仮面に縁を、歌に血を 作:星鱈
最近ペルソナ倶楽部(P3版)を購入しました。
それを読みつつシンフォギアとペルソナの設定をどうにかマザルアップ!できないかと考えましたが……キツゥイ!
「『タルカジャ』ッ!」
グリームニルが槍を演舞のように振るい響に光のオーラを纏わせる。
響は自分が口にした言葉に全く聞き覚えがなかった。
しかし言葉の意味、そして力を何故か身体が覚えている。
まるで戦い方のイロハを身体にインストールされたような……。
「お前、それ……!?」
「私にもよくわかんない。でも、多分これは私なんだ」
「はぁ?」
そりゃ伝わるわけないか、と響は苦笑する。
「ともかく立花響、レベルアーップ!ってこと!いくよッ!」
その時クリスは現実とまともに取り合うことをやめた。
自分たちを取り巻く状況がそもそも異常なワケだし、これ以上何が起ころうとも狼狽えないぞという強い意思であった。
それは思考放棄とも言い換えられるのだが……突っ込むのは野暮というものだろう。
響は自分に振り下ろされるマジシャンの大剣や動きを食い止めようと伸ばされる黒腕には目もくれず、一直線に走り抜ける。
彼女を害する一切の攻撃はネフシュタンから放たれる刃鞭と光弾によって弾き落とされた。
こじ開けられた突破口を走り抜け、ついに響は射程内にマジシャンを捉えた────!
正史であれば、その覚醒はもう少し後であっただろう。
マジシャンへと駆ける響の前に光が駆けた。
空中に刻まれるは『雷光』を示す『原初のルーン』。
響は宙をつかむようにルーンを握り潰し、その腕に稲妻を迸らせるッ!
神威を内包する雷撃によりパイルバンカーめいた腕部ユニットが強制起動し彼女の振るう力が爆発的に高まった。
「うっらあああああああぁぁぁぁぁッ!」
────神威の雷を纏った渾身の一撃。
マジシャン一切合切を屠る撃槍が、青い仮面に向けて突き穿たれた。
⚫
「だいぶ、削ってるとは思うんだけどねぇ」
肩で息をする奏のアームドギアには既にヒビが入っている。
二、三度と振るえばそれが砕けてしまうことは目に見えて明らかだった。
対するバーサーカーはといえば未だ健在。
戦闘序盤より動きが鈍重になっているがそれと引き換えに立ち回りのコツをつかんできたようだ。戦技に関しては最初期と比べ物にならない冴えを見せていた。
……途中で彼の鎧の中から青く光るカードみたいなものが飛んでいったがあれはなんだったのだろうか。
「……すまん、翼!」
「ええ、わかってる。後は任せて!」
頼もしい相棒の言葉に自然と奏の頬が緩む。
……だが状況は正直劣勢、もとい危険な領域に足を踏み込みつつある。
結のナビゲーターを自称するラヴェンツァはある時『ペルソナ』について話をしていた。
彼女曰く、『ペルソナ』とは心の力。根底に秘める人格が神魔の形をとって表出したものと。
『ペルソナ』が傷つけば、その主も同様にダメージを受ける。そのことは響の暴走時に実証済みだ。
では今の結は?
心が暴走する事例についてはラヴェンツァは語ってはいなかった。
しかしこのままでは遠からず全員墓の中か、結の心が暴走の負荷に耐えきれなくなるだろう。
そう推察した奏は何か自分にできることはと考える。
しかし、今の自分には……。
そう奏の心が影を落とした矢先、視界の端でこちらに向かって疾走する響が見える。
後ろに背後霊みたいなのがいるのは多分気のせい。
彼女の背後には先ほどまで戦っていたはずのネフシュタンの少女も一緒だ。一時結託、ということだろうか。
この状況を見ればそのような流れに持ち込まれてもなんら不思議ではないだろう。
そこで奏は唐突にあることを思いついた。
響は未だアームドギアを発現させてはいない。しかし自分の手の中には壊れかけの撃槍が転がっている。
響と奏のシンフォギアは『ガングニール』。全く同一の聖遺物だ。
それを考えるなら、もしかすると────
「響!こいつを使えッ!」
なけなしの力を振り絞って響に向かって壊れかけの撃槍を投げ渡す。
危なげなくそれを受け取った響は「ありがとうございます!」と叫んだ。
すると撃槍が光帯へと姿を変え、徐々に響の両腕に巻き付いていく。
(────同じガングニールならあたしのアームドギアを介せば響のアームドギアも出せるんじゃないか?)
