仮面に縁を、歌に血を   作:星鱈

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解釈違いを恐れつつ初投稿です。

超短め。

あなたの解釈違いセンサーが反応したら、そっとブラウザバックを押してください。

センサーが反応しなかった方はぜひBGM【I'll face Myself】(原曲版)を脳内で流してもらえれば幸いです。




其は無毀なる影、真なる我(You're myself,I'm yourself)

「わた、し……?」

 

時折ノイズが走る年代モノのテレビに映った『ヒビキ』たちはギョロリと視線を響に向けた。

 

 

『『『そうだよ。お前は私で、私はお前』』』

 

 

至極真面目に口にした彼女たちの声色に響は納得する他なかった。

目を伏せた『ヒビキ』は響に問う。

 

 

『『『傷つくのが怖いのに、争うのが嫌なのに、誰の死だって見たくないのに……まだ戦い続ける覚悟が、人を救う覚悟があるの?』』』

「そうだよ。だって、誰にでもできることじゃないから!」

 

 

ハハハ、と愉快そうに笑った『ヒビキ』は彼女のものとは思えない真っ黒い笑みを貼り付けて告げる。

 

 

『『『嘘ばっかり。あの時表面上繕っただけで、今も逃げ出したいくせに』』』

「そんな、まさか」

 

 

響の声はそれを否定するには荷が重かったのか、か細く、心もとなく震えていた。

 

 

『『『あるんだよ、それが。お前は全然へいき、へっちゃらなんかじゃない!こうありたいって自分を────戦えてる自分を必死に演じてるだけ。今も本当に変われたわけじゃないもんね』』』

 

 

「……やめて」

 

零れた響の言葉を無視して響の影は話し続ける。

 

 

『『『がむしゃらに走ってただけなんだ。戦う度に、交わした約束を破る度に心がボロボロになっていくのを無視してさ』』』

 

 

「……やめてよ」

 

 

『『『覚悟なんて元々なかった!────未だにアームドギアを出せないのが、その証拠じゃないの?』』』

 

 

「もうやめてッ!」

 

 

 

 

自分が蓋をしてきたモノを目の前で高々と掲げられているようで、響はたまらず耳を塞ぐ。

 

そんなわけない、そんなはずない。

覚悟はある。心は傷ついてなんていない。

 

私は戦えている、戦えているんだ。

アームドギアがなくたって、私はノイズを倒せるんだ。

 

 

しかし響は胸中で渦巻く『ヒビキ』を肯定する想いも否定できないでいる。

 

だがそれを言葉にしようとすれば、キュッと喉奥が締まる。

口に出してしまうとみんなの隣に立つ資格が、全くなくなってしまうような気がした。

『戦うこと』を恐れる者が戦場へと歩を進める権利があるのだろうか。

 

 

自分の中でまともに定まらない想いが。

 

肯定と否定の狭間で揺れ動く心が。

 

 

勢いだけの感情を伴って響の喉を駆け上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────あなたなんてッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう喉が鳴る直前で、声が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『諦めるのか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──声が聞こえた。

心の中にスっと染み込んだ、自分の大切な人の声が。

 

……今の事態を予想して言ったわけじゃないのはわかってる。

もう折れかけていた、限界に近かった自分を奮い立たせるためにかけてくれた言葉だ。

 

 

あの後結さんと私は約束した。

 

何度でも立ち上がることを、そしてもし彼が困った時は私が彼を助けることを。

 

 

できることなら、立ち上がりたくない。

でも、ここで膝を抱えて座ったところで何も変わらない。

指折り数えて何度目かもわからない約束を、破ってしまうことになる。

 

響は閉ざした瞼を開き、耳を塞いだ手をゆっくりと離して『ヒビキ』を見つめた。

 

 

 

「そう……だね」

 

 

弱いままの(自分を認められない)自分には、ここでピリオドを打とう。

 

 

 

「覚悟なんて今の私には……前よりかはないわけじゃないと思うけど、みんなと比べたらまだまだ足りない 」

 

 

 

自分を受け入れることができなかった私は、多分強かった。

だけど脆かった。

永遠に続く舞台を仮面を付けて演じ続けるようなものだ。摩耗だってするし、疲れもする。

 

 

 

「うん。私、無理してたんだ。背伸びしてたんだ。あの日の────奏さんみたいに、誰かのためになりたくて」

 

 

 

自分を受け入れないことが強さじゃない。

 

本当の自分を押し殺すのが強さじゃない。

 

 

「あなたも……私だね」

 

 

己の弱さを認め、それを乗り越えて初めて────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──っチィ世話の焼けるッ!」

 

マジシャンの前で拳を止め、だらりと脱力した響。

大方目の前の化け物から精神干渉の類いのモノを食らったのだろう。

クリスはマジシャンがゆっくりと振り上げた大剣を止めるために鞭を放つ。

 

「大丈夫。今起きた」

 

ふいに、クリスが声をかけてもうんともすんとも言わなかった響が告げる。

 

 

 

「うん、やっぱり全然へいきへっちゃらじゃないや。本当は私、戦いたくなんてない」

 

 

 

「どうしようもなく泣いた時もあったね。そして今も私は弱いままだ」

 

 

 

「でもね、だけど私は、それでも私は────」

 

 

 

 

 

 

 

 

「────れて、くなるってめたんだッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響が叫びに呼応するように、どこからか青白い炎を纏ったカードが響の元に飛来する。

 

 

そのカードが示すは────『愚者』のアルカナ。

迷わず響はそのアルカナカードを握り潰すッ!

