仮面に縁を、歌に血を   作:星鱈

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双葉とビッキーの絡みを書きたいと思ったので初投稿です。


ルブランの日常①

結がルブランで住み込みバイトを始めてから早2ヶ月が経過した。

 

大学は思ったよりも順調だ。店員としてもマスターからそこそこ板に付いてきたんじゃねぇのか、と言われる程度にはなってきた。

豆は限定されるが客にコーヒーを出す許可を貰うこともできたのだ。

 

今は日曜日の夕暮れ時。日が傾きそろそろ夜を迎えそうである。

マスターは食材とその他諸々の買い出しに出かけているため、結はぼっちで店番中である。

 

>店は閑古鳥が鳴いている……。このまま誰も来ずにマスターが帰ってきてくれないだろうか。

 

現在彼が客に出せる品はコーヒーだけだ。前述の通りマスターがGOサインを出した銘柄のみ。

 

今カレー等を注文されるとお客が満足できるクオリティのものは出せそうにない。

万が一失敗すれば専門店もかくやの激辛カレーを出すことになってしまう。

 

悶々とそんなことを考えていた結だが扉のベルの音で現実に引き戻される。

バッと顔を上げ「いらっしゃい」と口にした。

しかし目線の先には半開きのドアが映るだけでお客の姿は何処へやら。

 

冷やかしだろうか、と考えながら視線をドア下へと向けていく。

そこにはうつ伏せに倒れ、閉じ掛けのドアに挟まった少女の姿が────

 

 

『大丈夫か?』

『急患!』

『マスター!地面に女の子が!』

 

 

結はすぐさま厨房から飛び出しそばに駆け寄って容態を確認する。

熱なし、呼吸正常、意識混濁────

 

「ご、ご飯……」

 

……どうやら彼女はお腹が減っているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

倒れていた彼女から特にこれといった注文を聞き出すことはできなかったが、奇跡的に上手くいったカレーと水を目の前に置くと餌にありつく大型犬の如く物凄いスピードで食べきってしまった。

 

「ぷっはー、生き返りました!ありがとうございます!えーと」

 

 

『店番だ』

『雨城 結だ』

『マスターだ』

 

 

「結さん!このご恩、一生忘れません!」

 

彼女の名は『立花響』。12歳。好きな物はご飯&ご飯。彼氏いない歴は年齢と同じである。

 

今日はウィンドウショッピングをした後どこかで外食する予定だった彼女だが、鍵と財布を家に忘れてきてしまったのだ。しかも家族もせっかくの休日なのか家におらず、途方に暮れながら周辺をさまよっていたとのこと。

 

「いやぁ〜面目ない。そこそこお腹空いてたんですけどみんな帰ってくるくらいまでならへいき、へっちゃらッ!って思っちゃったんです」

 

店に倒れ込むようにして入ってきたのはそんな理由からなのだろう。

 

その後マスターが帰ってくるまでとりとめのない話を続けた。

こっちに引っ越してきた理由や響の親友の話、そしてこの店のマスターのこと。

 

 

 

「帰ったぞ。ってオイ、お前のカレーはまだ客に出せたもんじゃ──」

「あっ、マスターさんですか?」

「!?──あ、いや、違うか……ああ、俺がマスターだが」

 

惣治郎がまだ許可していないカレーを出したことを咎めようとするが、それに響が屈託のない笑顔で声をかける。

 

「結さんの作ったカレー、すっごく美味しかったです!」

 

満面の笑みでサムズアップ。幻視だろうか、響の周りにキラキラと星が見える気がする。

『古代ローマで、満足できる、納得できる行いをした者にだけ与えられる仕草だ』とは誰の言だったか。

少なくとも響が結の作ったカレーに大満足だったことは疑いようのない事実だろう。

 

「……結構やるじゃないの」

 

ニヒルな笑みをして呟いた惣治郎は買い出した食品を冷蔵庫にしまうために厨房の奥へ消えていく。

 

「あ、あの……」

 

