終わりのラブウォッチ   作:ルシフェル

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後編

 

「で結果はあれだけだったね」

 

「うっ、うるさい」

 

 結果的にいうと優たちとシノアちゃん、三葉ちゃんの親密度は上がっただろう。

 というのも優が寝ているときに手を勝手に動かし、シノアちゃんと三葉ちゃんの手の上に置いただけである。

 俺は後ろからで見えなかったからわからないが、二人とも真っ赤になって終始映画を見ていたことだろう。

 もちろん優本人もあずかり知らぬところで。

 

 ただ先ほど粋がっていたのにしょぼい作戦だったので、与一も残念そうな目でこっちを見ている。

 確かに与一一人でも簡単にできるような作戦だったけど、これでもがんばったんだよ!

 確かにちょっと微妙だったけどさぁ。

 

「でも確かに仲良くはなっているかもね」

 

 3人がいるカフェの前のバーガー屋で休憩している3人に目を向けるとシノアちゃんと三葉ちゃんの機嫌が良いのだろう。

 明らかに機嫌が良い三葉ちゃんに、分かりづらいがあの笑顔は嬉しいときの顔をしているシノアちゃんと作戦は上手くいっているのだろう。

 優はそんなことわかってないのはお察しの通りだが。

 

「で次の作戦は……」

 

 と作戦を話す前に優たちの方に目を向けるとカフェの店員がコーヒーを運んでいるのが見えた。

 店員に謝りつつ(ショッピングモールで買っておいた)ボールをシュッと投げて足元に投げる。

 こういうときだけ性能がいいのか、見事タイミングよく店員はボールを踏みバランスを崩しコーヒーが優の足にかかった。

 本当は体当たりが良かったんだが仕方ない。

 慌てて店員はナプキンで拭こうとするが、三葉ちゃんがそれをやんわり断り自分が拭いていた。。

 シノアちゃんは何もないように装っているが、ちょっと顔をしかめている。

 出遅れたんだろうなぁ。

 ここから聞こえないが優は自分で拭くみたいなことを言っているのだろうが、三葉ちゃんは拭いてあげていると言って聞かないのだろう。

 優は照れながら三葉ちゃんが拭き終わるのを待っていた。 

 

「僕ってますますいらなくない?」

 

 若干与一が拗ねてしまった。

 素直に謝り機嫌を直してもらう。

 ここまで来ても一人だと不安なのだ。

 共犯者は欲しい。

 巨大パフェの代償と引き換えに。

 ちょっと俺にも食わせろ。

 

 

 

 

 その後も優たち3人はさまざまな場所を回っていった。

 ちょっとしたパワースポットやのんびりとした公園など。

 パワースポットではお守りだろう、優、シノア、三葉の3人分だけでなく俺らのお守りまで買ってきてくれていた。

 やべぇ、超嬉しい。

 嬉しすぎて飛び出しそうになったが与一に腹を殴られ、沈められた。

 漫画の世界だけかと思ってたけど、あんな簡単に沈むもんだとは思わなかった。

 もちろんだかめちゃくちゃ痛かった。

 

 公園ではバカップルだらけの公園だったので、変に意識していた三葉ちゃんの真っ赤な顔に俺は悶えていた。

 もはや与一にこういったことを隠すといったことは一切忘れている。

 与一の顔はもうなんか悲しい目を向けられていたのをあえて意識しなかった。

 優はこの公園でもシノアたちを意識をしていなかった。

 バカップルにうんざりはしてはいたが、隣の子たちにはそういう目を向けないのは鈍感にもほどがあるだろう。

 極めつけは「俺も欲しいけど、今はミカエラを助けないといけないからな……」という呟きだろう。

 いや優隣にすぐにでも彼女にできそうな二人がいますけど?

 てかそんな発言するから腐女子が沸くんだが……

 隣の二人ももはやそれは知っているから悲観的なことにはなっていないが、こういうのは本当どうにかならないものだろうか。

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで俺らは優たちばれないように必死に隠れながら付いて行き、さらには時々工作をして優と彼女たちを引っ付けるようなこともした。

 昼前に始まったデートはもう夕方になっており、夕食は家で食べるという話なのでそろそろ頃合いだろう。

 帰り道はどうせ一緒だから帰りもデート気分でいるというわけではない。

 デートはデート、女の子にとってデート終了はそれでいったん区切りなのだ。

 このひと時が終われば明日からまたこの世界の戦う女の子に戻るのだろう。

 まあ恋心は持ったままだろうけどね。

 

『もうこんな時間だし帰ろうか』

 

 やっぱり優は切り出したか。

 確かにこれ以上暗くなっていくと夜道は危ないかもしれない。

 一応女の子だし、そこらへんを考慮したのだろう。

 ……あの二人が変質者にやられるタマではないだろうけどさ。

 むしろ過剰防衛くらいしそうだ。 

 

『優さん今日はありがとうございました』

 

 ここでシノアはなぜか優に対してお礼を言っていた。

 急にだったので優は驚いている。

 

『無理やり私たちに付き合ってくれて嬉しかったですよ』

 

『普段こんなことできなかったからとても嬉しかったんだ。……シノアと仲良くできたしな』

 

『ぼそぼそ声でも聞こえてますよ~。もう三葉ちゃんたら可愛いー』

 

『こら引っ付くなっ!』

 