見事、奏の目論見功を奏した。
立花響の両腕には鈍器かと見紛うほどの巨大な拳。
奏のアームドギアを触媒に擬似的に形成された『立花響』のアームドギアが顕現していた。
「これ、奏さんの……!!」
感触を確かめるようにグッ、パーとその手甲を握る。
感覚がリンクしているのか、響は外部アーマーというより自分の拳のようにそれを感じられた。
「もうツッコまないんだね」
「一々反応してたら面倒くさいに決まってんだろすっとこどっこい」
もう疲れたと言わんばかりに呆れるクリス。
しかしその反応に響は不満げに頬を膨らませ、直後頭上にイマジナリー電球を浮かべた。
「すっとこどっこいなんて名前じゃないよ!私は立花響!15才ッ!誕生日は九月の十三にムグ────」
「……黙ってろ。ここは戦場だぞ?」
「──ぶはっ!なら終わったらいいってこと?」
「だーッ!そういうことじゃねぇよこのボーンヘッドが!いくぞッ!」
「あ、ちょっと待ってよ〜」
付き合ってられるか!と響の元から飛び去ったクリス。彼女を追うように響も後に続いた。
⚫
「立花!それに……いや、深くは問うまいよ。今は何より人手がいる」
「そいつは同意見だ。アレはマトモに戦って勝てるようなタマじゃねぇ。ついでに言うならその命果てるまで動き続けるだろうよ」
千ノ落涙でバーサーカーを後退させた翼はマジシャンを倒した響とクリスに合流した。
翼は今の今までいがみ合っていたはずの彼女がいることにある一定の理解を示していた。
立花響暴走後に一度刃を交えたのもあり、翼は彼女が本当に心から事に及んでいたのだろうかと疑問視していたのだ。
「でもどうやって正気に戻すんです?今はこっちを窺ってるみたいですけど」
「恐らく結をあの状態たらしめる諸悪の根源は……『デュランダル』だ。姿形は全く変わっているがな。
無尽蔵にエネルギーを生み出す完全聖遺物の力の奔流に呑まれたと見て相違ないだろう」
「つまりなんだ、『デュランダル』を手から離させればいいわけか?」
「そうだ。それは奏と共に戦った時にわかっている。しかし……我々だけではその手に届かなかった」
バーサーカーを結に戻す方法は簡単だ。
『デュランダル』を手から離させればいい。
……それが至難の業だということは言うまでもないが。
狂化のただ中でありながら自分のアキレス腱を理解しているのか、安々とその隙を見せてはくれない。
集合無意識より力を引き上げ、『
────そう、つい少し前であれば。
「……ネフシュタンの少女」
「ネフシュタン言うな!あたしには雪音クリスって立派な名前が────あ」
「そうか、では雪音。お前と我々は現在敵対関係にある。しかし──」
そこでクリスは翼の言葉を手で制した。
「チッ……馴れ合う気はねぇ。あたしはあたしで、勝手にやらせてもらう」
「……では、そういう体でいくとしよう。これから私が口にするのは単なる独り言だ。聞き流してもらって構わん」
⚫
一向に動かない三人衆にしびれを切らしてバーサーカーはシャドウを召喚する。
引き寄せられるように近づく向こう側の存在を、響のグリームニルが雷系統魔法の『ジオ』を、そして擬似アームドギアから繰り出される拳圧でシャドウを退けていく。
シャドウに与えられるダメージはシンフォギアやノイズよりペルソナ由来の攻撃の方が高い。
影を露払いする役目を響が担うのは必然だった。
「翼さんお願いしますッ!」
「ああ、任された!」
生まれた隙間に身体を捩じ込むようにして翼が駆けた。
バーサーカーは油断なく黒靄に染まったデュランダルを構える。しかし彼の視界の端でキラリと光球が瞬く。
「もってけダブルだッ!」
空中で待機していたクリスが溜めに溜めたエネルギー弾を二発続けて放出。
バーサーカーは各個迎撃は困難と判断。クリスとこれから来るであろう翼の攻撃を同時に切り捨てようと、デュランダルから溢れ出すエネルギーを無理やり刀身へと集中させていく。
「はぁッ!」
地を這うような低い弾道で無数の絶剣がバーサーカーに殺到するッ!
「■■■■■■■■──────────ッ!」
対するバーサーカーはデュランダルに集中させたエネルギーを刀身から解放。
両者の攻撃が自分に激突する直前、宙を切り開くようにそれを振るった。
蒼き湖光が空を裂く。
大気を揺るがすエネルギーの奔流が千ノ落涙とNIRVANA GEDONの大部分を封殺。
クリスの制御を外れたエネルギーはバーサーカーの後方で爆散し、放たれた翼の剣は彼の足元に四散していた。
「これでチェックメイト。そう思っているのだろうな」
フルフェイスに阻まれたその表情を窺い知ることはできない。
しかし勝ち誇るようなそれであろうと翼は思う。
「だがな、雨城」
バーサーカーが動きを止めた。
否────
「
「託したぞ、立花ッ!」
翼の言う切り札、それは彼女の背後から飛び出す影────立花響だ。
「託され、ましたッ!」
空中に現れた『愚者』のカードを蹴り砕いてグリームニルを顕現させた響はむんずと巨腕のアームドギアで握り拳を作る。
バーサーカーの動きを止められたとはいえ、その腕力は未だ健在。ちょっとやそっとの攻撃ではその手から得物を離すことはないだろう。
しかし響は知ったことかと思いっきり振りかぶり、デュランダルを殴りつけるッ!
