仮面に縁を、歌に血を   作:星鱈

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\(●)/合衆国ニッポンポン\(●)/に帰化したので初投稿です。ちょっと内容が暗いぞ、許せ!

相変わらずキネクリ先輩のアイデアが天啓のように湧いてきません。一瞬サンタアイランド仮面にしようかと思いましたがアイデアごとかなぐり捨てました。

追記:ヤベー奴の服についての記載を追加。



夜空を駆けるヤベー奴

私はふいに目を覚ました。

閉めたはずのカーテンが半開きになり、月明かりが部屋の中に差しこんでいる。時計を見れば深夜の二時だ。

夢の中で閉めたのだろうか、眩しいのは苦手なはずだったが……。

 

「何よもう」

 

目を擦りながらベッドから身を起こし、窓辺へと近づく。接近するうちに私の肌を風が撫ぜた。

 

「……っ」

 

──窓が開いている。

 

カーテンについては記憶が定かではないが、確かに私は閉め切っていたはずだ。

 

「もしかして泥棒……ひっ」

 

腰が抜けた。声は出せたが、出せなかった。

 

半開きのカーテンが風に煽られ全開になる。

月明かりに照らされる、黒い人影。

 

「ごきげんよう。俺の名はゼロ。お前に少し話をしに来た」

 

その男と思わしき人は、仮面を被っていた。

バイクとか宇宙飛行士のヘルメットとはまた違う不思議な形。

濃紺を主色に金のラインや黒を差し色にした服を身に纏い、肌が見える部分は一切なかった。

 

多分だけど、彼はその面の中で私を──残念そうな表情で見下ろしている気がした。

 

 

 

 

 

「一つ、聞いてくれるか。ある少女の話だ」

 

仮面の男は幼子に聞かせるように、腰が抜けた少女を安心させるように語り始める。

 

「ある日少女はライブに行った。開催するライブは毎回満員御礼の人気ユニットの単独ライブだ。しかし天文学的な確率で、そのライブの真っ只中にノイズが出現してしまった」

 

少女は何も話さない。まだゼロの話を聞くほどの余裕はないのかもしれなかった。

 

「ノイズの出現により人々は阿鼻叫喚。我先にと出口を探し始め、結果としてノイズそのものの被害よりも、人災による被害の方が多くなってしまった」

 

「……それくらい知ってるわよ」

 

「ほう?訳知り顔だな」

 

「そのせいで彼は……」

 

月明かりに照らされた顔に影を落とす少女。

ゼロは「続けるぞ?」と一言断り、ここからが本題とでも言うように語気を強めて言葉を発する。

 

「多くの週刊誌やニュース、インターネットならばこの辺りから過剰な装飾を付けながら生存者が云々と語り始めるだろうが……俺に限ってはそうではない。むしろ逆だ。お前はこの少女を知っているな?」

 

ピッと袖の中から一枚の写真を取り出すと投げ手裏剣の要領で腰が抜けた彼女の近くにそれを突き刺す。

彼女がそれを確認するや否やみるみるうちに暗がりの中でも分かるほど顔が青く染まり、その目は激しく泳ぎ始める。

 

「その反応が答えといったところか。まあいい、彼女に限った話ではないが……彼らを裁くのは法であって、お前たちではない」

 

「……こ、こいつが生きてるのが悪いんだ!何で彼じゃなくて、こいつが──立花が生きてるんだ!」

「安心しろ。もし彼女が人災に加担していた場合は今頃取調室の中だ。君が心配せずとも然るべき者には然るべき罰が与えられる。そこまで国が能無しと考えていたのか?筒抜けだと思いたまえ」

「……ッ」

 

憎々しげに少女は立花響の写真を見つめる。

 

彼女の中学校には将来を嘱望されたある男子生徒がいた。彼はサッカー部のキャプテンであり、人望も厚く、校内には多くのファンがいたようだ。

しかし彼の命運は件のライブ会場にて断ち切られることとなってしまう。

 

少女は嘆いた。

何故お前なんだ、何故彼ではなくお前が生き残ったのだと。

その叫びを発端に響の生活は180度変わっていく。もちろん最悪の方向に舵取りされて。

 

「お前や遺族の気持ちは察するに余りある。君が叫ばなくとも他の者が彼女を責め立てた可能性も高い」

「だったら……!」

「だがそれだけでは飽き足らなかったようだな。幸い、お前は思いとどまったのか未遂で済んだようだが」

 

ゼロの手にはスマートフォンが握られており、その画面を彼女に近づける。

映っているのは『立花』と表札のある家の近くで右往左往する少女の姿。

 

「こ、これ……」

「付近の監視カメラの映像だ。お前が可燃性の何かを持っていることまでは分かっている。あぁ、まだ罪の意識があるだけ上出来だとも」

 

少女の顔は絶望に染まる。

目じりに涙を浮かべ、ガタガタとその身を震えさせていた。

ゼロは一つため息をつくと彼女をお姫様抱っこで抱き上げ、ゆっくりとベッドに降ろす。

 

「安心しろ、口外するつもりはない。その場合俺がハッキングと不法侵入の容疑で捕まる」

「彼女が──立花響が人災を引き起こすような人間か、人を害するような力があったか、よくよく考えてみるといい。人は人を完全に理解はできない。しかし可能な限り歩み寄ることはできるはずだ。俺はそう信じている」

 

ゼロを名乗る男は少女の涙をその手で拭う。

彼女もまた響やライブ会場の人々とは別の形であるが、被害者の一人ではあるのだろう。

 

