仮面に縁を、歌に血を   作:星鱈

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『黄昏の羽根って、知ってる?』と読者諸君に聞きながら初投稿です。

ペルソナワールドアナライズ買いました。P3とP4を交えて色々解説してくれているのでとってもありがたい。


懐疑、あるいは託されし希望

薬品工場での一件から数日が経過している。

 

クリスはフィーネに待機を言い渡され、部屋のベッドに寝転がって天井のシミを数えていた。

 

「あたし、本当にこれでいいのか?」

 

ゴロリと転がってベッドの縁に移動。そこに腰かけて頭を抱えた。

 

クリスは悩んでいた。

自分がフィーネに従い続けることで本当に争いの火種を一切合切潰すことができるのかと。

 

 

拾われた当初、クリスの目はフィーネを自分のメサイアのように映していた。

自分が欲した時に手を差し伸べてくれた、自分の願いを叶える道を示してくれた。

 

上っ面だけの腐った大人たちを嫌というほど見て、両親を失い心に深い影を落としていた過去のクリスにとって、フィーネはこれ以上にない救世主だったことだろう。

 

それからずっと、「戦う意思と力を持つ者を滅ぼす」ため、あの掃き溜めのような世界から自分を引き上げてくれた恩を返すためにクリスはフィーネに従い続けていた。

 

 

しかし最近のフィーネはクリスが強く心惹かれたあの頃とは似ても似つかぬ言動を繰り返していた。

 

『痛みだけが人の心を繋いで絆と結ぶ』、それがフィーネのポリシー。

 

以前はネフシュタンの破片を身体から摘出する際に電撃によって破片を休眠させてから手術をしていたはずが、最近は麻酔によってクリスが眠っている間に全ての施術が終了している。

 

何故電撃磔刑をしないんだ?と首を傾げたクリス。

もちろん痛みがないのは大歓迎なのだが、今までクリスが信奉してきたフィーネ像とはかけ離れている姿に彼女は一抹の疑問を抱いていた。

 

その他にも虚空に向かって怒鳴り散らかしたり、数分前に自分が言ったことさえ忘れてしまっていたり、拠点に戻ったフィーネが急に意識を失った時さえあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このままでいいのかと疑問に思えども、今のクリスはそれ以外の解決方法が思いつかない。

ダメとわかっても打開策がどこにもない。そんな状態だった。

 

「……とりあえず、あいつのとこ行くか」

 

袋小路になった思考を一旦棚に上げ、クリスはフィーネの元へ向かう。今後の作戦方針を聞くためだ。

 

自分のやり方が間違っていたとして、急に立ち止まれるほどその罪は軽くない。今更その罪状は両の手で数え切れるはずもない。

 

もう自分では止まることができない。

踏み込んだアクセルから足を離す方法は既に忘れてしまった。

そもそも止まることは許されない。今までの全てが無駄になってしまうような気がするから。

 

そんなことを考えているうちにクリスはフィーネのラボにたどり着く。

 

扉を開け放って中に入るとフィーネは最近新造された手術台で寝かされた人型の機械をいじくっている最中だった。

 

彼女の額に伝う脂汗を見る限りかなりの重労働だったのだろうか。

これくらいの些事、フィーネなら片手間で済ませそうな気もするのだが。

 

「あら、ナイスタイミングで来たわね」

「……あたしは次、どうすればいい」

「そうね。じゃあ私からの()()()()()()、聞いてくれるかしら」

「さい、ご……?────何だよそれッ!」

 

一瞬目から光を失ったクリスだがすぐさまハイライトを取り戻す。

今にも涙しそうなクリス。それを悔しさと申し訳なさが入り交じった顔でフィーネ──『櫻井了子』は見つめていた。

 

「いい?クリス。決してあなたがもういらないから、用済みだからとかじゃないの。ささやかな抵抗しかできなかったけど、もうあまり『私』が保ちそうにないから」

 

「何言ってんだよ……全然わけわかんねぇよッ!お前の言ってることも、何が正しいか悪いかも全部ッ!」

 

「……あなたをもっと幸せにしてあげたかった。ごめんね、クリス。『私』じゃ力不足だった。でも『私』はあなたを愛してる。これは紛れもなく本当のことだから」

 

歯を食いしばり、震える手を握りしめた了子は未だその照準器を開かない人型の機械に声をかける。

 

「後は、よろしくね」

「────命令を受諾。了解であります」

 

蒼い双眸が見開かれ、機械はぎこちない動きでゆっくりと手術台から起き上がる。

 

「クリス、『私』からの最後のお願いよ。どうか、私を────フィーネを止めて」

 

クリスはその意味を了子に問おうとするが、いつの間にか近くにやってきた人型の機械によってヒョイとお米様抱っこされてしまった。

 

「ちょ、お前!邪魔するなッ!」

「それは不可能と申告するであります」

 

シンフォギアも手にしていない今のクリスに、機械の乙女に抗うすべはなかった。

喚くクリスを無視して人型の機械はフィーネのラボから退出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頼んだわよ────『アイギス』ッ!」

 

 




自重しなさいよプロット作った私ィ!(自責)

でも、んにゃぴ……自分の道を走り続けるって決めたんすわ。

これからも見てくれる人は見てくれよな〜頼むよ〜。

というわけでアイギス登場です。
タグにペルソナシリーズって入れてるのでルール違反ではないはず……。

彼女はP3時空ではなくこの世界の『アイギス』ということをご留意ください。

今回で出た諸々の疑問の答え合わせは次回やります(全部拾えるとは言ってない)
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