【更新停止】メイプルちゃん撃破RTA 5時間42分13秒 作:東雲 夕凪
でもガチ病みメイプルちゃんが書けたからヨシ!
「――よし」
ハードを被ってNWOを始める。ただそれだけの動作が異常に重く感じる。襲われてから一週間、ようやくログインできるくらいに頭が落ち着いた。
視界が切り替わり、見慣れた町に着く。大丈夫、周りの人は私に近寄ってこない。少し興味を示されただけだ。
歩く度に肺が重く感じる。子供は近くに居ない、首も絞められない。大丈夫、誰にも邪魔されないで
私は、このログインを最後にNWOを引退する。誘ってくれたサリーには申し訳ないけど話し合って決めた事だ。これ以上続けていても苦痛だし、もしまた襲われたら、普段の生活にも支障が出るだろう。実際今もログアウトしたくて堪らないが、最後にシロップと遊ぶために我慢する。
「…シロップ、ごめんね」
湿地を通って海に向かう。最後に、シロップとキレイな景色を見たい。運良く周りに人は居ないようだ。それでも怖くて、盾を構えてすぐに【悪食】を使える準備を
ガサリ、と音がした。
「へっ」
首を掴まれた感触があった。背筋が冷たくなる。
「やっ」
首に腕が廻る、あの感触が蘇る。嫌だ。なんでまた私が。
「うぁ!」
息が詰まる。首を絞められた。直感がそう判断する。怖い。やっぱりログインなんてしないほうが良かった。後悔が心を押しつぶしてくる。肺に水が流れ込んだ気がした。違う、気のせいだ。意識が遠くなる。
「ふげぅ、やめ、だれ」
ダメだ、見ちゃいけない。振り向いちゃいけない。知らないほうがいい。そう嫌な予感がしても、反射的に後ろを向いてしまった。そこには
―――嘘だ。
首を絞めていたのは、この前森で会った、メアリーちゃんだった。その瞬間、記憶があふれる。空気が漏れる音がした。頬が痛くなる。また、死ぬ。水に溺れる。
そうか、全部彼女がやったんだ。ようやく理解した。ずっと怖かった、分からなかった。誰が
「かへ、ごめんな、さ」
万力のような力で絞められても、頭は冷静だった。体は暴れて、それを遠くで見つめているような気がしている。
あ、私だ。ふと、そう思った。
私が悪いんだ、全部。襲われたのも、水が怖くなったのも、息苦しいのも。何もかもが私のせいだ。
そうだよ、考えてみればおかしい。ただVITに極振りしただけでイベント三位になれるなんておかしい。こんな簡単になれて、悪く思われない訳がない。
私が悪いんだ。もっと努力している人が据わるべき地位を、私が横から掠めとったんだ。ズルをした罰を今、受けてるんだ。
メアリーちゃんがふり払われて、互いの顔を合わせる形になる。
「――ごめん、なさい」
溢れ落ちる。もうどうにもならないと分かってて、それでも溢れる。私は、このゲームを、やるべきじゃなかった。
「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい私が悪かったです調子に乗ってました三位になったのもたまたまだったんですゲームしててごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
こんな謝罪に意味は無い。分かってる。それでも謝らなくちゃいけないんだ。
メアリーちゃんが近づいてくる。息が出来なくなる。首を絞められていると錯覚するほどの殺意に、卑しく怯える私がいた。
怖くなってスキルを使った。けど避けられて組付かれる。
だめ、怖い。罰は受け入れなきゃいけない、そう思っても、助けを求めてしまった。
「助けてサリ「せいっ」あぎ!?」
右肘と首にメアリーちゃんが絡みついて、私を殺そうとする。受け入れなきゃ受け入れなきゃ、罰なんだから。私が掠めとったことへの。
「ぉぎ、や"、まっで、たす、けぁ"」
体が求めていない助けを乞う。痛みが、記憶が、私に罰を与える。受け入れなきゃ受け入れなきゃ受け入れ
「ゃ、ごめ、さ、ゔあ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」
腕から致命的に嫌な音がした。メアリーちゃんが私を本気で殺そうとしているのを理解する。
「や"だ!ゆるじ、ぃあ"、ごべんな"ざ、いぎゅ!」
怖い。ただ怖い。痛みが怖い。息苦しさが怖い。死が怖い。ずっと真顔のメアリーちゃんが怖い。怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い!恐怖が狭くなった心を埋める。
「な"んで、ごん、なこど」
恐怖が私を支配して、その果てで生まれたのは疑問だった。二度も私を殺そうとするメアリーちゃんへの純粋な、疑問。
メアリーちゃんは少し首を傾げて、不思議そうに言った。まるで自分の生きる理由を問われたみたいに。
「…?RTA走者、だから」
――脳が、理解を拒んだ気がした。何か得体のしれない、人ではないナニカがそこにいる。私を殺そうとしてくる。締めつけが強くなった。目の前のナニカが、喜んだような雰囲気になる。
「ひっぐ、ゔぇ、あ"ぁ、あ…」
最後まで恐怖と疑問が、私を埋め尽くして
息が、消えた。
『異常な心拍数を検知。ログアウトします』
「っは、うぇ」
起きると、私の部屋だった。
汗で服が重くなってる。着替える為にベッドを降りようとして、
クローゼットが目に入った。
「――あっ」
子供がひとり隠れられそうだった。例えば、
「やだ、うそ」
窓に目がいった。そこから、高い草が見えた。さっきの湿地に生えているような。
ベッドが視界に入った。私のベッドの下には、隙間があるのを思い出した。
ドアがゆっくり動いた。物陰があった。隠れる隙間が、あった。
「…う、あ」
メアリーちゃんなら隠れられそうな隙間が、いっぱいあった。
「誰か、助けて」
メアリーちゃんが、いる。
首が、絞まる。
頭の中で、何かが折れる音がした。
それから、私は眠れなくなった。隅に座って部屋を見ていた。そうしないとメアリーちゃんに襲われるから。
学校には理沙がいないと行けなくなった。理沙がいないとメアリーちゃんに襲われるから。
痛いのは、怖いのは、苦しいのはもう、嫌だから。
後半ホラー映画じゃね?
ポケモン剣盾で、ホップとの恋を成就するために『ムゲン団総帥』としてムゲンダイナの力で過去へと戻ろうとするユウリ、ていう幻覚を見ました。百合より先にこっち書くのもいいな…。
社会人百合の方で、現在『旅館で夜通し』と『オメガバース』が同票なんですけどどうしよう。くっつけようか。
淫夢関連について
-
いる
-
いらない
-
たまにいる