青鯖は空に浮く   作:しちご

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#02 或る四天王の連絡

竜人公は異世界転生者である。

 

趣味のボルダリングをしている最中に飛び出した猫を庇ってトラック以下略。

 

そして邪竜の血筋だの忌子だのと、当事者でさえ無ければ心躍る妖しい単語の元、

小作農の三男として、山奥の隠れ里で石を投げられながら育ってきた。

 

そんな彼に転機が訪れたのは、様々な村社会的制裁、虐待と報復の連鎖、

村内が血で血を洗う修羅の巷と化していた頃合の良く晴れた日の事。

 

でびでびるん魔法帝国総帥、キングジェネラル3世にスカウトされたのだ。

 

帝国で総帥でキングでジェネラル、しかも3世。

よくわからないが何か凄く偉いヒトの様な気がしない事も無い。

 

二度と帰って来ないでくださいお願いしますと、涙ながらの激励を受け、

人跡未踏の秘境から都会へと旅立った青年は、驚愕と共に口を開いた。

 

「現代日本……だと……」

 

その瞬間まで、ファンタジー的な世界であったと信じていたらしい。

村の文化がTVもラジオもLDすら存在しない中世だったせいである。

 

そもそも電気が通ってない。

 

あと、何か村人が無駄に手から光線とか出してた。

 

大化の改新の頃に隠れたまつろわぬ民の隠れ里であった。

 

完全に戦闘要員としてスカウトされたわりに、前世の記憶のおかげで

事務仕事の適性なども在り、面倒の無い怪人として組織内で重宝され、

 

やがて四天王にまで上り詰めるのは、後の話に成る。

 

 

 

#02 或る四天王の連絡

 

 

 

東洋風中世ファンタジーだと思っていたら現代日本で、何とか飲み込んだ所に

突然に魔法少女とか出てきた時の絶望を、どう表現すれば良いだろうか。

 

何と言っても、その時点で既に所属はでびでびるん魔法帝国。

 

あからさまに悪役である。

 

そんな益体も無い事を考えながら、会議の行方を俯瞰した。

 

でびでびるん魔法帝国会議室。

 

無駄に尖っていたり黒かったりする調度品に囲まれた一室に、

総帥閣下と自分含めた四天王が、揃って顔を突き合わせ居る空間。

 

フードで中身がよく見えない、総帥キングジェネラル閣下をお誕生日席に置いて、

お祝いの如くに四天王が無駄に巨大な楕円卓を囲んでいる。

 

「まずは、先日の作戦を検証していこうか」

 

浅黒い肌を惜しげも無く見せつける長身恵体の偉丈夫が言葉を発した。

闘人公スマッシュマッチョ、同じ四天王の同僚だ。

 

さて、私は経理部に赴いていて手が離せなかったから不参加であったのだが。

 

そんなわけで、特に語ることも無いので聞き流すか。

 

何かなー、自分のものにならない大金を右から左に動かしていると、

金銭に達観した気分になるんだよなー、職業病だなっていやちょっと待て。

 

「何で私が経理やってんだ、もっと事務の人員増やせよこの野郎」

 

おっといかん、心の声が口から漏れてしまった。

 

……目を逸らすな、いや総帥閣下も、ちょっと話を流そうとするな、聞け。

 

ひとしきりに脱線しつつ、繁忙期までに人員補充を約束させて一息。

 

そうそう、魔法少女と悪の組織だと自らの境遇に絶望したものだったが、

冷静に周囲を見渡してみれば、同僚が粘液滴る触手怪人だったり。

 

当時の上司が魔界貴族で血萬公とか名乗っていたり。

 

何と言うべきか、日曜朝ではなく月曜深夜の様なラインナップ。

 

その時に覚悟を決めたのだったな。

 

堕とさねば、生き残れないと。

 

「ところで、捕獲したまじかる桃色を調教していた機人公が」

 

おっと、関りの在る所に話題が辿り着いた。

 

「挿入せずに甚振っていた時、竜人公がケツに蹴りを入れた件だが」

 