 シノアちゃんも三葉ちゃんもとても楽しめたようだ。

 半ば無理やり感があるデートで、シノアちゃん、三葉ちゃん、それに優それぞれどんな気持ちでいたかわからないが楽しめたのならこちらとしては本望だ。

 3人という変則的なデートでガチなデートではないかもしれないが、デートは本人たちがまず楽しめなければ成功とは言えない。

 そういう意味では3人という緊張しにくいデートだったのは良かったのかもしれない。

 優はデートだとは思っていないだろうがそれでも今回はOKだろう。

シノアちゃんと三葉ちゃんが仲良くなったのも良かったし、ここまで順調だったのなら俺らの作戦がなくても順調だったのではないだろうか。

 

『まあ俺もこんなゆっくりできた日は久しぶりだったし、楽しかったよ。お前らの普段を見れた貴重な日だったしな』

 

『全く、優さんは無意識でそんなこと言うんですから……』

 

『優らしいけどな』

 

『え? 俺なんか変なこと言ったか?』

 

『「何もありませんよ」』

 

 ……本当羨ましいやつだよな。

 こんな美少女二人に言い寄られて全然意識を向けないんだから。

 いくら俺は優に恋しているシノアちゃんたちが好きだからといって悔しいと気持ちがないわけではない。

 やはり優に恋しているシノアちゃんたちが好きだし、応援はしている。

 がそれとこれとは別の話だ。

 本当鈍感って無意識の罪だよな……

 

「弘樹君も大変だね」

 

「まあこれが俺の本望だからな。苦なんて言ってる場合じゃねぇよ」

 

 そう、俺はこれでも現状に満足している。

 なんだってシノアちゃんや三葉ちゃん、それに優に与一や士方が好きなんだ。

 というよりここの人物全員が好きだ。

 そりゃ吸血鬼などは怖かったりするけど、それでも俺は好きだ。

 だから俺は第二の人生をつづける!

 

「さてそろそろお開きにするか。柊さんたちも帰るだろうし――」

 

「何をお開きにするんですか、弘樹さん?」

 

「……おかしな、すぐ後から柊さんの声が聞こえるなぁ」

 

 おかしい、俺の幻聴かシノアちゃんの声が聞こえる。

 与一の方を見ると彼の目の焦点が合っていない。

 暑くもないのに汗もかいている。

 

「おっと私も忘れちゃ困るよ?」

 

 さらには三葉ちゃんの声まで聞こえてきた。

 俺自身の体温が急激に下がった気がしたのもつかの間、後をゆっくりと振り返り先ほど声をかけてきた二人を見る。

 

「……あっ、柊さんに三葉さん、それに優奇遇だな」

 

「誤魔化さなくてもいいですよ」

 

「ストーカーしてたのはとっっっくに気づいていたからな」

 

 二人の女の子の顔は笑っている。

 だけど俺はこんな笑顔を見たことない。

 良い意味ではなく、悪い意味でだ。

 声も力強く、威圧感も感じる。

 優に至っては二人の覇気、というより殺気に遠くから苦笑いだ。

 

「やだなぁストーカーなんて失礼な。尾行と呼んでくださいよ、ハハハ」

 

 やべぇ、引きつった笑いしかできないや。

 

「ああ、一つ言っときますが、感謝してないわけではないですよ。楽しかったのは事実ですし。でもそれとは別ですよね?」

 

 何がとは言わないが、とりあえず感謝してはくれているようだ。

 単純に嬉しい。

 こういう場面でなければ飛びついて嬉し涙を浮かべていたかもしれない。

 今は別の涙を浮かべそうだ。

 

「……ちなみにいつから気づいてたんですか?」

 

 与一が二人に対して聞いていた。

 俺もそれは気になる。

 結構自身でも徹底していたつもりだから、なおさらだろう。

 

「小石を投げたところからだよ」

 

 ――ほとんど最初の方だった。

 三葉が言うには投げるときにはわかっていたようだ。

 

「さすが分隊長たち! 経験が違う! 優秀ですね!」

 

「お褒めありがとうございます」

 

『で言い残すことは?』

 

『……何もありません』

 

 黄昏時、二人の少年の悲鳴がこだましたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 結果報告:

 優とヒロイン二人の好感度アップ成功

 ヒロインたちと自分親密度アップ

 代償として与一、弘樹両名全治3日

 




後編、デート編の後編終了
ということで全3話完結です

最後は笑いに走りましたが最初から比率のイメージは比率はラブ4(3):コメディ5(6):シリアス1なので基本こんな感じです
最初からオリ主の空回り方を楽しむように作ってましたからね
オチはあれでいいと思いますw
まあヒロインとの親密度がアップしましたしねw
与一は巻き込まれどんまいですね
もちろん原作はかなりシリアスです
世界観がまずかなり世紀末かしてますからねw

吸血鬼「俺(僕)たちは?」
出すタイミング、意味がなかったし仕方ないね
モブ吸血鬼なら前編で即死したけど

しかしシノアちゃんと三葉ちゃんの可愛いです
私服が初めて登場したとき何この天使って思いましたもんw
普段制服だったので新鮮だったていうのもあるでしょうがね
ファッションとか全然わからなかったので、ネット頼りでしたが大丈夫だったかな?

最後までありがとうございました
これで少しでも興味を持ってくれたならばぜひ原作も読んでみてください
原作面白いですからw
また機会があればよろしくお願いします

P.S
(ジャンプSQ連載してた)ロザリオとバンパイア完結しちゃって寂しい
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