 

「どんだけ恨まれてんだよ」

 

「で、最終的に集まったのが噂じゃ1000人以上って言われていまして……中には『能力者』も混じってった話があります。場所は小さな無人島で行われたんですが……参加者全員が完全武装で待機している姿は、小さな国の戦力を越えていたと言われています」

 

「──あぁ……はいはい()()()

 

その時の事を思い出したのか、不機嫌そうに顔を歪めるスターマン。

 

「(たしか、寄付金があと少しでたまらなかった時期だ……なかなかお金がたまらなくて苛ついていたときにどこのだれかもわからない奴からの呼び出しを喰らい……行ってみれば島を覆う程の人と船が待ち構えていたなぁ)」

 

大体2()0()0()0()()()いたっけ……と当時の事を思い出していると、話の続きを聞きたいのかウソップがジョニーに先を急かさせる。

 

「で、結局どうなったんだ……スターマンはその場に来たのか!?」

 

「その時、スターマンを無人島に送っていったのが参加しなかった同業者で、スターマンを送ったあと近くに人のいる島に引き返したらしいんです……仕留めたら連絡をもらう契約になっていたらしく、それまで島で待機してたようです。……でも送ってから半日以上経ち、電伝虫でも連絡が来ないため、もう一度島に行ったんですよ……そしたら」

 

汗を滴しながら語るジョニー、ルフィ達も気になるのか顔をこわばらせて聞き入る。

 

「──そこにあったのは、壊された複数の船に島の中で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけが転がっていて……スターマンの姿は無かったそうなんです!」

 

『……!!!』

 

「なにーーーー!!!おい、死んじまったのか!!?」

 

「いや生きてますけど!勝手に殺さないでもらえます!?」

 

ルフィの叫びにたまらずツッコむスターマン……予想はしていたとは言え、話を聞いた面々は畏怖した目でこちらを見ていた。

 

「(あの時、出向いてあげたのに着いたらいきなり恨み言言われて襲ってきたから、かなりムカついたんだよな~……たしか覚醒の能力で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()鬱憤晴らしにはなったんだよねー。それでも大体1時間以内には終わったけど……まぁ結局、倒した中から100人くらい見繕って『"人間屋"(ヒューマンショップ)』に売ったから、それで目標金額に届いたんだよなー!)」

 

「生き残りの証言によるとスターマン一人の仕業だとわかり……如何やら『悪魔の実』の能力を使ったと噂されています!」

 

「なにィ!?おいスターマン!おまえ悪魔の実の能力者だったのか!!?」

 

「……まあね」

 

「へェそうなのか!」

 

「能力者なんて珍しいと思ってたけど、案外結構いるものなのね」

 

「で、どんな能力持ってんだ?」

 

「それは……秘密だよーん!」

 

スターマンが能力者だとわかり、興味を示す麦わらの一味。しかし本人は教えようとしない。

 

「えーーー!?いーじゃねェか教えてくれたって!」

 

「そーだぜ、減るもんじゃあるまいし教えてくれたっていいじゃねーか」

 

「減るよ──あのねぇ、能力者っていっても事前に知っていれば対策だって取られて普通にピンチになったりしちゃうんだよ……相手が知らない情報なんて晒さなければ晒さないほどいいのさ。まぁ……機会があればいつか教えるよ。ゴメンね」

 

「「ブーッ!ブーッ!」」

 

「あーもう絶っ対、教えないわ!」

 

「ガキか…」

 

ルフィとウソップがブーイングする中、話を進めるようジョニーに促す。

 

「とにかく!そんな事件があったもんだから、誰もスターマンに表立って仕返ししようとする奴がいなくなっちまったんすよ……そんで、何時しか"最強の賞金稼ぎ"って言われるようになったんですが、それ以上に他人からの恨みの方が多いんで、その二つ名に納得していない奴らが別の名前で定着させようと嫌がらせしてるんですよ」

 

「ね?酷いでしょ、その人たち」

 