どこか申し訳なさそうというか、妙に焦っている様子の響。

先ほどの天真爛漫な笑顔とは打って変わって、少し触れれば崩れてしまいそうな、オドオドした表情だ。

そういえば、と結は彼女が先ほど話していたことを思い出す。今お代が払えないことにどうすべきか迷っているようだ。

 

>これが惣治郎にバレたらまずいかもしれない。かといってここで自分が代金を補填するのは響に悪い気がする……

 

「ちゃ、ちゃんと後で払いに来ますから!」

 

もちろん響を信じていないわけではない。

だが結は今の付き合いの深さでは惣治郎が彼女のことをお咎めなしとするかどうかの判断がつかなかった。できることなら穏便に済ませたいが──

 

「そういえばお前、試食役が欲しいとかっていつだかボヤいてなかったか?」

「試食役……ですか?」

「ああそうだよ。前は大学でつるんでる奴らに余りの食材で作ったカレーを食わせてたんだが、どうも成功と失敗の振れ幅が大きくてな。あんまりよりつかなくなっちまったらしい。今回お前さんが食ったのは奇跡的に上手くいったシロモノだ」

 

食材を冷蔵庫に詰め終えた惣治郎が豆の状態をチェックしながら口にする。

言われてみれば……そんなことを言った気もする。

 

「えっと、結さんはそれを克服したくて、試食役を探してて、でもみんな食べてくれなくて……」

「そうだ。俺からずっとアドバイスしててもいいんだがお客目線の意見もコイツには取り入れてやりたいからな」

「だったらそれ、私にやらせてもらえませんか?」

 

 

『本気か?』

『その先は地獄だぞ』

 

 

「へいき、へっちゃらです!結さんは試食相手ができて、私はご飯が食べれる!こーいうの、ウィン・ウィンって言うんですかね?」

 

>響から鉄のような意志を感じる……

これを断るには『凄腕』級の器用さと『ライオンハート』並の度胸が必要だが……

ダメだ、今の響から溢れる意志に──スゴ味に抵抗できそうにない……!

 

 

『──これから君に試食役を頼みたい』

『──喜べ響。君の願いはようやく叶う』

 

 

「やったーっ!」

 

 

【響との距離が少し縮まるのを感じる……】

 

 

 

 

 

…………

たなる(よすが)ばれたり

 

(よすが)ち、

困難打倒する一条なり

 

、『正義』のペルソナの祝福たり

みへとける、なるとならん……

 

 

 

COOPERATION【立花響】

 

『正義』

【■□□□□□□□□□】 RANK1

 

 

 

【ペルソナの力を育てる人間関係

『正義』のコープが解禁した!】

 

 

 

 

 

響が「今度未来も連れてきます!」と去り際に言い残して帰って行った。たしか彼女の親友の名前だったはずだ。

 

「おい結。お前まさかとは思うが……払わせる気じゃねぇよな?」

 

そんな気は毛頭もない、と答えると「ならいいんだけどよ」と返事がくる。

 

「あんな幼気な少女の困る顔なんて見たくねぇ。お前もいい男になりたいなら、それくらいここにしっかり刻んどけ」

 

惣治郎は結の胸板をノックすると台拭きを絞って後始末を始めた。

結も溜まった食器を水にさらして後片付けを開始する。時折惣治郎が何かを呟いていた気がしたが……。

 

 

 

 

 

「あの声……いや、そんなわけねぇか」

「双葉、じゃねぇよなぁ」

 

 

 

 

 

──喪失までのカウントダウンまで、残り10ヶ月──

 

 

 

 




出来なかったよ……(いつかはやるつもり)

後1、2回日常編やったら本編にGOします。

とりあえず序盤はコープ開拓から進めていく所存です。

心を込めるとカレーを激辛にしてしまうぺ5主君は泣いていい。

助け舟を出す惣治郎。

絶対声帯同じだからってわけじゃないよ!
もしそうだったらカ・ディンギルの下に埋めてもらっても構わないよ!
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