言葉にすると酷いな。

 

「痛かったです」

 

何か女性と見間違えそうな、嫋やかな少年が涙目で言ってくる。

手とか服とかに謎銀色のパーツが付いている彼は、機人公エネマグラン。

 

「まあ、直後に救出されたわけだから」

「純潔を奪うと言う目的から考えれば、ファインプレーだったわね」

 

司会進行の闘人公の言葉を、普段から何かと世話に成っている魔人公が継ぐ。

 

名はムッチリーノ・ビッチョリーナ。

 

豊かな肉体を黒を基調とした露出の高い、何か下着的な物で包む痴女。

世話にはなっているが、とりあえず3m以内の近くには居て欲しくない。

 

ではなく純潔、そう、魔法少女が纏っている神秘の障壁ヴァージニアオーラ。

 

我らが怪人軍団が発するDTフィールドと反発する性質を持ち、

そのせいか何事もやり辛く、戦闘でも中々に有効打を入れる事が出来ない。

 

そんな、多分処女膜あたりから発生している謎パワーを奪うため、

捕獲した魔法少女を辱めて検証するのが今回の作戦の目的だったと。

 

そんなわけだから、挿れる挿れる詐欺を繰り返していた機人公の、

何か濡れ場ノルマ終了したら救出されそうな気配を察して、うん。

 

とりあえず言葉を期待されている空気なので、親指を立てて口を開く。

 

「ナイス肉棒」

 

言われた男の娘が赤面して顔を覆った。

 

とりあえず他2名もナイス肉棒と声を掛け追撃している、ナイス連携。

 

「まあ何だ、機人公のご立派様のおかげで憎きまじかる桃色の奴も」

 

話を戻そうとしたのか、総帥閣下が口を開きながら手元を操作する。

 

途端、円卓の中央に表示される立体映像。

 

良い感じに復興費用がかかりそうな残骸の中、本日出撃していたホルスたんが、

体積の半分を誇る乳から放つ、必殺忍法乳時雨で魔法戦隊を乳まみれにしている。

 

自然、ニンマリと頬が緩む、明日は奴隷乳が良く売れそうだ。

 

そんな甘い事を考えていたら、何か桃色が発光しながら乳を吹き飛ばした。

あれ、何かヴァージニアオーラ全開じゃね、おかしくね。

 

―― 恋する心があれば、女の子はいつだってヴァージンなんだからッ

 

なにそれこわい。

 

「何言ってんだこの淫乱ピンク」

 

死んだ魚の目で魔人公が言葉を漏らした、少し素が出てる。

他も皆、目が死んでる、何かもう帰って黄色でも愛でて癒されたい。

 

通夜の様な沈痛な空気の会議室で、続々と集まる魔法少女に囲まれ、

ホルスたんが爆風に吹き飛ばされたあたりで映像が途切れた。

 

あとはもう、敗残処理を細々と続けるような話の流れ。

 

最後に黄色の事を聞かれ、本人の意思もあり、

戦線に投入可能だと伝えたあたりで少し空気が軽く成る。

 

そして大恩在る総帥閣下が、最後に一言を掛けてくれた。

 

「期待しているぞ、竜人公ドラポンエクストリームよッ」

 

うん、その名を呼ぶな。

 

 

 

《魔法戦隊速報》

 

 

 

まじかる七色快勝、希望の未来へレディーゴー!

 

本日未明、市販の牛乳に砂糖を入れるテロを敢行していた魔法帝国

所属の人気怪人ホルスたんが、まじかる七色との戦闘に入り、必殺

忍法乳時雨などで一時優勢をとるも、桃色の魔法白い謎の光を契機

に、集団フルボッコフォームで撃破される結果となった。

 

満身創痍で離脱したホルスたんは、記者に対し「勝敗は兵家の常、

次は勝って見せます」と未だ戦意衰えぬコメントを残した。

 

ホルスたんと言えばデビデビ乳業のCMガールとしても有名であり、

この結果から、デビデビ乳業の株価に影響が与えられるものと ――

 

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