 

 

 

 

 

 

「 ペ ル ソ ナ ッ !」カッ

 

 

 

 

 

 

 

 

響の周囲に旋風が吹き荒れ、背後にはつばの広い帽子を被り隻眼の仮面をつけたヒトガタが顕現する。

 

本来その手にあるはずの槍を背負っている由縁は響の心理に由来しているのだろう。

周囲に幾重ものルーン文字を浮かべ、既にヒトガタの臨戦態勢は整っていた。

 

 

 

 

 

 

「いくよ、『グリームニル』ッ!」

 

 

 

 

 

 

 




一体いつから───────響のペルソナのアルカナが『正義』だと錯覚していた?

ペルソナのアルカナがコープのアルカナと違う例は原作でも存在するであります。P3のアイギスがそれに該当するであります。
彼女は『永劫』コミュであり、ペルソナの『パラディオン』は『戦車』のアルカナであります。




なんてクオリティ……してやがる……(自責)

自分の弱さを受け入れ、その上でブレイクスルーしていくぅ。


(ビッキーシャドウが本格的にシャドウ化はし)ないです。
期待してた皆さん……すまない。


最初にも言ったけど解釈違いになってないか心配だお。
そっ閉じしてね、頼むよ!

自分でも上手くできてない気はするけど、こうして形に出さなきゃ進めない気がして……。


ではざっくり説明しますわよ。

人によっては響らしくない思考に見えるかもしれませんが、それについてのもっともらしい理由も後ろの方に添えてます。一応御参照くださいませ。


グリームニル(仮面をかぶるもの)
アルカナ︰【愚者】

→『目を背けてきた自身の側面』──響の場合、『覚悟すらままない弱い自分』『戦場からの逃避願望』を受け入れることで生まれたペルソナ。

深めに被ったつばの広い帽子、片目しか穴が開いていない仮面、背負った神槍……モロバレでしょうが元ネタはオーディンです。

ちなみにグリームニルはオーディンが変装していた際の名前です。

オーディンにもロキのようなトリックスター性があるのと、響がガングニールを携えていることを考慮してこうなりました。







当SSの響は原作よりも『前向きな自殺衝動』が弱くなっています。

響の精神性が極端に歪む主なファクターは『周囲からの迫害』『死亡した奏に命を救われたこと』『父の出奔』『友人への依存』4つ。

この内最初の2つがありませんので響の精神は気持ち健全めです。
(前者は『夜空を駆けるヤベー奴』以降の結の働きかけによりあらかた払拭、後者はライブ会場の惨劇での奏生存で影響が低減)


ライブ会場の惨劇から生還した響は『あの日の奏さんのように誰かを助けたい』という想いを胸に刻んで誰かを助けるために精を出します。

そしてある時自分にはノイズを倒す力があるらしいことが判明しました。
二課の要請に二つ返事で誰かのためになるのならと響は協力を了解し、雑音響く戦場へと身を投じていきます。

しかし了承したといえど、そもそも響は戦うことが好きではありません。
戦いを仕方ないね、と妥協できるまで覚悟完了してなかったわけです。

『誰かを守りたい』『でも戦いたくない』、無意識下で行われる二律背反の感情のせめぎあいに響の心は徐々に削られていきます。
もちろん響の精神が摩耗していった理由はこの他にも様々存在しますが。
響自身これを払拭したいとは思っているのですが、結局きっかけもないまま、誰かに打ち明ける間もないまま残酷にも時は過ぎていくわけで。

そのただ中でクリスと──全く想定していない生身の人間との戦闘の後、アームドギアを出せないことや自分の力に振り回されたこと、結や未来、クリスを失いそうになったことでギリギリバランスを保っていた心が一気に瓦解してしまいます。

だから『明けない夜はない』の響は自分に対して怒りや無力感、喪失感を感じていたわけですね。

その後結によって応急処置はされましたが、まだまだ強固な地盤とは言い難い。

今回はそこをシャドウヒビキに突っ込まれてしまった形となります。
『おめぇまだ覚悟完了してないやろ?そんな体たらくで本当にいいと思ってんのか?お?』的な。

その自分を受け入れ、なおかつそれを乗り越えたいと強く想うことでペルソナを発現しました。


え?ここ認知世界じゃないしテレビの中じゃないし影時間でもないのになんでペルソナ覚醒できたのかって?


……ほら、メメントスが侵食してたじゃろ?
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