「いや、この話で一番ひどいのお前だからな」

 

「えー例を挙げるなら"吊られた男(ハングドマン)"、"クズ星男"(スターマン)、"海の汚点"。……最近だと"ボケカス"とか"世界最低(ワースト・ワン)"とかがありますね」

 

「ホントに悪口じゃねェか!!?」

 

「今でもドンドンできてるみたいで……噂じゃ、本一冊出来るくらい存在するとかなんとか」

 

『あり過ぎだろ!!?』

 

「とにかく、自分を守るぐらいはできるから海でも安心して動けるのさ」

 

「とんでもない人生送ってんな」

 

ゾロが呆れて言うと、周りも同意したように頷く。スターマンの半世を聞き終わったルフィは笑いながら話しかける。

 

「はっはっは!お前スゲーーなァ、スターマン……おい!お前オレの仲間に入らねーか!?」

 

「!」

 

「おいルフィ!?聞いてなかったのか、こいつかなりやべー奴だぞ!?」

 

「そうよ!話聞いてるとだまし討ちも平気でする奴よ……今だって──」

 

「ダイジョーブ!にひひ!」

 

ナミとウソップは戸惑うが、それを笑って受け流すルフィ。ゾロも黙っているが……そこまで賛成はしていないようだ。そしてスターマンだが……

 

「…………」

 

「なァいいだろスターマン!俺たちと一緒に海賊に──「君は

 

ルフィの勧誘の言葉を遮り、ルフィを見るスターマン……その表情は先程よりも引き締まっており、周りの空気も引き締まった感じがした。

 

「君は、ボクのことが気持ち悪くないの?正直うさん臭さしかないよ…ボクは」

 

「別に?全然思わねーけど」

 

「自分の能力も出自もしゃべらない……それどころか目的も噓かもしれない。もしかしたら、君たちに害を与える存在かもよ……それでもいいの?」

 

スターマンの言葉の後、少しの間空白ができる……そして、

 

「関係ねーよ……それに、やれるもんならやってみろ!お前が何かやったところで平気だ……俺たちは、スゲー強いからな!!!にひひひ!」

 

「────ッ」

 

ルフィが笑いながら言うと、ナミもウソップも呆れながら笑い、ゾロも口角を曲げて笑みを浮かべる。スターマンは眼を僅かに見開き……()()()()()()()()()()。自分の目の前にいる白い人影が自分に話しかける。

 

======================

 

『      』

 

======================

 

「……おい、どうしたんだ?」

 

「───いや、特になにも」

 

ルフィが話しかけると、スターマンは思い出を打ち切り回答する。

 

「そうだね~誘ってくれるのは本当にうれしいけど……ボクは今まで一人で活動してきたから……ちょっと戸惑っちゃうな。だから……待っててもらえる?」

 

いつもの緩い表情をしながらルフィに答える。

 

「この船に乗ればボクの目的地にたどり着く……それまで、仲間になるか考えさせてくれないか?必ず答えを出すからさ……どうだろうか?」

 

「よし、わかった!!それまでよろしくな、スターマン!」

 

「あぁ、よろしくルフィ……!」

 

お互い拍手しながら笑いあうルフィとスターマン。船の中が明るくなったところへルフィが声を上げる。

 

「よーし!みんなぁ、あらためて"海のコック"を仲間に入れるために……いくぞ!『海上レストラン』へ!!」

 

『おおーー!』

 

 

海上レストラン『バラティエ』に向けて海賊団一行は向かう。

 

 




スターマンの二つ名の由来がわかる回でした。

スターマンは何気に『覚醒』しています。ちなみに空中に浮いているのは『星種(シード)』は体内でも生成することができ、足の裏に『極小の星種』を生成することで空中を歩くことができます。その時、戦闘中逆さまで浮いている姿をみた相手に見られ『吊られた男(ハングドマン)』と付けられた設定です。

来週は短めになると思います。
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