踵を返し突き刺さった響の写真を抜き取ると、ゼロは窓辺に足をかけた。

 

「私は、どうすれば……」

「それを決めるのはお前自身だ。俺にはここまでしかできない」

 

それを決めるのはゼロではない。

また誰かの意見に同調して自分の意志を無くすようなことはあってはならない。自分自身の心で決めなくてはならないのだ。

 

「独り言を口にするならば、俺はこれ以上無辜の被害者が増えないことを祈っている。では、ごきげんよう。夜分遅くに失礼した」

 

窓辺を蹴ってゼロは空中へとその身を投げる。

残り半分くらいで地面に到達するかといったところで袖口に装備したワイヤーを起動させた。

 

ワイヤーは近くの手頃な電柱に引っかかり、ふりこの要領でゼロの身を飛ばし、回転しながら人気のない建物の屋根に着地する。

ゼロは仮面の耳あたりに該当する箇所を2回タップしてある場所へと連絡を繋ぐ。

 

 

『日が出るまで後何時間だ?』

『残り何人だ?』

 

 

『そうだな……あと3人くらいが限度だ。そろそろ俺もナビするの疲れてきたし』

 

 

『すまない』

『世話をかける』

 

 

『……いや、こういう地道なことは特機部二だけじゃできなかった。痒いところに手が届く──って言い方だとそこら中に喧嘩売りそうだけど、全くその通りなんだよな。仕事が増えても、給料と助かる人が増えるなら俺はやるさ』

 

 

『引き続きよろしく』

『ハァイ、朔也。ノーザン好きかい?』

 

 

『了解了解。そこ右に曲がって三回屋根飛んだらAR表示されてるN-14の電柱にワイヤー射出。そして誰もいない市民会館の屋根に着地したらすぐ目の前だ』

 

 

ゼロ──結が特機部二加入の際に弦十郎に進言したのは『これ以上ただ生き残ってしまっただけで傷つく人を増やしたくない。そのために自分に協力して欲しい』ということだ。

 

結は大学のレポートや授業を受ける際に、少なからず認定特異災害を生き残った者が迫害されるということを耳にしている。

 

しかし政府や二課は動かない。いや、動かないというよりそもそも動くことができないのだろう。

シンフォギアという特大の爆弾を抱えているために、無辜の人々の存在は図らずしもそれを隠すための隠れ蓑となってしまっていたのだ。

 

結は無辜の人々が国家機密を隠蔽するためのカモフラージュにされていることを知る由はない。大々的に彼らをどうにかする方法もあるが、一手仕損じれば国家瓦解の危機だ。どう考えても綱渡りの所業だった。

 

しかし結は助けたい、力になりたい。そう言った。

 

弦十郎もそうすることしかできないことに歯がゆい思いを抱いていたのだろう。

 

しかし今ならば条件は整っていた。

 

二課としては動けない。

ならば存在しないはずの彼を使えばよいのだ。

 

 

結果として結は家々を飛び回り不法侵入を繰り返していた。

これだけならばただの変態犯罪者なのだが、彼が侵入するのはライブ会場で生き残った被災者に深刻な危害を加える、もしくは加えかけた人々の部屋だ。

 

周囲に蔓延る喧伝や流言に付和雷同し、歪みきった『正義』の旗印の元に自らの手を染めた、染めかけた彼らを事の重大さに気づかせ『更生』を促すために。

 

今にも傷つき壊れそうにな人々が、これ以上言われなき罪で責められないために。

 

結は今日も夜空を飛ぶのだった。

 

 

ちなみに、結が着ているゼロの服と仮面、腕から射出されたワイヤーは櫻井女史が手ずから誂えたものである。こんなこともあろうかと、と随分前に倉庫内に放置されていたジャンクパーツ(ジャンクと言えるほどお粗末なものではなく、シンフォギアを作成するにあたって出たものなのでかなり高性能)を使って一晩で作成してくれた。

 

 

 

【度胸が『なくもない』から『男らしい』にランクアップした!】

 

 

 

 




その名は、合衆国ニッポンポン!


今回のお話は人によって好みが別れると思うますが、まあ許せ!

結が着てる服装はまんまゼロです。声優つながりで着用してもらいました。いやぁイメージが楽っていいわね。


声もゼロです。当たり前だよなぁ?

ざっくり結くんが何をしてるか説明いたしますとノイズ災害による被害者に危害を加えた・加えかけた人々の元に行って自らがしでかした事の重大さを気づかせる活動を行っています。

彼にできるのが気づかせることまでなのは、ここでまた同調してしまうと彼らが他人の意見に付和雷同している時と変わらないから。

もっとざっくり言うならメメントスでやってたことを現実世界でやってみようと頑張ってる感じ。
大きく違うのは歪んだ欲望を頂戴するのではなく、対話によって相手に気づかせることくらいかな。


結の存在もあるけど特機部二情報処理部の皆さんがかなりの時間の残業を了承しなければ実現し得なかったり。

素性洗い出したり、監視カメラやSNSの情報漁ったり、住所調べたり etc etc……。

普通にシンフォギアをモニタリングする通常業務よりキツいと思うんすけど(名推理)


イセカイナビあればパパッと解決だけどここは結くんに苦労してもらおう……。そんなヤバいアプリホイホイ渡せるのは今んとこ金メッキ聖杯しかいないからね!

そのうち学校の怪談というわけではないけど『被災者に意地悪したらゼロとかいうヤベー奴が来るらしい』という噂が流れたり流れなかったりラジバンダリ。
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