仮面に縁を、歌に血を   作:星鱈

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ランキング入りを果たし、評価も頂きまして──私、昂ってまいりました。

では、下へ下へと参ります。


ぜひ BGM【全ての人の魂の詩】を脳内再生させてごゆっくりお楽しみくださいませ。



MASS DESTRUCTION

神秘的なピアノの音が聞こえ、結は閉ざしていた目をゆっくり開く。

 

>知らない天井だ……

 

だがこの何とも言葉にしがたい雰囲気を自分は知っている気がする。

寝かされていたベッドで結はゆっくりと上半身を起こした。

 

>ここは……エレベーターか?

 

洒落たデザインの壁のガラスから定期的に光が差し込む。その光は停止する階のものであるようだが、この広いエレベーターの上昇が止まる気配はない。

 

「お目覚めでございますか?」

 

真後ろから聞こえた声にバッと振り向く。

ショートボブの銀髪、青を基調とした服のエレベーターガールが金色の瞳で興味深そうに結を見つめていた。

 

>どことなくラヴェンツァと似た気配が感じられる。もしかすると姉妹だろうか?

 

となればここはベルベットルームかと頭をひねるが、以前訪れた夜行列車とは内装どころか場所すら違う。

列車が運行していたのは海沿いで、今いるエレベーターは恐らく建物の中だ。

 

 

『おはようございます』

『ここは?』

 

 

「ドーモ、アマギユー=サン。挨拶は大事、そう古事記にも書かれておりますれば」

 

 

雨城(あましろ)だ』

雨城 結(あましろ ゆう)だ』

 

 

「む、それは失礼いたしました。以前似たような苗字をお見かけしたのもあり、少々ミスってしまったようで。私、エリザベスと申します。以後お見知りおきを」

 

どこかわざとらしさが感じられる言動だが、不思議と悪い気はしなかった。

エリザベスは傍らに携えた年季の入った茶表紙の本をパラパラと捲り、挟まったカードを取りだす。

 

「ここはあなたや『あなた』が訪れたベルベットルームとは似て非なる場所。『死に触れた』ことでご入場できるようになった……いわば生と死の狭間」

 

示されたのは『死神』のアルカナ。

カードが暗示するは静止、死の予兆、ゲームオーバー。どれも不吉な意味を持つものばかりだ。

 

「ただ、もう一度申し上げますとここは「生」と死の狭間」

 

再び本の間からカードを取り出す。

同じくこれも『死神』のアルカナだが向きが反転──つまりは逆位置を示していた。

 

「あなたはまだ『まだだッ!』と名誉挽回汚名返上、さらにさらにはコンティニュー可!そういうことでございます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここから出れるといっても今すぐとはいきません。ならば暇つぶしに私とお話してはいかがでしょうか?できれば妹について詳しくお願いしたい所存です」とのことで結は彼女と世間話することに。

 

彼女の名はエリザベス。

ラヴェンツァと同じくベルベットルームの住人であり、『力を司る者』。上に姉を、下に弟と妹をもつ。

 

今は力を司る者としての役割やベルベットルームの住人としての役割もスッパリサッパリ放棄しているそうだ。

本人曰く、此岸の番人となった魂をどうにか救済するために流浪の女一人旅の真っ最中とのこと。

 

その後結は彼女の要望通りラヴェンツァの話をした。

自惚れでなければ、彼女はかなり自分にぞっこんのようであることを述べるとエリザベスはクールな顔に薄く笑みを浮かべた。

 

「ははぁ、なるほど。妹も妹でまた業が深く……ええ、血は争えないものであること、ただいまハッキリ認知いたしました。もっとも、私どもが本質的に血の繋がりをもつのかと言われれば──少々回答に窮するところではございますが」

 

本当の姉妹ではないのか?と聞けば少し黙してから回答してくれた。

 

「私どもはすべからく主に造られし被造物。故に人としての出生を経験したわけではないため、血の繋がりをもっているか?という至極真っ当な疑問へのアンサーは『わからない』というのが私なりにお出し可能な見解でございます。……恐らく構成素材の大半は同類のものであるとは思いますが」

 

最後の発言が妙に耳に残るが、薮蛇だろうと結はスルーした。

 

 

「ベルベルベ~ルベルベット~♪ええ、我が主の鼻の如く長々と話しこんでしまいました。そのおかげか、どうやらジャストでタイミングがベストマッチしたようで」

 

気づけばいつの間にかエレベーターは停止しており、出口が少しだけ開いて光が漏れだしている。

 

「あまり長くは保ちません。早急にとんずらすることを強めにオススメいたします」

 

ベッドから降りて結はドアの方へ向かう。

明かりが強すぎて外が全く見えないが、彼女を信じるのならここから元の世界へ戻れるはずだ。

 

「あ、お帰りになる前に一つ、二つ、三つほどお耳とお手に入れておいてくださいませ。

まず一つ、ここに訪れたことであなたとこの場所はある種の縁が形作られております。というわけで私とここで今生サヨナラ〜ではございませんので、ご心配なさらぬよう。二つと三つは同時にお渡しいたしましょう」

 

エリザベスが手渡したのは銀色の古めかしいイヤホンと『愚者』のアルカナカードだ。

 

「あなたならば使いこなせるでしょう。我が客人の認知の破片から形成された遺物……あなた方からすれば聖遺物、とカテゴライズされても過言ではないかと。よくわからないならお助けアイテムとでも思ってくだされば」

 

「これで本当に最後です。今度お会いする時はたっぷりきな粉をお持ち頂けると私法外の喜びでございます。

ではでは、ごきげんよう。あなたの旅路がより良いものにならんことを」

 

彼女の微笑みを最後に結の意識は光の中に飲み込まれた。

 

 




メギドラオンでございます☆

エリザベスの一人称は私(わたくし)で脳内変換よろしく。
彼女の口調トレースオンするのすっげぇしんどかったゾ……。
中の人ネタ出すの忘れてたのでしないフォギアまでいけたら書きます。

思えばほぼほぼタイトル詐欺なことに気がつく。
全ての人の魂の詩にした方が良かったか?



死に瀕したことで集合無意識的な何かの中にアクセスフラッシュ!してしまった結くん。

そこを徘徊していたエリザベスさんに妹の近状を聞き出され勝手に納得された。

帰り際に手渡されたのは大いなる封印を施したことにより世界に刻まれた『彼』の認知の破片ともいうべきシロモノ。
エリザベスはこの認知の産物よりも彼本体の方にご執心なので、あんまり興味はない模様。
たまたま彼女のコレクターの血が騒いで拾ってたってくらいの執着度です。

どちらかと言えばこれは哲学兵装的なものだけどエリザベスさんはそこまで知らない。というか興味がない。


次回は元の世界に戻ってあれやこれやと事後処理のお話です。
どうぞお楽しみに。
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