「目を、覚ましてください────結さんッ!!!」
響く甲高い金属音。
そして『デュランダル』は宙を舞った────
これにてデュランダル輸送失敗編は終わりですわよ。
次回はキネクリ先輩について細かく書いていくつもりです。
遅くなったしなんかびみょんかもしれんがそこは許してニャン。
慣れない生活が始まるとこちらの方にまで影響が出てしまうんやなって。
今回はビッキーがかなり強化されたっぽく見えますが、擬似アームドギアについては奏の撃槍がないと不可能だし、『グリームニル』についても認知世界でないと出せません。
いわゆる劇場版フォームみたいな位置づけの強化です。
ペルソナはもちろんですが擬似アームドギアについても今後確実に登場しすのでご留意くださいませ。
そして響たちがいる場所は現実世界のはずなのに何故ペルソナを出せたのか……?
その理由は後書きの下の方に書いてます。ほぼ答えを押し付けるような形になりますが。
響の擬似アームドギアは拳型外骨格。身も蓋もなく言うならデカいだけの手です。
アークナイツやってる人ならエフイーターの手甲って言えば伝わるかな?
おいそこ、先行実装アマルガムじゃんとか言わないの。
アマルガムと違うのは肩から生えてるか生えてないかくらいだけど。設定上ロケットパンチが撃てます。
さて、遅くなったお詫びといってはなんですが、少し前にもあとがきで解説というか……妄想の殴り書きみたいな形になった『縁繋ぎ』についてかなりわかりやすく説明を作成してみました。
これでダメなら……すまない。
『縁繋ぎ』
→ペルソナ全書を手にした結が発揮する能力。もしくは哲学兵装とカテゴライズされる力。
物事に存在する共通項や繋がりを『縁』と見立て、それらを触媒に事象を手繰り寄せ再現する力。事象再演とも。
ある人物曰く事象に至る運命すらも手繰り寄せている可能性があるらしいが、これといって確証らしきものはない。
その答えは神さまか長鼻の老人だけが知っていることだろう。
結自身『ワイルド』の素養を持つこともあり、手繰り寄せた縁の影響をモロに受けやすい。
ついでに後述の戦犯聖遺物のせいで縁判定のガバガバ具合に拍車がかかっている。
早い話が連想ゲーム。もしくはFateにおける触媒を使ったサーヴァントの召喚に近い。
以下、結が手繰り寄せたものとそれを引っ張ってくる触媒となったものを列挙していく。
【ランスロットの力】
→ギャラハッド本体と『不壊の刃』をもつ剣の縁から手繰り寄せられた。『ランスロット』という概念そのものを再現した哲学兵装とも。
その後特機部二は『ランスロット』を再演する現象を
【シャドウ召喚及び侵食認知世界】
→ギャラハッドが聖杯を手に入れた逸話と平行世界の自分が『聖杯』と密接な関わりがあったため、P5Rにおける『聖杯』の権能を手繰り寄せた。だいたいヤルオのせい。
【大型シャドウ・『マジシャン』】
→P3世界線の人物であるエリザベス、結が持っていた『彼』のイヤホン、影時間≒認知世界という位相を触媒に手繰り寄せられた。
【響のワイルド覚醒】
→・『マジシャン』の大型シャドウと相対してペルソナ覚醒という『彼』が辿った道筋
・ワイルドの力が込められた『愚者』のアルカナカード
・『立花響』が存在する位相が認知世界である
それらを響が『繋ぎ束ね』、結が『縁を繋いだ』ことでワイルドの覚醒を手繰り寄せた。
ガングニールのアームドギア、そして響の精神性から発露した『繋ぎ束ねる』特性でより密接になった3つの触媒がなければ不可能だった。ワザマエ!
……もしもビッキーが『愚者』に相応しくない人間性だったならば覚醒には至らなかっただろう。
どんな過酷な運命が待ち受けていたとしても、絆を束ねて困難を乗り越え、その手は誰かと繋ぐためにあると信じる 『立花響』 だからこそ、掴むことができた力なのだ。
ちなみに『縁繋ぎ』は世界線を飛び越えて事象を再現する関係上、とんでもない量のエネルギーを必要とする。
しかし今回のエネルギーは全部『デュランダル』が賄ってくれた上、有り余る力で効果をブースト(縁の判定をガバガバに)させてくれている。
つまるところデュランダルさえなければこんな惨状にはならなかったという……。
俺は悪くねぇ!全部
フォニックゲインを初めとする何らかのエネルギーが大量に供給されたり、もしくは入手できたりする場面だと縁の判定がどんどんガバガバになるので能力の発現がしやすいです。
そういえばこれからもそんな機会はいっぱいありますねぇ(ニチャア)